「皇后盃 第77回全日本総合女子選手権大会」が青森県弘前市・平川市で開催された
大会には全国の精鋭32チームが参加。「皇后盃」を手にすべく、激戦が繰り広げられた
「JDリーグ」16チームは予選を免除され、推薦出場
「大学」チームは11チームがブロック予選を勝ち抜いて本大会に臨んだが……すべて1回戦敗退(※写真はインカレのもの)
「日本リーグ」所属チームからは4チームが予選を突破し、本大会へ出場。靜甲株式会社が「唯一」勝利を挙げた(※写真は女子リーグ第3節のもの)
「JDリーグ」「日本リーグ」に所属していないクラブチームはKochi Tamon Nijinoyumeだけが予選を突破し、本大会に出場(※写真は全日本クラブ女子選手権のもの)
「準決勝第1試合」トヨタ レッドテリアーズが切石結女のサヨナラホームランで劇的勝利!
「準決勝第2試合」豊田自動織機 シャイニングベガがマケナ・スミスのサヨナラ安打で熱戦にピリオドを打ち、決勝進出
決勝戦に先立ち、青森県協会・沼澤憲三会長が「日本初」の「セレモニアル ファースト ジャッジ」を行い、試合開始!
熱戦の末、豊田自動織機 シャイニングベガが10年ぶり5回目の優勝!
「地元」青森県弘前市出身の須藤志歩選手が「皇后盃」を手にする感動のシーンも……
去る9月20日(土)~23日(火・祝)の4日間(悪天候のため、1日順延)、青森県弘前市・平川市を会場に「皇后盃 第77回全日本総合女子選手権大会」が開催された。
この全日本総合女子選手権は、日本女子ソフトボールの現トップリーグであるJDリーグをはじめ、日本リーグ、実業団、クラブ、大学の各カテゴリーが「日本の頂点」を競い合う文字通り「国内最高峰の大会」と位置づけられてきたが、昨年(第76回大会)から新たに「皇后盃」の冠を御下賜いただくこととなり、大会の位置づけ、格付けもさらに高いものとなった。
前年度優勝の戸田中央 メディックス埼玉(埼玉)、準優勝のSGホールディングス ギャラクシースターズ(京都)が推薦出場。「JDリーグ」所属の日立サンディーバ(神奈川)、ビックカメラ高崎 ビークイーン(群馬)、Honda Reverta(栃木)、デンソー ブライトペガサス(愛知)、大垣 ミナモソフトボールクラブ(岐阜)、NECプラットフォームズ Red Falcons(静岡)、太陽誘電 ソルフィーユ(群馬)、トヨタ レッドテリアーズ(愛知)、SHIONOGI レインボーストークス(兵庫)、豊田自動織機 シャイニングベガ(愛知)、伊予銀行 ヴェールズ(愛媛)、タカギ北九州 ウォーターウェーブ(福岡)、東海理化 チェリーブロッサムズ(愛知)、日本精工 ブレイブベアリーズ(滋賀)の14チームも予選を免除され、推薦出場(JDリーグ所属の16チームが推薦出場)。
そこに全国各ブロックの予選を突破した富士大学(岩手・東北)、日本体育大学(東京・関東)、山梨学院大学(山梨・関東)、東京国際大学(埼玉・関東)、中京大学(愛知・東海)、立命館大学(京都・近畿)、同志社大学(京都・近畿)、園田学園女子大学(兵庫・近畿)、神戸親和大学(兵庫・近畿)、金沢学院大学(石川・北信越)、日本文理大学(大分・九州)の「大学」11チーム、VONDS市原 Emerald Greem(千葉・関東)、靜甲株式会社(静岡・東海)、平林金属 Peachblossoms(岡山・中国)、MORI ALL WAVE KANOYA(鹿児島・九州)の「日本リーグ」勢4チーム、「JDリーグ」「日本リーグ」どちらのリーグにも属さない「クラブ」チームとして、唯一予選を勝ち上がってきたKochi Tamon Nijinoyume(高知・四国)の計16チーム、総勢32チームによって「日本一」の座が争われた。
