
令和8年度女子U15日本代表「第1次国内強化合宿」を実施
「女子U15日本代表」16名が初めて顔を揃えた
今回、チームを率いるのは藤本索子ヘッドコーチ(金沢学院大/石川)
「アジアカップ連覇」へ向けて歩み始めた女子U15日本代表
実戦を重ねながら革ボールへの対応力を高める
積極的にコミュニケーションを取る選手たち
革ボールの握り方、リリースの仕方を指導
この16名で10月に中国で開催される「アジアカップ」に挑む
去る8月28日(金)~30日(日)の3日間、東京都国立市・町田市において、女子U15日本代表が「第1次国内強化合宿」を実施した。
この合宿は、10月12日(月・祝)~17日(土)、中国・山東省威海で開催が予定されている「第3回女子U15アジアカップ」に向けた強化を目的としたもので、4月21日(火)~23日(木)、静岡県伊豆市で開催された「令和8年度 女子U15日本代表チーム選手選考会」を経て選出された代表選手16名が初めて一堂に会し、「チーム」として本格的な強化をスタートさせた(令和8年度 女子U15日本代表チーム選手選考会の記事はこちら 選考会の動画はこちら)。
合宿初日(8月28日/金)、午後には選手16名が続々と集合。「アジアカップ」をともに戦うスタッフも集まり、初めて「女子U15日本代表チーム」の全員が顔を揃えた。
初日・2日目の練習会場となった東京女子体育大学では、まず、同大学ソフトボール部・佐藤理恵監督(日ソ協常務理事)から、この合宿が実りあるものとなるよう全面的にサポートしていく旨の言葉が述べられるとともに「女子日本代表」の先輩として、北京オリンピックでの金メダル獲得をはじめ、ジュニアカテゴリーでも「世界一」に輝いた経験を紐解きながら選手たちへ激励の言葉が送られた。
続いて、スタッフの自己紹介に続き、選手一人ひとりが自己紹介と代表活動に向けた決意表明を行い、その後、今回チームの指揮を執る藤本索子ヘッドコーチ(選手として2008年北京オリンピックで金メダルを獲得、2015年・2019年女子U19(現・U18)日本代表アシスタントコーチとして「ワールドカップ」二度の準優勝:金沢学院大学/石川)から、チームの方針や活動の方向性が示されるとともに、日本代表として活動する上での心構えについても選手たちに伝えられた。「今回、選考会に参加した142名の中から代表として選出された16名の皆さんがここにいる一方で、選考会では代表入りをめざしながらも選出に至らなかった126名がいる。その思いも背負い、日本代表としての自覚と責任をもってこの代表活動に臨んでほしい」と選手たちに「日本代表」のユニフォームを身にまとうことの重さ、その「使命」「責任」にも言及。さらに藤本ヘッドコーチが選手に求めたのが、「根拠のある行動、根拠のあるプレー」という言葉。何となく行動するのではなく、一つひとつの行動・プレーに自分なりの「考え」と「根拠」を持つこと、そして失敗を恐れて消極的になるのではなく、自分なりの「根拠」をもって積極的にプレーすることの大切さを伝え、日本代表に選ばれた責任を胸に、これからともに戦う16名がチームとしてめざす姿を共有し、いよいよグラウンドへと向かった。
グラウンドでは、まず庭瀬佳那子トレーナー(Niwa Care)の指導のもと入念にアップを行い、椿太郎コーチ(2025年「第2回女子U15ワールドカップ」アシスタントコーチとして優勝:湯梨浜町立湯梨浜中学校/鳥取)によるシートノックで守備の動きを確認。その後、東京女子体育大学ソフトボール部との練習試合に臨んだ。
初めての実戦は0-3で敗れたものの、普段、日本の「中学生カテゴリー」で使用しているゴムボールとは異なる革ボールへの対応に取り組む中で、実戦を通して多くの課題を確認する貴重な機会となった。印象的だったのは、革ボールを使用する中で選手たちが不安に思うことや疑問に感じたことを積極的にスタッフへ質問する姿であった。世界の舞台を知る「日本代表の大先輩」でもある藤本索子ヘッドコーチや峰幸代コーチ(選手として2007年世界女子ジュニア選手権(現・U18ワールドカップ)準優勝、2008年北京オリンピック金メダル獲得、2010年世界選手権(現・ワールドカップ)準優勝、2012年・2014年同大会優勝、2021年東京オリンピック金メダル獲得。2023年「第1回女子U15ワールドカップ」アシスタントコーチとして準優勝)は、一人ひとりの問いかけに丁寧に応えながら、自らの経験を交えて「世界トップレベル」の技術や考え方を伝え、選手たちは、そこで得た学びを実際のプレーに落とし込みながら、革ボールへの対応を身につけていった。
合宿2日目は、前日見つかった課題や反省点を踏まえ、再び練習試合に臨み、前日の反省を生かしたプレーも随所に見られたが、試合は0-5で完敗。大学生との「力の差」を感じさせられる場面も多く、現在の自分たちの課題を改めて突きつけられる試合となった。それでも、選手同士がコミュニケーションを取りながらプレーを修正する姿も数多く見られ、チームとしての成長が感じられる内容となった。
