第12回世界女子ソフトボール選手権大会(ベネズエラ・カラカス)
 大会第10日

(2010.7.2)  

世界一へ!いよいよファイナル!!

3回をノーヒットに抑えた藤原だったが……

坂元の二塁打など、序盤は日本が押し気味に
試合を進めたが、先制できなかったのが響いた

後半はアメリカの「波状攻撃」に呑み込まれた

アメリカ、世界選手権7連覇の偉業達成!

日本も、まさに「TEAM JAPAN」として
チーム一丸となって戦い、銀メダルを手にした

 


日本、決勝で力尽きる……
3大会連続の銀メダル獲得!

 大会最終日、ゴールドメダルゲーム(決勝)でアメリカとの「再戦」に臨んだ日本。世界選手権7連覇の偉業達成を狙うアメリカは、「世界最高の左腕」キャサリン・オスターマンが満を持して先発。日本は今大会、染谷美佳、山根佐由里とともに「三本柱」を形成し、安定感抜群のピッチングを見せる藤原麻起子を先発に起用し、試合がはじまった。

〔決勝トーナメント/ゴールドメダルゲーム〕

  1 2 3 4 5
アメリカ 0 0 0 5 2 7
日  本 0 0 0 0 0 0

●藤原(3回0/3)・山根(2/3)・染谷(1回1/3)−峰(5回)
〔二塁打〕坂元


 日本の先発・藤原麻起子は、アメリカ得意の初回の「先制攻撃」を封じ、セカンドゴロ、セカンドゴロ、ファーストゴロと打たせて取る持ち味を発揮し、三者凡退の立ち上がり。これで試合の流れをつかむかと思われた。

 日本はその裏、1番・西山麗がいきなり一・二塁間を破るヒットを放ち、チャンスを作ったが、2番・狩野亜由美が送れず、結局三振。3番・山田恵里のセカンドゴロで二塁封殺。ランナーが入れ替わったところで、俊足・山田恵里が盗塁を仕掛けるが、二塁寸前タッチアウト。先手を取ることができなかった。

 日本は2回裏、一死から5番・坂元令奈が右中間を破るエンタイトルツーベース。スコアリングポジションに走者を進めたが、6番・松岡恵美、7番・峰幸代がともにセカンドゴロに倒れ、三塁まで走者を進めながら、得点を挙げることができなかった。

 3回まで日本・藤原麻起子にノーヒットに抑え込まれていたアメリカは、4回表に突然目覚める。この回先頭の3番・ジェシカ・メンドーザがライト線を鋭く破るツーベースを放つと、4番・アリッサ・ハーバーがいとも簡単に中前にはじき返し、あっさり先制。5番・エリザベス・コーチャンにもライト前に運ばれ、無死一・三塁となったところで、日本は山根佐由里を投入。アメリカの「波状攻撃」を止めたいところだったが、盗塁、四球で満塁となった後、7番・アシュリー・カータースはセカンドゴロに打ち取ったものの、8番・ジェニー・フィンチにレフト前に運ばれ、三塁走者が生還。レフト・河野美里の好返球で二塁走者を本塁で刺し、二死となり、ここでアメリカの攻撃を食い止めたいところだったのだが……。9番・ローラン・ラッピンに走者一掃の三塁打が飛び出し、2点を追加。ここで日本は三本柱「最後の砦」染谷美佳を投入するが、代わった早々ワイルドピッチ。さらに1点を失い、この回5失点。アメリカの投手力と考えると、完全に「勝負あった」という得点差をつけられてしまった。
 続く5回表、6番・アンドレア・デュランにトドメのツーランを浴び、3回までの緊迫した試合展開が嘘のような5回コールド負け。日本は決勝で力尽き、3大会連続の銀メダルに終わった。

 大会を通じて、投手陣が予想以上に頑張り、予選リーグを全勝で駆け抜け、決勝トーナメントでもアメリカ戦以外はその投手陣を中心に、「世界一」の守備陣で守り抜き、「日本らしく」勝ち進んできた。
 しかし、アメリカのように選球眼がよく、高いバッティング技術を持つチームを相手にすると、他のチームには通用した「ボール球を打たせる」ということが難しく、際どいコースを見極められ、カウントが苦しくなったところでストライクゾーンに投げざるを得ず、そこを痛打されるというパターンに陥ってしまった。
 今後の課題としては、やはりストライクゾーンの中で勝負しても、「空振りがとれる」球威もしくは球種を身につける必要があるだろう。

 打撃面でも、球威があり、切れ味鋭い変化球をどう打つかという課題が残った。アメリカの強力投手陣を打ち崩すには、男子の協力も得て、日頃経験することのない球速、変化球の切れを体感し、練習を積むことで活路を見出していくしかなさそうだ。

 それでも、日本独自の方法論が十分に通用することは証明できたし、日本の選手たちが持つポテンシャルの高さも改めて確認できた。その上で、世界の「パワー」にどう対抗していくのか模索していく必要があるだろう。

 アメリカは確かに強かった。世界選手権7連覇の偉業達成にふさわしいチームだった。だが、強がるわけではなく、まったく手が届かない強さとは感じなかった。やりようはある。戦い方はある。そんな「ヒント」を与えてくれた日本の戦いであったように思う。負けるのはやはり悔しい。だからこそ、この悔しさを忘れることなく、「次」につなげていかなくては……。いつまでも「アメリカの一人勝ち」を許しておくわけにはいかない。アメリカに対抗できる可能性があるのは、日本のソフトボールだけである。


■決勝トーナメントゴールドメダルゲーム/アメリカ戦スターティングラインアップ

1番・セカンド    西山  麗(日立ソフトウェア)
2番・ライト     狩野亜由美(豊田自動織機)
3番・センター    山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・DP      馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・サード     坂元 令奈(トヨタ自動車)
6番・ショート    松岡 恵美(豊田自動織機)
7番・キャッチャー  峰  幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)
8番・ファースト   濱本 静代(日立ソフトウェア)
9番・レフト     河野 美里(太陽誘電)
FP/ピッチャー   藤原麻起子(日立ソフトウェア)

▽選手交代
4回表 藤原OUT→山根佐由里(トヨタ自動車)IN ※投手交代
4回表 山根OUT→染谷 美佳(デンソー)IN ※投手交代


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