「天皇盃 第71回全日本総合男子選手権大会」が神奈川県伊勢原市・厚木市・相模原市を舞台に開催された
大会初日、午後からの降雨により1回戦の2試合が中止・順延を余儀なくされ、日程を変更して実施された
各ブロック予選を突破した実業団、クラブ、大学チームも日本リーグ勢に果敢に挑む!
SAGAダイワアクトは「世界No.1サウスポー」ジャック・ベスグローブが三重ヴェルデウィン打線につかまり、まさか……のコールド負け。準々決勝敗退となった
連覇をめざす平林金属株式会社はHondaに敗れ、準々決勝で姿を消した。
熾烈を極める「Dグループ」を勝ち上がってきた三重ヴェルデウィンだったが……。
トヨタ自動車は小野寺翔太、八木孔輝がHonda打線を3安打に抑えながら、打線の援護なく、一発に泣き、準決勝敗退。
Hondaの「大将」坂田大士が決勝進出を決める一発を放ち、2年ぶりの優勝へ王手!
「エース」大西泰河の力投で「快進撃」を続けてきたジェイテクトが初の決勝へ
Hondaは決勝の先発に地元・伊勢原市出身の池田空生を起用
決勝は延長タイブレークにもつれ込み、Hondaが8回表に3点を勝ち越し
3回からリリーフした長井風雅がジェイテクト打線から17三振を奪う快投! 優勝の「立役者」となり、大会MVPに輝いた☆
去る9月20日(土)~23日(火・祝)の4日間(悪天候のため1日順延)、神奈川県伊勢原市・厚木市・相模原市を舞台に「天皇盃 第71回全日本総合男子選手権大会」が開催された。
この全日本総合男子選手権大会は、「総合」の文字通り、日本リーグをはじめとする、実業団、クラブ、大学、その全てのカテゴリーのチームが参加できる「国内最高峰の大会」として開催されている。
昨年の「第70回大会」より新たに「天皇盃」の冠を御下賜いただき、大会としての位置づけ、格付けがさらに高いものとなり、前回大会はその「初代天皇盃」を勝ち取るべく、全32チームがしのぎを削った。結果としては、男子ソフトボールの時代をリードしてきた「王者」平林金属株式会社(岡山)が、「ソフトボール王国復活」をめざす高知県・高知パシフィックウェーブソフトボールクラブを5-2で破り、7年ぶり5度目の優勝をつかむとともに、栄えある「初代天皇盃」に輝いた。
今年の全日本総合男子選手権大会も、「天皇盃」の冠を御下賜いただき開催され、前回大会優勝・平林金属株式会社、準優勝・高知パシフィックウェーブソフトボールクラブに加え、昨年度日本男子リーグの成績上位7チーム/SAGAダイワアクト(佐賀)、Honda(栃木)、トヨタ自動車(愛知)、日本エコシステム(岐阜)、デンソー(愛知)、ジェイテクト(徳島)、旭化成(宮崎)。さらに各ブロックの予選を勝ち抜いた22チーム/福島ソフトボールクラブ(東北/福島)、YAMAGATA CLUB(東北/山形)、高崎市役所(関東/群馬)、甲斐ソフトボールクラブ(関東/山梨)、コマニー株式会社(北信越/石川)、三重ヴェルデウィン(東海/三重)、豊田自動織機(東海/愛知)、大阪桃次郎(近畿/大阪)、大阪・堺グローバル(近畿/大阪)、同志社大学(近畿/京都)、環太平洋大学(中国/岡山)、住吉工業SBC(中国/山口)、新見城山クラブ(中国/岡山)、北陽ソフトボールクラブ(中国/鳥取)、安西クラブ(中国/広島)、香長ダイハツ(四国/高知)、東かがわソフトボールクラブ(四国/香川)、安川電機(九州/福岡)、久本寺ベアーズ(九州/長崎)、ブラックス(九州/長崎)、あいハウジングソフトボールクラブ(九州/鹿児島)、福岡大学(九州/福岡)が加わり、そこに開催地からYAMATO(神奈川)が参戦。全国から「日本トップレベル」の精鋭32チームが集結し、「天皇盃」をめざし、熱戦を繰り広げた。
