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「ニトリ JD.LEAGUE 2022」第14節をふり返って
ポストシーズン出場チームがすべて出揃い、戦いはクライマックスへ……

「ニトリ JD.LEAGUE 2022」は第14節を終了! 「東地区」ではビックカメラ高崎 ビークイーンの「地区優勝」が決定!!

今節も全国4会場で熱戦が展開された

「足利ラウンド」では「ホーム」のホンダ リヴェルタの「ワイルドカード」獲得が決定!

「掛川ラウンド」では今シーズン限りで「現役引退」する「Legend」に「古巣」から惜別のエールが……

グラウンドを注視する公式記録員の皆さん。グラウンド上で起こる「すべて」を「正確」に記帳すべく奮闘している

選手交代をスムーズに! 審判員、記録員、場内アナウンス、チーム……全員が協力し、連携を深めた

「掛川ラウンド」を支えてくださった公式記録員の皆さん

「ソフトボール」は選手・チームだけでは成り立たない。大会を支えるたくさんの皆さんに感謝し、それを「支える側」にもなってほしい

「北九州ラウンド」を支えてくださった審判員・記録員・大会運営スタッフの皆さん

「ニトリ JD.LEAGUE 2022」最初のシーズンもいよいよクライマックス! さらなる盛り上がりを期待!!

 去る10月15日(土)・16日(日)、「ニトリ JD.LEAGUE 2022」第14節が、「東地区」は栃木県足利市・静岡県掛川市の2会場で、「西地区」が愛媛県松山市・福岡県北九州市の2会場で開催された。

 「東地区」栃木県足利市・ジェットブラックフラワーズスタジアムで開催された「足利ラウンド」では、「東地区」首位を走るビックカメラ高崎 ビークイーンが初戦の大垣ミナモ戦で工藤環奈が2打席連続の本塁打。「ホームランダービー」トップに並ぶ第9号、第10号を連発する活躍を見せ、藤田倭、内藤実穂の「金メダリスト」にも本塁打が飛び出す等、10安打12得点と打線が爆発! 12-1で大勝し、「地区優勝」に「王手」をかけると、続く戸田中央 メディックス埼玉戦では初回に松本怜奈、内藤実穂の長短打であっさり先取点を挙げ、終盤6回表には代打・山内早織のスリーラン等で決定的な4点を追加。このリードを先発・濱村ゆかりが被安打3・奪三振11の好投で守り切り、5-0の完封勝利。最終節(第15節)を待たずに「東地区優勝」を決めた。
 この「足利ラウンド」では、「ホーム」のホンダ リヴェルタがジェイリン・フォード、アリー・カーダの「現役アメリカ代表コンビ」「左右の外国人投手二枚看板」を惜しげもなく投入する継投策で戸田中央 メディックス埼玉に3-0、大垣ミナモに4-1と連勝。通算成績15勝12敗と星を伸ばし、「ワイルドカード」(「東地区」「西地区」の4位で勝率が高いチームに「プレーオフ」進出の権利が与えられる)での「プレーオフ」進出を決めた。
 戸田中央 メディックス埼玉、大垣ミナモは今節連敗。戸田中央 メディックス埼玉は10勝17敗で同率6位、大垣ミナモは9勝18敗で「東地区」最下位に転落してしまった。

 「東地区」静岡県掛川市・いこいの広場野球場で開催された「掛川ラウンド」では、すでに「プレーオフ」進出を決めている2位・デンソー ブライトペガサスと3位・日立 サンディーバの「直接対決」が組まれ、日立 サンディーバが2-0の完封勝ち。続く太陽誘電 ソルフィーユ戦にも5-0と2試合連続の完封勝利で通算成績19勝8敗とし、「同率2位」に浮上。その日立 サンディーバとの「直接対決」に敗れたデンソー ブライトペガサスは2戦目のNECプラットフォームズ レッドファルコンズ戦は代打・榎本千波のツーランホームランが決勝点となり、2-1で辛勝。こちらも通算成績19勝8敗の「同率2位」で最終節(第15節)を迎えることになった。
 「ホーム」のNECプラットフォームズ レッドファルコンズは今節1勝1敗。「サマーブレイク」開けの第12節~第14節の6試合で4勝2敗と勝ち越し、10勝17敗で「同率6位」に順位を挙げ、最下位脱出に成功した。
 太陽誘電は今節も連敗。前節(第13節)から手痛い4連敗で「ワイルドカード」争いから脱落。「プレーオフ」進出を逃がし、12勝15敗で5位となった。

