女子日本代表レポート

(2010.3.16)  

女子日本代表が本格始動!
第2次国内強化合宿を実施

合宿には計22名の女子日本代表
強化指定選手が参加

世界選手権代表をかけたサバイバル
チーム内での「競争」もヒートアップ

今回の強化スケジュールの中では
攻撃での「送り」、「つなぎ」が重要視された

若い選手たちの「可能性」を信じたい
と期待を述べた斎藤春香ヘッドコーチ

今回の強化合宿から
松岡恵美(旧姓・内藤/豊田自動織機)が
約2年ぶりに日本代表に復帰!

中学生としては初の日本代表入りを果たした
岡村奈々(北九州市立早鞆中)

男子西日本リーグに所属する
地元・宮崎県の旭化成が打撃練習をサポート

再び「世界一」の座へ!
狙うは頂点……そこだけだ

世界選手権に向け、
第2次国内強化合宿を実施!

 今年6月に開催される第12回世界女子選手権大会(6月23日(水)〜7月2日(金)/ベネズエラ・カラカス ※予選リーググループ分けはこちら)に向けて強化を進める女子日本代表の第2次国内強化合宿が、3月8日(月)〜12日(金)の5日間にわたり、宮崎県宮崎市/宮崎県総合運動場・木の花ドームにおいて実施された。

〈世界選手権に向けた選手選考を含め、強化を図る〉

 今回の合宿は、6月に開催される世界選手権に向けた強化はもちろんのこと、本大会に出場する代表選手17名の“選手選考”にも重点が置かれ、昨年の強化事業(第4回USAワールドカップ、2009 JAPAN CUP)での内容・実績を評価するとともに、この第2次国内強化合宿、さらに第1次海外強化合宿(3月16日(火)〜23日(火)/オーストラリア・シドニー)での内容・結果を踏まえて、世界選手権出場選手を選考するという方針の下、連日強化が図られた。
 また、今回の合宿から新たに松岡恵美(旧姓・内藤/豊田自動織機)、岡村奈々(北九州市立早鞆中)の2名が女子日本代表強化指定選手として参加。当日は、計24名の強化指定選手の内、22名が参加(染谷美佳(デンソー)、本田小百合(豊田自動織機)の2名がケガのため不参加)し、6月の世界選手権に向け、本格的な強化がスタートした。

 合宿では、午前中に守備のメニュー(ノック、内・外野の連係の確認)、午後に打撃のメニュー(ロングティー、バント、フリーバッティング、ケースバッティング)が組まれ、守備では様々な打球への対応、送球に加えて、状況判断が求められる内・外野の連係を入念に確認。打撃でも単に打つということだけではなく、走者一塁、走者二塁といった状況を設定した中で、その状況に応じた攻め(送りバント、セーフティーバント、スラップ等)が選手たちに細かく要求され、一つひとつのプレーの目的、意図を明確にさせながら、攻撃・守備のスタイルを確立させていく強化プランが立てられていた。

〈頼れるベテラン、新たな戦力が加入〉

 今回、チームの“まとめ役”として、現時点でのキャプテンに抜擢されたのは、この合宿から新たに召集され、約2年ぶりの日本代表復帰となった松岡恵美(豊田自動織機)。2008年の北京オリンピック直前の代表合宿でアキレス腱を断裂し、一時は代表から離れていたが、ケガを克服し、再び「日本代表」に戻ってきた。この合宿では、若いチームの中で最年長ということもあり、チーム内では他の選手と積極的にコミュニケーションをとり、これまでの代表経験を生かし、選手たちが自ら話し合う場を中心となって作っていた。特に、守備面では、内・外野の連係、挟殺プレーなど、様々な状況の中でどのタイミングの、どういった判断のプレーがベストか。一つのアウトを取るために全員がどのような守備を行わなければならないかといった部分で、チーム内での意思統一を図り、「リーダーシップ」を発揮していた。
 また、今回の合宿で、中学生としては初の日本代表入りを果たした岡村奈々(北九州市立早鞆中)は、与えられた場面、投球イニングの中で堂々としたピッチングを披露。2009年にチェコ・プラハで開催された女子U16ユースワールドカップで優勝投手に輝いた右腕は、実戦形式で各打者に果敢に“勝負”を挑み、力強い球を投げ込んでいた。ピッチングの内容についても、多少のコントロールのバラつきは見られたものの、打者に対する“攻め”のピッチング、その球威と重い球質には光るものがあり、今後、「世界」の強豪と戦うことで経験を積み、日本代表の「大きな戦力」となる可能性さえ感じさせる潜在能力の高さをうかがわせた。
 合宿3日目・4日目には、男子西日本リーグに所属する地元・宮崎県の旭化成が打撃練習をサポート。バント練習、フリーバッティングで男子の投手の力のある速球、切れ味鋭いライズ・ドロップを打ち込み、スピード・変化への対応力を身につけることに多くの時間が割かれ、強化が図られた。

