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ニュース 女子TOP日本代表

東京2020オリンピック「直前企画」
オリンピックにおける「ソフトボール競技」戦いの軌跡
第10回 2008年北京オリンピック(後編:激闘の末……つかんだ「悲願」の金メダル)

2008年3月、「第2次海外強化合宿」。選手選考もいよいよ「最終段階」へ

強化合宿を繰り返し、強化に励む日々。ただ「金メダル」だけをめざして……

2008年4月14日、北京オリンピック代表選手15名を発表!

2008年7月25日~27日、宮城県仙台市で「北京オリンピック壮行試合」を行い、「決戦の地」北京へ!

2008年8月12日、ついに「北京オリンピック」が開幕

日本は順調に勝ち星を重ね、「宿敵」アメリカとの対戦を迎えた

アメリカに「屈辱」のコールド負け……今大会初黒星を喫す

村外スタッフも全力でチームを支えた。日本人の「ソウルフード」おにぎりで元気づける

決勝トーナメント初戦、アメリカに敗れたものの、オーストラリアとの「死闘」を制し、決勝へ!

ついに……アメリカを破り、「悲願」の金メダル獲得!!

「やったよ!」テレビの解説者席にいた宇津木妙子氏に向かって「一番!」と右手を突き上げる「エース」上野由岐子

金メダルを胸に……感無量! 日本のソフトボールが世界の「頂点」に立った瞬間だった

 いよいよ北京オリンピック開催の年を迎え、悲願の「金メダル獲得」に向けてラストスパートをかける「日本代表」は年明け早々に国内・海外の強化合宿をスタートさせた。
 2月23日~3月1日、女子日本代表は沖縄県・嘉手納町で、まず「第4次国内強化合宿」を行い、その後、「第2次海外強化合宿」へ出発。一路オーストラリア・シドニーへ向かい、3月7日~3月16日までオーストラリア、カナダ、中国の代表チームらと連戦を重ね、北京オリンピック代表選手最終選考を兼ねた「テストマッチ」を行った。
 また、帰国後3月21日~27日には、宮崎県・宮崎市において「第5次国内強化合宿」を実施。これまで行ってきた強化合宿、海外での国際試合を重ねる中で新たに浮き彫りとなった「課題」を克服するため、実戦主体の強化スケジュールが組まれ、北京オリンピックに向けた強化に励んだ。

 沖縄県・嘉手納町で行われた「第4次国内強化合宿」では、世界選手権6連覇、オリンピック3大会連続の金メダルを継続中の「最強の王者」アメリカをはじめ、オーストラリア、カナダといった球威・変化球のキレ、ともに世界トップクラスの投手陣への対策として、国内の男子投手に練習協力を依頼。前年(2007年)、男子西日本リーグを制し、当時「国内屈指の若手左腕」として活躍が期待されていた大阪ツヅキグローバル(現・大阪グローバル)・照井賢吾投手(現在は「高崎市役所」でプレー。現・男子日本代表コーチ)、男子東日本リーグ(現・日本男子リーグ)・デンソーの植松洋介投手をアメリカの左投手・仮想「キャット・オスターマン」(2011年、日本リーグ・豊田自動織機でプレー)、「モニカ・アボット」(2009年~現在、日本リーグ・トヨタ自動車でプレー)として招き、また、右投手からも前年の「全日本総合選手権」の優勝投手・小谷良朋投手、男子U19日本代表コーチ・宮平永義投手からも練習協力を得るなど、「オリンピックイヤー」を迎え、女子の「強化」に男子トップレベルの投手たちがバッティングピッチャーを務める等、全面的な協力・支援体制が取られた。
 合宿では、国際試合「特有」の外角に広いストライクゾーンを想定し、左・右各打者の外角中心に、男子投手の速球、切れ味鋭い変化球を打ち込んだ。斎藤春香ヘッドコーチ(当時は「斎藤」と表記。現在は「齋藤」と表記している)は、「多少ボール気味なコースであっても、ストライクとコールされれば、相手バッテリーは当然そのコースを突き、利用してくる。状況を打開するためには、打席での立ち位置、打ち方などを常に考え、工夫していかなければならない」と打撃練習を行う選手一人ひとりを細かく指導。実戦での打撃力向上につなげるため、一分一秒を惜しむように入念な打ち込みが続けられた。

