女子日本代表レポート

(2010.3.26)  

女子日本代表が第1次海外強化合宿を実施!

オーストラリア・シドニー(ブラックタウン)において
8日間にわたる海外強化合宿が実施された

今回の強化合宿では
「実戦」により、選手・チームの状態をチェック

オーストラリア代表、地元クラブチームと
計9試合にわたるテストマッチが行われた

オーストラリアとのテストマッチで
2勝を挙げ、好投した山根佐由里

中学生で日本代表入りした岡村奈々も
4試合に登板し、貴重な“経験”を積んだ

今回のテストマッチで得た「収穫」と「課題」を
次につなげて……。女子日本代表の強化は続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1次海外強化合宿
オーストラリア代表とのテストマッチを実施!

 今年6月に開催される第12回世界女子選手権大会(6月23日(水)〜7月2日(金)/ベネズエラ・カラカス(※予選リーググループ分けはこちら)に向けて強化を進める女子日本代表の第1次海外強化合宿が、3月16日(火)〜23日(火)の8日間にわたり、オーストラリア・シドニーにおいて実施された。

 この第1次海外強化合宿では、6月に開催される世界選手権に向けての強化はもちろんのこと、本大会に出場する代表選手17名の“選手選考”にも重点が置かれ、先に実施された第2次国内強化合宿(宮崎県宮崎市)での強化スケジュールとは異なり、オーストラリア代表と計5試合、ACT(オーストラリア首都特別地域)、NSW(ニューサウスウェールズ)の地元のクラブチーム(地域選抜チーム)と計4試合のテストマッチを実施。「実戦」によりチームの強化を図り、世界選手権に向けての選手選考を行うという強化スケジュールが組まれた。
 オーストラリア代表とのテストシリーズの結果は通算3勝2敗。ACT、NSWとのテストマッチでは、やはりオーストラリア代表と比べるとやや力の差が表れた感があり、結果・内容ともにどの試合も日本が圧倒。4戦全勝という結果で終了した。
 しかし、6月に開催される世界選手権で、日本にとって優勝を争う“ライバル”となるオーストラリア代表とのテストマッチでは、本大会に向けて、互いにまだ手探りの段階ではあったものの、代表選手の選考を兼ねて臨んだ日本にとって、この「実戦」で得た結果・内容は、今後の強化を進めていくにあたり、現時点でのチームの状況、個々の選手の能力を再確認する上で、重要な指標となったといえる。
 特に、2007年のU19日本代表を経て、「若きエース」として期待の山根佐由里(トヨタ自動車)が3勝(オーストラリア代表から2勝、ACTから1勝)を挙げ、さらに昨年のU16日本代表のエースとしてユースワールドカップを制し、「世界一」を勝ち取る原動力となった岡村奈々(北九州市立早鞆中)も4試合に登板し、立派に戦力となることを証明したことは、今後に向けて大きな「手応え」があったといえるだろう。「世界の強豪」と戦い、勝利することへの手がかり、そして世界選手権本番へ向け、「大きな収穫」を得たオーストラリアでのテストマッチであった。
 今回の第1次海外強化合宿で実施された計9試合のテストマッチ、各試合の結果は下記の通り。

●2010 Softball Australia Australia vs Japan Test Series●

▼3月18日(木)

  1 2 3 4 5 6 7 8
オーストラリア 0 1 1 0 0 0 0 1 3
日     本 0 0 0 0 2 0 0 0 2

(オ)キャノン・○マーチ−モズリー
(日)●瀬川(7回)−峰
〔二塁打〕山田(日)、ポーター(オ)


 オーストラリアは2回表、5番・スチュワート、6番・バウリングの連打等で1点を先制。3回表には、9番・ゴッドフリーが安打で出塁し、一死後、2番・ポーターのツーベースで1点を追加した。
 一方、日本は5回裏、6番・河野、7番・峰の連打とワイルドピッチで無死二・三塁の反撃機をつかみ、8番・坂元のライトへの犠牲フライでまず1点を返し、9番・濱本のタイムリーで同点に追いついた。さらに1番・狩野、2番・西山の連打で一死満塁と攻め立てたが、頼みの3番・山田が三振、4番・馬渕がレフトフライに倒れ、一気に試合をひっくり返すことができなかった。
 2−2の同点のまま、延長タイブレーカーに入った8回表、オーストラリアはタイブレーカーの走者をライトフライの間に三塁へ進め、4番・モズリーのタイムリーで1点を勝ち越した。
 日本はその裏、タイブレーカーの走者を犠打で進め、3番・山田がショートゴロエラーで一・三塁。すかさず盗塁を決め、4番・馬渕が故意四球で歩き、一死満塁と一打逆転のチャンスをつかんだが、5番・松岡が見逃しの三振。6番・河野もショートフライに倒れ、初戦を落とした。