 女子日本代表・斎藤春香ヘッドコーチは、「今回の合宿は、世界選手権に向けての選手選考合宿としているが、もちろん日本代表の“強化”にも努めている。実際に、攻撃・守備と様々なプレーを試していく中で、まだまだ課題もあると感じるが、今はその課題を一つひとつ克服していくことが何よりも大切だと考えている。若い選手が多く、荒削りな部分もあるが、今後はここにいる選手たちが日本のソフトボールを引っ張っていかなければならない。私はその力を誰よりも信じているし、選手たちの可能性に大きな期待感を抱いている」と今回の合宿の目的、選手たちへの期待を語り、今回新たに召集した松岡恵美(豊田自動織機)、岡村奈々(北九州市立早鞆中)の2名についても「松岡については、これまでの日本代表での経験、実績を考え、今回、若い日本代表での“まとめ役”になってもらいたいと考えている。そういった意味で現時点でのキャプテンを任せているし、ケガも完治し、プレイヤーとしても“内野の要”として当然彼女は選ばれるべき能力を有した選手である。岡村についても、今後が本当に楽しみな選手。彼女に今、必要なことは、やはり“経験”であり、日本代表というトップレベルで他の選手たちと競い、世界の強豪と戦う中で大きく成長してもらいたいと考えている。また、岡村のように、まだ中学生の選手が日本代表に名を連ねることによって、今後、さらに多くの若い選手たちに“希望”を与えることができる。チャンスがあれば、実戦で積極的に起用していきたい」と大きな期待を口にした。

 女子日本代表はこの後、3月16日(火)〜23日(火)の8日間にわたり、オーストラリア・シドニーにおいて第1次海外強化合宿を実施。この第1次海外強化合宿には、現在の女子日本代表強化指定選手24名の中から選ばれた17名が参加し、地元・オーストラリアをはじめとする世界の強豪と、選手選考を兼ねたテストマッチを実施する予定である。
 決戦の刻「第12回世界女子選手権大会」に向けて強化に励む女子日本代表。チーム内での“競争”、“新たなスターの出現”無くして勝利はない。世界の頂点をめざして……!この熾烈なサバイバルを経て、日本代表はまた一つ大きくなるはずである。



■女子日本代表 第2次国内強化合宿参加メンバー

投手
 江本 奈穂(豊田自動織機)
※瀬川 絵美(日立ソフトウェア)
※藤原麻起子(日立ソフトウェア)
※安福  智(シオノギ製薬)
※山根佐由里(トヨタ自動車)
※岡村 奈々(北九州市立早鞆中)

捕手
※峰  幸代(ルネサステクノロジ高崎事業所)
 伊藤 綾香(ドリーム・ワールド)
※谷川 まき(太陽誘電)

内野手
※西山  麗(日立ソフトウェア)
※松岡 恵美(豊田自動織機)
※坂元 令奈(トヨタ自動車)
※濱本 静代(日立ソフトウェア)
※松本 尚子(デンソー)
※溝江 香澄(日立ソフトウェア)
 小柳  薫(東京女子体育大)

外野手
※狩野亜由美(豊田自動織機)
※馬渕 智子(日立ソフトウェア)
※山田 恵里(日立ソフトウェア)
 狩野香寿美(デンソー)
※河野 美里(太陽誘電)
 永吉 理恵(デンソー)

※は第1次海外強化合宿参加メンバーを兼ねる
選手の所属先は合宿参加時のもの