 「第4次国内強化合宿」を終え、オーストラリア・シドニーで実施された「第2次海外強化合宿」では、まず合宿前半の3月7日~9日、「NTCインターナショナル」と銘打たれた国際大会に出場。地元・オーストラリアのクラブチーム、カナダ、中国の代表チームと計6試合を戦い、予選リーグでカナダに1敗を喫したものの、4勝1敗の2位で予選リーグを通過。順位決定戦(1位・2位決定戦)では、予選リーグを5戦全勝の1位で通過したカナダと再戦し、狩野亜由美のソロ本塁打で先制点を挙げ、守っては先発・坂井寛子が安定したピッチングでカナダに得点を許さず、1-0の完封勝利を収め、優勝を飾った。
 合宿後半の3月12日~16日には、「インターナショナルチャレンジシリーズ」に出場。日本、オーストラリア、カナダ、中国の代表チームが出場した。
 日本は、トリプルラウンドロビン(3回総当たり)方式で実施された予選リーグの初戦・中国戦を0-1で落とし、苦しいスタートとなったが、投手陣の踏ん張りもあり、苦しみながらも予選リーグを5勝4敗の2位で通過。順位決定戦(1・2位決定戦)では、NTCインターナショナル同様、予選リーグ1位のカナダと対戦し、「エース」上野由岐子を先発に立て、必勝を期したが、カナダの投手陣を最後まで打ち崩すことができず、延長タイブレークの末、1-2で敗れ、2位に終わり、海外での厳しい連戦を戦い抜いた中で、新たな「課題」を持ち帰ることとなった。

 オーストラリア・シドニーから帰国後、日本代表は3月21日~27日まで宮崎県・宮崎市において「第5次国内強化合宿」を実施。
 合宿では、これまで強化の中心として取り組んできた攻撃に加え、ゲームノックなど実戦形式でしっかりと守備面もチェック。試合で想定される様々なケースを、守備・走塁面の強化を担当する田本博子コーチが実際に打球を飛ばしながら、チーム全体の連係を確認した。
 打撃面においても、男子西日本リーグ(現・日本男子リーグ)に所属する地元・宮崎県の旭化成が練習に協力。男子ピッチャー相手の打ち込みや、計4試合もの練習試合を行う等、「実戦」を多く取り入れ、強化を図った。

 4月14日、日本ソフトボール協会は、東京・グランドプリンスホテル赤坂で北京オリンピックに出場する「日本代表」選手15名の記者発表を行った。
 この北京オリンピック代表選手の決定に際しては、3月31日に女子強化委員会、4月12日に選手強化本部会を招集。厳正な選手選考を行い、代表選手15名を選出。4月13日の「第1回理事会」での審議・承認を経て、この日の記者発表に至った。
 記者発表には、日本ソフトボール協会・尾﨑正則専務理事兼選手強化本部長、女子日本代表・斎藤春香ヘッドコーチが出席。多数詰めかけた報道陣を前に代表選手15名の名前を一人ひとり読み上げた。
 尾﨑正則専務理事兼選手強化本部長は、「一番いい色のメダルを獲るために命がけで戦う」と北京オリンピックへ臨む強い決意を表明し、斎藤春香ヘッドコーチは「強化合宿・海外遠征等を繰り返し、現時点で最も力のある選手15名を選び出した。その意味で最高の布陣であり、ベストのチームであると自負している。日本らしい機動力や守備力を大切にしながら、どんな相手からでも確実に3点以上得点できる攻撃を確立し、金メダル獲得を実現したい」と北京オリンピックへの思いを語った(北京オリンピック代表選手・スタッフはこちら)。

 北京オリンピック代表選手15名が正式に決定した「日本代表」は、まず、6月5日~8日に「決戦の舞台」となる中国・北京で「第1次海外強化合宿」を実施。試合会場・選手村等の会場視察をはじめ、実際に現地での練習を「実体験」し、その直後、直接北海道倶知安町へと移動。6月9日~18日の10日間にわたり、北海道倶知安町において「第1次国内強化合宿」を実施した。
 この「第1次国内強化合宿」では、攻撃・守備の強化はもちろんのこと、長丁場となる北京オリンピック「本番」を戦い抜くために必要な体力面・メンタル面も強化。攻撃では、これまで課題とされてきた世界トップレベルの投手を攻略するために、男子トップレベルの投手4名を合宿に帯同させ、連日キレ味鋭いライズ・ドロップを打ち込んだ。
 守備面では、内・外野の連係、挟殺プレーなど、試合の中で起こり得る様々な状況を想定した守りを追求。グラウンドでは、「オリンピックではミスは1つも許されない。1つのミスが命取りとなり負けにつながる。集中しろ!」という声が幾度となくこだまし、アメリカ・オーストラリア・カナダといった世界の強豪国とのクロスゲームを想定した中で、「世界一」と評される日本「伝統」の守備の「精度」をより一層高めていくための練習が繰り返されていた。
 また、この合宿では、一日一日の練習を可能な限り「追い込む」ということもテーマとして掲げられ、実戦を想定した打撃練習・守備練習の後に、選手それぞれのその日の「課題」を克服するための時間が設けられ、連日の特打ち・特守。打撃では、とにかくバットを振り込む、守備では「球際の強さ」を身につけるために、前後左右に鋭い打球を飛ばし、足が動かなくなるまでノックが続けられた。
 トレーニングに関しても、大石益代トレーナーの作成したメニューに沿って、個人のさらなるスキルアップを目標に行われ、酷暑や大気汚染が予想される北京オリンピック「本番」で、初日から最終日まで最高のパフォーマンスを発揮し、持続できるよう、すべてのメニューにおいて、とにかく「途中で妥協することなく、最後の最後までやり切ること」がテーマとして掲げられ、精神的・肉体的にも、さらなるレベルアップを図るためのトレーニングが実施された。

