いよいよ大会もクライマックス。
決勝戦前に行われた「3位決定戦」では
メキシコが勝利し、「ブロンズメダル」獲得!
いざ! アメリカとの優勝決定戦へ !!
日本が3回表に2点を先制したが…
その裏、 ″守備の乱れ″ から逆転を許してしまう
アメリカがホームで「大会5連覇」の偉業達成
この経験を「次」へ、「未来」へ… つなげて!
選手たちのさらなる成長・進化を心から願う
「WBSC第15回女子U18ソフトボールワールドカップ ファイナル」第5日、いよいよ大会もクライマックス(最終日)を迎え、前日のスーパーラウンド最終戦・中国戦に5-0で快勝し、スーパーラウンド2位で「ワールドチャンピオンシップファイナル」(優勝決定戦)進出を決めた女子U18日本代表は ″大会4連覇を継続中″ の ″宿命のライバル″ アメリカと世界一の座をかけ再戦することになった。
大会第5日/10月1日(水)
ワールドチャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | R | |
日 本 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
アメリカ | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 3 | x | 7 |
日本:●山本心音(3回)、藤原真優美(2回2/3)、村瀬珠己(1/3回)-加減夢華
〔三塁打〕藤原真優美
先攻の日本は初回、一死から2番・小賀唯美がスラップでサード前に転がし、俊足をとばして一塁セーフ! 続く3番・加減夢華の打席で二塁盗塁を仕掛けたが、「離塁アウト」を宣告され、二死走者なしに。3番・加減夢華は空振り三振に倒れ、無得点に終わった。
日本の先発投手はスーパーラウンド初戦(アメリカとの一戦目)で ″決勝での再戦を見据え温存″ した山本心音。その裏、アメリカ打線に対して四球、死球で無死一・二塁。3番打者は送りバントで一死二・三塁。4番打者にも死球を与えてしまい、いきなり満塁の状況を背負ったが、5番打者を空振り三振、6番打者をセカンドゴロに打ち取り、ピンチを脱出! 大事な立ち上がりを「なんとか0」で凌いだ。
2回も日本、アメリカともに得点を挙げられず、0-0。試合が動いたのは3回表、日本はこの回先頭の7番・藤原真優美がライト頭上を越えるスリーベース! 高めのライズボールに上手くバットをかぶせて打った「技あり」の三塁打でチャンスメイクすると、8番・野田愛紗もピッチャー前のバントで一塁に生き、無死一・三塁。盗塁で二・三塁とした後、9番・中西華の打席でスクイズ(ヒットエンドラン)を敢行したが、サードファウルフライとなり、一死二・三塁。しかし、続く1番・石川まゆはがライト線に落ちるタイムリーを放ち、二者が還り、2点を先制した!
だが、「ホームで負けることなど許されない」アメリカもその裏、先頭の2番打者が火の出るような強烈な当たりのセンター前ヒットで出塁し、すかさず二塁盗塁(※キャッチャー・加減夢華の送球がやや一塁側に逸れ、送球を受け、タッチしたセカンド・小賀唯美のプレーが進路をふさいだとして『走塁妨害』の判定。セーフとなった)。3番打者は四球で一・二塁、4番打者のファーストゴロで走者がそれぞれ進塁し、一死二・三塁となり、5番打者は空振り三振に倒れ二死となったが、6番打者の ″打ち取られた″ と思われたファーストゴロが「セーフ」の判定(※ファースト・佐藤絵鈴が『オレンジベース』しか踏んでおらず、セーフの判定となった)。その間に三塁走者が還り、1点を返し、なお二死二・三塁から7番打者がレフトへタイムリー! 2-2の同点に。さらに続く二死二・三塁のチャンスで8番打者が三遊間を破り、3-2と試合をひっくり返した。
こうなると「試合のペース」はアメリカ。息を吹き返し「俄然勢いづく!」状態となり、日本は続く4回裏にも投手交代した藤原真優美(DP・藤原真優美がFP・山本心音のピッチャーの守備を兼務し、登板)が一死二・三塁からワイルドピッチで1点を献上してしまい、2-4。終盤6回裏にも二死満塁のピンチを背負い、5番打者に右中間を深々と破る走者一掃のタイムリーツーベースを浴びて「決定的な3点」を奪われ……そのまま2-7で敗戦。スーパーラウンドのリベンジとはいかず、「守備のミス」から失点、傷口を広げてしまい……今大会「準優勝」に終わることとなった。
