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ニュース 女子GEM3(U18)

◆WBSC第15回女子U18ワールドカップ ファイナル 【現地レポート③】

日本、王者・アメリカとの「全勝対決」に4-5で「惜敗」。
決勝進出をかけ、中国とのスーパーラウンド最終戦へ……

大会は、いよいよスーパーラウンドに突入。
試合前「ファーストピッチセレモニー」に立った
宇津木麗華チームリーダー

″全試合先発中″ の山本心音ではなく、
藤原真優美を「実質的な先発投手」に

序盤3回を終え、4-2とリードしたが…

ジリジリとアメリカ打線に追い上げられ、7回表、
「要警戒打者」アスペン・ボールウェアに「会心」
の勝ち越しソロホームランを浴びてしまう

次の中国戦に勝ち、必ずや、アメリカとの再戦を!

アメリカ戦ハイライト
女子U18日本代表

アメリカ戦ハイライト

 「WBSC第15回女子U18ソフトボールワールドカップ ファイナル」第3日、大会はこの日からスーパーラウンド(2次リーグ)に突入。前日のダブルヘッダー(メキシコ戦・プエルトリコ戦)に連勝し、オープニングラウンド「3戦全勝」「グループB1位通過」を決めた女子U18日本代表は、スーパーラウンド初戦で「大会4連覇を継続中」の王者・アメリカと激突。アメリカも日本と同じくここまで3戦負けなし。グループAを「貫禄の強さ」で駆け抜けた「宿敵」との一戦に注目が集まった。

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大会第3日/9月29日(月)
スーパーラウンド第1戦

1 2 3 4 5 6 7 R
アメリカ 1 0 1 0 2 0 1 5
日  本 2 0 2 0 0 0 0 4

日本:長友彩莉、藤原真優美(4回)、●佐藤絵鈴(3回)-加減夢華

 日本はこの試合、ここまで全試合に先発し ″エース的役割″ を担ってきた山本心音の登板を回避。スターティングラインアップにはFP(投手)・長友彩莉と記し、試合開始直後、DP・藤原真優美がピッチャーの守備を兼務。藤原真優美が「実質的な先発投手」となる起用法に出た。
 しかし、その藤原真優美が立ち上がり、アメリカ打線に対して一死からショート内野安打を許すと、一塁走者がすかさず盗塁。これにキャッチャーの二塁悪送球が絡み、三塁に進塁され、3番打者は四球で一・三塁。続く4番打者の打席、一塁走者が再び二塁盗塁を試み、その間に三塁走者が還り、1点を先制されてしまう。
 だが、日本もすぐに反撃。その裏、1番・石川まゆはが四球を選び、出塁。2番・小賀唯美のサードゴロの間に二塁へ進むと、3番・加減夢華がレフトへのヒットを放ち、一死一・三塁。すかさず二盗で二・三塁とチャンスを広げ、4番・島津リノのショートゴロが本塁悪送球となる間に二者が一気に生還。「相手守備の乱れ」につけ込み、2-1と逆転した!
 1点を追うアメリカは3回表、一死から1番打者がサード内野安打で出塁。盗塁、連続死球で満塁とした後、4番打者もスリーボール・ワンストライクから四球を選び、押し出しで2-2の同点に。
 その裏、日本も無死三塁から3番・加減夢華がセンター前に勝ち越しのタイムリー! さらに送りバント、三盗で一死三塁とプレッシャーをかけ、5番・佐藤絵鈴のセカンドゴロの間に三塁走者が生還。4-2と再びリードを奪った!!
 「このまま日本が押し切るか……」に見えたが、さすがにアメリカも「チャンピオンチームの意地」で食らいつく。迎えた5回表、ファーストからピッチャーに入った日本・佐藤絵鈴に対し、9番打者がショートフライエラーで出塁(二塁まで進塁)。1番打者は ″慣れていない送りバント″ を試み、不正打球(フェアグラウンドで打球に触れてしまう)で一死となったが、2番打者がライトへタイムリーを放ち、二塁走者が生還。さらにライトからの本塁送球が逸れる間に打者走者が三塁まで進み、3番打者がスクイズで三塁走者を迎え入れ、4-4と試合を振り出しに戻した。
 アメリカは最終7回表にも、二死走者なしから「チームNo.1の好打者」2番 アスペン・ボールウェアがライトへ「完璧な当たり」の勝ち越しソロホームランを叩き込み、5-4と1点をリード。その裏の日本の攻撃をショートゴロ、センターフライ、ショートゴロに打ち取り、5-4のまま試合終了。日本は「宿命のライバル対決」に「惜敗」する形に終わり、今大会「初黒星」を喫することとなった。

 「WBSC第15回女子U18ソフトボールワールドカップ ファイナル」第3日:スーパーラウンドはこの日本戦の他、中国(グループA2位) vs メキシコ(グループB2位)が行われ、中国が7-3で勝利。スーパーラウンド現行の順位は1位・アメリカ(2勝0敗)、同率2位(1勝1敗)で中国、日本が並び、4位にはメキシコ(0勝2敗)が位置する状況となっている。

 惜しくもアメリカ戦を落とし、ラウンド成績1勝1敗となった日本は、次なるスーパーラウンド最終戦で中国と「ワールドチャンピオンシップファイナル」(優勝決定戦)進出をかけて戦う(※この日本 vs 中国の勝者が、アメリカが待ち受ける決勝(アメリカの2位以上はすでに決定)へ進むことになる)。

 まず次戦(中国戦)をしっかりモノにしてから……ではあるが、今日の日本(佐藤洋介ヘッドコーチ)の選手起用・戦い方を見る限り、 ″決勝でアメリカと再戦することを想定した″ ゲームプランであったことは間違いなかった。ここで負けたとしても「中国には確実に勝ち、決勝に上がれる!」と信じたがゆえの ″前哨戦″ の意味合い。その先にある「アメリカとの本当の勝負」へ向け、むしろ「相手の出方や戦力を見極めるための一戦」と位置づけていた印象を受けた。
 試合を客観的に見つめる立場として振り返っても、「5-4」のスコアが物語るように日本 vs アメリカに思ったほど実力差はなく、日本側が本来やるべきことをしっかり果たし、相手(アメリカ)の要警戒選手に仕事をさせなければ……「十分勝機はある」と感じることができる。
 一方のアメリカも日本を「想像以上に意識」しており、本来 ″超攻撃型スタイル″ の打線であっても、得点差が詰まり、並ばれ、追いかける劣勢を強いられると……「迷い」「焦り」が生じていたことが見て取れた。チーム一、二の強打者を迎え、シンプルに「振られたら怖い」局面でも「妙に小技を要求」して、結果、相手を助けてしまったり……「4連覇中の王者らしからぬ」弱さ・脆さを露呈していたことも事実としてあった。

 アメリカは現時点で確かに ″女子U18の王座″ に君臨しているが、先に述べた通り、「日本が勝てない相手ではない」ということをもう一度ここで繰り返しておきたい。

 この「アメリカとの一戦目」で明らかになった「収穫・課題」を、冷静に、正確に整理し、日本女子ソフトボールの次代を担うU18日本代表の「さらなる成長」へつなげていかなければならない。

●文・写真
女子U18日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)

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