4月の選考会には ″98名″ もの選手がチャレンジ
昨年のグループステージに続いて指揮を執る、
女子U18日本代表・佐藤洋介ヘッドコーチ
「選手たちをサポートしつつ、世界で勝つ厳しさも
伝えていきたい」と想いを語ってくれた西山麗コーチ
(※2008北京オリンピック金メダリスト)
グループステージ全勝の「勢い」を、ファイナルへ!
U15からステップアップした「若き才能」にも注目
選ばれし16名、挑め! 世界へ !!
2013年以来となる「優勝・世界一」をめざして…
去る4月22日(火)~24日(木)、静岡県伊豆市/天城ドーム・多目的広場を会場に「令和7年度女子U18日本代表チーム選手選考会」が開催され、全国から98名の選手がチャレンジ。3日間の厳しい選考を経て、「代表選手16名」(※第15回女子U18ワールドカップ ファイナル 出場選手)が正式決定となった。
選考会は初日、2日目、3日目(最終日)と「実戦主体」の選考内容に終始。98名の参加選手をA・B・C・Dの4つのグループに振り分け、 ″ノーアウト一・二塁、カウント:ワンボール・ワンストライクからスタート″ という状況設定を行った上で、個々の「実戦能力」をチェック。投手はその状況下、与えられたイニング数の中でどこまで実力を発揮できるか。攻撃側の打者、守る野手も同じシチュエーションにあって、打撃・走塁、守備といった基本的な要素に加え、それぞれがどのような特徴もしくはストロングポイントを持ち合わせているか。実戦の中での状況判断能力やそこで選択したプレーの有効性・確実性、また、それらの要素・能力が「世界に通用するレベル」にあるかどうか等がじっくりと見極められた(※2日目に実戦形式の選考と並行して投手の球速測定を実施。実戦形式の選考の後、参加選手全員の30m走、塁間走を測定。捕手のスローイング(盗塁阻止を想定した二塁への送球)計測も行われた)。
2019年の第13回ワールドカップに続いて「2大会連続」女子U18日本代表チームの指揮を執る佐藤洋介ヘッドコーチは、今回代表選手を選考するにあたり「まず、日本女子ソフトボールの強化を大きなテーマとして『女子U18』の意義・役割を改めて確認しながら、『TOPカテゴリーにつなげていくこと』が私たちの使命だと考えています。そしてもう一つ、重要な点として『相手は世界である』(最大のライバル・アメリカに勝って、世界一の座奪還を果たす!)ということを見失ってはいけません。今回98名もの選手が選考会にチャレンジしてくれ、その心意気は嬉しい限りなのですが、私自身としては常に『世界トップレベルで戦える選手か否か』を念頭に置き、個々の『真の力量』『将来性』をしっかりと見極めたい。シンプルに言うならば、これまで国際舞台を経験してきた中でアメリカをはじめとする世界の強豪国はやはり『パワー』を前面に出すソフトボールを展開してきます。そこに我々日本は『技術』『スピード』で対抗していくことになるのですが、その『日本の良さ・強み』を『世界トップレベルの攻防の中で体現できる選手』が数多く出てきてほしい。むしろ、このジュニア世代から育て、強化していかなければならないと強く感じています」とコメント。
※2019年、アメリカ/カリフォルニア・アーバインで開催された第13回ワールドカップは宿敵・アメリカと決勝で激突。試合は0-0のまま延長タイブレークに突入し、8回表、日本が3点を先制しながら「まさか……」の逆転負け。アメリカの「3連覇」を許す結果に終わった。
※2021年、ペルー・リマで開催された第14回ワールドカップは新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、選手・スタッフの「安全・安心」が確保できる状況にないと判断し、選手団の派遣を断念。大会は史上初の「4連覇」を狙うアメリカが予選リーグ・最終順位決定戦を通じて8戦全勝。「無敗」のまま「頂点」に立ち、通算8度目の優勝を飾った。
2008年の北京オリンピック「金メダリスト」で、昨年のワールドカップ グループステージ に続き女子U18日本代表チームのアシスタントコーチを務める西山麗 氏にも女子ジュニアカテゴリーの強化・育成について話を伺うと「今の若い選手は指導する側の ″型にはめる″ というよりも、その個性・長所を『より活かしてあげる』『後押ししてあげる』コーチングのほうが効果的だと私自身考えていますので、基本的には『選手たちをサポートする役割』に徹していきたいと思っています。ただ、私たちがサポートするのはジュニアカテゴリーといえど『選ばれし日本代表』、今後『TOPチームをめざす選手たち』ですので、『世界の舞台で戦うことの厳しさ』はリアルに伝えていかなければなりません」と自らの考えを述べ、「私の専門分野である『守備』に特化して言わせてもらうなら、基本的なグラブさばき・送球にまだまだ『粗さ』が見られます。一見華やかなプレーをする選手であっても、正面のゴロをふいに捕り損ねたり、悪送球したりする……。 ″華麗でカッコいいプレー″ を追い求めたくなる気持ちも分かりますが、『基礎・基本の大切さ』を改めて学んでもらいたい。何事も基礎・基本の土台があって、応用できるということ。特に日本のような『守り抜いて勝つ』スタイルのチームは『1つのミス』が『致命傷』となりかねませんので、ワンプレーの重みについて今一度見つめ直す必要があると思います」と技術的な部分にも言及。