大会はA球場(伊勢原市・いせはらサンシャイン・スタジアム)、B球場(厚木市・厚木市営玉川野球場)、C球場(厚木市・ツユキ及川球技場)、D球場(相模原市・横山公園野球場)の4会場で開催され、初日(20日/土)、1回戦16試合が行われる予定であったが、午後からの降雨により、D球場の第3試合・第4試合の2試合が中止・順延となり、大会2日目(21日/日)から変則的なスケジュールで行われ、予備日(23日/火・祝)を使用して、全日程を終了することが出来た。
大会初日(20日/土)は、日本リーグ勢に各ブロック予選を突破した実業団、クラブ、大学チームが挑む対戦が多く見られ、D球場・第2試合では3人の外国人選手を擁する東かがわソフトボールクラブが日本リーグ所属の豊田自動織機を相手に序盤に3点を奪い、終盤まで2点をリード。最終的には、宮本海斗のソロホームラン、脇長丈のタイムリー等で勝ち越しを許し、3-4で惜しくも敗れたが、日本リーグ勢を相手に唯一「勝機」が見える「大健闘」を見せた。
大会2日目(21日/日)は、前日順延となった1回戦の2試合と、2回戦・準々決勝の13試合が行われ、1回戦を突破した高崎市役所、住吉工業SBC、新見城山クラブ、同志社大学が日本リーグチームに挑戦。
B球場・第2試合では高崎市役所が日本代表選手4人を誇るトヨタ自動車を相手に初回、その日本代表投手・小野寺翔太から安田直希がツーランホームランを放ち、2点を先制。3回表に3本の長短打で逆転され、最後は日本代表・真﨑海斗、佐藤光希に一発を浴び、2-6で敗れ、2回戦突破とはならなかった。
B球場・第3試合では住吉工業SBCが日本エコシステムに「地力の差」を見せつけられる形となり、0-10の4回コールド負け。
C球場・第1試合では新見城山クラブの「エース」平新之介がデンソーを相手に2点を失いはしたものの、11奪三振の好投。打線の援護なく0-2の完封負けに終わったが、見事な戦いを見せてくれた。
C球場・第2試合では「大学勢」で唯一、2回戦に勝ち進んだ同志社大学がジェイテクトと対戦。4回裏、同志社大学が「キャプテン」上野結来のタイムリーツーベースで1点を先制したが、直後の5回表、ジェイテクト打線が同志社大学の「エース」高橋理央をついにとらえ、田宮有貴の2点タイムリースリーベースと、大川竜志のツーランホームランで4点を挙げ、逆転。6回表にも押し出しの死球で1点を追加し、5-1でジェイテクトが勝利。同志社大学の「エース」高橋理央もジェイテクト打線から14三振を奪って見せたが、打線が振るわず、2回戦で姿を消した。
A球場・第3試合では前年度優勝チームであり、「連覇」をめざす平林金属株式会社と一昨年の「覇者」であり、「王座奪還」をめざすHondaが準々決勝で対戦。初回、Hondaが平林金属株式会社の先発・景山蓮の立ち上がりに襲いかかり、1番・川島大空、2番・遠畑光希の長短打と四球で無死満塁の絶好機を作り、チームの中で親しみと尊敬の念を込め、「大将」と呼ばれる坂田大士の二遊間を抜くタイムリーで先取点を挙げ、一死後、6番・高浪雄大の満塁の走者を一掃するライトオーバーのタイムリーツーベースで3点を追加。鮮やかな先制攻撃で初回に一挙4点を奪い、試合の主導権を握った。Hondaは、1点を返された直後の5回裏にも、5番・藤原綜俊、6番・高浪雄大の連続長打等で3点を加え、6回裏にも、一死一・二塁の好機に「大将」坂田大士がレフトの頭上を越えるタイムリーツーベースを放ち、7点差をつけ、6回コールド勝ち。投げては、長井風雅が「強力」平林金属打線をわずか2安打・1失点に抑える好投。11三振を奪い、8-1の圧勝で準決勝に駒を進めた。