技術面では国際大会で使用される革ボールへの対応も見据え、打撃ではバットの軌道を具体的に示しながら、革ボールの打ち方を指導。守備では、打球への入り方やボールの握り方、スローイングまで、一つひとつの基本を細かく確認。その上で、日本の「お家芸」でもあるバントやスラップといった小技の練習に加え、それらに対する守備の対応も実戦形式で実施。さらに、長打を打たれた際の連係プレーでは、打球の方向に応じた中継の位置やカットの入り方、カバーに入る選手の動きを一つひとつ確認するとともに、選手それぞれの肩の強さやスローイングの能力・正確性も考慮しながら、効率よくボールをつなぎ、走者をアウトにする、あるいは進塁を防ぐための守備の連係について理解を深め、攻撃・守備の両面から国際大会を見据えた対応力を高めていった。
グラウンド上での練習だけでなく、夜のミーティングでは、日本代表選手としての自覚を持って行動することについても指導。挨拶や言葉遣いなど、日頃の生活の中での姿勢にも目を向け、競技面とともに「代表選手」としての心構えを学ぶ時間ももった。
最終日の3日目は、町田市・野津田球場へ移動し、日本女子体育大学ソフトボール部の協力のもと、練習試合に臨んだ。同大学・相馬満利監督(2012年世界選手権優勝メンバー)は、今回の「女子U15日本代表チーム選手選考会」で選考委員を務めた一人でもあり、合宿においても選手たちの強化を全面的にサポートしてくれた。
試合前のミーティングで選手たちに示された目標は、「このチームでまず1点を取ろう」。一つの目標を共有して試合に臨むと、試合は1-2で惜しくも敗れたものの、チームとして初めての得点を記録。3日間の活動を通して積み重ねてきたものが、初めてスコアという目に見える形で実を結び、選手たちの成長を感じられる瞬間もあった。
試合後は、大学生も選手たちと一緒にグラウンドで内野手のダブルプレーや革ボールでのライズボール打ちなど、実戦を想定した技術練習に取り組み、大学生からプレーについてアドバイスを受ける場面もあり、先輩たちの技術を間近で学び、実際にプレーしながら理解を深め、実践を繰り返した。
合宿最後のミーティングでは、藤本索子ヘッドコーチから「今回の合宿でたくさんのことを学んだと思う。自チームに帰ったら、共有できるところはどんどん共有し、自らを成長させる糧としてほしい。また、これで終わりではなく私たちはずっと『チーム』として活動していくことになる。10月の大会に向けてこれを契機にお互いに高め合っていこう!」と呼びかけ、今回得た学びをそれぞれの所属チームへ持ち帰るとともに、次の直前強化合宿、そして本番の「アジアカップ」に向けて、選手一人ひとりが力をつけ、再び「チーム」として合流したときには、互いに「成長した姿」で再会することを誓い合った。
また、「こうやって日本代表として活動ができているのも、家族や所属チームの支えがあってこそ! 帰ったらまずその感謝の言葉を伝えてください」と、代表活動を支えてくれる周囲への感謝を忘れることなく、大切にするよう選手たちに改めて伝えた。
古渡美奈マネージャー(2023年「第1回女子U15ワールドカップ」アシスタントコーチとして準優勝:神田女学園中/東京)からは、10月の直前強化合宿まで少し期間が空く中でも、LINEなどのツールを活用し、選手同士で積極的にコミュニケーションを取り、「チーム」としての「一体感」や「連携・連帯」をさらに高めていくことの大切さも伝えられ、真の意味で「チーム」となっていくために「できること」「やるべきこと」が示唆された。
今回の合宿では、東京女子体育大学ソフトボール部、日本女子体育大学ソフトボール部、また東京都ソフトボール協会から、練習会場の提供や練習試合、技術練習など多方面にわたりご協力いただいた。選手たちの強化を支えてくださった関係者の皆さまに心より感謝申し上げたい。
この3日間の合宿を通して、選手たちは世界トップレベルの技術を学ぶだけでなく、日本代表選手としての自覚やチームとして戦うためのコミュニケーションの大切さが強調され、真のチームとなるべく「チームづくり」のための貴重な機会ととらえ、一分一秒を惜しむかのように濃密な時間を過ごした。初めて16名が集まり、時に声を掛け合い、時に教え合いながら、一つの「チーム」へと歩み始めた女子U15日本代表。
次回の直前強化合宿まで、それぞれの所属チームで今回の学びを実践し、個々のレベルアップを図り、再び集まる10月には、さらに成長した姿を見せてくれることだろう。そして……その16人が「連覇」、翌年の「ワールドカップ」出場権獲得がかかる「第3回女子U15アジアカップ」に挑むことになる。