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普及本部会 アンダーカテゴリー(U15)普及部会 連絡会議を開催

2月23日(月・祝)、「普及本部会 アンダーカテゴリー(U15)普及部会 連絡会議」が開催された。

連絡会議冒頭、挨拶に立つ日ソ協・岡本専務理事兼事務局長

「現場の声」を聞かせてほしいと忌憚のない意見交換を促す日ソ協・磯谷普及本部長

この連絡会議の「座長」を務めた中体連・坂野英一郎競技部長

中学生の指導現場に立つ全国各都道府県の代表者から「生の声」を聞くことができた

リモートでの参加も交え、「現状の問題点」「今後の課題」について熱心な議論が交わされた

 去る2月23日、東京「Japan Sport Olympic Square」14階・岸清一メモリアルルームを会場に「普及本部会 アンダーカテゴリー(U15)普及部会 連絡会議」が開催された。

 この会議は、「各都道府県において、ジュニア世代(中学世代)に関わり、各都道府県の実状に精通している代表者47名を招集。公益財団法人日本中学校体育連盟(以下、中体連)ソフトボール専門部から提供された情報に基づき、公益財団法人日本ソフトボール協会(以下、日ソ協)から各都道府県支部協会に打診し、選出された代表者47名のうち、39名が出席。代理出席4名、欠席4名で会議が行われた。

 まず最初に、日ソ協・岡本友章専務理事兼事務局長が挨拶に立ち、「ソフトボールの競技人口が減り、チーム登録数も減少し、今後のソフトボール界の『未来』を展望し、さらなる発展を願うとき、ソフトボールの置かれた現状は危機的状況にある」との認識を示し、「特に中学生においては、部活動の地域移行・地域展開が叫ばれ、令和9年度から『全中』(中体連主催、日ソ協と共催の中学生の全国大会。高校生の「インターハイ」にあたる歴史と伝統があり、最もグレードの高い大会)の「男子ソフトボール」が外されることが決まっている。本協会としても中学生男子のそれに代わる大会の開催を検討中で、現在すでに開催されている『全日本中学生大会』『都道府県対抗全日本中学生大会』との棲み分けや位置づけ等の見直しも行っていきたい」と、中学生の新たな「目標」となるような大会の創設にも言及。その上で、「ソフトボールの『未来』『将来』を考えたとき、このアンダーカテゴリー(U15)の存在が大きなカギを握っている。本協会の行く末、命運を握っているといっても過言ではなく、本日は中学生の指導に携わり、活動の現場、最前線に立つ皆さまの忌憚のないご意見を拝聴させていただきたい」と、この連絡会議開催の趣旨・目的に触れながら挨拶を締めくくった。

 続いて日ソ協・磯谷理義普及本部長が「ソフトボールのさらなる普及を考えたとき、アンダーカテゴリーの段階から、いかにソフトボールに目を向けさせ、取り込んでいくかが大きな課題となっている。本協会では、幼児期からのベースボール型スポーツへの導入段階として『ASOBALL』を研究・開発し、学校の体育授業での展開を見据えた『学校体育ソフトボール』等、ソフトボールの普及に向けた取り組みに力を注いでいるが、競技人口・チーム登録数の減少に歯止めがかからない状況にある」と危機感を露わにし、「そのためにも本協会と中体連が連携を密にし、今、実際に中学校の置かれた状況がいかなるものなのか、今後へ向け、どのような施策を打ちだすべきかを、現場を一番知っている皆さまの意見をお聞きしながら考えていきたいと思っている」と、この会議の開催意義と今後に向けた期待を口にした。

 この後、中体連・坂野英一郎競技部長から「組織体制及び役割」について説明され、「組織体制」(組織構成)については、前述の通り、各都道府県において、ジュニア世代(中学世代)に関わり、各都道府県の実状に精通している代表者が選出されており、その多くは中体連からの選出であるが、あくまでも「日ソ協の事業」であり、この会議の場で、何かを決定する権限を有しているわけではなく、日ソ協の方針、事業実施の方向性の確認や中学生の指導現場、活動現場における実状に即した効率的・効果的な事業展開を行っていく上での意見交換、意思疎通を目的とした「連絡調整」「情報共有」を目的とした会議であることが改めて説明・確認された。

