第46回日本女子ソフトボール1部リーグ決勝トーナメントが、去る11月9日(土)・10日(日)の両日、京都府京都市のわかさスタジアム京都において開催された。
決勝トーナメントには、今シーズンの日本女子ソフトボール1部リーグのリーグ戦上位4チーム(1位・トヨタ自動車、2位・ルネサスエレクトロニクス高崎、3位・デンソー、4位・豊田自動織機)が出場。試合方式は、ソフトボール特有のページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)によって「最後の決戦」が繰り広げられた。
■第1日/11月9日(土)
トヨタ自動車(リーグ戦1位) 1−0 ルネサスエレクトロニクス高崎(リーグ戦2位)
初日は、まず第1試合でリーグ戦1位のトヨタ自動車とリーグ戦2位のルネサスエレクトロニクス高崎が激突。勝利したチームが翌日の決勝へ進出できるこの対戦では、今や日本女子ソフトボール界“宿命のライバル”と呼ばれる両チームが、いきなりがっぷり四つに組む試合を展開。トヨタ自動車・モニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子の「両エース」が互いに一歩も譲らず、息詰まる投手戦を繰り広げ、試合は0−0のまま最終回を迎えた。7回表の攻撃で三者凡退したルネサスエレクトロニクス高崎に対し、トヨタ自動車はその裏、この回先頭の3番・長楓]未が安打で出塁。続く4番・鈴木美加が犠打でキッチリと送り、一死二塁のチャンスを作ると、二死後、6番・知久幸未が放った打球は三遊間へ。この鋭い当たりにルネサスエレクトロニクス高崎のショート・市口侑果が素早く反応して追いつき、何とか一塁への送球を試みたものの、これが無理な体勢での送球となり、一塁手前でワンバウンド。このバウンドにファースト・大久保美紗が対応し切れず、後逸。ツーアウトでスタートを切っていた二塁走者がこの間に一気に本塁へ生還し、トヨタ自動車が1−0のサヨナラ勝ちを収め、まずは決勝進出を決めた。
豊田自動織機(リーグ戦4位) 2−1 デンソー(リーグ戦3位)
第2試合では、準決勝進出をかけ、リーグ戦3位のデンソーとリーグ戦4位の豊田自動織機が激突。負けたチームがトーナメントから姿を消すこの対戦では、決勝トーナメントという大舞台での「経験」で勝る豊田自動織機が先手を取る試合展開。3回裏、デンソーの先発・ジョーダン・テーラーを攻め、一死二・三塁のチャンスを作ると、ここで2番・洲鎌夏子がキッチリとヒットエンドランを成功させ、1点を先制。5回裏にも代わった近藤光から、8番・ケイラニ・リケッツがライトへ豪快なソロホームランを叩き込み、貴重な2点目を追加。守っては、その貴重な2点目を自らのバットで叩き出したケイラニ・リケッツが好投。最終回に1点を返されたものの、持ち味の切れ味鋭い「ドロップ主体」のピッチングでデンソー打線をわずか3安打に抑え、完投勝利。「負けたら終わり」となる戦いに2−1で競り勝ち、翌日の準決勝進出を決めた。
一方、デンソーは今シーズン磨きをかけてきたはずの「超攻撃型打線」が最終回まで沈黙。7回表、ようやく4番・永吉理恵、5番・メーガン・ウィギンズの長短打で1点を返し、なお一死三塁の一打同点のチャンスが続いたが、後続がいずれも内野ゴロに倒れ、ゲームセット。今年も昨年に続き2年連続となる決勝トーナメント進出を果たしたものの、この決勝トーナメントの舞台では「初戦の壁」を破ることができず、初日でこのトーナメントから姿を消す形となった。
■第2日/11月10日(日)
【準決勝】
ルネサスエレクトロニクス高崎 3−2 豊田自動織機
2日目は、まず準決勝で、初日の3位・4位戦に勝利した豊田自動織機と1位・2位戦に敗れたルネサスエレクトロニクス高崎が決勝進出をかけ、対戦。ここから先は、まさに「勝った者のみが生き残れる」トーナメントとなり、決勝で待ち受けるトヨタ自動車への挑戦権をかけ、両チームが激突した。
ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子、豊田自動織機・ケイラニ・リケッツ「両エース」の先発でスタートしたこの試合は、先攻の豊田自動織機が初回にいきなり先制攻撃。プレイボール直後の初球を狙い澄ました1番・狩野亜由美がライトへ特大のソロホームランを叩き込み、あっという間に1点を先制。試合の流れをつかんだかと思われた。しかし、ルネサスエレクトロニクス高崎も2回裏にすぐさま反撃に転じ、二死から8番・森さやかのレフトへのソロホームランで同点。さらに、この「一発」による動揺と降り注ぐ雨の影響でリズムを崩したケイラニ・リケッツの制球の乱れに乗じ、四球、ワイルドピッチで二死二塁のチャンスを作ると、1番・岩渕有美の二遊間を破るタイムリーで逆転に成功。試合は決勝進出をかけ、両者の「意地」と「プライド」がぶつかり合う手に汗握る接戦となった。4回表に豊田自動織機が1点を挙げて追いつき、2−2の同点で迎えた5回裏、ルネサスエレクトロニクス高崎は、この回先頭の2番・関友希央がバント安打で出塁。死球、犠打で一死二・三塁と攻め立てると、5番・峰幸代の打席ですかさずヒットエンドランを敢行。これを峰幸代がしっかりとショートへ転がし、三塁走者の関友希央がキャッチャーのブロックをかいくぐって間一髪本塁生還。勝ち越しとなる3点目を「執念」でもぎ取り、ルネサスエレクトロニクス高崎が3−2で豊田自動織機を退け、決勝進出を決めた。
【決勝】 ルネサスエレクトロニクス高崎 1−0 トヨタ自動車
3年連続で同じ顔合わせとなった決勝戦、トヨタ自動車対ルネサスエレクトロニクス高崎の一戦は、降り続く雨の中、初日の第1試合(リーグ戦1位対リーグ戦2位)と同じく、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子、トヨタ自動車・モニカ・アボット「両エース」の先発でスタート。この試合も両投手が立ち上がりから一歩も譲らぬ投げ合いを繰り広げ、0−0のまま延長タイブレーカーに突入した。
8回の表裏も両チーム得点を奪えず、依然スコアは0−0。迎えた9回表、トヨタ自動車は1番・ナターシャ・ワトリーがタイブレーカーの走者を犠打で送り、一死三塁。2番・馬渕朝子の打席で捨て身のヒットエンドランを試みたが、これが失敗に終わり、三塁走者が三・本間で挟まれタッチアウト。直後、馬渕朝子もファーストゴロに打ち取られ、無得点に終わり、「あと一歩」という状況までいきながらこの回もチャンスをモノにすることができなかった。
延長タイブレーカーに入り、8回表、9回表と続けて無失点で切り抜けたルネサスエレクトロニクス高崎はその裏、1番・岩渕有美がタイブレーカーの走者を犠打で送り、同じく一死三塁のサヨナラのチャンスを作ると、2番・関友希央がバスターで転がし、これがフィルダースチョイスとなり、一死一・三塁。さらに続く3番・大久保美紗の打席の初球にすかさず二盗を成功させ、二・三塁とチャンスを広げ、逆にトヨタ自動車にプレッシャーをかけた。一死二・三塁、カウントはツーボール。ここが「勝負!」と見た宇津木麗華監督は、次の3球目に迷わずヒットエンドランを敢行。最後は「頼れる仕事人」大久保美紗が、しっかりとピッチャー前に叩きつけ、三塁走者・大工谷真波が猛然と本塁へ突入。ブロックに入ったトヨタ自動車の捕手・渡邉華月を吹き飛ばし、歓喜のサヨナラ勝ち。ルネサスエレクトロニクス高崎が延長9回タイブレーカーにおよんだ死闘を1−0で制し、見事トヨタ自動車のリーグ4連覇を阻止した。
今シーズン、リーグ戦を20勝2敗と圧倒的な強さで駆け抜けたトヨタ自動車。しかし、最後は「宿命のライバル」ルネサスエレクトロニクス高崎の凄まじいほどの勝利への執念、気迫に押され、前人未踏の日本リーグ「4連覇」達成は、はかなくも夢と消えた。初戦に敗れ、敗者復活戦に回りながらも、持ち前の驚異的な粘りで勝ち上がり、王座奪還を果たしたルネサスエレクトロニクス高崎。冷たい雨が降り続く悪天候、そして3連投の疲れをものともせず、自らの力で再び優勝をたぐり寄せたエース・上野由岐子のピッチングの凄さはもはや言うまでもないが、このチームが持つ勝利への「執念」、「底力」には毎回本当に驚かされる。
最後は泥と汗にまみれ、そして大粒の涙を流しながら、4年ぶりの王座奪還に喜びを爆発させたルネサスエレクトロニクス高崎の選手たち。何よりもその姿こそが、“トヨタ自動車の一人勝ちには絶対にさせない!”そう、我々に語りかけているようであった。
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