〈第2戦〉

  1 2 3 4 5 6 7 8
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0 1 1
日     本 0 0 0 0 0 0 0 2x 2

(オ)●スメサート−デイキン
(日)○山根(7回)−谷川
〔二塁打〕山田(日)


 オーストラリア・スメサート、日本・山根両先発が好投。日本は4回裏、一死から3番・山田がチーム初安打。4番・馬渕が三振に倒れる間に盗塁。これが相手捕手の悪送球を誘い、三塁へ進んだ。しかし、5番・河野は空振りの三振に倒れ、先取点のチャンスを逃した。
 オーストラリアは5回表、四球、盗塁、ワイルドピッチで無死三塁の絶好機を迎えたが、打線が下位ということもあり、ショートゴロ、三振、三振と後続が倒れ、得点を挙げることができなかった。オーストラリアは7回表にも四死球で二死一・二塁のチャンスを作ったが、代打・モズリーが空振り三振。勝ち越しのチャンスを逃した。
 一方、日本もその裏、この回先頭の3番・山田の二塁打を足掛かりに、四球、敵失で無死満塁の一打サヨナラのチャンスをつかんだが、6番・谷川が空振り三振、7番・坂元の内野ゴロで三塁走者が本塁封殺、8番・濱本のショートゴロで三者残塁。あと一本が出ず、試合は両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーに突入した。
 オーストラリアは8回表、タイブレーカーの走者を犠打で三塁へ進め、1番・クロンクのタイムリーで1点を勝ち越し。
 日本はその裏、9番・溝江の安打、盗塁で無死二・三塁の反撃機をつかみ、一死後、2番・松本の打球を処理した捕手の送球ミスの間に三塁走者が還り、同点。3番・山田、4番・馬渕が故意四球で歩かされ、一死満塁となった後、5番・河野が勝負を決めるサヨナラのタイムリー。土壇場の逆転サヨナラで初勝利を挙げた。

▼3月19日(金)

  1 2 3 4 5 6 7
日     本 0 0 0 0 0 0 0 0
オーストラリア 0 2 0 0 0 1 3

(日)●安福(5回)・岡村(1回)−峰
(オ)○マーチ−モズリー
〔三塁打〕河野(日)〔二塁打〕ワーウィック(オ)


 日本の先発・安福は2回裏、一死から四球、安打、ダブルスチールで二・三塁とされ、7番・ワーウィックに二塁打を浴び、2点を失った。6回裏には、中学生で日本代表に名を連ねた岡村が初登板。安打、イリーガルピッチ、犠打で一死三塁とされ、5番・スチュワートのライトへの犠牲フライで1点を失い、ホロ苦い代表デビューとなった。
 日本は打線がつながらず、4回表の一死一・二塁、6回表の二死三塁にも決定打が出ず、散発4安打で完封負け。通算成績を1勝2敗とした。

〈第4試合〉

  1 2 3 4 5 6 7
日     本 1 0 1 2 2 0 0 6
オーストラリア 1 0 0 0 0 0 0 1

(日)○藤原(5回)・岡村(2回)−谷川
(オ)●キャノン・フリーマン・キャシー−デイキン
〔三塁打〕谷川、溝江(日)フォーキン(オ)
〔二塁打〕山田(2)(日)スチュワート(オ)