 また、この会議の「役割」については、日ソ協サイドの「普及本部会」、「U15」世代関連の情報の共有、共通認識の醸成と迅速な伝達を可能にするためのものであり、各都道府県・各地域の「現場」の意見、現状の課題の収集・把握、円滑な部会への連絡を実現し、「全中」に代わる男子大会の創設、また、今後見直しが予定されている女子についても対策を講じるべく意見交換を行い、具体的な施策を打ち出していく道筋を作っていく役割を担うものであるという共通見解がもたれた。
 今後は「普及部会連絡会」を年度1回、オンラインでの開催を基本とし、開催。必要に応じて参集方式で行うことや臨時で会議開催を招集する場合があること。この会議はあくまでも日ソ協普及本部会のもとに設置される情報伝達・意見交換の場であり、最終的な意思決定は、普及本部会での審議を経て、常務理事会・理事会・評議員会等、日ソ協の機関決定手続き、プロセスを踏んだ上で行われることが再確認された。

 その上で、改めてアンダーカテゴリーにおける「現状認識」と日ソ協の方針が説明され、中学生世代を取り巻く現状は、競技人口が減少し、「チームが成立しない」地域が増加。「ソフトボールをやりたいが所属できるチームがない」という状況が生じており、学校部活動が急激に縮小する「現実」に直面し、ひと昔前のように「学校部活動が『当たり前の受け皿』ではなくなりつつある」ことの共通認識がもたれた。
 また、指導者の不足、地域差の拡大、教員の働き方改革に伴う部活動の地域移行・地域展開がその状況に拍車をかけ、かつて「学校完結型」であった部活動が「地域と連携する教育活動」へと転換する「過渡期」にあることも併せて報告された。

 日ソ協としては、協会登録制度により競技環境を整備し、「全日本中学生大会」「都道府県対抗全日本中学生大会」を単に大会へ参加するだけにとどまらず、全国の中学生が交流する場として確保し、ソフトボールのさらなる普及・発展に向け、人材発掘・育成を目的とした「MIRAI事業」をこれらとどうリンクさせ、効果的な事業にしていくべきか、その位置づけやあり方が「これまでの延長線上でよいのか」といったところにまで踏み込み議論されることになった。

 その上で、試合の勝敗、大会の結果は出るにしても、それがイコール学校・クラブの優劣を決めるのではなく、競技成績優秀な一部の学校、クラブに人材が集中することなく、「どの立場の子どもも排除されない仕組み」を考えていかなくてはならないことが強調された。

 具体的には、「二重登録」「三重登録」等、一人の選手が複数チームへ登録し、学校の「部活動」のチームにも、地域の「クラブ」チームにも登録を可能としてはどうかとの意見が出され、ただ、その場合、大会の出場要件を精査する必要性が生じ、さらにいえば、どのような位置づけの、何を目的とした大会なのか……大会の枠組みや制度設計まで見直しが必要となる可能性にも言及した。

 また、現行の「MIRAI事業」は「普及事業」としてどう定義し直すべきか、「都道府県対抗全日本中学生大会」の意味・意義、大会の位置づけやあり方についても議論されることになった。

