女子日本代表、カナダカップを制す!
 宇津木麗華ヘッドコーチの初陣飾る!!

(2011.7.18)  

「2011 Canada Cup」が開幕!

宇津木麗華ヘッドコーチのもと、女子日本代表の
「新たな挑戦」が、今大会から再びはじまった

大会はダブルラウンドロビン方式(2回戦総当たり)の
過酷な日程。「世界の強豪」と熾烈な戦いを演じた

開幕4連勝の快調なスタート!
選手の表情も明るかったが……

大会中盤には3連敗と失速する場面も。
そこからの立て直しは見事なものだった

予選リーグを5勝3敗の2位で通過!

決勝トーナメントは「プラン通り」の見事な試合運び。
「宿敵」アメリカを倒し、無傷の3連勝で決勝へ進出

宇津木麗華ヘッドコーチの「初陣」を飾り、見事優勝!
「チーム一丸」の戦いで、優勝の栄冠を勝ち獲った!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 去る7月9日(土)〜17日(日)、カナダ・サレー開催された「「2011 カナダカップ(カナディアンオープン)」で女子日本代表が宇津木麗華ヘッドコーチの「初陣」を飾り、見事優勝を飾った。大会結果はこちら

 今大会には、ホスト国のカナダをはじめ、アメリカ、日本、オーストラリア、ベネズエラの各国代表チームが参加。この各国代表チームを集めたディビジョンを「インターナショナルディビジョン」とし、各国代表チーム以外(California A's、China Nanjing University、Renegades Elite、White Rock Renegades、Venezuela Elite)の5チームを「エリートディビジョン」とする2ディビジョン制を採用。それぞれのディビジョンでダブルラウンドロビン方式(2回戦総当たりのリーグ戦)による予選リーグを実施。各国代表からなる「インターナショナルディビジョン」は5チームすべてが決勝トーナメントに進出。「エリートディビジョン」の上位3チームを含む8チームでカナダカップ独特の敗者復活戦を含む決勝トーナメントを行い、最終順位を決定する試合方式で覇が競われた。

 大会初日、女子日本代表(大会参加選手はこちら)は、初戦でいきなり「宿敵」アメリカと対戦。宇津木麗華ヘッドコーチの初采配となるこの試合で、先発に起用された染谷美佳(デンソー)がその起用に応える見事なピッチング。強打のアメリカ打線をわずか3安打に抑える力投。延長9回にもつれ込む死闘を、最後は坂元令奈(トヨタ自動車)のサヨナラヒットで1−0と競り勝ち、開幕戦を勝利で飾った。

 大会2日目、予選リーグ第2戦のカナダ戦も宮本直美(豊田自動織機)、山根佐由里(トヨタ自動車)の継投で完封リレー。打線も後半、谷川まき(太陽誘電)、大久保美紗(ルネサスエレクトロニクス高崎)のタイムリーでしっかりと援護。2−0で快勝した。

 大会3日目、この日はダブルヘッダーとなり、まずベネズエラに打線の活躍で13−3で大勝すると、続くオーストラリア戦では、エース・上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)が貫禄のピッチング。オーストラリア打線をわずか2安打に抑え込む完璧なピッチングを見せれば、「打線のリーダー」山田恵里が6回裏、値千金のソロホームラン。1−0でオーストラリアを振り切り、無傷の4連勝を飾った。

 ここから、アメリカに1−5、カナダに0−1、オーストラリアに1−4敗れ、まさかの3連敗。最終戦のベネズエラ戦も6回表に1点差まで追い上げられる冷や汗モノの試合展開。苦しみながらも何とか5−4で辛勝。予選リーグ5勝3敗の2位で決勝トーナメント進出を決めた。

 決勝トーナメントの初戦で、「エリートディビジョン」2位のChina Nanjing University(中国)と対戦。この試合でも予想外の苦戦を強いられたが、1−1の同点で迎えた6回裏、蔭山遥香(ルネサスエレクトロニクス高崎)のタイムリーで2点を勝ち越し、3−1で勝利を収めると、続く準々決勝では、ベネズエラに8−0の5回コールド勝ち。準決勝に駒を進めた。