また、「世界の舞台で戦うにあたっては、日本の常識と異なる点が多々あることも事実です。天候やグラウンドコンディションの違い、ナイトゲームを戦うこともよくありますし、先程の話に続き『守備』でいえば、体格・パワーで勝る海外の打者を相手にすることで『打球の質』も変わってきます(私は日本代表に入ったばかりの頃、海外の打者の ″タイミングの取り方″ ″スイング軌道の違い″ に戸惑って、エラーを連発してしまった苦い経験があります……)。事前の準備はもちろんのこと、さまざまな状況に対して『柔軟かつ臨機応変に対応する能力』が重要になってきたりしますので、私のこれまでの経験からアドバイスできるところはすべて伝えていきたいと思っています」と現役時代数々の国際大会を戦ってきた西山麗コーチならではの視点で想いを語ってくれた。
※西山 麗……2008北京オリンピックでは「ショート」のポジションで日本の守備陣を引っ張り、全試合に出場。ケイトリン・ロウ、ナターシャ・ワトリー、ジェシカ・メンドーサ、クリストル・ブストス等 ″史上最強″ と評された王者・アメリカの前に「鉄壁の守備」で立ちはだかり、日本の「悲願の金メダル獲得」に大きく貢献した。
この度発表された「女子U18日本代表選手」(第15回女子U18ワールドカップ ファイナル 出場選手)の顔ぶれを見てみると、U15カテゴリーからこのU18カテゴリーへステップアップした選手が5名(※長友彩莉、山本心音、加減夢華、中西華、ルーウィス梨々亜)、昨年のU18ワールドカップ グループステージ を戦った選手が5名(※長友彩莉、藤原真優美、村瀬珠己、加減夢華、野田愛紗)おり、ジュニア世代における「個々の成長」と「強化の継続性」を感じ取ることができる。今回初めて日本代表に名を連ねた選手たちを含め、さらに大きく、たくましく成長してほしいし、 ″ワールドカップ ファイナル を戦う″ という「かけがえのない経験」を「未来」へつなげていってもらいたい。
女子U18日本代表は、今後、ワールドカップ ファイナル 出発前に国内強化合宿を実施する予定。決戦の地・アメリカに入った後もテストマッチを行う等「強化」「最終調整」に励み、いよいよ大会本番を迎えることとなる(※第15回女子U18ワールドカップ ファイナル 大会スケジュールはこちら)。
2013年以来遠ざかっている「女子ジュニア世界一の座」をめざして。
日本女子ソフトボールの次代を担う「選ばれし16名」が、
世界の強豪に挑む!
No. | UN. | 守備 | 氏名 | 所属 |
1 | 9 | 投手 | 石田 愛杏 | 金沢高等学校 |
2 | 11 | 〃 | 長友 彩莉 | 多治見西高等学校 |
3 | 12 | 〃 | 藤原 真優美 | 兵庫大学附属須磨ノ浦高校 |
4 | 13 | 〃 | 村瀬 珠己 | 立命館大学 |
5 | 14 | 〃 | 山本 心音 | 兵庫大学附属須磨ノ浦高校 |
6 | 15 | 捕手 | 加減 夢華 | 佐賀女子短期大学付属佐賀女子高等学校 |
7 | 16 | 〃 | 佐山 結香 | 神戸野田高等学校 |
8 | 1 | 内野手 | 石川 華音 | 宇都宮文星女子高等学校 |
9 | 2 | 〃 | 蔵本 千音 | 神村学園高等部 |
10 | 3 | 〃 | 佐藤 絵鈴 | 岩手県立花巻南高等学校 |
11 | 4 | 〃 | 中西 華 | 神村学園高等部 |
12 | 10 | 〃 | 野田 愛紗 | NECプラットフォームズ |
13 | 5 | 外野手 | 石川 まゆは | 山梨学院高等学校 |
14 | 6 | 〃 | 小賀 唯美 | 佐賀女子短期大学付属佐賀女子高等学校 |
15 | 7 | 〃 | 野口 芽生 | トヨタ自動車 |
16 | 8 | 〃 | ルーウィス 梨々亜 | 佐賀女子短期大学付属佐賀女子高等学校 |
No. | 役職 | 氏名 | 所属 |
1 | チームリーダー | 宇津木 麗華 | 日本ソフトボール協会 |
2 | ヘッドコーチ | 佐藤 洋介 | 岩手県立花巻南高等学校 |
3 | アシスタントコーチ | 西山 麗 | NECプラットフォームズ |
4 | アシスタントコーチ | 上地 毅 | 香ヶ丘リベルテ高等学校 |
5 | マネージャー | 塩沼 千春 | 帝京安積高等学校 |
6 | トレーナー | 佐藤 瑠美 | (一社)セカンドエフォートフィットネス |