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ニュース 女子U-19・U-16

第12回世界女子ジュニア選手権大会を振り返って
アメリカの「連覇」止められず……準優勝
大会通算優勝回数でもアメリカが上回る

「第12回世界女子ジュニア選手権大会」に出場した女子GEM3(U19)日本代表

大会前日、世界的に有名なクリアウォーターのビーチで歓迎レセプションが催された

大会で使用するバットは1本1本、専用の計測器で反発力が計測され、
基準以内のバットのみ、シールが貼られ、大会での使用が認められる

ジュニアの国際大会ではピッチャーの「マスク着用」はもはや「常識」!?

大会には26チームが参加。世界選手権初参加の国もあり、初対戦の国もあった。
また、それぞれの宗教上の理由か、他の選手とは違うユニフォームの選手の姿も…

互いの国々が交流を持ち、刺激を受け、ソフトボール全体の発展につながれば……

予選リーグ「最大の山場」オーストラリア戦は息詰まる投手戦の末、サヨナラ勝ち!

決勝トーナメントの初戦・カナダとの対戦は、最大4点差をはね返し、
延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦の末、8-7で逆転サヨナラ!!

決勝トーナメント・セミファイナルは「宿敵」アメリカに敗れ、今大会初黒星

「宿敵」アメリカとの再戦となった「ゴールドメダルゲーム」(決勝)は、
初回にスリーランを浴びながら、その裏、すぐに反撃に転じ、同点に!

いったんは4-3と逆転に成功し、「優勝」が見えたと思われたが……

最後はアメリカに「パワーの差」「長打力の差」を見せつけられ、大敗…。
この敗戦に何を学び、何を糧として、「今後」につなげていくかが問われる

「問題」の逆転ツーランのシーン。バットのスイートスポット(芯)を外れ、
ポイントも完全に差し込まれているように見えるのだが……
(※写真をクリックすると拡大します)

 去る7月24日(月)~30日(日)、アメリカ・フロリダ州クリアウォーターで開催された「第12回世界女子ジュニア選手権大会」(大会結果・出場選手はこちら)に出場した女子GEM3(U19)日本代表は、「宿敵」アメリカの「連覇」を止めることができず、準優勝。これまで「優勝5回」で並んでいた大会通算の優勝回数でも、今回の優勝でアメリカが「優勝6回」となり、追い抜かれる形となった。

 大会には26カ国が参加。各地区予選が実施されていたときには、本大会へ出場することのなかった(出場権を獲得することのできなかった)8チーム(バハマ、ドミニカ、グアテマラ、インド、アイルランド、イスラエル、ペルー、トルコ)が大会へ初参加。普段なかなか対戦することのない(見ることのできない)チームとの試合が組まれ、各会場でその姿を見ることができた。
 今大会の「チームリーダー」を務めた齋藤春香氏(公益財団法人日本オリンピック委員会理事、公益財団法人日本ソフトボール協会理事、同協会選手強化本部会女子強化委員長、アスリート委員長)は、「今まで世界選手権に出ることのなかった国々が、この大会への参加を本当に喜んでいました。競技レベルの面、選手強化の面から考えると、いいことばかりではないのかもしれませんが、あの笑顔、あの喜びは大切にしなくてはいけないと思います。特に、オリンピック競技として継続されていくためには、世界各国への『普及』が大きなカギとなりますから……。世界選手権をこのようなオープンな形(予選なしでの参加)で開催したことにもある一定の意味、成果はあるように思います。ただ、競技レベルの面では大きな差があることも事実ですから、真に『世界一』を競い、争うような大会と、このような国際交流、普及に重きを置いた大会をそれぞれに開催するような形を取ってもいいのかもしれません。いずれにしても、競技のレベルアップと世界への普及を考えると、このようにより多くの国々と交流を持てる場があることは非常に大きな意味があると思いますし、国際交流を通じたソフトボールの普及、競技力向上は、今後取り組んでいかなければならない大きな課題であることは間違いありません」と、多くの国々の参加を前向きに受け止め、評価していた。

