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北京オリンピック 第5日
中国・北京/豊台ソフトボール場(2008.8.16)


日本、中国に3−0で勝利!
通算4勝1敗で2位の座をキープ!!



 8月16日(土)、前日、王者・アメリカに屈辱的なコールド負けを喫した日本は、この日の第1試合で地元・中国と対戦。中国応援団一色に染まったスタンド。中国の勝利を信じる大声援。完全な「アウェー」の雰囲気の中、試合がはじまった。


8月16日(土)/予選リーグ第5戦

  
  1 2 3 4 5 6 7
 日 本 0 0 3 0 0 0 0 3
 中 国 0 0 0 0 0 0 0 0

(日)○上野(6回)・坂井(1回)−峰(6回)・乾(1回)
(中)●呂(3回)・李(4回)−郭(7回)
〔本塁打〕佐藤(日)
〔二塁打〕狩野(日)


 先攻の日本は初回、1番・狩野が四球を選び、2番・西山の送りバントがフィルダースチョイスで無死一・二塁。3番・山田が手堅く送り、一死二・三塁としたが、4番・馬渕がセカンドフライ。5番・佐藤の故意四球(Intentional Walk)で満塁とし、6番・三科がセンター頭上を襲う大飛球を放ったが、センターに好捕され、無得点。先取点のチャンスを逃した。
 日本の先発は上野。先頭打者にいきなり安打を許してしまったが、後続をショートゴロ、連続三振に打ち取る落ち着いたピッチングを見せ、中国打線に得点を許さず、無難な形で試合をスタートさせた。
 日本は3回表、一死から2番・西山が四球で出塁。3番・山田のヒット性の当たりがセンターに好捕され、二死となったが、4番・馬渕の一・二塁間深い位置への当たりが失策を誘い、一・三塁とチャンスを広げ、5番・佐藤が豪快にライトスタンドへ叩き込む先制のスリーラン。3点のリードを奪い、試合の主導権を握った。
 日本はその後も、5回表、6回表と一死二・三塁の追加点の好機を作りながら得点を挙げることができず、7回表にも二死一・二塁と攻め立てながら無得点。相変わらずの「詰めの甘さ」が顔をのぞかせ、「勝負を決める1点」を奪うことができなかった。
 守っては、先発・上野が6イニングを投げ、被安打5・奪三振6の力投。中国打線に得点を許さず、最後は日本が誇る「二枚看板」坂井が1イニングを締め、4勝目を挙げた。
 試合後、斎藤ヘッドコーチは、まずはいつも通り、熱い声援を送ってくれるソフトボールファンや関係者、遠く中国・北京にまで応援に駆けつけてくれた応援団等に謝意を述べた後、「北京オリンピックのホスト国であり、決勝トーナメント進出を争う中国に勝って、4勝目を挙げられたことはよかったと思う。選手には、最初の山が初戦のオーストラリア戦で、二つ目の山がこの中国戦であることを強調してきた。まずは、その大事な試合に勝利できたことを素直に喜びたい。ホスト国としての誇りとプライドにかけ、ぶつかってきた中国はすばらしいチームだったし、そのチームに勝てたことを嬉しく思う」と、試合を振り返った。「ただ……残塁が多く、チャンスであと一本が出なかった。投手陣は頑張ってくれたと思う。残る2試合(ベネズエラ戦、カナダ戦)もチーム一丸となって戦い、集中力を高めて、プレッシャーを乗り越えたい。このプレッシャーこそがオリンピックだと思うし、そのプレッシャーに負けることなく、戦い抜いてくれる選手たちだと信じている」と、今日の勝利を喜びながらも、すでに気持ちは明日以降の戦いに向けられていた。
 先制スリーランを放った佐藤は、「あの打席は、初回のチャンスを逃していただけに、何としても先取点がほしい場面だったし、チームのために何とかしようと必死だった。スリーボール・ワンストライクから、ただ強い打球を打つことだけを考え、無心で振り抜いた」と、殊勲のスリーランの場面を振り返った。
 最後に、キャプテンの山田が、「先頭打者が出塁してチャンスを作り、しっかりとつないでチャンスを作るところまではできている。そこで決定打を奪うことができずにいるので……。一球一球に対する集中力をもっともっと研ぎ澄まし、チャンスを確実にモノにできるようにしていきたい」と、明日以降の戦いへ気を引き締め直し、記者会見を締めくくった。
 佐藤のスリーランがあったとはいえ、安打はわずか2本。それでも相手投手の制球難と守備の乱れにつけ込み、何度もチャンスを作りながら、タイムリーが出なかった。昨日、大敗を喫したアメリカの投手陣は、5試合を終えた時点で被安打はわずかに「4」と、抜群の安定感を誇っている。1試合平均の被安打が1本にも満たないのであれば、負ける心配などあるはずもない。カナダ戦の初回に2つのイリーガルピッチなどでノーヒットで失点した他は、失点のピンチすらないといった状況だ。この相手がそうそうチャンスを与えてくれるとは思えないし、得点機を作るだけでも容易なことではないだろう。それこそワンチャンスをキッチリとモノにし、小差で逃げ切る試合展開しか日本の勝機はないといえよう。
 一方、アメリカは打線もチーム打率が全チームの中で唯一3割を超え、ここまで5試合の総得点は36。 ホームランもメンドーザ、ブストスの3・4番コン ビがそれぞれ3本。トップバッターのワトリーが2本と破壊力も抜群だ。「世界一の投手」上野でさ え、アメリカ打線を完封した試合は2005年の「ジャパンカップ」の決勝、同年の「日米インターナショナルマッチ in 仙台」の第3戦の2試合しかなく、この強力打線を抑え込むのは「至難の業」であることは間違いない。それでも……このアメリカに勝たない限り、「金メダル」はないのも事実だ。
 予選リーグも残り2試合、この日の最終ゲームでカナダがベネズエラに敗れるという波乱があり、明日、日本がベネズエラに勝ち、カナダがオーストラリアに敗れると、予選リーグ2位通過が決定。メダルが確定するというところまでやってきた。ただ……日本のめざすところはそこではない。唯一無二の目標、それは「北京オリンピックでの金メダル獲得」である。「銀」や「銅」では満足できない。金メダルを手にしてこそ、この物語は「完結」を迎えることができる。