 開幕を直前に控えた北京オリンピック。6月22日~30日、「悲願」の金メダル獲得をめざす日本代表は、静岡県伊豆市で「第2次国内強化合宿」を実施。合宿中にシドニー、アテネでメダル獲得の「立役者」となり、「世界一」と評される日本の守備の「要」であった内藤恵美がアキレス腱を再断裂。北京オリンピック出場が不可能となり、急遽、藤本索子が招集されるというアクシデントがチームを襲った。「まさか……」の出来事に動揺を隠せない選手たちであったが、これを機に「内藤さんの分まで……」と、よりチームの結束・士気は高まった。

 日本代表はその後 7月4日~9日、カナダ・トロントで「第2次海外強化合宿」を実施。「トライネーションズカップ」で優勝を飾り、そのまま「カナダカップ」の開催地であるサレーに移動。ここでも予選リーグ・決勝トーナメントともに全勝のまま、「完全優勝」を飾った。
 7月25日~27日には、宮城県仙台市で行われた「北京オリンピック壮行試合 in 仙台」に出場。オランダ、カナダに連勝し、詰めかけた3000人を超える大観衆の声援に応え、北京への確かな手応を感じさせた。

 8月6日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪において、「北京オリンピック日本代表結団式・壮行会」を挙行。
 会場には、北京オリンピックに出場する日本代表選手・スタッフをはじめ、JOC(日本オリンピック委員会)、協会役員、各企業・スポンサーなど、総勢100名を超える多くの関係者が出席し、「悲願」の金メダル獲得に期待のかかる代表チームを激励した。
 日本ソフトボールの集大成。たくさんの人々の思いを背負い、女子日本代表はいよいよ「決戦の地」中国・北京へと飛び立った。

 8月12日、北京オリンピックが開幕。「ホスト国」の中国、北京オリンピックの「第1次予選」を兼ねて開催された2006年の「第11回世界女子選手権大会」で出場権を獲得した上位4チーム(優勝・アメリカ、準優勝・日本、3位・オーストラリア、4位にオリンピックの「ホスト国」中国が入ったため、カナダとイタリアで「代表決定戦」を行い、代表権を手にしたカナダ)、ヨーロッパ・アフリカ大陸予選を勝ち上がったオランダ、アメリカ大陸予選を制したベネズエラ、アジア・オセアニア大陸予選で代表権を勝ち獲ったチャイニーズ・タイペイの8チームが出場。参加全チームによるシングルラウンドロビン(1回総当たり)方式の予選リーグを行い、上位4チームがページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)で行われる決勝トーナメントに進出する試合方式で覇が競われた。

 日本は予選リーグ初戦、4年前のアテネ・オリンピックと同じ、「因縁の相手」オーストラリアと対戦した。
 日本の先発は「エース」上野由岐子。日本が誇る「世界一の投手」は、大事な初戦の立ち上がり、2三振を含む三者凡退の立ち上がりを見せ、日本に試合の流れを引き寄せると、その裏、「アジアの大砲」馬渕智子がセンターの頭上を越える先制のスリーラン! 3点のリードを奪った。
 先発が「世界一の投手」上野由岐子で初回に3点のリードとなれば、「楽勝」と誰もが思ったが……オリンピックに「簡単な試合」「楽勝」など存在しない。2回表、オーストラリア打線が牙を剥く。安打で出塁した走者を一塁に置き、ナタリー・ティッカム(2007年~2009年、日本リーグ・レオパレス21(現在は廃部)でプレー)が上野の甘く入ったチェンジアップをとらえ、レフトポール際に運ぶツーランホームラン。1点差に詰め寄り、二死後、ジョディー・バウリングがセンター頭上をライナーで越える同点のソロホームラン。上野由岐子であれば「安全圏」のはずの3点のリードがアッという間になくなり、試合は振り出しに戻ってしまった。
 しかし、日本も「4年前の日本」ではなかった。2回裏、この回先頭の廣瀬芽がレフト線へ三塁打。続く乾絵美の死球で無死一・三塁とし、一死後、狩野亜由美の打席でヒットエンドランを敢行。打球はセカンド前に転がり、三塁走者の本塁突入を防ごうとブロックしたキャッチャーのオブストラクション(走塁妨害)で三塁走者が生還。すぐに1点を勝ち越した。
 この打線の援護に「世界一の投手」上野が応える。3回以降は立ち直り、オーストラリア打線に得点を許さず、4-3で勝利を収めた。