 その一方で、参加国の多くのピッチャーが「フェイスマスク」を着用しており、特にジュニア層における大会・試合においては、「フェイスマスク」の着用が「当たり前のこと」「常識」となっている感がある。
 また、バッターのヘルメットも「フェイスガード」がついたものを使用する選手が増えており、「安全面」という点においては、日本以上に留意している点が多々見られる。ソフトボールという競技が進んでいく方向性として、「これでいいのか」と疑問に思う点がないわけではないし、ここまで「安全性」に留意しなければできないスポーツとなれば、いずれはアイスホッケーやアメリカンフットボールの選手のように、全身を防具でガードしなければいけないスポーツになってしまうのでは……という危惧もある。いずれにせよ、選手はもちろん、その指導者・チームが、この「現実」としっかりと向き合い、そういった対応をごく自然に、当たり前のこととして、行っているということを認識しておく必要があるだろう。

 さて、「本題」である試合の方に目を向けてみると、予選リーグは参加26カ国を「POOL・A」「POOL・B」「POOL・C」「POOL・D」の4グループに振り分け、各POOL内でシングルラウンドロビン(1回戦総当たり)のリーグ戦を行い、順位を決定。各POOLの上位2チームが「ページシステム」(敗者復活戦を含むトーナメント)で争われる「決勝トーナメント」に進出する試合方式で覇が競われた。

 この振り分けは原則的に前回大会の成績に基づいて行われるため、前回優勝のアメリカは「POOL・A」、前回準優勝の日本(女子GEM3(U19)日本代表)は、「POOL・B」に振り分けられ、オーストラリア、ブラジル、ペルー、イスラエル、バハマと同組となった。
 女子GEM3(U19)日本代表は、7月20日(木)に結団式・壮行会を行い、翌21日(金)に大会の開催地であるアメリカ・フロリダ州クリアウォーターへ出発。現地で4試合のテストマッチを予定していたが、連日の雨のため、すべて中止。日々の練習、調整はコーチングスタッフが奔走し、練習場所を確保。当初の予定とは大幅な変更を余儀なくされてしまったが、それでも様々なアイディアを捻り出し、工夫を凝らして練習を行い、調整を行った。
 大会前日の7月23日(日)には、テクニカルミーティング(代表者会議/監督会議)が行われ、大会で使用するバットの事前検査(バットの反発力を専門の測定器でチェック。基準以内のバットには使用を認めるシールが貼られ、そのシールの貼られているバットでなければ大会で使用することはできない)やプレーイングルールの確認、パスポートのチェック(国籍・年齢等の確認)が行われ、その日の夜には、世界的にも有名なクリアウォーターのビーチで歓迎レセプションが催され、中国を除く全チームが参加。ただただ見惚れるしかないビーチに沈む綺麗な夕陽や盛大に打ち上げられた花火を見ながら英気を養い、翌24日(月)の大会の開幕を迎えた。

 7月24日(月)、大会の開幕を迎えると、それまでの連日の大雨が嘘のように、ピタッと雨が上がり、天候が回復。予定されたスケジュール通りに大会が進行した。
 女子GEM3(U19)日本代表は、大会初日からいきなりダブルヘッダー。まずイスラエルと対戦し、22-0の3回コールドで白星発進。大会初参加のイスラエルの選手の中には、宗教上の理由からか、ユニフォームの上にスカートのようなものをはいた選手もおり、様々な「カルチャーショック」を受けながら大会が開幕した。
 続くペルー戦も7-0の5回コールド勝ち。イスラエルと同じく大会初参加のペルーが初戦のオーストラリア戦で序盤5-0とリードを奪う等(結果的には5-12で5回コールド負けであったが……)、警戒して試合に臨んだが、先発・三輪さくらが4イニングを投げ、一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。打者12人から7三振を奪う力投でしっかりと試合を作ると、打線もそれに応え、相手守備の乱れに乗じて3回裏に先取点を奪い、4回裏には須藤志歩、高橋亜珠美、服部洋代の3連続長短打等で大量6点を奪い、最後は星加きららが三者凡退で締め、初日のダブルヘッダーに連勝を飾った。