 
北京オリンピック 予選リーグ第5戦 中国戦スターティングラインアップ

1番・ライト    狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・ショート   西山  麗(日立ソフトウェア)
3番・センター   山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・レフト    馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・ファースト  佐藤 理恵(レオパレス21)
6番・セカンド   三科 真澄(ルネサス高崎)
7番・サード    廣瀬  芽(太陽誘電)
8番・キャッチャー 峰  幸代(ルネサス高崎)
9番・DP     藤本 索子(レオパレス21)
DEFO/ピッチャー 上野由岐子(ルネサス高崎)

※選手交代

7回裏 上野OUT→坂井 寛子(太陽誘電)IN ※投手交代
〃  峰OUT→乾  絵美(ルネサス高崎)IN ※キャッチャーの守備に入る



第29回オリンピック競技大会(2008/北京) ソフトボール競技 予選リーグ戦績表

予選リーグ第5日終了現在
(戦績表はその日の最終試合が終了次第、更新します)

チーム名 日本 アメリカ オースト
ラリア
中国 カナダ ベネズエラ 台湾 オランダ 順位
日本 ── ●0─7 ○4─3 ○3─0     ○2─1 ○3─0 4 1 2
アメリカ ○7─0 ── ○3─0   ○8─1 ○11─0 ○7─0   5 0 1
オーストラリア ●3─4 ●0─3 ── ○3─1     ○3─1 ○8─0 3 2 3
中国 ●0─3   ●1─3 ── ●0─1 ○7─1   ○10─2 2 3 5
カナダ   ●1─8   ○1─0 ── ●0─2 ○6─1 ○9─2 3 2 3
ベネズエラ   ●0─11   ●1─7 ○2─0 ── ●0─3 ○8─0 2 3 6
台湾 ●1─2 ●0─7 ●1─3   ●1─6 ○3─0 ──   1 4 7
オランダ ●0─3   ●0─8 ●2─10 ●2─9 ●0─8   ── 0 5 8




 
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