 予選リーグ第2戦はチャイニーズ・タイペイと対戦。両チーム無得点で迎えた4回表、「主砲」馬渕智子が2試合連続となるホームランをレフトスタンドに叩き込み、先制。続く5回表にも、二死三塁から山田恵里が一・二塁間を鋭く破るタイムリーを放ち、2点目を挙げた。
 守っては、先発・坂井寛子が安定感溢れるピッチングでチャイニーズ・タイペイ打線を封じ込み、最終回に1点を返されたものの、6安打1失点の完投勝ち。初戦に続き、2-1で1点差の接戦をモノにし、2勝目を挙げた。

 予選リーグ第3戦はオランダと対戦し、初回に山田恵理、馬渕智子のタイムリーで2点を先制。
 早々に2点のリードをもらった先発・坂井寛子が5回二死までノーヒットピッチング。ノーヒット・ノーランの偉業達成こそならなかったが、先発の役割を見事に果たす、「大人のピッチング」を見せた。
 打線もこの好投に応え、5回裏、佐藤理恵(現・日本ソフトボール協会女子強化委員長)がセンター前へダメ押しのタイムリー。貴重な追加点を挙げ、最後は「オリンピック初登板」となる江本奈穂が1イニングをしっかりと締め、3-0の完封で快調に3連勝を飾った。

 ここまで3連勝の日本は、「世界選手権6連覇」「オリンピック3大会連続の金メダル」と、まさに「常勝」を続け、「史上最強」の名をほしいままにするアメリカと対戦した。
 日本の先発は江本奈穂。「2007カナダカップ」の決勝でアメリカの強力打線を相手に6回を2失点、ジャパンカップの予選リーグでも4回を無失点に抑え、「勝利投手」にもなっている「実績」を買われ、先発に起用された。
 しかし……江本奈穂、峰幸代の「若いバッテリー」にアメリカの強力打線が容赦なく襲いかかった。ナターシャ・ワトリー(2009年~2016年、日本リーグ・トヨタ自動車でプレー)がいきなりライトスタンドに叩き込む先頭打者ホームラン。まず1点を先制すると、続くケイトリン・ロウが右中間へ二塁打。ジェシカ・メンドーサにもライトスタンドに運ばれ、失策、ケリー・クレッチマン(2018年・2019年に日本リーグ・デンソー、2020年には日本リーグ・戸田中央総合病院でプレー)のタイムリーでさらに1点と、アッという間に4点を奪われたところで、江本奈穂は一死も取れずに降板。代わった染谷美佳が何とか後続を断ち、長かったアメリカの初回の攻撃が終わったが、いきなり4点のビハインドを背負うことになってしまった。2回表、3回表は染谷美佳が無得点に抑えたが、4回表、ジェシカ・メンドーサ、クリストル・ブストスに連続ホームランを浴びて3点を失い、大量7失点。打線も1安打・5三振では打つ手がなく、「オリンピック史上初」のコールド負け。屈辱的な大敗で今大会「初黒星」を喫した。

 「王者」アメリカに屈辱的なコールド負けを喫した日本は、予選リーグ第5戦で「ホスト国」中国と対戦。日本は3回表、四球、安打等で二死ながら一・三塁のチャンスを作ると、佐藤理恵が豪快にライトスタンドへ叩き込む先制のスリーラン。3点のリードを奪い、試合の主導権を握った。
 守っては、先発・上野由岐子が6イニングを投げ、被安打5・奪三振6の力投。中国打線に得点を許さず、最後は日本が誇る「二枚看板」坂井寛子が1イニングを締め、4勝目を挙げた。