 大会2日目(7月25日/火)もダブルヘッダーとなり、まずオランダと対戦。初回、先発・三原千空が自らのバットで先取点を叩き出しながら、2回表、先頭打者に完璧な当たりで左中間に運ばれ、アッという間に同点。まさに三原千空の「独り舞台」ではじまったこの試合も、相手守備の乱れにつけ込み、3回裏に1点、5回裏に2点と着々とリードを広げ、6回裏には代打・甲野紋加の安打を口火に、高橋亜珠美、藤本麗、下村歩実のタイムリー等で4点を挙げ、8-1で6回コールド。3連勝を飾った。
 3連勝で迎えたオーストラリア戦は「予選リーグ最大の山場」と目されていたが、予想通り、息詰まる投手戦となった。両チーム無得点のまま、迎えた最終回、代打・諏訪いろはが相手エラーで出塁し、すかさず盗塁で揺さぶると、これが捕手の二塁への悪送球を誘い、無死三塁の絶好機を作った。一死後、打者・高橋亜珠美のところで木田京子ヘッドコーチが「タイム」をとって、「ヒットエンドランで勝負をかけるけど、いけるか!?」と問いかけると、「無理です!」と何とも正直な答え(笑)。このやりとりの間、「勝負どころで代打」と事前に指示されていた「チームのムードメーカー」佐竹紫乃がベンチと打席の間を行ったり来たり……。結局、代打に起用されると、思い切り振り抜いた打球は飛距離十分の犠牲フライとなり、三塁走者が歓喜のサヨナラ。「ノーヒット・ノーラン」の大記録を達成した「エース」三輪さくらの力投に応え、決勝点をもぎ取り、1-0で勝利し、4連勝を飾った。

 このオーストラリア戦の劇的なサヨナラ勝ちで波に乗った女子GEM3(U19)日本代表は、大会3日目(7月26日/水)のブラジル戦を9-0の5回コールド、大会4日目(7月27日/木)の予選リーグ最終戦となるバハマ戦を17-0の4回コールド勝ち。予選リーグ「POOL・D」を6戦全勝の1位で駆け抜け、決勝トーナメント進出を決めた。

 大会5日目(7月28日/金)、この日から「決勝トーナメント」に入り、女子GEM3(U19)日本代表は、予選リーグ「POOL・D」1位のカナダと対戦。序盤はカナダペースで試合が進み、「エース」三輪さくらが3回までに3失点。代わった浅井茉琳も4回表に1点を失い、苦しい試合展開に……。
 女子GEM3(U19)日本代表は、ようやく4回裏、代打・甲野紋加のタイムリースリーベースで1点を返し、反撃の口火を切ると、相手守備の乱れに乗じてこの回2点を返し、カナダに1点を追加され、迎えた5回裏にも下山絵理、三原千空の長短打で1点を返し、相手守備の乱れ、高橋亜珠美の犠牲フライ等で3点を挙げ、5-5の同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。
 ここから左腕・伊藤貴世美が登板。持ち前のクレバーで頭脳的なピッチングでカナダ打線を翻弄。緩急を駆使した巧みなピッチングでカナダ打線に追加点を許さず、試合は5-5の同点のまま、延長タイブレーカーに突入した。
 延長8回表、エース・三輪さくらが再出場し、登板。空振り三振、サードゴロ、ライトフライでカナダの攻撃を無得点に抑えたが、その裏、女子GEM3(U19)日本代表は無死一・三塁の絶好機を作りながら、ヒットエンドランの失敗等で得点を奪えず……。
 9回表、力投の「エース」三輪さくらがカナダ打線につかまり、2点を失ったときには、スタンドを埋め尽くした満員の観客の誰もがカナダの勝利を確信した。
 しかし、女子GEM3(U19)日本代表がここから驚異的な粘りを見せる。先頭打者の死球で無死一・二塁とし、三原千空の初球の空振りを見た木田京子ヘッドコーチは「4番」に代打起用を決断。重石華子を代打に送り、重石華子がその期待に応え、追い込まれながらもサードのグラブをはじく強襲ヒット。二塁走者が還り、1点差に詰め寄り、次打者の内野ゴロで一死二・三塁とした後、松本怜奈がチェンジアップに巧みにバットを合わせ、一・二塁間を破る逆転サヨナラのタイムリー。土壇場で試合をひっくり返し、8-7と奇跡的な逆転勝利を収め、セミファイナル進出が決まった。