 「西地区」愛媛県松山市・坊っちゃんスタジアムでの「松山ラウンド」では、すでに「地区優勝」を決めているトヨタ レッドテリアーズが、初戦のシオノギ レインボーストークス兵庫戦を0-3で落としたものの、続く東海理化 チェリーブロッサムズ戦は先発・後藤希友、今シーズン限りで「退団」を表明しているモニカ・アボットとつなぐ投手リレーで相手打線をわずか1安打に抑え込み、13三振を奪う等、5-0で完勝。通算成績22勝5敗とした。
 「サマーブレイク」開けの第12節から「無敗」の快進撃を続けるシオノギ レインボーストークス兵庫は、今節も快調に連勝。「西地区」優勝を決めているトヨタ レッドテリアーズを相手に古藤優実のスリーランホームランで3点を奪い、千葉咲実、吉井朝香とつなぐ投手リレーで最後まで得点を許さず、3-0の完封勝利。続く伊予銀行 ヴェールズ戦も古藤優実の「2試合連発」となる本塁打で先手を取り、その後も小刻みに得点を挙げ、3点をリードすると、吉井朝香が5安打されながらも要所を締め、この試合も3-0の完封勝ち。今節連勝で「サマーブレイク」開け6連勝の快進撃。通算成績13勝14敗としたのだが……エンジンのかかりが少しばかり遅かったか、「東地区」4位のホンダ リヴェルタが15勝目を挙げてしまったことで、シオノギ レインボーストークス兵庫が最終節(第15節)残り2試合に「全勝」し、ホンダ リヴェルタが「全敗」して15勝14敗の「同率」で並んだとしても、「交流戦シリーズ」でシオノギ レインボーストークス兵庫はホンダ リヴェルタに0-4で敗れているため、ホンダ リヴェルタの「ワイルドカード」獲得が確定。シオノギ レインボーストークス兵庫の快進撃、猛追及ばず……「ワイルドカード」争いは決着をみた。

 「西地区」福岡県北九州市・北九州市民球場での「北九州ラウンド」では、開催前日の10月14日(金)に第12節「宮崎ラウンド」で雨天順延となっていた2試合が振替試合として実施された。
 その振替試合として実施されたタカギ北九州 ウォーターウェーブ対豊田自動織機 シャイニングベガ戦で、豊田自動織機 シャイニングベガが1-0の完封勝利。15勝目を挙げたことで「西地区」3位以上が確定(4位につけるシオノギ レインボーストークス兵庫が残り試合に「全勝」しても通算成績15勝14敗で「同率」に並ぶことしかできず、両チームの「直接対決」で豊田自動織機 シャイニングベガが2勝1敗と勝ち越しており、豊田自動織機 シャイニングベガの順位が上となり、順位逆転の可能性がなくなったため)。「プレーオフ」進出が決まった。
 豊田自動織機 シャイニングベガは続く2位・SGホールディングス ギャラクシースターズとの「直接対決」に0-2の完封負けを喫したものの、最終戦の日本精工 ブレイブベアリーズ戦に5-0と快勝。通算成績16勝10敗で3位は変わらず。
 2位・SGホールディングス ギャラクシースターズは振替試合の日本精工 ブレイブベアリーズに3-2で競り勝ち、続く3位・豊田自動織機 シャイニングベガとの対戦も2-0の完封勝ち。最終戦のタカギ北九州 ウォーターウェーブ戦で山科真里奈が2本の本塁打を放つ活躍を見せたものの、激しい点の取り合いの末、6-7のサヨナラ負け。今節2勝1敗で17勝9敗の2位と順位に変動なし。
 東海理化 チェリーブロッサムズは今節勝ち星なしに終わり、6勝21敗で最下位に転落。
 「ホーム」開催のタカギ北九州 ウォーターウェーブは、振替試合の豊田自動織機 シャイニングベガ戦で息詰まる投手戦を展開しながら0-1で敗れたものの、続く日本精工 ブレイブベアリーズは土壇場の最終回、兼平真咲、細見真由の長短打で試合をひっくり返し、4-3の逆転サヨナラ勝ち。最終戦のSGホールディングス ギャラクシースターズ戦は両チーム合わせて21安打、4本塁打が飛び交う激しい点の取り合いとなったが、前日の日本精工 ブレイブベアリーズに続き、細見真由が劇的なサヨナラ安打。2試合連続でサヨナラ安打を放つという「神がかり」的な活躍で今節2勝1敗、通算成績6勝20敗で消化試合数に差異はあるものの、「勝率」で東海理化 チェリーブロッサムズを上回り、最下位脱出を果たした。
※第14節終了時点での戦績表はこちら