 通算成績を4勝1敗とした日本は、予選リーグ第6戦、このベネズエラ戦に勝てば決勝トーナメント進出が決まる。
 日本の先発は坂井寛子。早くも今大会4試合目の登板となるベテランは初回、2回を三者凡退に打ち取り、上々の立ち上がりを見せていたが、3回表、安打、送りバントで得点圏に走者を背負い、マリア・ソトを完全に詰まらせ、「打ち取った」と思った打球がレフト前に落ち、二塁走者が生還。先取点を挙げたベネズエラは続く4回表にも1点を追加し、なお二死二塁の好機が続き、次打者がセンター前ヒット。「これで3点目か……」と思われたが、ここは「ソフトボール界のイチロー」山田恵里がセンターから矢のような好返球。二塁走者の本塁突入を阻止し、追加点を許さぬ「キャプテン」山田恵里の「ビッグプレー」で試合の流れが変わった。
 日本はその裏、「主砲」馬渕智子が今大会第3号となるソロホームランを放ち、反撃の狼煙を上げると、5回裏には、一死一塁から「キャプテン」山田恵里が「起死回生」の逆転ツーラン。試合をひっくり返すと、佐藤理恵、廣瀬芽にもタイムリーツーベースが飛び出し、この回一挙4点を挙げ、試合を決めた。
 苦しい試合だった。今大会抜群の安定感を誇っていた坂井寛子が先に失点してしまうという予想外の展開。打線は相変わらず、チャンスを作りながら「もう一本」が出ないという今大会「お決まりの展開」に陥り、特に4回裏、馬渕智子のホームランで1点差に迫り、なお一死満塁と攻め立てた場面で、代打・伊藤幸子、藤本索子が凡退したときには、「またか……」と重苦しい雰囲気がスタジアムを支配した。さらに5回裏、狩野亜由美が安打で出塁しながら、西山麗がスリーバント失敗で送れず……と続いた嫌な流れを「キャプテン」の一振りで一掃。重苦しいな雰囲気をそのバットで切り裂き、チームを勝利へと導いてくれた。日本はこれで5勝1敗、決勝トーナメント進出が決まった。

 予選リーグ最終戦はカナダと対戦。日本は2回表、二死満塁から西山麗がレフト前に先制のタイムリー。鮮やかな流し打ちで二者を還し、この回2点を先制すると、続く3回表にも、峰幸代、藤本索子のタイムリーで2点を追加。終盤6回表にも廣瀬芽、藤本索子にタイムリーが飛び出し、ダメ押しの2点を追加。北京オリンピックへ向け、「完璧」に仕上げてきたカナダの誇る強力投手陣を完全に攻略し、6-0で圧勝。6勝1敗の2位で決勝トーナメント進出決めた。

 決勝トーナメント初戦、予選リーグ2位の日本は、「全勝」の1位で予選リーグを勝ち上がった「最強の王者」アメリカとの対戦を迎えた。
 アメリカは、予選リーグを7戦全勝。チーム打率3割7分5厘、本塁打13、総得点53。チーム防御率は0・00で失点はノーヒットで失ったカナダ戦の1点のみ。打たれた安打は7試合でわずか5本。1試合平均で1本にも満たない安打しか許さず、39イニングで奪った三振は57。攻守にまったく隙がなく、「史上最高にして最強」の称号がこれほどまでに似合うチームは他にないといえよう。
 普通なら、予選リーグ2位で「敗者復活戦」に回る権利を有するだけに、ある程度「敗戦」も見越しての投手起用や駆け引きも考えられる試合となるのだが、予選リーグ最終戦のカナダ戦を終えた記者会見で「エース」上野由岐子が、「残り試合はすべて私が投げる」と高らかに宣言。「自分が点を取られることがない限りは負けることない」と悲壮な覚悟を背負う「エース」の一言で、日本はもう一切の「駆け引き」も「迷い」もなくなった。
 「世界一の投手」上野由岐子は「史上最高にして最強」の王者・アメリカに真っ向勝負を挑み、7回を無失点。「エース」の力投に守備陣も好守の連続で「エース」を支え、「緊迫の投手戦」を展開。
 一方、日本打線もアメリカの「大型左腕」モニカ・アボットをとらえられずにいたが、7回裏、二死から馬渕智子が四球を選び、佐藤理恵がしぶとくセンター前ヒット。二死一・二塁の一打サヨナラのチャンスを迎え、廣瀬芽のバットに期待がかかったが、惜しくも三振に倒れ、両チーム無得点で7回を終了し、「決着」は延長タイブレークへ持ち越された。
 延長8回表、アメリカはタイブレークの走者を二塁に置き、「代打」ローラ・バーグがセカンド内野安打。無死一・三塁の絶好機をつかんだが、ここは「孤高のエース」上野由岐子が踏ん張り、後続を連続三振、ピッチャーゴロに打ち取り、「絶体絶命」のピンチを凌ぐ。
 しかし……日本はその裏、三科真澄が送りバントを失敗。峰幸代もバスターを仕掛けるが、これもファーストファウルフライに倒れ、藤本索子は三振。またしても「サヨナラ」のチャンスを逃してしまう。
 二度の「サヨナラ」のチャンスを逃したことで「試合の流れ」が変わったか、アメリカは9回表、ケイトリン・ロウのタイムリーで待望の先取点を挙げ、「主砲」クリストル・ブストスがレフトスタンド上段へ運ぶスリーランを放ち、勝負あった。日本の「エース」上野由岐子の力投も実らず、延長9回ついに力尽き、1-4で敗れ、「敗者復活戦」に回った。