 今大会3度目の対戦となる「宿敵」アメリカとの準決勝は、悪天候のため、大会最終日に組み込まれ、この準決勝に敗れると、優勝するためには、この日トリプルヘッダーを戦い抜かなくてはならないという過酷なスケジュールとなった。
 日本は、この大事な一戦に、満を持してエース・上野由岐子を先発させ、必勝を期した。2回表に1点を失ったものの、その裏、すぐに反撃。二死一・二塁から峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)が同点のタイムリーを放つと、さらに、四球、ワイルドピッチで勝ち越し。なお二死一・三塁と攻め立て、このチャンスに古田真輝(豊田自動織機)を代打に起用。この采配がズバリと当たり、古田真輝(豊田自動織機)が貴重な追加点となるタイムリー。この回3点を挙げ、逆転に成功した。
 日本は5回表から染谷美佳(デンソー)を投入。5回表、6回表に1点ずつを失い、3−3の同点に追いつかれたが、7回裏、峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)のツーベースでチャンスをつかみ、相手守備の乱れにつけ込み、サヨナラ勝ち。トリプルヘッダーを回避し、決勝で待ち受ける形となった。

 決勝の相手は、敗者復活戦に回り、オーストラリアを6−1で破って決勝進出を果たしたアメリカ。しかし、トリプルヘッダーとなるアメリカと、早々と決勝進出を決め、待ち受けていた日本とでは、「勢い」に歴然とした差があった。
 先攻の日本は初回、「打線のリーダー」であり、「切り込み隊長」である山田恵里(日立ソフトウェア)がいきなりの二塁打。大久保美紗(ルネサスエレクトロニクス高崎)が手堅く送り、一死三塁とし、古田真輝(豊田自動織機)が先制のタイムリーツーベース。さらに山本優(ルネサスエレクトロニクス高崎)にもツーベースが飛び出し、この回2点を先制。続く2回表には、宇津木麗華ヘッドコーチの采配が冴えを見せ、代打に送り出した林佑季(日立ソフトウェア)、坂元令奈(トヨタ自動車)が相次いで長短打を放ち、1点を追加。3回表には、山本優(ルネサスエレクトロニクス高崎)のソロホームランで猛攻の口火を切ると、峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)、林佑季(日立ソフトウェア)、松本尚子(デンソー)の3連続長短打でたたみかけ、1点を追加。この後、さらにワイルドピッチで1点を加え、この回3点を追加。最終回にも、相手守備の乱れにつけ込み、ダメ押しの1点を加え、大きくリードを奪った。
 これだけ打線の援護あれば、エース・上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)には十分過ぎた。強打のアメリカ打線をわずか3安打に抑え込み、10三振を奪う力投。最後までアメリカ打線に得点を許さず、7−0で完勝した。

 女子日本代表は、宇津木麗華ヘッドコーチの指揮のもと、「帰ってきたエース」上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)に頼るだけではなく、昨年の世界選手権でエース格の働きを見せた染谷美佳(デンソー)が今大会でも安定したピッチングを披露。アメリカ打線を完封する「成長」を感じさせれば、初代表の宮本直美(豊田自動織機)も「世界の舞台」で通用するだけのピッチングを実証して見せ、要所では「切り札」上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)を投入し、しっかりと勝ち切る心憎い采配で優勝を勝ち獲った。
 また、「打線のリーダー」山田恵里を1番に置き、文字通り「リードオフマン」として機能させ、打線を引っ張る役割を与え、これまで何度も日本代表候補に名前が挙がりながら、定着することができなかった古田真輝(豊田自動織機)、藤野遥香(トヨタ自動車)が3割を超えるアベレージを残し、蔭山遥香、山本優(ともにルネサスエレクトロニクス高崎)、林佑季(日立ソフトウェア)の2007年世界女子ジュニア選手権の代表メンバーからの「昇格組」の若手も躍動。それに刺激されたか、2007年世界女子ジュニア選手権でキャプテンを務め、一足先に日本代表に抜擢され、オリンピック金メダル、世界選手権準優勝を経験していた峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)が打撃面でも本来の才能を開花させ、4割2分9厘と大当たり。もう一人の捕手・谷川まき(太陽誘電)も3割5分3厘のハイアベレージを残すなど、チーム内での競争が新たな力を生み、昨年の世界選手権では決勝でコールド負けという「屈辱」を味わったアメリカ相手に完勝し、宇津木麗華ヘッドコーチの「初陣」を飾り、優勝を勝ち獲った。

