2013.6.3
 

 

第46回 日本女子ソフトボール1部リーグ第5節

前半戦終了! トヨタ自動車、今年も無傷の11連勝で折り返す!!



無傷の11連勝で前半戦を終了したトヨタ自動車
前人未到の4連覇に向け、死角なし?!


エース・上野由岐子が「完全試合」を達成し、翌日には
リーグ歴代通算勝利数1位タイとなる172勝目を挙げる活躍で単独2位につけるなど、追い上げるルネサスエレクトロニクス高崎



満員のスタンドの声援を「力」にホームランで連日会場を沸かせ、今節連勝。同率3位と巻き返した日立

  惜しいところで勝ち星をのがしている太陽誘電
後半戦で巻き返しをみせれるか?!



「ルーキーバッテリー」の活躍に先輩たちも負けじと奮起し
今節連勝で6位グループに浮上したシオノギ製薬



1部昇格1年目にして大健闘のペヤング
後半戦でもこの調子を維持できるか?!

 
 


第46回 日本女子ソフトボール1部リーグ
第5節 広島大会
ルネサスエレクトロニクス高崎 vs 豊田自動織機
 


 第46回日本女子ソフトボール1部リーグ第5節が、6月1日(土)・2日(日)の両日、北海道小樽市、神奈川県秦野市、京都府京都市の3会場で開催された。

 結果は、単独首位に立つトヨタ自動車が今節も連勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、前半戦を折り返した。これを、9勝2敗のルネサスエレクトロニクス高崎が追い、8勝3敗でデンソーと日立が同率3位に並んだ。決勝トーナメント進出の「常連」豊田自動織機は今節連敗を喫し、7勝4敗の5位と順位を落とした。上位グループと下位グループの差がさらに広がった今節。後半戦では、決勝トーナメント進出のかかる4位争いと、1部残留をかけた戦いが、さらに激しさを増しそうな気配だ。

 京都府京都市において行われた京都大会にはノンストップで前人未到の4連覇をめざすトヨタ自動車と、2位グループにつけるデンソーが登場。トヨタ自動車は、初日の日立マクセル戦でナターシャ・ワトリーの本塁打を含む12安打と打ちまくり、この大量援護にも守られ、4投手をつなぐ余裕の継投策で10−0の完封勝利を収め、開幕からの連勝を「10」に伸ばすと、「上位対決」となったデンソー戦でも初回にいきなり先制。先頭のナターシャ・ワトリーが四球で出塁すると、4番・鈴木美加がセンターオーバーのツーランホームランを放ち、アッという間に2点を先制。さらに、6回表の知久幸未のタイムリーで1点を追加し、守っては、「絶対的エース」モニカ・アボットが、ここまで本塁打を量産してきたデンソーの「超攻撃型打線」から14三振を奪い、わずか3安打に抑え込み、3−0と完封勝利を収め、前人未到の4連覇に向け、開幕から無傷の11連勝で前半戦を折り返した。
 ルネサスエレクトロニクス高崎、豊田自動織機とともに同率2位に並んでいたデンソーは、初日のSGホールディングスグループ佐川急便戦で、「超攻撃型打線」が爆発。伊藤綾香、安永美穂、メーガン・ウィギンズの3本塁打を含む12安打を放ち、得意の「一発攻勢」で10−0の大差でSGホールディングスグループ佐川急便を一蹴。翌日の首位・トヨタ自動車との「決戦」に向け、エンジン全開の戦いぶりをみせた。しかし、トヨタ自動車戦では、自慢の「超攻撃型打線」がモニカ・アボットの前に沈黙……。0−3と力の差を見せつけられた結果となり、デンソーは今節1勝1敗で順位を一つ落とし、8勝3敗の同率3位につけ、前半戦を終えた。
 前節、今シーズン初勝利を挙げ、ようやく長い連敗のトンネルから抜け出した日立マクセルは、首位・トヨタ自動車に0−10と完敗を喫したものの、翌日のSGホールディングスグループ佐川急便戦では、激しい点の取り合いを演じ、5−5の同点で迎えた7回裏、二死二・三塁から「日本代表」に選出された実力者・小野奈津子がライト前タイムリーを放ち、サヨナラ勝ち。嬉しい2勝目を手にし、後半戦に向け、上昇の兆しを感じさせた。
 一方、SGホールディングスグループ佐川急便は前節から投手陣が崩壊状態で今節も連敗。日立マクセル戦では、柳瀬友紀の先頭打者ホームランで先制しながらあっさり逆転を許すと、土壇場の7回表にも山科真里奈のツーランで同点に追いつきながら、頼みの信長香菜が踏ん張り切れず、5−6のサヨナラ負け。「オーストラリア代表」ベネッサ・ストークスが思うように機能せず、開幕当初好調だった信長香菜も調子を落としているだけに、後半戦へ向け、投手陣の整備が急務となる。