 これらの全体的な問題点について共通理解・共通認識を持った上で、各論の議論に入っていった。

 「チーム登録規程の緩和」については、従前の「在住もしくは在学の都道府県で一人1チーム」という原則は、競技力の公平性はもちろん、生活圏と競技圏を一致させるための「ルール」として機能してきた。
 ただ、「県境に居住しており、道路一つ挟んだ向こう側、河川一つ挟んだ向こう側の県には登録できるチームがあるのに、現在の居住地には登録できるチームが存在しない」といった問題や「仲のよい友だちと一緒のチームで登録したい」「県をまたいで両方のチームで登録できないか」といった要望があるのも事実。これらも気持ちの上では、心情的には理解できる部分がある。
 子どもの数が少なくなる、少なくなっているという「現実」を踏まえて考えれば、「チーム登録規程の緩和」の流れは止められないように思えるが、「学校」「家庭」「練習場所までの移動距離」「安全管理」等の面を考え、特に「中学生」という年齢を考えると「教育的配慮」は必須である。
 また、中体連の全国大会での競技が廃止され、競技人口の地域偏在が激しく、「登録規程を緩和しないと、そもそも競技が成り立たない」地域が数多く存在する男子と、登録数の減少が激しいとはいえ、中体連の全国大会での競技が存続し、学校部活動、クラブ、協会主催大会が複雑に絡み、現在、辛うじてその均衡を保っている女子ではかなり置かれた状況、事情が異なる。制度を変更すれば「救われる人」が生まれる一方で、従前の制度によって「守られてきた秩序」が崩れてしまうという危惧もある。
 「チーム登録規程の緩和」による複数登録は期待される一方で「課題」が多いのも「現実」であり、大会ごとの所属切替での混乱、指導責任の所在の曖昧化、経済格差・情報格差が競技格差に直結する可能性等々……「競技環境の自由化」という名のもとで「選択できる家庭だけに自由を与える」という構造となる恐れがあり、「教育としての部活動」と「競技としてのクラブ」の境界が曖昧になってしまいかねない。
 ともすると「チーム登録規程の緩和」は、運用責任を現場に「丸投げ」することになりがちである。「問題が起きてから対応する」のではなく、「起きることが想定される問題をいかに整理し、具体的にどう対応するか」を協議・検討し、実際に運用できるよう落とし込んでおく必要がある。
 このあたりはすでに登録、出場が認められている「合同チーム」の問題と並行し、協議・検討し、「大会出場要件」で制限・緩和する方向で、令和9年(2027年)の男子大会で運用し、女子の大会での運用も見据えて、その試金石としていくことが議論された。

 この後、各都道府県の代表者からその都道府県ごとの「現状」「実状」が報告され、現在でも多くの登録チームを誇る都道府県がある一方、チームの減少に歯止めがきかず、数年後には1チームもなくなってしまうのでは……と心配する声も聞かれた。
 また「土・日は学校部活動の禁止」を打ち出している都道府県もあり、その場合、土・日の試合の引率はどうするのか、試合や練習は誰が指導するのか、制度やルールの方が先行してしまい、指導現場が追いついていない、選手やチームの活動の実状に即していない決定が下されているような状況も見られた。さらには、土・日は部活動の指導ができないため、先生方が「教員」という立場ではなく、「地域の一人」に戻り、指導しては……といったアイディアも出されたが、その場合の手当てをどうするのか、そもそもそれでは「働き方改革」にはならない……といった意見も出された。

 直面する「現実」はとても重く厳しい。だが、それぞれの報告の中で、「高校生の研修に中学生も参加させてもらい連携を図っている」といった意見や「小学生にまで裾野を広げてつながりを持つようにしていきたい」といった声もあり、中には、「選手一人ひとりの進路を把握し、そこでソフトボールを続けることができるよう、進学先の校長先生に話をしている」といった話まで聞くことができた。

 また、「U15」という国際的なカテゴリーがあり、「アジアカップ」「ワールドカップ」が開催されていることを考えれば、現在は「普及事業」の中に位置づけられている「MIRAI事業」を従前の「NTS」のような形に昇華させていくのか、あるいは「強化」と「普及」の両輪として、それぞれの事業を確立させていくのか、検討の余地があるといえるだろう。
 また、現在実施されている春の全国大会「都道府県対抗全日本中学生大会」とそれらの事業をリンクさせ、「国民スポーツ大会」のような位置づけの大会にできれば、そこに参加する選手たちのモチベーションも変わり、「日本代表として世界の舞台で戦いたい!」という「大きな目標」が明確になり、事業への取り組みやそのあり方、位置づけ、向かうべき方向性の道筋が見えてくるのではないだろうか。

 「強化」と「普及」は表裏一体であり、その両方が「大切」で「重要」である。その意味でも現行の事業を整理し、あるいは新たな意味・意義を見出し、位置づける必要がある。より効果的でやりがいのある事業へと変貌させ「ソフトボールの活性化」の糸口、突破口となるような議論が、この会議において行われ、「ソフトボールの未来」を明るいものとしていってくれることを期待してやまない。

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