開催迫る!
「2007 JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会」
(2007.11.14)

>>大会概要

2006年はアメリカが圧勝!

2006年、アメリカ戦で満塁本塁打を放った伊藤幸子

2005年は日本がアメリカに連勝し、初優勝!

2005年、決勝でダメ押しのタイムリーを放った内藤

2003年、日本は準優勝

2003年は雨のため、予選リーグの成績で順位を決定

2002年の決勝、日本は先制しながら1−2で逆転負け
2002年、延長タイブレーカーの激闘を制し、アメリカが初代王者に
 来る11月16日(金)〜18日(日)、「2007 JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会」(日本ソフトボール協会、毎日新聞社主催)が横浜スタジアムを会場に開催される。
大会には、昨夏の世界選手権の「4強」であるアメリカ(優勝)、日本(準優勝)、オーストラリア(3位)、中国(4位)が参加。来夏に開催の迫った北京オリンピックの「前哨戦」であり、ここでの戦いがオリンピックのメダル争いに直結すると言っても過言ではないほど、重要な意味を持つ大会となるだろう。

 優勝候補の1番手は、世界選手権6連覇を継続中、オリンピックでも3大会連続で金メダルを獲得しているアメリカ。この「JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会」でも過去4回の大会で3回の優勝を誇り、「史上最強の王者」と呼ぶにふさわしい充実した布陣で連覇を狙う。特に、今大会ではアトランタ、シドニー、アテネと3大会連続で金メダリストとなったリサ・フェルナンデスが結婚・出産を経て、代表にカムバック。アメリカの絶対的なエースとして君臨したスーパースターの復帰がチームにどんな影響をもたらすか興味深いところだ。
 日本が苦手とする左腕のキャット・オスターマン、モニカ・アボット。美麗なビジュアルで人気の高いジェニー・フィンチらが揃う投手陣は強力で、日本は今シーズン4試合対戦しているが、1点しか奪えていない。
 打線もケイトリン・ロウ、ナターシャ・ワトリーの1・2番コンビの快足が相手守備陣を混乱に陥れ、「世界一の打者」ジェシカ・メンドーサ、「世界一のパワーヒッター」クリストル・バストスが還すという攻撃パターンが完全に確立しており、これをどう止めるかが対アメリカ戦のカギとなりそうだ。もちろん、この上位打線だけでなく、脇を固める選手たちも多士済々の顔ぶれ。ラインアップに名を連ねる誰もがホームランを放つだけの「パワー」を有し、しかも単なる「一発屋」や「打つだけの選手」ではなく、走・攻・守すべての面で高いレベルでバランスが取れている。
 とにかく「穴」がなく、「死角」もない、この「史上最強の王者」を相手に日本がどんな戦いを見せてくれるか注目したいところだ。アメリカを倒さない限り、日本悲願のオリンピック金メダル獲得はあり得ない。北京オリンピックへの明るい兆しをつかむためにも、アメリカ戦の連敗に終止符を打ち、この大会で優勝を飾っておく必要があるだろう。

 これを追うのは日本。「世界一の投手」上野由岐子(ルネサス高崎)という絶対的なエースがおり、アテネ・オリンピック銅メダリストの坂井寛子(太陽誘電)が代表復帰。それに続く若手投手陣も国際経験を積極的に積ませ、投手陣の底上げは確実に進んでいる。しかし、アメリカの強力打線が相手となると、やはりエース・上野に頼らざるを得ないのが実状である。昨年のこの大会では、直後にアジア大会が控えていたこともあり、コンディションが十分でなかった上野が登板を回避。決勝でアメリカにコールド負けを喫するという「屈辱」も味わった。今年は是が非でもその借りを返さなくてはならない。
 そのためには、打線の奮起が必要になる。過去この大会ではアメリカと2勝5敗。2005年こそ1−0、3−0で連勝し、優勝を飾っているが、それ以外の年は勝ち星がなく、しかも3試合が完封負けという結果となっている。
 アメリカの投手陣とは、今シーズンも4試合の対戦があるが、わずか1点しか挙げることができず、未だ攻略の糸口が見えていない。地元開催となるこの大会で王者・アメリカとの差を一気に縮め、「やれる」「いけるぞ! 金メダル!!」といったキッカケをつかみ、北京オリンピックでの金メダル獲得を現実のものとするためにも、日本の打線がアメリカの強力投手陣を打ち崩すシーンを見たいものである。
 今シーズンのここまでの対戦では、アメリカの強さばかりが目立つ試合展開・試合内容が多かっただけに、「ホーム」で開催されるこの大会では、カナダカップ・USAワールドカップで洗い出された課題を克服し、2年ぶりの王座奪回を果たしてくれることを期待したい。

 アトランタ、シドニーで銅メダル、アテネでは日本を破り、銀メダルを獲得したオーストラリアも侮れない存在。日本リーグ・レオパレス21のエースであり、今シーズンの最多勝を獲得したメラニー・ローチ、佐川急便でプレーするターニャ・ハーディング、オリンピック3大会連続でメダルを獲得したこの百戦錬磨のベテランを中心とした投手陣と、同じく日本リーグのレオパレス21に所属するナタリー・ティッカムをはじめ、ステイシー・ポーターらパワー・ヒッターを揃えた打線は日本にとっても脅威だ。
 昨年の世界選手権でも3位に入り、アメリカのエース・オスターマンから本塁打を放つなど、慌てさせる場面もあった。結局、投手陣が踏ん張れず、2−11、1−5と大敗しているが、特に一振りで状況を一変させかねないパワー溢れる打線は要警戒といえるだろう。
 逆に、いつまでもローチ、ハーディングに頼らざるを得ず、それに続く若手が育っていない投手陣が悩みの種といえるだろうか。
 オーストラリアは、この大会には若手主体で臨むことが多かったが、今回は「ベストメンバー」を揃えた。それだけに今大会での戦いに注目が集まる。

 もちろん北京オリンピックのホスト国である中国も地元開催のオリンピックへ向け、懸命の強化を続け、調子を上げてきている。今年10月に北京で開催された「チャイナカップ」では、主力を欠いていたとはいえ、久々にオーストラリアを破り、決勝では進境著しく、北京オリンピックでも場合によってはメダル争いに絡むのでは……と評価を上げていたカナダを粉砕。優勝を飾るなど、元気なところを見せている。

 以上の4カ国が熱戦を展開する「2007 JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会」。この大会での戦いぶりを見れば、北京オリンピックの戦いがハッキリと見えてくるはずである。この大会に出場する4チームがオリンピックでも金メダルを争い、金、銀、銅すべてのメダルをこの中のいずれかが手にすることが予想される。その意味でも「JAPAN CUP」はオリンピックや世界選手権に匹敵する「世界最高レベル」の大会であり、その結果が来年の北京オリンピックの結果に直結し、「JAPAN CUPを制するものは世界を制す」と言っても過言ではないのである。

「JAPAN CUPを制するものは世界を制す」
世界最高峰の戦いがいよいよはじまる