 第14節を終え、ポストシーズン(ダイヤモンドシリーズ・プレーオフ)出場チームがすべて出揃った。「東地区」「西地区」ともに「地区優勝」のチームが決定し、「ワイルドカード」(両地区4位で勝率の高いチーム)が「東地区」4位のホンダ リヴェルタとなったことで「西地区」3位のチームがまずこの「ワイルドカード」のチームと対戦する試合方式となり、1試合多く戦わなくてはならない。「西地区」2位と3位では「プレーオフ」を戦う「条件」が異なってくることを考えると、できれば「2位」で「プレーオフ」に駒を進め、「西地区」3位チームと「ワイルドカード」の勝者を待ちたいところだ。
 逆に「東地区」では、すでにレギュラーシーズンで3試合を戦ったチーム同士の「2位」「3位」が対戦し、「プレーオフ」を勝ち上がっても、同じ「東地区」で優勝したチームとダイヤモンドシリーズのセミファイナル(準決勝)で対戦することになる。同地区内でレギュラーシーズンすでに3試合を戦い、手の内を知り尽くした相手との戦いとなるため、レギュラーシーズンでの「結果」を覆し、「下剋上」を成し遂げていくには、シーズン中の戦いにはなかった「+α」が必要になる。
 ちなみに、旧・日本リーグでは、ソフトボール「独特」の「ページシステム」(敗者復活戦を含むトーナメント)で最終順位を決定する「決勝トーナメント」が行われていた(レギュラーシーズン1位・2位のチームは、一度敗れても「敗者復活戦」に回る「権利」を有しており、「本当に強いチームが勝つ」可能性が高い試合方式が採用されていた。いわゆる「番狂わせ」は起こりにくく、最終的には「実力通り」の結果で優勝チームが決定するケースがほとんどだった)。現在、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の「世界選手権」が「ワールドカップ」の名称に切り替わってからは「ページシステム」は採用されておらず、今ではあまりお目にかかることのない試合方式になってきているが、従前はソフトボールの国際大会といえば「ページシステム」で優勝を決定する試合方式が一般的で、その国際大会、世界選手権での戦いを見据え、その戦い方に慣れておく、そのための戦術・戦略を磨く……といった意図あり、旧・日本リーグの決勝トーナメントにも採用されていた。
 この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」のポストシーズン(ダイヤモンドシリーズ・プレーオフ)は一発勝負のトーナメント。野球、ソフトボールという競技・スポーツが「番狂わせ」の多いスポーツ(野球、ソフトボールでは良い選手の一つの指標・目安として「3割打者」という言葉がよく使われるが、他の競技・スポーツで成功率「3割」で評価されることはほとんどない。このことが象徴するように確率的な部分で「番狂わせ」の多いスポーツであるといえる)であることを考えると「一発勝負」ならではの「大番狂わせ」「下剋上」は大いにあり得る。
 「東地区」優勝のビックカメラ高崎 ビークイーンを除く、ポストシーズン進出チームすべてが強力な「外国人投手」を擁しており、相手打線を抑え込み、1点取れば……というゲームプランの遂行が可能な状況にある。相手打線を「0」に抑えているうちは絶対に負けることはない。「好投手あるところに覇権あり」の言葉にもあるように、ソフトボールという競技・スポーツにおいて「頂点」に立つには「投手力」がモノを言う。裏を返せば、その好投手たちをいかに打ち崩すか……がカギであり、それを「実行」できたチームが「ニトリ JD.LEAGUE 2022」の記念すべき最初のシーズン、「初代グランドチャンピオン」へと近づくことになる。
※「ニトリ JD.LEAGUE 2022」プレーオフ、ダイヤモンドシリーズの試合方式はこちら

