第46回日本女子ソフトボール1部リーグ第9節が、富山県黒部市、神奈川県横浜市、愛知県豊橋市の3会場で開催された。
今節、横浜大会、豊橋大会は順調に予定された日程(10月12日/土・13日/日)を終了したが、富山大会の初日、第1試合が6回終了時点で悪天候のため試合続行不可能となり、降雨ノーゲーム。この日中止となった3試合は、予備日(14日/月))へと順延された。
第9節では、前節まで16勝1敗で単独首位を独走中の王者・トヨタ自動車が今節も快調に3連勝。通算成績を19勝1敗で星を伸ばし、1位で決勝トーナメント進出を決めた。
同じく前節まで14勝3敗の2位につけていたルネサスエレクトロニクス高崎も今節3連勝で通算成績を17勝3敗とし、2位の座をキープ。こちらも2位での決勝トーナメント進出を確定させた(最終節残り2試合をトヨタ自動車が連敗し、ルネサスエレクトロニクス高崎が連勝して同率に並んでも、直接対決でトヨタ自動車が連勝しているため、トヨタ自動車の順位が上となる)。
混戦の3位・4位争いは、横浜大会で同率3位の豊田自動織機と5位の日立が直接対決。豊田自動織機が日立との「死闘」を制し、20年連続の決勝トーナメント進出へ大きく前進した。翌日、第1試合で豊田自動織機が太陽誘電に勝ち、日立は残り試合全勝するしか道がなくなったが、ダブルヘッダーとなったこの日の試合で、第2試合のペヤング戦には勝利したものの、第3試合の太陽誘電戦で最終回まで1点をリードしながら、原田のどか、遠山佑奈に連続本塁打を浴び、まさかの逆転負け。決勝トーナメント進出の可能性が完全に消滅した(日立はこれで通算成績11勝9敗となり、第9節を終了し、14勝6敗で3位の豊田自動織機、13勝7敗で4位のデンソーが残り2試合を連敗し、日立が連勝したとしても、豊田自動織機には勝数で届かず、デンソーと同率に並んでも直接対決の得失点差でおよばず、順位を上回ることができない)。
この結果、トヨタ自動車、ルネサスエレクトロニクス高崎、豊田自動織機、デンソーの4チームが最終節を待たずに決勝トーナメント進出を決めた。
首位独走中、前人未踏の4連覇を狙う王者・トヨタ自動車は、愛知県豊橋市・豊橋市民球場で開催された豊橋大会に登場。今節初戦のシオノギ製薬戦で6本塁打を含む14安打と打線が爆発! 14−1と大勝し、17勝目を挙げた。
翌日はダブルヘッダー。まずSGホールディングスグループ佐川急便戦で鈴木美加、ナターシャ・ワトリー、坂元令奈が2試合連続の本塁打を放つなど、10安打・11得点の猛攻。11−0で圧勝し、18勝目を挙げ、上位争いを演じているデンソー戦との「直接対決」でも、「絶対的エース」モニカ・アボットがデンソー打線をわずか2安打に抑え、坂元令奈の3試合連続本塁打などで3点を奪い、3−0の完封勝利。通算成績を19勝1敗まで伸ばし、1位での決勝トーナメント進出を決めた。
前節まで11勝6敗の同率3位につけていたデンソーは、今節初日がダブルヘッダーとなり、まずSGホールディングスグループ佐川急便と対戦。3回裏、「チームリーダー」増山由梨のソロ本塁打で先制し、6回裏にも、1番・増山由梨が三遊間を破り、出塁すると、すかさず盗塁。一死後、3番・竹林綾香が四球で歩き、二死後、5番・メーガン・ウィギンズの二塁打で2点を追加。このリードを重藤恵理佳、ジョーダン・テーラーとつなぐ投手リレーで守り切り、3−0の完封勝ち。続くシオノギ製薬戦では、得意の「一発攻勢」で4本塁打を含む長打8本、17安打と打ちまくり、16−1で大勝。通算成績を13勝6敗まで伸ばした。
翌日、首位・トヨタ自動車戦では、「超攻撃型チーム」の自慢の強力打線がトヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットに完全に抑え込まれ、0−3の完封負けを喫したが、決勝トーナメント進出を争っていた日立が今節2敗を喫したこともあり、最終節を待たずに4位以上が確定。2年連続の決勝トーナメント進出が決まった。