 神奈川県秦野市で開催された秦野大会には同率2位に並ぶルネサスエレクトロニクス高崎と豊田自動織機、前節の連敗の「悪夢」を地元・神奈川で払拭したい5位の日立が登場。「世界のエース」上野由岐子を擁するルネサスエレクトロニクス高崎は、初日、昨シーズン勝ち星を奪えなかった相性の悪い戸田中央総合病院と対戦。安打を放つものの、得点に結びつけることができず、嫌な雰囲気が漂ったが、終盤7回表、途中出場の小松美樹の安打を足場に得点圏に走者を進め、山本優の内野安打の間に二塁走者が一気に生還。守っては、エース・上野由岐子がリーグ通算23回目、自身7度目となる“完全試合” (投球数68、奪三振10、内野ゴロ11)を達成し、1−0で勝利を収めた。翌日は、決勝トーナメント進出をかけ、「負けられない相手」豊田自動織機と対戦。昨日の「記念すべき」勝利でベンチもスタンドも気合の入ったルネサスエレクトロニクス高崎は、初回に先頭の山本優が出塁すると、犠打で送り、大久保美紗のライト前ヒットに峰幸代がバスターエンドランを決め、三塁走者の山本優が生還。早々と先制し、試合の主導権を握ると、大工谷真波の2本塁打などで4点を追加。この大事な一戦に5−1で勝利し、チームが単独2位となっただけではなく、完投した上野由岐子は、リーグ歴代通算勝利数が歴代1位タイとなる172勝目を飾り、連日、満員の観客を沸かせた。後半戦も“記録”と“記憶”に残るルネサスエレクトロニクス高崎の戦いに注目である。
 さらに、地元開催となった日立も、スタンドをオレンジに染める満員の観客の期待に応えるプレーで観客を沸かせた。まず、初日の豊田自動織機戦で、初回に3点を奪われるも、2回表、この回先頭の佐々木瞳のソロホームランを口火に連打と相手守備の乱れで一挙4点を奪い逆転に成功。その後も山田恵里、濱本静代がホームランを放つなど、攻撃の手を緩めず、11−7で粘る豊田自動織機を振り切り、両チーム合計30安打が飛び交う乱打戦を制した。続く戸田中央総合病院戦でも、投手陣の不調を持前の強力打線がカバーし、二桁得点を奪い、10−2で大勝。今節連勝した日立は、8勝3敗で3位に浮上。好位置につけ、前半戦を終了した。
 一方、前節まで、粘り強く勝ち星を積み重ねていた豊田自動織機は、今節手痛い連敗。日立戦では先制したものの、日立の強力打線に投手陣がつかまり、7−11と打ち負けると、翌日のルネサスエレクトロニクス高崎戦では上野由岐子を攻略できず、打線が散発3安打に抑え込まれ、1−5で連敗。苦しみながらも何とか勝ち星を積み重ねてはいるが、やはり上位チームとの対戦になると「エース不在」が大きい。後半戦では投手陣の奮起に期待したい。
 試合内容は決して悪くない戸田中央総合病院も、今節連敗。昨シーズン2勝を挙げているルネサスエレクトロニクス高崎に対し、6回まで0−0と互角の勝負を演じたが、昨シーズンの「再現」はならず、0−1で惜敗。「世界のエース」ルネサスエレクトロニクス高崎の上野由岐子にパーフェクトゲームを許す、「オマケ」までつけてしまった。翌日の日立戦は2−10で大敗。上位グループを相手に「あと一歩」という戦いを続けているだけに、投手陣の奮起と守備力の強化で巻き返しを図りたいところだ。