 セミファイナルは、ここまで予選リーグから「全勝」のチーム同士の顔合わせ、「宿敵」アメリカとの対戦となった。
 アメリカの「ホーム」、日本にとっては「敵地」に乗り込んでの試合らしく、立ち上がりから先発・浅井茉琳が再三「イリーガルピッチ」の宣告を受けてしまう。それでも何とか初回のドタバタの状況を1失点で切り抜け、その裏、高橋亜珠美が右中間フェンスを直撃する三塁打を放ち、松本怜奈の一・二塁間を破るタイムリーで還り、すぐさま同点に追いついたのだが……。それも束の間、2回表、3回表とソロホームランを浴び、アメリカ「得意」の一発攻勢でジリジリと点差を広げられ、手痛い守備の乱れもあり、結局、1-4で今大会初黒星。敗者復活戦に回ることになった。

 大会最終日、女子GEM3(U19)日本代表は、まず「ブロンズメダルゲーム」(3位決定戦)でプエルトリコと対戦。初回から猛攻を仕掛け、下山絵理のタイムリーで先制すると、2回表には下村歩実のタイムリースリーベースで2点、4回表には宮本実侑のタイムリーで1点、5回表には下山絵理、服部洋代の連続二塁打で1点と着々と加点。
 守っては、先発・伊藤貴世美が4回まで一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。5回裏にこの試合「初安打」となるソロホームランを浴びる等、2点を失ったが、しっかりと試合を作って先発の役割を果たすと、6回表、藤本麗のヒットエンドラン、松本怜奈の犠牲フライ等で決定的な2点を加え、勝負あった。
 最後は三原千空が締め、7-2でプエルトリコを下し、「宿敵」アメリカの待ち受ける「ゴールドメダルゲーム」(優勝決定戦)進出が決定。2大会ぶり6度目の「優勝」「世界一」に王手をかけた。

 「ゴールドメダルゲーム」(優勝決定戦)は、初回、満を持して先発した「エース」三輪さくらが、2015年の前回大会の優勝も経験し、今大会では打率6割9分・本塁打6・打点30と驚異的な打撃成績を残したMadilyn Nicklesに特大のスリーランホームランを浴び、いきなり3点を先制されてしまう。
 このまま一方的な試合展開になるかと思われたその裏、女子GEM3(U19)日本代表は、「キャプテン」藤本麗のスラップ、下山歩実のセーフティーバントで「日本らしく」相手守備陣を揺さぶり、一死二・三塁と攻め立て、下山絵理の左中間を切り裂くツーベース、服部洋代の一塁線を鋭く破るタイムリーで3点を挙げ、一気に同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。
 続く2回裏には、またしても「日本らしく」宮本実侑のセカンド内野安打、盗塁と機動力を駆使した攻めでアメリカ守備陣にプレッシャーをかけ、松本怜奈のセンター前へのタイムリーで勝ち越し。4-3と試合をひっくり返した。
 女子GEM3(U19)日本代表が4-3とリードして迎えた5回表、アメリカは一死二塁と得点圏に走者を置き、打席には今大会大当たりのMadilyn Nickles。一塁が空いていることもあり、歩かせる手もあったが、「エース」三輪さくらは堂々と「力勝負」を挑み、センターフライ。相手の「主砲」を抑え、二死としたことで、このままピンチを脱出できれば勝利は目の前……と思った矢先、4番打者にライトスタンドに運ばれ、逆転。これで緊張の糸が切れてしまったか、連打、スリーランを浴び、勝負あり……。結果的には4-13と大敗し、アメリカに「連覇」を許し、ともに「優勝5回」で並んでいた大会の通算優勝回数もアメリカが「6」となり、追い抜かれてしまった。