 アメリカとの「死闘」に敗れた日本は「敗者復活戦」に回り、「ブロンズメダルゲーム」(3位決定戦)で予選リーグ3位で決勝トーナメント進出。予選リーグ4位のカナダを5-3で破って勝ち上がったオーストラリアと対戦した。
 日本の先発は「エース」上野由岐子。この日の第1試合で「史上最高にして最強」の王者・アメリカを相手に延長9回を投げ抜く力投を見せた「エース」がダブルヘッダーを連投。日本の「命運」が託された。
 しかし……3位・4位戦で成長著しいカナダの挑戦を5-3の逆転勝ちで退け、銅メダル以上を確定させ、勢いに乗るオーストラリア打線が「世界一の投手」上野に襲いかかる。初回、簡単に二死とした後、安打の走者を出し、ライト前にフラフラッと上がった打球をライト・狩野亜由美がノーバウンドで捕りにいくか、確実にワンバンドで抑えるか、迷った挙句、これを後逸(記録は三塁打)。一塁走者が一気に還り、オーストラリアが先取点を奪った(上野由岐子曰く、アメリカ戦より何よりもこの1点が「やっちまった……」と感じた1点で「北京オリンピックで一番焦った瞬間」だったという)。
 一方、日本は3回まで無得点。ようやく4回裏、二死一塁から廣瀬芽が「起死回生」の逆転ツーランをライトスタンドに叩き込み、試合をひっくり返した。
 こうなれば試合は日本のペース。5回表は三者凡退。6回表は二死一・三塁のピンチを招いたが、後続をショートゴロに打ち取り、このピンチを切り抜けると、7回表も簡単に二死を取り、日本の「決勝進出は決まった」と誰もが思った。しかし……ケリー・ワイボーンがセンター頭上を越える同点のソロホームラン。4年前のアテネ・オリンピックの3位決定戦(ブロンズメダルゲーム)で、日本の息の根を止める走者一掃の三塁打を放った「因縁の相手」が、この試合でもオーストラリアの「絶体絶命」のピンチを救う「値千金」の同点ホームランを放ち、土壇場で試合を振り出しに戻した。
 日本は「エース」上野が8回表、9回表、10回表とタイブレークの走者を背負いながらも得点を許さず、味方打線の援護を待ったが、日本打線も「あと一本」が出ず、膠着状態を抜け出せないまま、11回を迎えた。
 11回表、オーストラリアは二死三塁からナタリー・ワードがレフト前にタイムリー。我慢に我慢を重ねてきた上野由岐子が勝ち越し点を許してしまい、オーストラリアがこのまま逃げ切るかと思われた。
 日本はその裏、山田恵里がタイブレークの走者をキッチリと犠打で送り、一死三塁。続く馬渕智子の打球はショート後方にフラフラッと上がり、勝ち越しのタイムリーを放ったショートのナタリー・ワードが懸命に背走。精一杯グラブを差し出したが……グラブの先に当たって落ちるポテンヒットとなり、三塁走者が還り、同点。わずか「数センチ」の差で日本は命拾いし、息を吹き返した。
 延長12回表、オーストラリアは四球、送りバントで一死二・三塁のチャンスを作りながら、上野由岐子の気迫溢れるピッチングの前に後続なく、無得点。
 その裏、日本は峰幸代のバスターがサードの失策を誘い、一・二塁。藤本索子がキッチリ送り、一死二・三塁とすると、狩野亜由美が故意四球で歩き、満塁。ここで西山麗が長かった「死闘」に決着をつけるサヨナラ安打を右中間に放ち、日本が「決勝進出」。傷だらけになりながらも「史上最高にして最強」の王者・アメリカの待つ「決勝」へと勝ち上がった。