大会は初日が悪天候に見舞われ、予定されていた1回戦16試合のうち、半分の8試合しか行えず、第3試合が「サスペンデッドゲーム」(中断された時点から試合を再開)となったことで変則的な大会運営を余儀なくされ、予備日(9月23日/火・祝)を使用し、何とか予定された全試合を終了することができた。
大会は、初日(9月20日/土)、2日目(9月21日/日)の1回戦で推薦出場の「JDリーグ」16チームに、予選を突破し、本大会に勝ち上がってきた「大学」「日本リーグ」「クラブ」の16チームが挑む図式となり、「日本リーグ」プラチナセクションで「単独首位」に立っている靜甲株式会社がタカギ北九州 ウォーターウェーブを破り、「唯一」の白星。5-3で競り勝ち、長き「歴史と伝統」を誇る「日本リーグ」所属チームの「意地」を見せた(靜甲は昨年も「日本リーグ」勢で「唯一」ベスト8進出を果たしている)。
期待された「大学」勢はすべて1回戦敗退。「JDリーグ」「日本リーグ」所属チーム以外で、唯一「クラブ」チームとして予選を勝ち上がってきたKochi Tamon Nijinoyumeも初戦敗退。1回戦を突破した靜甲株式会社も2回戦ではHonda Revertaに1-5で敗れ、3回戦以降は「JDリーグ」勢のみが勝ち残った。
会場はA・B・C・Dの4会場に分かれての戦いとなったが、弘前市「はるか夢球場」を会場とする「Aブロック」に強豪チームが集中。昨年の本大会の「覇者」であり、現在、「JDリーグ」東地区の「首位」を独走する戸田中央 メディックス埼玉。「JDリーグ」3連覇を狙い、「西地区」首位を快走するトヨタ レッドテリアーズ。「レジェンド」上野由岐子を擁し、数々の国内タイトルを手にしてきたビックカメラ高崎 ビークイーン。昨シーズンの「JDリーグ」東地区で初優勝を飾った日立 サンディーバが顔を揃え、強豪ひしめき合う「死のブロック」を勝ち上がったのはトヨタ レッドテリアーズ。初戦の同志社大学戦を7-0で圧勝。2回戦の戸田中央 メディックス埼玉戦では「かつてのエース」後藤希友を攻略。1-1の同点で迎えた6回裏、4本の長短打を集中し、大量5点を奪い、6-2で押し切り、準々決勝では「宿敵」ビックカメラ高崎 ビークイーンの「レジェンド」上野由岐子から「ルーキー」小林楓が「値千金」のスリーランホームランを放ち、3-1で快勝! 準決勝に駒を進めた。
同じく弘前市「岩木山総合公園野球場」を会場とする「Bブロック」では、「JDリーグ」東地区で開幕から勝ち星なしの22連敗と苦しんでいた大垣 ミナモソフトボールクラブが大学ソフトボール界の「名門」にして「強豪」日本体育大学を相手に4-2と競り勝ち、待望の「勝利」を挙げたが、2回戦でNECプラットフォームズ Red Falconsに0-1の完封負け。この試合に勝利したNECプラットフォームズ Red Falconsが準々決勝の伊予銀行 ヴェールズ戦も6-0の完封勝利。3試合連続の完封勝ちでベスト4進出を果たした。
平川市「平賀多目的広場」(野球場)を会場とする「Cブロック」では、「日本リーグ」所属の靜甲株式会社が「JDリーグ」タカギ北九州 ウォーターウェーブに5-3で勝利。「JDリーグ」勢に「唯一」土をつけ、「日本リーグ」勢の「意地」を見せてくれたが、2回戦ではHonda Revertaに1-5で完敗。この試合に勝利したHonda Revertaが準々決勝の太陽誘電 ソルフィーユ戦に5-2で勝利を収め、準決勝進出を決めた。
平川市「平賀多目的広場」(ソフトボール場)を会場とする「Dブロック」では、「上位進出」の「常連」豊田自動織機 シャイニングベガが1回戦、富士大学を相手に終盤2-2の同点に追いつかれる場面もあったものの、その裏すぐに1番・竹中真海の適時二塁打で2点を勝ち越し。4-2で押し切り、2回戦では日本精工 ブレイブベアリーズに9安打を浴びせ、二桁10点を挙げる猛攻で10-0の4回コールド勝ち。準々決勝では一転、SGホールディングス ギャラクシースターズとの息詰まる投手戦を1-0の完封で制し、ベスト4進出。準決勝進出の4チームが出揃った。
