ブロンズメダルゲームで、アメリカと再戦!
「全試合登板中」の池田空生を先発に立てた
3回裏、4番・真﨑海斗の犠牲フライで先制したが…
1点を追うアメリカが次第に「本領発揮」。
5回表「グランドスラム」を浴びせ、逆転!
大会はベネズエラの ″初優勝!″ で閉幕。
次へ、未来へ進む「具体的な取り組み」を‼
「WBSC第18回男子ソフトボールワールドカップ ファイナル」最終日、前日のスーパーラウンド第2戦・ニュージーランド戦を3-8と「痛恨の5点差」で落とし、3チームが同率で並んだ場合の順位決定法「TQB」(※チームクオリティバランス)により「スーパーラウンド3位」となった男子TOP日本代表は、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)へ。スーパーラウンド4位・アメリカとの「最後の決戦」に挑んだ。
大会第6日(最終日)/7月13日(日)
ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | R | |
アメリカ | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 3 | 3 | 10 |
日 本 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
日本:●池田空生(5回0/3)、小野寺翔太(2回)ー片岡大洋
日本の先発投手は、「エース」池田空生。前日のニュージーランド戦は先発登板を回避したものの、今大会「安定感のあるピッチング」で試合を作り続け、江口真史ヘッドコーチも「信頼」を寄せる右腕が ″世界屈指の強力打線″ アメリカに再び挑んだ。
先手を取ったのは、日本。3回裏、一死から2番・森田裕介が四球で出塁。3番・八角光太郎が三遊間へ鮮やかに流し打ち、一塁走者が一気に三塁まで進塁。一死一・三塁とすると、4番・真﨑海斗がセンターフェンス際まで運ぶ犠牲フライを放ち、三塁走者がタッチアップからホームイン! 1点を先制した。
しかし、アメリカも当然このまま黙っているチームではない。1-0と日本1点リードのまま迎えた5回表、この回先頭の5番打者がセンター前にクリーンヒット。「チーム初安打」で出塁。6番打者が手堅く犠打で走者を進め、一死二塁。7番打者、8番打者は連続四球で一死満塁と塁上が埋まり、9番打者は空振り三振、二死となったが……1番打者がレフトスタンドへ「満塁ホームラン」。「一振り」で4-1と試合をひっくり返した。
アメリカは続く6回表にも、無死一・二塁から6番打者が左中間へ「スリーランホームラン」。3点を追加。7回表には代わった日本の2番手・小野寺翔太から、2番打者が右中間最深部に突き刺す「ツーランホームラン」。3番打者も「二者連続ホームラン」を叩き込み、3点を加え、そのまま「10-1」の大差で完勝。勝利したアメリカが前回大会に続き「第3位・ブロンズメダル」を獲得。敗れた男子TOP日本代表は「最終順位・第4位」に終わり、 ″2019年第16回大会以来のメダル獲得″ はならなかった。
「第18回男子ソフトボールワールドカップ ファイナル」最終日は、この日本 vs アメリカのブロンズメダルゲーム(3位決定戦)の後、ワールドチャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)「ベネズエラ vs ニュージーランド」が行われ、スーパーラウンド1位のベネズエラがスーパーラウンド2位のニュージーランドを、オープニングラウンドでの対戦(7-2でベネズエラが勝利)に続き「3-0」と撃破! 「ワールドカップ初優勝」を手にし、「140㎞/h」に達する「快速球」で好調・ニュージーランド打線を完封した「エース」マイカー・ピメンテルが「大会MVP」に選出された。
今回、男子TOP日本代表チームの「ワールドカップ ファイナル」への挑戦は「第4位」という最終成績で幕を閉じた。
″進化″ を続ける男子ソフトボール。「世界のTOP8」が「最高レベル」の激闘を繰り広げるにあたり「極めて厳しい結果もあり得る……」と予想される中、選手・スタッフは「今、持てるすべての力」を出し切り、よく戦い抜いた。
オープニングラウンドで ″優勝候補″ アメリカから勝利をもぎ取り、 ″前回チャンピオン″ オーストラリアにも「世界に衝撃を与える!」コールド勝ち。スーパーラウンド・ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)は、最後は「力尽きる」形になったものの、優勝したベネズエラからも5-1と勝利をつかんで見せてくれた。悲願の優勝・世界一には辿り着けず、メダル獲得にも「あと一歩」届かなかったが……その「果敢なチャレンジ」「堂々たる戦いぶり」は賞賛に値するものだったと言えるだろう。
大会前の展望でも記したことだが、もっとも大切なことは「自らの戦いをどう振り返り、『次』に活かせるか」である。この「第4位」という成績を、選手・スタッフ、協会、関係者がどのようにとらえ、何を思い、考えるか。「新たなスタート」はそこからはじまり、次なる「具体的な一歩」、その「地道な積み重ね」が……日本男子ソフトボールの未来へつながっていくことをもう一度ここで強調しておきたい。
今大会「エース」として「全試合に登板」した池田空生。その「踏ん張り」「安定感」の裏には、本来のスタイル(ライズボール(浮き上がるような変化球)をウイニングショットにもってくる組み立て)を変え、「国際大会仕様のピッチング」(ライズボールに強い海外の打者の傾向を逆手に取り、ドロップボール(膝元に落ちる変化球)を絶妙のコース・高さに駆使。よりハッキリ、しっかり『高低』に投げ分け、『打者に的を絞らせないこと』に重点を置く)へシフトチェンジした「柔軟な発想」「臨機応変かつ繊細な対応力」がある。
試合を重ねるにつれ「アジャスト力」が高まり、戦前の予想を覆して「世界一線級の投手に痛打を浴びせた」打線の活躍の裏にも、ベテラン・森田裕介の ″5年に及ぶ海外武者修行″ を経て、培われた「経験・技術の伝承」(世界の『トップオブトップ』を常に意識し、イメージすること。打撃では第一に立ち遅れをなくし、ボールの軌道にバットを入れる。日本国内のように振り回すのではなく、よりコンパクトに、シャープに打ち返す技術の重要性を説いた)があった。
こういった今回の収穫、今後への課題を、男子TOP日本代表チームとして(日本男子ソフトボールとして)どう「集約」し、いかに「次」につなげていくかが……何より重要なポイントになる。
″今大会4位に食い込めたのだから、次は優勝を狙える。世界一になる日も近いぞ!″
誰しもそう、期待したいところではあるのだが……ここはあえて「現状維持のままではいけない! 世界一を競う舞台は、決して甘くない!!」と繰り返しておく。
戦力・実力的に「日本より上」のチームは、まだまだ存在している。
″たとえ負けても、4点差以内なら決勝に進める″ その「かつてないアドバンテージ」を手にしていても、「5点差をつけられ、敗れてしまった……」あのニュージーランド戦の「悔やみきれぬ敗戦」を忘れることなく、胸に刻み込み、また「一からスタートする」必要があると……私自身心から感じる。
選手・スタッフ一丸となって挑んだ男子TOP日本代表チームの「懸命の戦いぶり」に賞賛の拍手を送りつつ、「次」へ向けた取り組みを!
「未来」を見据えた ″具体的なアクション″ に着手しなければならない。
●文・写真
男子TOP日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)