第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第5節が、6月2日(土)・3日(日)の両日、北海道函館市・静岡県掛川市・愛媛県新居浜市の3会場で開催された。
結果は、首位を走るトヨタ自動車が今節も連勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、前半戦を折り返した。
これに9勝2敗のルネサスエレクトロニクス高崎、デンソーが続き、決勝トーナメント進出の「常連」豊田自動織機、日立ソフトウェアは6勝5敗と星を伸ばせず、同じく6勝5敗で前半戦を終えた太陽誘電の3チームが同率4位に並び、決勝トーナメント進出がかかる4位争いは、後半戦でさらに激しさを増していきそうな気配だ。
第4節まで無傷の開幕9連勝と前人未到の「3連覇」へ向け、首位を快走しているトヨタ自動車は、静岡県掛川市で開催された「掛川大会」に登場。今節初戦の日立マクセル戦には、「絶対的エース」モニカ・アボットを温存。それでも、初回にナターシャ・ワトリーがレフト前ヒットで出塁すると、犠打で確実に得点圏に走者を進め、坂元令奈がレフト前にタイムリーを放ち、あっさり先制。続く2回裏にも、ナターシャ・ワトリーが左中間を破るタイムリーツーベースを放ち、2点目。3回裏にも、代打・馬渕朝子がセンター前にタイムリーを放つなど、小刻みに得点を重ね、リードを広げると、先発・山根佐由里、中村友佳とつなぐ投手リレーで日立マクセルの反撃を1点に抑え、3−1と快勝。続くHonda戦では、先発・稲元沙貴の立ち上がりを攻め、連続四球でチャンスをつかむと、藤野遥香、小野真希のタイムリーなどで初回にいきなり4点を先制。守っては、「絶対的エース」モニカ・アボットが4回まで被安打1・奪三振6の完璧なピッチングでHonda打線を抑え込み、リリーフした中村友佳が2点を失ったものの、5−2で勝利を収め、開幕からの連勝を「11」に伸ばし、無傷で前半戦を折り返した。
これを追うルネサスエレクトロニクス高崎は、今節初戦のHonda戦を3−0の完封勝ち。4回表、中野久美、岩渕有美のタイムリーなどで3点を奪い、エース・上野由岐子が安定感抜群のピッチングでこのリードを守り切り、初戦を快勝すると、続く日立マクセル戦では打線が爆発。初回に市口侑果、大久保美紗、峰幸代の3連打であっさり先取点を挙げ、中野久美の犠牲フライ、上野由岐子のタイムリーなどで3点を追加。鮮やかな先制攻撃で大量4点を奪い、試合の主導権を握ると、2回裏には相手守備の乱れに乗じて1点を追加。4回裏には大久保美紗のタイムリーツーベース、中野久美のタイムリーで2点を加え、7点のリードを奪うと、上野由岐子、中野花菜、黒川春華とつなぐ投手リレーで日立マクセルに最後まで得点を許さず、7−0で完勝。今節も連勝で通算成績を9勝2敗とし、同率2位の座を守った。
前節まで4勝5敗のHondaは、今節初戦のルネサスエレクトロニクス高崎に0−3の完封負け。「世界を制した鉄腕」上野由岐子の前にわずか2安打、9三振と打線が沈黙。最後まで得点を挙げることができず、続くトヨタ自動車戦も「絶対的エース」モニカ・アボットの前に4回まで1安打、6三振。打線にまったく元気がなく、リリーフした中村友佳から2点を奪い、2試合連続の完封は免れたものの、2−5で完敗。通算成績4勝7敗の8位と上位進出は苦しくなった。
日立マクセルも今節連敗。現在、1位、2位のチームが相手とはいえ、2試合とも初回に簡単に失点しているようでは勝ち目は薄い。開幕当初は上位争いに割って入るかという局面もあったのだが、そこからズルズルと後退。通算成績3勝8敗の10位に順位を落とし、前半戦を終えた。
北海道函館市で開催された「北海道大会」には、王者・トヨタ自動車を追走し、ルネサスエレクトロニクス高崎と並び、同率2位につけるデンソーが登場。
デンソーは、今節初戦のシオノギ製薬戦では打線が爆発。2回表、永吉理恵、伊藤綾香の長短打で先制のチャンスをつかむと、一死後、今泉早智がセンター前にタイムリーを放ち、二者生還。2点を先制すると、倉成真子の三遊間を抜くヒット、相手エラーで満塁とし、今シーズン絶好調の「切り込み隊長」増山由梨がレフト前にタイムリーを放ち、1点を追加。さらに、メーガン・ウィギンズが押し出しの四球を選び、この回大量4点を奪い、試合の流れを引き寄せると、終盤7回表には伊藤綾香がシオノギ製薬の息の根を止める満塁ホームラン。8−0で大勝し、勢いに乗って決勝トーナメント進出を争う「ライバル」日立ソフトウェアと対戦。試合は現時点での「勢いの差」を感じさせるような試合展開となり、初回に中岡理美のソロホームランで先制すると、4回表にも今泉早智がソロホームランを放ち、2点目。5回表にも中岡理美のツーベース、メーガン・ウィギンズの内野安打でチャンスをつかみ、伊藤綾香がライト前にタイムリーを放ち、3点目。7回表にも相手守備の乱れにつけ込み、ダメ押しの4点目を奪い、4−0で快勝。今節連勝で通算成績を9勝2敗とし、ルネサスエレクトロニクス高崎と並び、同率2位の座を確保し、前半戦を折り返した。