「WBSC第15回女子U18ソフトボールワールドカップ ファイナル」最終日は、この日本 vs アメリカの優勝決定戦の前に「ブロンズメダルゲーム」(3位決定戦)が行われ、メキシコ(スーパーラウンド4位)と中国(スーパーラウンド3位)が対戦。メキシコが11安打を放つ「打線の活躍」で中国を4-2と撃破し、「第3位」の座をつかんだ。全8チームの最終順位は優勝・アメリカ、準優勝・日本、3位・メキシコ、4位・中国、5位・カナダ、6位・チェコ、7位・プエルトリコ、8位・チャイニーズ・タイペイとなり、「開催国・アメリカ」は「大会5連覇」(※2015年第11回大会・2017年第12回大会・2019年第13回大会・2021年第14回大会・2025年第15回大会と5大会連続優勝)の偉業を成し遂げた。
今大会も ″日本とアメリカの一騎打ち必至″ 戦前からそう展望を立て、実際にその対戦カードは「スーパーラウンド1戦目」そして「決勝戦」と二度訪れた。
結果は「4-5」「2-7」のスコアで連敗。日本が太刀打ちできないと感じるほど「アメリカに圧倒されたわけではない」が、事実として、最大のライバルから1勝も挙げることができず閉幕を迎える形になってしまった。
日本がアメリカに勝つための条件、大前提として「投手陣の奮起」「日本伝統の堅守で失点を最小限に食い止める」ことを掲げていたものの、守備の乱れから失点……。「本来果たすべきことをやれなかった」日本に勝利の女神が微笑むほど勝負の世界は甘くなく、まだU18とはいえ、改めて、身を持って、「世界の舞台で勝つことの厳しさ」を痛感した今回の「ワールドカップ ファイナル」であった。
あえて何度も繰り返すが、このU18というカテゴリーはまだジュニア世代であり、選手育成・強化の趣旨からすると ″ゴール″ ではなく「通過点」にあたるものである。
このような舞台での「リアルな実体験」を通して、各々が何を感じ、考え、自らをどう振り返るか(自身をどう見つめ直すか)、そして未来に向けて「次なる具体的な一歩」を踏み出せるか否かが「何より大切になる」ことを、先の男子ワールドカップ ファイナル(※今夏(7月8日~13日)カナダ・プリンスアルバートを舞台に開催され、男子TOP日本代表は第4位に終わった)に続き強調したいと思う。
また、もう一つ、忘れてはならない重要な要素として「常に基準を世界レベルに設定し、その先の『トップオブトップ』まで見据える」広く、大きなビジョンを挙げたい。
特にこの日本代表チーム(世界の頂点を狙うチーム)においては、「世界を知る」こと、「国際大会ならでは」を「熟知する」ことが必要不可欠であり、ジュニアカテゴリーは第一に革ボールへの慣れ、そこから日本とは違う相手の特徴やプレースタイルを学び、海外特有のストライクゾーンやルールの適用・審判のジャッジ、グラウンドコンディションの違い等々……事前の「入念な対策」が欠かせない。このあたりは現場のコーチングスタッフが指導にあたるのは当然のことながら、「世界の舞台の厳しさを直接肌で感じてきた者」たちの「生の声」をもっと届け、その貴重な「経験・技術」を「伝承」していかなければならないと切に感じる。
アメリカとの二度目の対戦にも敗れてしまったがゆえに、今後の課題に終始するところは致し方ないが……次代の ″TOP日本代表″ をめざす彼女たちの「本当のソフトボール」はここからはじまる。
勝負の世界、ましてトップレベルの戦いに挑む以上、そこに「厳しさ」は必ず伴ってくる。
下を向いたり、諦めたりしてしまうのではなく、それぞれが今日より明日へ「前進すること」「成長すること」を胸に留め、これからも「ソフトボールの真髄」を追求・探求していってもらいたい。
歴代の名だたる先輩たちが、このジュニア世代の世界選手権もしくはワールドカップをキッカケに「飛躍することができた」と語っている。これまでにない刺激を受け、心から「もっと上手くなりたい! 上をめざしたい!! 」と感じ、本当の意味で「トップレベルをめざす覚悟が固まった」と。
2025U18ワールドカップ準優勝という大会成績に加え、選手たちの中にそのような「真のJAPANプライド」が芽生え、さらに「成長・進化」し、いずれTOPカテゴリーのワールドカップ、オリンピックの大舞台で「花開いてほしい!」と願う。
●文・写真
女子U18日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)