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北京オリンピック 第4日
中国・北京/豊台ソフトボール場(2008.8.15)


王者・アメリカの壁厚く……
屈辱のコールド負けで初黒星を喫す!



 8月15日(金)、ここまで3連勝の日本は、世界選手権6連覇、オリンピック3大会連続の金メダルと、まさに「常勝」を続け、「史上最強」の名をほしいままにするアメリカと対戦した。


8月15日(菌)/予選リーグ第4戦

  
  1 2 3 4 5
 アメリカ 4 0 0 3 0 7
 日  本 0 0 0 0 0 0

※大会規定により5回得点差コールド
(ア)○アボット(5回)−ヌーベマン(5回)
(日)●江本(0/3)・染谷(5回)−峰(1回)・乾(4回)
〔本塁打〕ワトリー、メンドーザ(2)、ブストス(ア)


 日本の先発は江本。昨年のカナダカップの決勝でアメリカの強力打線を相手に6回を2失点、ジャパンカップの予選リーグでは4回を無失点に抑え、勝利投手にもなっている「実績」を買われ、先発に起用された。
 しかし、江本−峰の若いバッテリーにアメリカの強力打線が容赦なく襲いかかった。1番・ワトリーがいきなりライトスタンドに叩き込む、先頭打者ホームラン。まず1点を先制すると、2番・ローが右中間へ二塁打。3番・メンドーザもライトスタンドにツーランを放ち、2点を追加。4番・ブストスはショートゴロに打ち取ったかと思われたが、名手・西山が一塁へ悪送球。無死二塁となり、5番・クレッチマンにレフト前に運ばれ、さらに1点を追加。江本は一死も取れずにノックアウト。代わった染谷が何とか後続を断ち、長かったアメリカの初回の攻撃が終わったが、いきなり4点のビハインドを背負うことになってしまった。2回表、3回表は染谷が無得点に抑えたが、4回表、3番・メンドーザ、4番・ブストスに連続ホームランを浴びて3点を失い、一方的な試合展開となってしまった。
 一方、打線もアメリカ得意の試合開始と同時に投手交代を行うアメリカ得意の戦術で、オスターマンからアボットに先発投手が代わったことで動揺したわけでもないだろうが、初回に1番・狩野が一・二塁間を破る安打を放った後はノーヒット。1安打・5三振では打つ手がなかった。
 日本のオリンピック史上初のコールド負け。屈辱的な大敗である。しかし……この試合でエース・上野、二枚看板の坂井を温存させると決めた時点で、ひとつ歯車が狂えば、このような大敗も考えられる試合だった。
 ソフトボール独特のページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント方式)で行われる決勝トーナメントでは、1位と2位に有利・不利の条件的な差異はなく(1位でも2位でもその時点でメダルが確定し、一度負けても敗者復活戦に回る権利がある)、最大で3度もアメリカと対戦する可能性がある以上、この予選リーグでの対戦は、事実上「捨てゲーム」に位置づけられても何ら不思議はない。
 試合後の記者会見で、斎藤ヘッドコーチは、決してそのような言葉・表現を口にすることはなかったし、「負けていい試合」などあるはずもないのだが、「負けても仕方のない試合」「無理に勝ちにいかなくてもいい試合」が、この予選リーグのアメリカ戦だったと考えることはできる。たとえこの試合を落としたとしても、残り試合を全勝すれば2位の座は確保できるのだから、ここで無理をする必要はまったくなかった。
 もちろん、このところアメリカ戦で好投していた江本が、この試合でもそれを再現できれば、また違った展開もあったのだろうが、初回の4失点で「勝負あった」の試合であり、あとは決勝トーナメントへ向けての「布石」を打ち、データの確認・修正を行う場としてこの試合を活用すべきと考えたとしてもおかしくはない。
 テレビの前で声援を送る多くのソフトボールファンに、遠く中国・北京まで駆けつけた応援団に、もっといい試合を見せたかったという無念さは残るだろう。ここまで3連勝で「金メダル」の期待がより大きく膨らんでいただけに、この試合内容・結果を残念がる向きも多いと思う。
 しかし……これは日本が金メダルを獲るために選んだ「勇気ある決断」であると信じたい。オリンピックという大舞台で、金メダルを争う最大のライバルを相手に大敗する可能性も恐れず、「明日の勝利のため」「最後に笑うため」に、最善の策を取ったのだと。金メダルを手にするために必要な戦略であったのだと。
 だとすれば、ここからの戦いが重要になる。この戦いを意味あるものにし、「最終的な勝利者」になるために、明日からの戦いが真価を問われる。

 
北京オリンピック 予選リーグ第4戦 アメリカ戦スターティングラインアップ

1番・ライト    狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・ショート   西山  麗(日立ソフトウェア)
3番・センター   山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・レフト    馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・ファースト  佐藤 理恵(レオパレス21)
6番・セカンド   三科 真澄(ルネサス高崎)
7番・サード    廣瀬  芽(太陽誘電)
8番・キャッチャー 峰  幸代(ルネサス高崎)
9番・DP     藤本 索子(レオパレス21)
DEFO/ピッチャー 江本 奈穂(豊田自動織機)

※選手交代

1回表 江本OUT→染谷 美佳(デンソー)IN ※投手交代
2回表 峰OUT→乾  絵美(ルネサス高崎)IN ※キャッチャーの守備に入る
4回表 廣瀬OUT→伊藤 幸子(トヨタ自動車)IN 
    ※伊藤がファーストの守備に入り、ファースト・佐藤がサードに回る



第29回オリンピック競技大会(2008/北京) ソフトボール競技 予選リーグ戦績表

予選リーグ第4日終了現在
(戦績表はその日の最終試合が終了次第、更新します)

チーム名 日本 アメリカ オースト
ラリア
中国 カナダ ベネズエラ 台湾 オランダ 順位
日本 ── ●0─7 ○4─3       ○2─1 ○3─0 3 1 2
アメリカ ○7─0 ── ○3─0   ○8─1 ○11─0     4 0 1
オーストラリア ●3─4 ●0─3 ── ○3─1     ○3─1   2 2 4
中国     ●1─3 ── ●0─1 ○7─1   ○10─2 2 2 4
カナダ   ●1─8   ○1─0 ──   ○6─1 ○9─2 3 1 2
ベネズエラ   ●0─11   ●1─7   ── ●0─3 ○8─0 1 3 6
台湾 ●1─2   ●1─3   ●1─6 ○3─0 ──   1 3 6
オランダ ●0─3     ●2─10 ●2─9 ●0─8   ── 0 4 8




 
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