B球場・第3試合の準々決勝では、トヨタ自動車と日本エコシステムが対決。先攻のトヨタ自動車は初回、日本エコシステムの先発・岡部樹滉の制球の乱れと杉山喜規のツーランホームラン等で3点を先制。その裏、日本エコシステムも吉村利駆杜、我如古海斗の二者連続ホームランで2点を返したが、2回表、トヨタ自動車は3番・佐藤光希の満塁ホームラン、4番・真﨑海斗のソロホームランを含む8本の長短打を集中し、打者13人を送る猛攻で大量8得点! そのまま11―2で5回コールド勝ちを収め、準決勝進出を決めた。
C球場・第3試合の準々決勝は、デンソーとジェイテクトの対戦となった。後攻のジェイテクトは初回、四球、安打、盗塁等で一死二・三塁の先制機を得ると、4番・天田竣介のレフト前タイムリーで二者が一気に生還。2点を先制し、続く2回裏にも、4番・天田竣介の2点タイムリーと押し出しの四球で3点を加え、5-0とリードを広げた。ジェイテクトは3回裏にも、相手守備の乱れと3番・大川竜志のタイムリーで2点を追加。4回表には、大西泰河のソロホームランで8点目を挙げ、5回表に1点を返されたが、7点差のリードを保ち、5回コールドゲームが成立。8-1でジェイテクトが勝利し、初のベスト4進出。新たな歴史を創った。
大会3日目(22日/月)は、準々決勝1試合と準決勝2試合の3試合がA球場で全て行われ、第1試合の準々決勝は、三重ヴェルデウィンとSAGAダイワアクトが対戦。三重ヴェルデウィンは2回裏、四球、内野安打、盗塁等で無死二・三塁の先制のチャンスをつかみ、6番・北木隆貴のライト線に落ちるタイムリーで二者が生還。勢いに乗る三重ヴェルデウィンは3回裏にも、この回先頭の9番・井上匠がセンターバックスクリーンに運ぶソロホームラン! さらに一死から、四球、3番・芦田翔のライトオーバーのツーベースで二・三塁と攻め立て、4番・上田郁也のレフト線への2点タイムリーでこの回3点目を挙げると、SAGAダイワアクトの「世界No.1サウスポー」ジャック・ベスグローブもさすがに動揺を隠せず、制球を乱し始め、ワイルドピッチと四球で一・三塁とし、次打者の初球で一塁走者が盗塁を仕掛けると、捕手・ジョシュ・マクガバンが三塁へ牽制。この送球が逸れ、外野地域を転がる間に三塁走者に続き、一塁から盗塁を仕掛けた走者までもがホームイン。この回一気に5点を追加した。5回表に、三重ヴェルデウィンの先発・木場田翔也がジョシュ・マクガバンに一発を浴び、6点差とされたが、その裏、上田郁也のソロホームランで再び7点差にリードを広げ、コールド勝ち。想定外の結末でベスト4が出揃った。
準決勝・第1試合は、Hondaとトヨタ自動車の対戦となり、試合が動いたのは4回裏、Hondaは一死から、2番・遠畑光希が二遊間を抜く安打で出塁し、ワイルドピッチ、パスボールで三塁まで進塁。二死後、4番・坂田大士が初球を強振! 打球はセンターの頭上を越えスタンドに飛び込むツーランホームランとなり、「大将」の値千金の一発で貴重な2点を先制した。
一方、トヨタ自動車は初回の二死三塁、6回表の二死二・三塁のチャンスを生かせず、無得点。投げては、小野寺翔太、八木孔輝がHonda打線をわずか3安打に抑えながら、味方打線がHonda・池田空生に要所を締められ、0-2の完封負け。惜しくも決勝進出はならなかった。