 前日、実に21イニングにわたる激闘を戦い抜き、「ゴールドメダルゲーム」(決勝)に辿り着いた日本は、アメリカと「金メダル」をかけ、再戦した。
 先攻の日本は初回、先頭打者から三者連続三振。今まで何度も見せつけられてきたアメリカの「エース」キャット・オスターマンの「奪三振ショー」で試合がはじまった。
 日本の先発は、こちらも「エース」上野由岐子。前日のアメリカ戦、オーストラリア戦を連投。しかも延長9回、延長12回と2試合連続の延長戦、3試合分にあたる21イニングを投げ抜き、300球を超える「熱投」を続けた「エース」を、この「金メダル」がかかった「大一番」でも「3連投」で先発に起用した。
 さすがの上野由岐子も連投の疲れか、立ち上がりの球の走りは今一つ。連続内野安打で無死一・二塁のピンチを招くと、ジェシカ・メンドーサは火の出るような当たりのショートゴロ。これを名手・西山麗が捌き、三塁フォースアウト。クリストル・ブストスはセカンドゴロに打ち取ったかに見えたが、セカンド・三科真澄が間に合わない二塁へ送球し、オールセーフ。一死満塁の「絶体絶命」のピンチを迎えたが、ここで簡単に崩れないのが「世界一の投手」上野由岐子の真骨頂。後続をセカンドゴロ、キャッチャーファウルフライに打ち取り、ピンチを脱した。
 一方、日本はキャット・オスターマンの前に、2回まで打者6人で5三振を奪われていたが、3回表、この回先頭の三科真澄がレフトフェンス直撃の二塁打。ここまで予選リーグ7試合、決勝トーナメント2試合の計9試合で21打数ノーヒットと不振を極めていた三科真澄が突如「覚醒」。日本の「天敵」キャット・オスターマン攻略の突破口を開いた。続く峰幸代はキッチリと送りバント。一死三塁とし、二死後、1番・狩野が三遊間へ高いバウンドのゴロを転がし、快足を飛ばして内野安打。日本が待望の先取点をもぎ取った。これで勢いに乗った日本は、続く4回表、この回先頭の山田恵里がセンタースタンドへ突き刺す、「値千金」のソロホームラン。貴重な追加点を挙げた。
 しかし、「史上最高にして最強」の王者・アメリカも黙ってはいない。今大会すでに5本のホームランを放っている「主砲」クリストル・ブストスが右中間へソロホームラン。完全に泳がされ、片手で拾っただけのバッティングに見えたが、その驚異的なパワーでスタンド中段まで運び、反撃の狼煙を上げた。6回裏には、ケイトリン・ロウが一・二塁間を破り、ジェシカ・メンドーザが手堅く送り、一死二塁。ここで日本ベンチは今大会当たりに当たっているクリストル・ブストスを故意四球で歩かせ、一・二塁。次打者にも四球を与え、一死満塁のピンチを招いたが、アンドレア・デュランをショートフライ、ステーシー・ヌーベマンをセカンドフライに打ち取り、ピンチを切り抜けた。
 日本は7回表、6回からリリーフしたモニカ・アボットを攻め、この回先頭の廣瀬芽が三遊間を鋭く破る安打で出塁。続く三科真澄の送りバントは二塁フォースアウトかと思われたが、ショートのナターシャ・ワトリーが「まさか……」の落球。峰幸代のバスターがモニカ・アボットの足を直撃する当たりとなり、峰幸代は一塁でアウトになったものの、走者がそれぞれ進塁し、二・三塁とチャンスを広げ、藤本索子のところでヒットエンドランを敢行。藤本索子が倒れ込みながらも必死にバットに当て、三塁走者・廣瀬芽がホームイン。再び2点差にリードを広げた。
 「王者」アメリカも最後まで粘る。その裏、「代打」ビッキー・ガリンドーがセンター前にはじき返し、無死一塁。テルアイア・フラワーズの三塁側のフェンスギリギリに上がったファウルフライをショート・西山麗が好捕すれば、ナターシャ・ワトリーの三塁線を襲う痛烈なライナーをサード・廣瀬が驚異的な反応でナイスキャッチ。最後は「エース」上野由岐子がケイトリン・ロウをサードゴロに打ち取り、テレビ解説の宇津木妙子氏(現・日本ソフトボール協会副会長、シドニー・オリンピック、アテネ・オリンピック日本代表ヘッドコーチ)の言葉にならない、涙ながらの「絶叫」が鳴り響く中、日本がアメリカのオリンピック4大会連続の金メダル獲得を阻止し、悲願の「金メダル」を獲得した。

 「史上最高にして最強」の王者・アメリカに勝たなければ「金メダル」はない。そのあまりにも厳しい「現実」の前に、「白紙」のままの答案用紙を抱え、右往左往していた日本に「エース」上野由岐子が「私が点を取られない限りは負けることはない」と「究極の解法」を導き出し、決して解けることのないと思われた「アメリカ打線の攻略法」を、所属チームの監督である宇津木麗華氏(現・日本代表ヘッドコーチ)とともに見つけ出した。リーチの長いアメリカの右打者の懐に食い込む「シュート」を「切り札」として身につけ、「金メダル」のかかった「大一番」までその「武器」をひた隠し、「ここぞ!」という場面で投じ、アメリカ打線を抑え込んだ。
 また、「金メダル獲得」を最優先し、勝負どころでアメリカの「主砲」クリストル・ブストスを「故意四球」で歩かせる「もう一つの解法」も披露して見せた(後のテレビのインタビューで宇津木麗華氏は「あのときのクリストル・ブストスは四球で歩かせるしか方法がなかった。抑える方法はただ一つ『勝負しない』『四球で歩かせる』しかなかった」と語っている)。