神奈川県横浜市・保土ケ谷・神奈川新聞スタジアムで開催された横浜大会には、決勝トーナメント進出を争う同率3位の豊田自動織機、前節まで5位、「ホーム」での今節で決勝トーナメント進出圏内への浮上を狙う日立が登場。
まず初日第1日試合で豊田自動織機がペヤングと対戦。ペヤングが初回、豊田自動織機・ケイラニ・リケッツの立ち上がりを攻め、二死三塁から4番・岩本典子の三遊間を破るタイムリーで先制したが、3回裏、豊田自動織機が1番・狩野亜由美のレフトフェンス直撃のタイムリーツーベースで同点に追いつき、続く2番・洲鎌夏子のレフトスタンドへのツーランホームランで逆転。これで勢いづいた豊田自動織機打線が4本塁打を含む14安打の猛攻で10−1と大勝。通算成績を12勝6敗とし、この日の第3試合で日立との直接対決に臨んだ。
日立の「ホーム」横浜での試合とあって、スタンドは日立のコーポレートカラー・オレンジ一色に染まり、大応援団が日立の勝利を願う中、試合は初回に豊田自動織機が先制。2つの四球で二死一・二塁のチャンスをつかみ、キャプテンとしてチームを引っ張る5番・国吉早乃花がレフト前にタイムリーを放ち、1点を先制すると、5回表には、二死走者なしから2番・洲鎌夏子が二遊間を破る安打で出塁し、3番・中森菜摘、4番・ジェニー・トッピングの連続四球で満塁とし、再び5番・国吉早乃花が三遊間を破るタイムリー。貴重な追加点を奪い、2点差にリードを広げた。
豊田自動織機の先発・ケイラニ・リケッツの出来から見て、これで勝負あったかと思われたが、スタンドを埋め尽くし、必死の声援を送る大応援団の前で、「このまま終わるわけにはいかない……」と、日立が6回裏に反撃。一死から1番・林佑季が二遊間を破り、出塁すると、2番・西山麗が右中間を深々と破る三塁打。1点を返し、なお一死三塁のチャンスが続いた。続く3番・山田恵里のショートゴロで三塁走者・西山麗が果敢に本塁突入を試みたが、本塁タッチアウト。チャンスは潰えたかに見えたが、一塁走者・山田恵里が二盗を成功させ、再び得点圏に走者を進めると、4番・佐々木瞳が二遊間をしぶとく破る「執念」のタイムリー。満員のスタンドを沸かせ、同点に追いついた。
7回表、日立は5回で一度降板した先発・山中しほをリエントリーで再登板させたものの、その山中しほが先頭打者に四球を与え、3番・中森菜摘の内野安打で無死一・二塁のピンチを招き、4番・ジェニー・トッピング、5番・国吉早乃花に連続タイムリーを浴び、万事休す。2−4で敗れ、決勝トーナメント進出が遠のく、手痛い8敗目を喫した。
翌日、第1試合で豊田自動織機が太陽誘電に4−0で快勝し、通算成績が14勝6敗となったことで、日立は今節残り2試合を含め、最終節までの残り4試合を全勝でいくしか決勝トーナメント進出の可能性がなくなってしまった(日立が4位以上となる可能性は残り4試合を全勝し、最終成績を14勝8敗まで伸ばし、豊田自動織機が残り2試合を連敗し、同率で並んだ場合か、デンソーが残り3試合を3連敗し、最終成績が13勝9敗となり、勝ち星で上回るケースしかなくなったため。豊田自動織機には同率で並んだ場合、直接対決の勝敗は1勝1敗で得失点差で上回ることができるが、デンソーとは直接対決の勝敗は1勝1敗ながら得失点差で下回るため、勝ち星で上回るしか逆転の可能性がない)。
第2試合、日立はペヤングに8−0で大勝したものの、第3試合の太陽誘電戦で最終回まで1点のリードを奪いながら、そこまで太陽誘電打線をわずか1安打に抑えていた山中しほが、5番・原田のどか、6番・遠山佑奈に「まさか……」の連続本塁打を浴び、1−2の逆転負け。この時点で日立の決勝トーナメント進出の可能性が消えた。