 大会を終え、木田京子ヘッドコーチは、「3回の強化合宿を経て、特に男子ピッチャーを打ち込み、球威があり、変化球の切れの鋭い外国人ピッチャーへの対策はできていましたし、実際かなり対応できたと思います。日本の武器であり、特徴でもある機動力を駆使した攻めも有効でした。相手守備陣を揺さぶり、パニックに陥れ、そこから得点に結びつけることができたと思います」と、日本のソフトボールが世界に通用する手応えを感じながらも「体勢を崩されてもフェンスオーバーされてしまう、タイミングを外したはずのボールがスタンドまで運ばれてしまう、そういう『恐さ』が日本にはなかったことも事実です。そこがアメリカとの大きな差であり、粘り、つなぎ、揺さぶり、苦労して取った1点を『一振り』でひっくり返されてしまうこともありました」と大会を振り返った。
 また、「ジュニア世代の指導において、日本では『ゴムボールならでは』の打撃、守備(捕球・送球)、投球技術があるように思います。高校生がゴムボールから革ボールに変わる、大学、実業団に進むとき、その技術の修正に多くの時間が必要になっています。また、このGEM3(U19)はちょうどその端境期にあり、転換期にあたっています」と、世界中で日本にしか存在しない「ゴムボールから革ボールへの移行」という問題にも言及。「今回もその影響は少なくありませんでした。選手の将来、国際大会・世界の舞台での活躍、ということを考えると、この問題を改めて議論する必要があるように思います」と語り、「具体的には、スラップ一つとってみても、日本では上から叩く(ゴムボールの特性を利用して、上から叩いて高いバウンドにして出塁する)ことが主流になりますが、アメリカの打撃指導では、スラップでも内野安打を目的に高いバウンドを打つ狙いと長打の可能性も含めた速い打球で野手の間を抜いていくスラップを、状況に応じて、目的に応じて使い分けることを指導しています。実際、決勝でダメ押しのスリーランを放ったアメリカの打者は普段はスラッパーですが、あの打席ではライトスタンドに特大の一発を放って見せました。日本にあのようにスラップと長打を兼ね備えた選手がいるかといえば、見当たらないのが現状ですし、そのような指導はされていないとも思います」と、その技術指導の違いを語った。また、「日本の指導はゴムボール特有の『弾む』『跳ねる』特性を生かした打撃に特化されてしまうことが多く、ゴムボールから革ボールに変わってしまうと、通用しない、使えない、という状況が生まれ、技術的な見直しや修正が必要になってしまうことが多いのが現実です」と現状の問題点を指摘した。さらには、「守備でも打球の質の違い、打球の速さ、飛距離の違いは顕著で、当然ポジショニングにも違いが生じ、求められる送球の能力、肩の強さやスローイングの正確性も変わってきます。どこを握ってもグリップするゴムボールと違い、革ボールでは縫い目に指をかけてしっかり回転をかけ、リリースする技術が必要ですし、バウンドの合わせ方、打球への反応、ベースカバーでフォローしなければならない範囲、すべて違ってくるのです」と語り、「投球においても、高校時代に輝かしい実績を残しながら、革ボールへの対応に苦慮して伸び悩む選手をたくさん見てきました。そもそも関節や骨格筋等への負担の違いもあり、それがスポーツ障害につながることもありますし、必要とされる体力要素やレベルも違ってきます。ゴムボールがソフトボールの『普及』に大きく貢献してきたことを否定するつもりはまったくありませんし、競技の発展に大きく寄与してきたことも事実です。ただ……このジュニア世代の選手育成を考えたとき、野球の硬式・軟式ではないですが、より競技志向で国際大会への出場や世界の舞台での活躍を視野に入れてプレーする選手たちには、早い段階から革ボールでプレーする機会を設け、ジュニア世代の革ボール使用大会を創設する等、何らかの形で『変革』が必要なのでは……と感じています」と、抜本的な改革の必要性を訴えた。

 また、今回はそれとは「別」の問題も生じていた。国内の主要大会と世界選手権の日程がバッティングするという問題だ。本来なら、この世代にはすでに「女子TOP日本代表」に名を連ねている勝股美咲、切石結女らがおり、真の意味での「ベストチーム」「世代最強チーム」を編成することができていれば、まず間違いなく「優勝」を勝ち獲っていたことだろう。
 しかし、高校生にとっての「最大の目標」であるインターハイと日程が被ってしまったため、高校生の多くは「世界の舞台」で戦うことではなく、汗と泥にまみれ、3年間ともに戦ってきた「仲間」とともに「インターハイ」へ出場することを選択した。
 どちらの選択も自らが選んだ「結果」であり、それぞれの選択にはそれぞれの「重さ」と「理由」が伴っていて、それは十分に理解できるものであり、誰にもその選択の結果を責めることなどできない。