 山田恵里は「天敵」キャット・オスターマンの投球時の「クセ」を見抜いていた。第1打席はその「クセ」と実際の投球を見極め、1打席を捨ててまで入念に「答え合わせ」を行い、4回表、その「答え合わせ」通りに「ライズ」を狙い打ち! 見事、スタンドにぶち込み、「100点満点」の解答を導き出した(キャット・オスターマンの球種による「クセ」はチームとして「共有」されてはいたが、「主砲」馬渕智子は「わかっていても打てなかった」と語っており、先制の口火を切った三科真澄も「ベンチからみんなが「上」「下」と叫んでいたようには思うが……ハッキリとその声が聞き取れていたわけではなかった」と証言している)。

 一方、アメリカもこの試合に限っては、いくつかの「ミス」を犯した。一つは、2回表の二死三塁、先制点を許した場面で、狩野亜由美への「勝負球」に「ドロップ」を選択してしまったことである。走者を三塁に置いた場面で「俊足」の狩野亜由美を打席に迎えたことを考えれば、当然、空振り、フライになりやすい「ライズ」で勝負ではなかったか。結果的に三遊間深くに転がされ、「内野安打」となってしまい、先取点を奪われたことを考えれば、バッテリーが「勝負球」の選択を誤ったといえるだろう。

 もう一つは、6回裏、先頭打者のケイトリン・ロウが出塁し、ジェシカ・メンドーサに「送りバント」を命じたことである。確かに試合終盤「1点差」で先頭打者が出塁すれば、送りバントで得点圏に走者を進めるのは「セオリー」である。しかし、一塁走者は「快速」のケイトリン・ロウ(当時「世界最速」の俊足選手ではなかったか)、打者は2006年の「第11回世界女子選手権大会」で上野由岐子から「優勝」「大会6連覇」を決めるツーランホームランを放っているジェシカ・メンドーサ。「主砲」クリストル・ブストスがその風貌、キャラクターも相まって「怪物スラッガー」としてクローズアップされていたが、ある意味それ以上の「完成度」を誇り、広角に打て、長打もあり、穴のない、バランスの取れた「打者の理想像」に近い選手であったことを考えると、ジェシカ・メンドーサの打席で「アウト一つもらえた」ことと、一塁が空き、クリストル・ブストスを「四球で歩かせる」選択肢が明確となったという意味でも、アメリカの「致命的な采配ミス」ではなかったか。斎藤春香ヘッドコーチが「タイム」をとって選手を集め、上野由岐子に「どうする?」と問いかけ、上野由岐子が「歩かせます」とキッパリ言い切ったとき、「勝負は決まった」といっても過言ではなく、日本が「金メダル獲得」に大きく前進した瞬間であった。

 「史上最高にして最強」のチーム、アメリカを倒し、手にした「金メダル」。その立役者となった投打の「主役」上野由岐子と山田恵里が、日本で開催される「東京2020オリンピック」で「13年越しの2大会連続の金メダル獲得」に挑むのも、何かの「因縁」であり、後の「ドラマ」につながっているのかもしれない。

 過去4大会数々の「ドラマ」を生んできたオリンピック。その「夢の舞台」の「開幕」が間近に迫っている。ほとんどが「オリンピックを知らない世代」となった今大会で、その選手たちが「オリンピックの歴史」にどんな新たなページを加えていくのか、13年の時を経て、「日本代表」がどんな戦いを見せてくれるのか、期待と注目が集まる。

(公財)日本ソフトボール協会 広報
株式会社 日本体育社「JSAソフトボール」編集部 吉田 徹

2008年 北京オリンピック 出場メンバー・スタッフ

選手

No. 守備 氏名 所属 背番号
1 投手 上野由岐子 日立&ルネサス高崎 17
2 坂井寛子 太陽誘電 21
3 染谷美佳 デンソー 14
4 江本奈穂 豊田自動織機 16
5 捕手 乾絵美 日立&ルネサス高崎 23
6 峰幸代 日立&ルネサス高崎 2
7 内野手 伊藤幸子 トヨタ自動車 10
8 佐藤理恵 レオパレス21 24
9 西山麗 日立ソフトウェア 3
10 廣瀬芽 太陽誘電 8
11 三科真澄 日立&ルネサス高崎 4
12 藤本索子 レオパレス21 7
13 外野手 山田恵里 日立ソフトウェア 11
14 狩野亜由美 豊田自動織機 5
15 馬渕智子 日立ソフトウェア 25

※氏名、所属は大会出場当時のもの

スタッフ

No. 役職 氏名 所属
1 チームリーダー 井川英福 トヨタ自動車
2 ヘッドコーチ 斎藤春香 日立ソフトウェア
3 コーチ 浦野光史 太陽誘電
4 コーチ 田本博子 日立ソフトウェア
5 トレーナー 篠崎仁美 日立ソフトウェア
6 マネージャー 亀田悦子 日立ソフトウェア

※氏名、所属は大会出場当時のもの

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