 この第14節「掛川ラウンド」では、デンソー ブライトペガサスと日立 サンディーバの試合終了後、今シーズン限りでの「現役引退」を表明した山田恵里選手に向け、対戦相手の日立 サンディーバの応援団が、スタンドいっぱいに山田恵里選手への「感謝」の想いを記した横断幕、メッセージボードを掲げ、「エール」が贈られ、これには山田恵里選手も感極まり、涙する……といった感動的なシーンも見られた。日立 サンディーバは山田恵里選手が旧・日本リーグでデビューし、昨シーズン、デンソー ブライトペガサスへ移籍するまで長年プレーした「古巣」のチーム。敵・味方に関係なく、この「ソフトボール」という競技・スポーツの「顔」として、「象徴」として、プレーを続け、引っ張ってきてくれた「Legend」に敬意と感謝を込めた「エール」と「感謝のメッセージ」が贈られたことに胸が熱くなった。

 シーズンクライマックスを迎え、今節も各会場でチーム・選手はもちろんのこと、審判員・記録員、大会運営スタッフの皆さんが東奔西走、奮闘してくれた。今シーズン「深めてきた」審判員、記録員、場内アナウンスの「連携」は見事な「進化」を遂げ、審判員は選手交代を「無線」を使って告げるだけでなく、時には大きなジェスチャーを交え、時にはチームとも協力して選手交代ボードも活用する等、スムーズな試合進行を演出していた。
 前節(第13節)、長野県伊那市で「伊那ラウンド」が開催されたが、長野県を含む北信越地区では「場内アナウンス」に力を入れており、北信越ブロック内の大会を相互に視察・研究したり、どうすればよりスムーズに試合を進行させ、効果的でわかりやすいアナウンスができるか日々研鑽を積み、大会に備えているという。「場内アナウンス」一つで試合の進行が滞り、試合の盛り上がりやひいては試合の流れさえ変えてしまう可能性がある……その「責任感」と自らの役割を全うしようという「情熱」に支えられ、日々「進化」「進歩」をめざして。
 大会を支える「裏方」の皆さんも、この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」を何とか成功させたい、それを通じてもっともっと「ソフトボール」という競技・スポーツを盛り上げていきたいとの思いから懸命の取り組みを続けてくれているのである。

 競技人口・チーム登録数の減少、審判員も記録員も「後継者」が少なく頭を悩ませている。この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」でプレーする選手たちも、いつか「現役」を離れるときがくる。そのとき「ソフトボール」からも離れてしまうのではなく、何らかの形で「ソフトボール」との関りを持ち、続けていってほしいと思う。
 チームスタッフとして選手経験を活かす道もある。あるいは審判員、記録員に転身し、再びこの「JD.LEAGUE」の舞台や「世界」をめざしてみるのもいいかもしれない。トップレベルでプレーした経験は、審判員としても、記録員としても必ず生きるはずである。もちろん、指導者としてその技術や経験を伝えていくことも大切な役割ではあるが、「ソフトボール」を支えていく道はいろいろあり、様々な形で支えていくことが可能であることを今一度考えてほしいと思う。JD.LEAGUEのみならず、日本リーグ、大学生……自らが「好き」で「愛した」スポーツを、生涯にわたって「好き」でいてほしいし、「愛し続けて」ほしいと心から願う。そして、今、その「好き」と「愛」のある人たちが「ソフトボール」を支えていかなければ、ソフトボールの「未来」は危ういものとなりつつある。いや……すでに「危機的状況」に陥っているという「現実」を知り、それを受け止め、その解決のために今すぐにでも動かなくてはならない状況にある。目の前のことだけでなく……「ソフトボール」を好きだからこそ、愛するからこそ、その「未来」「将来」のことも真剣に見つめ、考え、その力を、経験を、「ソフトボールのために」役立て、「恩返し」していくような道を探してもらえれば……と思う。

 3月に開幕し、長いシーズンを戦ってきた「ニトリ JD.LEAGUE 2022」もいよいよクライマックス。レギュラーシーズンは最終節(第15節)を残すのみとなり、ポストシーズン(プレーオフ、ダイヤモンドシリーズ)を戦い、「初代グランドチャンピオン」が決まることになる。

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