 日本は初回、一死から2番・溝江がセーフティーバントで出塁。続く3番・山田のタイムリーツーベースで1点を先制した。
 オーストラリアはその裏、日本の先発・藤原を攻め、2番・ポーターの安打と4番・スチュワートの二塁打ですぐに同点に追いついた。
 日本は3回表、一死から1番・狩野が死球で出塁し、すかさず盗塁。2番・溝江の内野ゴロの間に三塁へ進塁し、3番・山田のタイムリーで1点を勝ち越した。4回表には、四球で出塁した6番・松岡を一塁に置き、7番・谷川の三塁打でまず1点を追加。続く8番・松本にもタイムリーが飛び出し、さらに1点を加え、リードを広げた。5回表にも、2番・溝江の三塁打、3番・山田の二塁打で1点を加え、二死後、6番・松岡にもタイムリーが飛び出し、ダメ押しの1点を追加。11安打と打ちまくり、6−1で快勝した。
 守っては、先発・藤原、2番手・岡村が6安打を打たれながらも要所を締め、オーストラリア打線を1点に抑え、通算成績を2勝2敗のタイに戻した。

▼3月20日(土)

〈第5試合〉

  1 2 3 4 5 6 7
オーストラリア 1 0 0 0 0 0 0 1
日     本 0 4 0 0 2 0 6

(オ)●スメサート・マーチ−モズリー
(日)○山根(5回)・岡村(2回)−谷川(5回)・峰(2回)
〔三塁打〕狩野(日)


 オーストラリアは初回、日本の先発・山根を攻め、2番・ポーターの安打と連続四球で一死満塁とし、5番・スチュワートのタイムリーで1点を先制した。
 日本は2回裏に反撃。この回先頭の5番・河野が死球で出塁。6番・松岡の内野ゴロでランナーが入れ替わり、7番・谷川の送りバントで二死二塁とし、8番・坂元の安打で一・三塁とチャンスを広げ、9番・濱本の当たりが敵失を誘い、同点。なお一・二塁とチャンスが続き、1番・狩野の走者一掃の三塁打で2点を勝ち越し。さらに相手守備の乱れから1点を追加。この回一挙4点を挙げ、3点のリードを奪った。日本は5回裏にも、オーストラリア守備陣の乱れにつけ込み、2点を追加。6−1で快勝し、このオーストラリア代表とのテストシリーズを3勝2敗で勝ち越した。

▼3月21日(日)

  1 2 3 4 5 6 7
日 本 6 1 0 1 2 0 0 10
ACT 0 0 0 0 0 0 0 0

(日)○瀬川(7回)−峰
(A)●ハーディー−モズリー
〔三塁打〕山田、馬渕(日)〔二塁打〕馬渕、松本(日)

  1 2 3 4 5 6 7
ACT 0 0 0 1 0 0 0 1
日 本 2 0 1 0 0 3 6

(A)●マーチ−モズリー
(日)○安福(7回)−峰
〔本塁打〕山田、狩野(日)〔二塁打〕馬渕(日)

▼3月22日(月)

  1 2 3 4 5 6 7
日 本 0 3 0 3 0 0 0 6
NSW 0 0 0 0 0 0 0 0

(日)○岡村(7回)−谷川
(N)●キャシー・フリーマン−モズリー・ミラー
〔二塁打〕馬渕(日)

  1 2 3 4 5 6 7
NSW 0 0 0 0 0 0 0 0
日 本 0 0 0 1 0 1 2

(N)●フリーマン−ミラー
(日)山根(2回)・瀬川(2回)・○藤原(3回)−峰
〔二塁打〕坂元(日)

■女子日本代表 第1次海外強化合宿参加メンバー

(投手)
安福  智(シオノギ製薬)
瀬川 絵美(日立ソフトウェア)
藤原麻起子(日立ソフトウェア)
山根佐由里(トヨタ自動車)
岡村 奈々(北九州市立早鞆中)

(捕手)
峰  幸代(ルネサステクノロジ高崎事業所)
谷川 まき(太陽誘電)

(内野手)
西山  麗(日立ソフトウェア)
松岡 恵美(豊田自動織機)
坂元 令奈(トヨタ自動車)
濱本 静代(日立ソフトウェア)
松本 尚子(デンソー)
溝江 香澄(日立ソフトウェア)

(外野手)
馬渕 智子(日立ソフトウェア)
山田 恵里(日立ソフトウェア)
狩野亜由美(豊田自動織機)
河野 美里(太陽誘電)

※選手の所属先は合宿参加時のもの