準決勝・第2試合は、ジェイテクトと三重ヴェルデウィンが初の決勝進出をかけ、激突した。先攻のジェイテクトは、三重ヴェルデウィンの先発・酒井匠の立ち上がりを捉え、1番・眞茅大翔の二遊間への安打と盗塁、四球で無死一・二塁とし、続く3番・大川竜志の二遊間を抜くタイムリーで二塁走者が一気に生還。次打者のショートゴロで一塁走者がフォースアウトとなり、一死一・三塁となった後、5番・大西泰河にも三遊間を破るタイムリーが飛び出し、この回2点目。ここで三重ヴェルデウィンの「選手兼監督」河野拓郎が、この流れを断ち切るべく「リリーフ俺!」と通告し、自ら登板。しかし……ジェイテクトに傾いた試合の流れを止めることはできず、二死後、連続四死球で押し出しの1点を与えてしまい、さらにワイルドピッチでもう1点を追加され、結局、初回の4点が勝負を決することに……。その後は両チームとも得点なく、4-0のまま試合終了。ジェイテクトが初の決勝進出を決めた。
大会予備日(23日/火・祝)、決勝戦のみを行うこととなったこの最終日(予備日)は、2年ぶりの優勝を狙うHondaと、初優勝をめざすジェイテクトが対戦。ここまでの4試合をすべて一人で投げ抜いてきたジェイテクトの「エース」大西泰河と「リードオフマン」眞茅大翔は、ともにHondaに所属していた選手であり、この両チームが「天皇盃」をかけた大舞台で対戦するという何か「因縁」めいた「運命」を感じる一戦となった。
ジェイテクトはこの試合も「エース」大西泰河が先発し、Hondaは「地元・伊勢原市出身」の池田空生を先発に立て、試合が始まった。
先攻のHondaは初回、1番・川島大空、2番・遠畑光希、3番・福田空脩の3連打で無死満塁の先制機をつかみ、4番・坂田大士がライトへキッチリと犠牲フライを打ち上げ、三塁走者が生還。チームを支え、引っ張る「大将」がここでも勝負強さを発揮し、この回1点を先制した。
無死満塁のピンチを最少失点で切り抜けたジェイテクトはその裏、連続四球で無死一・二塁のチャンスを得ると、一死後、4番・天田竣介のショートへの当たりが相手のエラーを誘い、二塁走者が一気にホームイン! すぐに1点を取り返し、1-1の同点とした。
3回裏からHondaは先発・池田空生に代え、長井風雅をリリーフさせると、ジェイテクト打線が一気に沈黙状態に……。両チームのスコアボードには0が並びながらも、長井風雅の「奪三振ショー」で流れは着実に、確実に、Hondaへと傾いていた。
試合は1-1の同点のまま、延長タイブレークへ突入。Hondaはタイブレークの走者を二塁に置き、2番・遠畑光希の四球で一・二塁とチャンスを広げ、3番・福田空脩のショートを強襲する当たりで二塁走者が一気に生還!なお無死二・三塁の好機が続き、4番・坂田大士の二遊間をしぶとく抜くタイムリーでこの回2点目。「大将」がここでもキッチリ仕事をし、さらに次打者のファーストゴロで一死二・三塁とした後、6番・高浪雄大のレフトへの犠牲フライでもう1点を追加し、この回3点を勝ち越した。
その裏、好投を続けてきた長井風雅がジェイテクトの最後の攻撃も三者連続の空振り三振に抑え、Hondaが2年ぶり6度目の優勝をその手につかんだ。
優勝したHondaは、先発・池田空生、2番手・長井風雅とつなぐ「日本代表投手リレー」でジェイテクト打線をノーヒットに抑え、19三振を奪う圧巻のピッチングを披露。打線も最後はそれに応え、4-1でこの接戦を制し、「天皇盃」に輝いた。