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北京オリンピック 第1日
中国・北京/豊台ソフトボール場(2008.8.12)


日本、「因縁の相手」オーストラリアを撃破!
金メダル獲得へ向け、好発進!!



 8月12日(火)、いよいよ北京オリンピック・ソフトボール競技が開幕。開幕戦となったカナダ対台湾戦はカナダが6−1で快勝。第2試合はアメリカがベネズエラに圧勝。「主砲」クリストル・ブストスの本塁打を含む11安打を浴びせ、11−0の5回コールド勝ち。第3試合では地元・中国がオランダと対戦。スタンドを埋め尽くした満員の観客の大声援にも後押しされ、10−2と圧勝。初戦を飾った。
 悲願の金メダル獲得をめざす女子日本代表は、この日の最終ゲームとなる第4試合に登場。4年前のアテネオリンピックと同じ、「因縁の相手」オーストラリアとの初戦に臨んだ。


8月12日(火)/予選リーグ第1戦

  
  1 2 3 4 5 6 7
 オーストラリア 0 3 0 0 0 0 0 3
 日     本 3 1 0 0 0 0 4

(オ)●ローチ(4回)・スメザースト(2回)−ティッカム(6回)
(日)○上野(7回)−乾(7回)
〔本塁打〕馬渕(日)ティッカム、バウリング(オ)
〔三塁打〕廣瀬(日)


 日本の先発はエース・上野。日本が誇る「世界一の投手」は、大事な初戦の立ち上がりを三振、ショートゴロ、三振に切って取り、試合の流れを日本に引き寄せた。
 オーストラリアの先発はアトランタ、シドニー、アテネ、そしてこの北京と4大会連続のオリンピック出場となるメラニー・ローチ。日本リーグでもプレーし、日本を知り尽くしている「百戦錬磨」のベテランを先発に起用してきた。
 しかし、日本の打線がローチをとらえる。一死から2番・西山がレフト前にクリーンヒット。3番・山田が四球を選び、一・二塁とすると、日本の「主砲」馬渕がセンターの頭上を越える先制のスリーラン。頼れる「4番」の一振りで何より欲しかった先取点を手にした。
 先発が「世界一の投手」上野で初回に3点のリードとなれば、「楽勝」と誰もが思った。だが……オリンピックに「簡単な試合」「楽勝」など存在しない。2回表、オーストラリア打線が牙をむく。この回先頭の4番・ルイスが三塁強襲ヒットで出塁すると、5番・ティッカムが上野の甘く入ったチェンジアップをとらえ、レフトポール際に運ぶツーランホームラン。1点差に詰め寄り、二死後、8番・バウリングがセンター頭上をライナーで越える同点のソロホームラン。上野であれば「安全圏」のはずの3点のリードがアッという間になくなり、試合は振り出しに戻ってしまった。
 しかし、日本も4年前の日本ではなかった。2回裏、この回先頭の7番・廣瀬がレフト線へ三塁打。8番・乾の死球で無死一・三塁とし、9番・藤本はレフトフライに倒れたものの、1番・狩野のところでヒットエンドランを敢行。打球はセカンド前に転がり、三塁走者の本塁突入を防ごうとブロックに入ったキャッチャー・ティッカムがオブストラクション(走塁妨害)をとられ、三塁走者が生還。すぐに1点を勝ち越した。
 この打線の援護に「世界一の投手」上野が応える。3回以降は立ち直り、オーストラリア打線に得点を許さず、4−3で勝利を収めた。
 試合後、斎藤ヘッドコーチは、「大事な初戦をモノにできたのは大きい。たくさんの皆さんの声援が力となり、いい形でスタートを切ることができた。明日の台湾戦もこの勢いを止めることなく、確実にモノにしたい」と、ホッとした表情を見せた。
 先制スリーランを放った馬渕は、「初戦のオーストラリア戦がヤマだと思っていたし、この試合に照準を絞って準備してきた。先取点がカギだと思っていたし、初回に必ずチャンスが回ってくると信じていた。あとはただ、来た球を思い切って振ることだけを考えていた」と、殊勲の一打を振り返った。
 エース・上野は、「4年前のオーストラリア戦とは、また違った緊張感があったが、あのときとは違って、自信を持って試合に臨み、立ち上がりもいい形で入ることができた。2回表の2本のホームランは、最初の1本は20秒ルールを気にして投げ急ぎ、中途半端な形で投じたチェンジアップが甘く入ってしまった。2本目は完全に失投で……。ただ、3回以降はすぐに修正し、立て直すことができたのは4年前よりは成長したということだと思う」と、苦笑いを交えながら振り返り、「自分が抑えなければ日本は勝てない……そんなふうにばかり考えていたが、守ってくれるバックがいて、3点取られても4点取り返してくれる打線がある。日本というチームが一つとなり、一丸となって勝つことができたこの試合の意味は大きい」と、ともに戦うチームメイトへの感謝と信頼を口にした。
 決して楽な試合ではなかった。オリンピックに棲む「魔物」にも遭遇した。それでも……勝利したことに意味がある。また、「世界一の投手」上野だけの力でなく、打つべき人が打ち、一度は楽勝ムードになりかけながら、一気に追いつかれるという試合展開でも冷静さを失うことなく、すぐに突き放し、競り勝ったこの「一勝」には価値がある。
 4年前のオーストラリア戦、初回に2点のリードをもらいながら、まさかの逆転負けを喫し、ノーヒットで敗れたチームは、もういない。上野の連投に次ぐ連投でファイナル進出を果たした2年前の世界選手権のチームとも一味違う。「世界一」となり、「金メダル」を手にするために……ただ、そのためだけに努力し、準備を重ねてきた。その成果がまず一つ実を結んだ。悲願の金メダル獲得へ向け、日本は「最高のスタート」を切った。

 
北京オリンピック 予選リーグ第1戦 オーストラリア戦スターティングラインアップ

1番・ライト    狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・ショート   西山  麗(日立ソフトウェア)
3番・センター   山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・レフト    馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・セカンド   三科 真澄(ルネサス高崎)
6番・ファースト  佐藤 理恵(レオパレス21)
7番・サード    廣瀬  芽(太陽誘電)
8番・キャッチャー 乾  絵美(ルネサス高崎)
9番・DP     藤本 索子(レオパレス21)
DEFO/ピッチャー 上野由岐子(ルネサス高崎)

※選手交代 なし



第29回オリンピック競技大会(2008/北京) ソフトボール競技 予選リーグ戦績表

予選リーグ第1日終了現在

チーム名 日本 アメリカ オースト
ラリア
中国 カナダ ベネズエラ 台湾 オランダ 順位
日本 ──   ○4─3           1 0 1
アメリカ   ──       ○11─0     1 0 1
オーストラリア ●3─4   ──           0 1 5
中国       ──       ○10─2 1 0 1
カナダ         ──   ○6─1   1 0 1
ベネズエラ   ●0─11       ──     0 1 5
台湾         ●1─6   ──   0 1 5
オランダ       ●2─10       ── 0 1 5





 
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