予備日(9月23日/火・祝)を使っての準決勝・決勝は、弘前市「はるか夢球場」1会場で実施され、準決勝第1試合はトヨタ レッドテリアーズとNECプラットフォームズ Red Falconsが対戦。NECプラットフォームズ Red Falconsの先発・山本すみれが6安打され、毎回のように走者を出しながらもキャッチャー・清原奈侑の「大胆不敵」で打者の虚をつく巧みなリードもあり、6回まで10三振を奪い、無得点に封じていたが、最終回、力投を続けてきた山本すみれの110球目を3番・切石結女が強振! 快音を残した打球がセンター頭上を越え、フェンスの向こう側へと消えるサヨナラホームラン! 最終回の「一振り」で勝負は決し、トヨタ レッドテリアーズが決勝へ駒を進めた。
準決勝第2試合、Honda Revertaと豊田自動織機 シャイニングベガの対戦は、2回裏、豊田自動織機 シャイニングベガが5番・佐藤友香のレフトスタンドへ運ぶソロホ―ムランで先手を取り、3回裏にはアリー・カーダの突然の制球の乱れに乗じて押し出しで1点を追加。2点差にリードを広げた。
2点を追うHonda Revertaは4回表、二死走者なしから5番・山口未葵がセンター前に落ちる安打で出塁すると、6番・渡邉瑞貴がライトスタンドへ同点のツーランホームラン! 2-2の同点のまま、両チーム一歩も譲らず、試合は最終回を迎えた。
豊田自動織機 シャイニングベガは7回裏、一死から2本の安打と四球で満塁とすると、4番・マケナ・スミスが三遊間を破るサヨナラ安打。「満塁」で「4番」というシチュエーションでも「外野フライ」を狙うのではなく、人工芝のグランドの打球がよく弾む「性質」を利用し、パワーに任せ、思い切り叩きつけた打球が高いバウンドで三遊間を抜け、「歓喜」のサヨナラ! 3-2で粘るHonda Revertaを振り切り、決勝進出を進めた。
トヨタ レッドテリアーズと豊田自動織機 シャイニングベガ、愛知県勢同士の顔合わせとなった決勝は、試合に先立ち、長きにわたる審判員の経験を有する青森県協会・沼澤憲三会長が球審を務め、「始球式」(セレモニアル ファースト ピッチ)ならぬ、日本初の「セレモニアル ファースト ジャッジ」を行い、トヨタ レッドテリアーズの先発・成瀬結衣が「セレモニアル ファースト ピッチ」として投じた投球を、高らかに「ストライク」と判定。「日本一」を決める試合、「決勝」の試合開始に華を添えた。
試合は決勝にふさわしい力の入った試合となり、両チーム無得点で迎えた4回表、前のイニングから先発・成瀬結衣に代わり、登板していたメーガン・ファライモをとらえ、「ご当地」青森県弘前市出身の3番・須藤志歩がライト線を鋭く破る三塁打で先制のチャンスメイク。続く4番・マケナ・スミスが積極的に初球を狙い、「力」でショート後方に落とす先制のタイムリーを放って先取点を挙げ、二死後、6番・池上桃花のライトへの大飛球がランニングホームランとなり、この回一挙3点を先制。試合の主導権を握った。
一方、3点を追うトヨタ レッドテリアーズは5回裏、一死から3番・切石結女が準決勝のサヨナラホームランに続く「2試合連発」となるソロホ―ムランを左中間最深部に突き刺し、1点を返した。ここで豊田自動織機 シャイニングベガベンチが投手交代を決断。先発・ダラス・エスコベドをスパッと代え、左腕・山下千世を投入。この投手交代が功を奏し、山下千世が最後までトヨタ レッドテリアーズ打線に追加点を許さず、3-1で逃げ切り、10年ぶり5回目となる「栄冠」を手にした。
閉会式・表彰式では、「ご当地」青森県弘前市出身の須藤志歩選手が「皇后盃」を手にする感動的なシーンもあり、4日間にわたる大会は豊田自動織機 シャイニングベガの優勝で幕を閉じた。