富山県黒部市・宮野運動公園野球場で開催された富山大会には、前節まで14勝3敗の2位につけるルネサスエレクトロニクス高崎が登場。今節初日、第1試合の日立マクセル対戸田中央総合病院戦が6回終了時点で悪天候のため、試合続行不可能となり、降雨ノーゲーム。この日予定されていた3試合は、予備日(14日/月)に順延された。
ルネサスエレクトロニクス高崎は、翌日のダブルヘッダー、まず「苦手」とする戸田中央総合病院と対戦。初回にエース・上野由岐子が守備の乱れ等もあり、1点を失い、終盤までリードを許す苦しい試合展開となったものの、6回裏、一死満塁から4番・峰幸代の犠牲フライで同点に追いつき、7回裏、一死満塁から1番・山本優がライト前にサヨナラ安打を放ち、2−1と辛勝。続くHonda戦も3回裏に1点を先制すると、エース・上野由岐子が被安打4・奪三振11の力投で守り切り、1−0の完封勝ち。
今節最終戦となった日立マクセル戦も5−0で快勝し、今節3連勝。通算成績を17勝3敗とし、2位での決勝トーナメント進出を決めた。
前節まで7勝10敗で並び6位グループにつけていたHonda、太陽誘電、ペヤングの3チームは、Honda、太陽誘電勝が2勝1敗で乗り切り、9勝11敗の同率6位と前節と同じ順位をキープしたものの、ペヤングが今節3連敗。通算7勝13敗の8位に順位を落とした。
前節まで6勝11敗で9位につけていたSGホールディングスグループ佐川急便も今節3連敗で星を伸ばせず、5勝12敗で同率10位に並んでいた戸田中央総合病院、シオノギ製薬は、戸田中央総合病院が日立マクセルに4−2で勝利を収め、シオノギ製薬もSGホールディングスグループ佐川急便との直接対決に2−0の完封勝ち。先発に起用された岩田みゆきが期待に応え、被安打3の完封勝利。SGホールディングスグループ佐川急便、戸田中央総合病院、シオノギ製薬の3チームが通算成績6勝14敗の同率に並び、最終節に「入替戦圏内」からの脱出をかけ、「最後の決戦」に臨むことになった。
残念ながら今シーズン限りでの廃部・活動停止がすでに発表されている日立マクセルは今節3連敗。通算成績は3勝17敗となった。
最終節で「有終の美」を飾ることができるか、その戦いぶりにも注目したいところだ。
第46回日本女子ソフトボール1部リーグ、第9節終了時の全チームの勝敗は下記の通りで、最終節となる第10節は10月19日(土)・20日(日)の両日、岩手県一関市・秋田県由利本荘市・山梨県甲府市において開催される。
| 第46回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第9節終了時点 全チーム成績 |
| 順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
| 1位 |
トヨタ自動車 |
19 |
1 |
| 2位 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
17 |
3 |
| 3位 |
豊田自動織機 |
14 |
6 |
| 4位 |
デンソー |
13 |
7 |
| 5位 |
日立 |
11 |
9 |
| 6位 |
Honda |
9 |
11 |
| 〃 |
太陽誘電 |
9 |
11 |
| 8位 |
ペヤング |
7 |
13 |
| 9位 |
SGホールディングスグループ佐川急便 |
6 |
14 |
| 〃 |
戸田中央総合病院 |
6 |
14 |
| 〃 |
シオノギ製薬 |
6 |
14 |
| 12位 |
日立マクセル |
3 |
17 |
※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。 |