 ただ……そういった経緯が、晴れて代表となったはずの選手たちに、「本当は自分より代表にふさわしい選手が他にいたのでは」「自分たちが『日本代表』を名乗っていいのか」といった「複雑な思い」を抱かせてしまったことは確かで、選手たちに、チームに、しなくてもいいはずの「遠慮」や、持たなくていいはずの「後ろめたさ」のような感情があったことは否めない。

 それでも……3回の強化合宿を重ね、「世界の舞台」に立った選手たちは「日本代表」の名にふさわしい堂々たる戦いを見せてくれた。「戦力的に厳しい」「駒不足」といった前評判を覆し、どんなに苦しい場面になっても、最後まで諦めることなく戦い、劣勢をはね返して決勝まで辿り着いた。そして、決勝で「宿敵」アメリカを追い詰めた姿は、「世界一」を勝ち獲った歴代のチームでさえ、持ち合わせていなかった「強さ」と「たくましさ」が感じられた。
 予選リーグ、オーストラリアとの息詰まる投手戦を制し、「エース」三輪さくらがノーヒット・ノーランを達成。決勝トーナメントの初戦、カナダに4点をリードされての大逆襲から延長タイブレーカーでの逆転サヨナラ。アメリカとの決勝も結果的には大差で敗れる結果となったが、初回にいきなり3点を先制されながら、その裏、すぐに同点に追いつき、ついには試合をひっくり返し、5回表、一死二塁で相手の「主砲」を打ち取ったときには、「これで勝った!」と思った。
 結果的には、その後、4番打者に逆転ツーランを浴び、そこからアメリカの猛攻を受け、大差で敗れることになるのだが、手元に残るその逆転ツーランの瞬間を移した写真を見る限り、「真芯」でとらえられているわけではなく、ポイントもかなり差し込まれているように見える。正直、「あれがホームランになってしまうのか……」という思いが今も消せずにいる。

 もちろん、それがアメリカの「凄さ」であり、「パワーの違い」ともいえるのだが……。この「一発」に、技術も戦術も関係なく、「力」だけでねじ伏せられたような今回の「敗戦」にどこか納得のいかないものが残るのも事実である。そして、来年の世界選手権での「王座奪還」、3年後のオリンピックでの「金メダル獲得」を見据えたとき、やはり一番警戒しなければならないのは、この「パワーの差」であり、それを埋められるものがあるとするなら日本の「技術」と「戦術」しかないのである。

 だからこそ、ジュニア世代から「世界の舞台で活躍できる選手」を育成し、「世界で通用する技術」を磨いていく必要があり、そのためにもジュニア世代における「革ボール」の導入・使用を真剣に検討する時期にきているのではないだろうか。

 今大会では、持てる力の「すべて」を出し切り、全力で戦い抜いた。それは間違いのない事実である。「宿敵」アメリカをギリギリのところまで追い込み、青ざめさせる場面もあった。それでも……結果的には大敗を喫し、準優勝に終わった。そこをどうとらえ、考えていくかで「行く道」は変わってくる。
 点差ほど、日米両チームに「差」があったとは思わない。一つひとつのプレーのクオリティでは、むしろ日本の方が上回っており、それを追求し、積み重ねていく姿勢もアメリカに劣っているとは思わない。
 それでも……日本が追い求め、積み重ねた「匠の技」「技術の結晶」も、用意周到に練りに練られた「究極の戦術」も、たった一振りで「無」にしてしまう「パワー」という武器をアメリカは有している。

 だからこそ……「世界の舞台」に立ち、「日本代表」の一員として戦った者こそが、アメリカに勝つための「答え」を導き出さなければならない。決してそこから目を逸らすことなく、考え、苦悶し、一人ひとりがその「答え」に辿り着く必要がある。
 このカテゴリーの選手にとって、今回の大会は「終着点」ではなく、「通過点」にすぎない。今回の悔しさを決して忘れることなく、自らの「将来」へとつなげ、いつかは女子TOP日本代表に名を連ね、「あの日の負けがあったからこそ今がある」と言えるようになってほしい。
 負けたからこそ、見つかる「答え」もあるはずである。今回の「負け」を意味あるものとすることができるかどうかは、選手一人ひとりの「これから」にかかっており、その選手たちが着実に「成長」を遂げることができる「環境」を整え、それを支え、サポートするシステムを構築する必要がある。

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