 北海道小樽市で行われた北海道大会には中盤グループの明暗を分ける戦いが繰り広げられた。前節、捕手・岡恵利華の起死回生の逆転ホームランに、エース・岩田みゆきのピンチを三振で切り抜ける力投で歓喜の2勝目を挙げ、バッテリーを中心としたチームの団結力を強めたシオノギ製薬が今節連勝。初日の太陽誘電戦では、昨年の本塁打王・三宅美咲がいきなりの先頭打者ホームランで先制。その後も上田恵、三宅美咲、岡恵利華の計4本のホームラン等で着実に得点を重ね、11安打8得点。打線の援護を受けた、期待のサウスポー・岩田みゆきは3点を失ったものの、完投勝利を収めた。さらに、翌日のHonda戦では初回に先制を許すも、このところ岩田みゆきのバッテリーで活躍している「頼れる相棒」岡恵利華のツーランで逆転に成功。「相棒」の連日の活躍に支えられ、岩田みゆきはその後、得点を許さず、10三振を奪う好投。チームの主力が大きく入れ替わった今シーズン、開幕節以降、苦しい戦いが続いていたシオノギ製薬だが、4勝を挙げた岩田みゆき、今シーズン第5号を放ち、本塁打王争いに加わった岡恵利華の「ルーキーバッテリー」が機能しはじめ、「先輩」たちも負けじと活躍。ようやく「自分たちの戦い方」ができあがってきたか、今節連勝。10位から6位へと大きく順位を上げ、後半戦が楽しみになってきた。
 対照的に、7位グループにつけていたHondaは今節連敗。ペヤング戦では3回表に2点を先制しながら、その裏、先発・金尾和美が突如ペヤング打線につかまり、3連打を浴び同点に。その後、さらに3点のリードを許したところで、急遽、モーガン・メローをマウンドに送るも、時すでに遅く、ペヤングの継投策の前に追加点を奪えず、2−5の逆転負けを喫し、苦い敗戦となった。続くシオノギ製薬戦では、初回にカナダ代表捕手でもある、ケイリー・ラフターのタイムリーツーベースで先制したが、その直後の2回表にすぐさまツーランを浴び、逆転を許し、その後はまたしても打線が沈黙……。3勝8敗で10位に転落し、前半戦を終了した。
 一方、太陽誘電とペヤングは今節1勝1敗で通算4勝7敗の6位グループにつけ、前半戦を終えた。太陽誘電は初日のシオノギ製薬戦で投手陣が4本塁打を含む11安打を浴び、3−8と完敗。続くペヤング戦では、2−3の1点ビハインドで迎えた5回表に河野美里のソロホームランで同点に追いつき、3−3で延長タイブレーカーに突入。タイブレーカーの走者を送りバントと原田のどかの犠飛でキッチリと還し、1点のリードを奪うと、その裏、先発のサウスポー・尾楓]良がペヤングの反撃を三者凡退に打ち取り、4−3で辛勝。8回を投げ切った尾楓]良の奮闘が光るが、後半戦に向け、投手陣の再整備が必要となる。
 チーム創立5年目、1部昇格1年目のペヤングは、今節初戦のHonda戦に5−2で快勝。翌日の太陽誘電戦では、先発した菊池遥が延長8回で力尽き、3−4で惜敗。あと一歩のところで勝利を逃したが、6位グループにつけ、1部昇格初年度としては、大健闘を見せている。ただ、下位に沈んでいたチームが徐々に調子を上げ、混戦状態になってきているだけに、後半戦では一戦一戦の勝敗がより重く、大きな意味を持つことになりそうだ。

 第46回日本女子ソフトボール1部リーグ、第5節終了時の全チームの勝敗は下記の通りで、後半戦のスタートとなる第6節は8月31日(土)・9月1日(日)の両日、群馬県高崎市・千葉県千葉市・愛知県名古屋市において開催される。


第46回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第5節終了時点 全チーム成績
順位 チーム名
1位 トヨタ自動車 11 0
2位 ルネサスエレクトロニクス高崎 9 2
3位 デンソー 8 3
日立 8 3
5位 豊田自動織機 7 4
6位 太陽誘電 4 7
SGホールディングスグループ佐川急便 4 7
シオノギ製薬 4 7
ペヤング 4 7
10位 Honda 3 8
11位 戸田中央総合病院 2 9
日立マクセル 2 9

※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。