 しかし、今大会のアメリカは決して「ベストメンバー」とはいえず、今大会の結果を持って、来年の世界女子選手権の結果を占うのは早計であろう。来年の世界選手権でアメリカを倒し、大会7連覇を阻止し、1970年以来の世界選手権優勝を勝ち獲ったとき、はじめて「リベンジ」が完成する。
 「新生・女子日本代表」は確かな一歩を踏み出した。ただ……まだ一歩を踏み出しただけである。大きく、確かな一歩であることは間違いないが、まだまだ行くべき道の先は長く、「道半ば」である。今大会での「収穫」と「課題」をしっかりと分析し、来年の「本番」に備えなければならない。

 

2011 カナダカップ(カナディアンオープン) 日本戦イニングスコア

■7月9日(土)
予選リーグ第1戦

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
アメリカ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
日本 0 0 0 0 0 0 0 0 1x 1
バッテリー:○染谷(9回)─峰
長打:

■7月10日(日)
予選リーグ第2戦

  1 2 3 4 5 6 7
日本 0 0 0 0 0 1 1 2
カナダ 0 0 0 0 0 0 0 0
バッテリー:宮本(5回)・○山根(2回)─谷川
長打:〔二塁打〕上野

■7月11日(月)
予選リーグ第3戦

  1 2 3 4 5 6 7
日本 0 3 1 0 5 0 4 13
ベネズエラ 0 0 2 0 1 0 0 3
バッテリー:○山根(4回)・平原(3回)─谷川
長打:〔本塁打〕上野〔三塁打〕林〔二塁打〕山田、古田、谷川、林

予選リーグ第4戦

  1 2 3 4 5 6 7
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0 0
日本 0 0 0 0 0 1 1
バッテリー:○上野(7回)─峰
長打:〔本塁打〕山田

■7月12日(火)
予選リーグ第5戦

  1 2 3 4 5 6 7
日本 0 0 1 0 0 0 0 1
アメリカ 0 0 0 0 5 0 5
バッテリー:●宮本(4回2/3)・山根(1回1/3)─谷川
長打:

予選リーグ第6戦

  1 2 3 4 5 6 7
カナダ 0 0 0 0 0 0 1 1
日本 0 0 0 0 0 0 0 0
バッテリー:●染谷(7回)─峰
長打:〔二塁打〕林

■7月13日(水)
予選リーグ第7戦

  1 2 3 4 5 6 7
日本 0 0 0 0 0 0 1 1
オーストラリア 0 1 3 0 0 0 4
バッテリー:●平原(4回)・宮本(2回)─峰
長打:〔本塁打〕藤野

■7月14日(木)
予選リーグ第8戦

  1 2 3 4 5 6 7
ベネズエラ 0 0 0 1 0 3 0 4
日本 3 0 0 2 0 0 x 5
バッテリー:〇山根(5回2/3)・宮本(1回1/3)─峰・谷川
長打:〔三塁打〕古田〔二塁打〕谷川、蔭山
※日本は予選リーグ5勝3敗の2位で決勝トーナメント進出

■7月15日(金)
決勝トーナメント 1回戦

  1 2 3 4 5 6 7
China Nanjing University 0 0 0 1 0 0 0 1
日本 0 1 0 0 0 2 3
バッテリー:染谷(4回)・○宮本(3回)─峰
長打:
※日本は準々決勝進出

決勝トーナメント 準々決勝

  1 2 3 4 5  
日本 4 0 3 1 0 5回コールド 8
ベネズエラ 0 0 0 0 0 0
バッテリー:○上野(2回)・宮本(1回)・平原(1回)・山根(1回)─峰・谷川
長打:〔三塁打〕山本〔二塁打〕山田、上野、林、藤野
※日本は準決勝進出

■7月17日(日)
決勝トーナメント 準決勝

  1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 0 1 0 0 1 1 0 3
日本 0 3 0 0 0 0 1x 4
バッテリー:上野(4回)・○染谷(3回)─峰
長打:〔二塁打〕峰
※日本は決勝進出

決勝トーナメント 決勝

  1 2 3 4 5 6 7
日本 2 1 3 0 0 0 1 7
アメリカ 0 0 0 0 0 0 0 0
バッテリー:○上野(7回)─峰
長打:〔本塁打〕山本〔二塁打〕山田、古田、山本、林、坂元
※日本、優勝