日立ソフトウェアは、今節初戦の戸田中央総合病院戦では、2回裏に林佑季のツーランで先制すると、3回裏には「キャプテン」溝江香澄のタイムリーで2点を追加。戸田中央総合病院のエース・李Lをノックアウトし、4回裏にも代わった田家由里から濱本静代の犠牲フライで1点を加え、5回裏には、西山麗の記念すべきリーグ通算200安打となるタイムリーが飛び出すなど、3点を追加。8−0と大勝した。しかし、上位争いの「ライバル」デンソーとの「直接対決」では、投手陣がデンソー打線につかまり、12安打を浴び、4失点。自慢の「強力打線」もデンソーの「エース」ジョーダン・テーラーの力投の前にわずか2安打に抑え込まれ、0−4で完敗。差を詰めるべく臨んだ「直接対決」に敗れたことで、同率4位と順位こそ変わらないものの、上位3チームとの差が広がる結果となってしまった。
戸田中央総合病院は、今節初戦、頼みのエース・李Lが日立ソフトウェアの強力打線の「餌食」となり、序盤3回でノックアウトされ、0−8と完敗。続くシオノギ製薬戦では、そのエース・李Lが立ち直り、5回を無失点に抑える力投。打線もこれに応え、小沢佳那子の満塁の走者一掃のツーベースを含む5打点を挙げる活躍で8−0と大勝したものの、今節1勝1敗と星を伸ばせず、通算4勝7敗の同率8位となり、上位進出は苦しくなった。
前節まで1勝8敗の最下位と低迷するシオノギ製薬は、初戦のデンソー戦に0−8で大敗すると、続く戸田中央総合病院戦も左腕・李L、田家由里の継投の前に6安打を放ちながら得点を挙げることができず、0−8で完封負け。今節も勝ち星なく、地元・尼崎での第1節で今シーズン初勝利を挙げて以来、8連敗と出口の見えない泥沼にあえいでいる。
愛媛県新居浜市で開催された「愛媛大会」では、決勝トーナメント進出圏内を争う豊田自動織機と太陽誘電が直接対決。豊田自動織機・ダニエル・ローリー、太陽誘電・森真里奈が息詰まる投手戦を展開。試合は終盤まで両チーム得点なく、膠着状態が続いたが、7回表、原田のどかの意表を突くセーフティーバントが相手守備陣のエラーを誘い、バッテリーミスもあり、得点圏に走者を進めると「本職」は投手の尾楓]良が代打で決勝タイムリーを放ち、待望の先取点。昨年新人賞を受賞した森真里奈の力投でこのリードを守り切り、大きな1勝を挙げた。しかし、太陽誘電は、続く佐川急便戦で2回裏に先発・藤田倭がワイルドピッチ、パスボールなど、バッテリーミスでピンチを招き、寺本有希のタイムリーで2点を失うと、4回表に佐藤みなみのツーベースから反撃のチャンスをつかみ、1点を返したものの、ジャスティン・スメサート、信長香菜の継投にかわされ、1−2の惜敗。痛い星を落とし、4位争いから抜け出すことができず、通算6勝5敗の同率4位で前半戦を終了した。
太陽誘電との「直接対決」に敗れた豊田自動織機は、そのショックが尾を引いたわけではないだろうが、続く大鵬薬品戦でも大苦戦。「元チームメート」の江本奈穂を打ち崩すことができず、0−0のまま、延長タイブレーカーに突入。8回表に中森菜摘のタイムリーでようやく1点を勝ち越し、ダニエル・ローリーがその裏の大鵬薬品の反撃を無得点に抑え、1−0で辛勝。今節1勝1敗で通算成績6勝5敗の同率4位。1994年の決勝トーナメント制導入以来、19年連続での決勝トーナメント進出を果たしている「名門」が、例年にない厳しい星勘定で前半戦を折り返すことになった。
佐川急便は、今節初戦の大鵬薬品戦に4−0と快勝し、続く太陽誘電戦にも2−1で競り勝ち、今節連勝。通算5勝6敗の7位につけ、上位進出の可能性を首の皮一枚残した。
大鵬薬品は今節も連敗。初戦の佐川急便戦に6回まで0−0と互角を試合を演じ、続く豊田自動織機戦も0−0のまま、延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を演じながら、2試合連続の完封負け。勝利に見放された状態が続き、無意識のうちに勝ち急ぎ、互角の試合を展開し、勝機がありながら勝ち切ることができない。試合内容は決して悪くはないのだが……。通算2勝9敗の11位と低迷が続いている。
前人未到の3連覇をめざす王者・トヨタ自動車が開幕から無傷の11連勝で前半戦を折り返し、ルネサスエレクトロニクス高崎、デンソーが9勝2敗で同率2位。4位には6勝5敗の豊田自動織機、日立ソフトウェア、太陽誘電の3チームが並ぶという展開で前半戦を終了。
後半戦では、このままトヨタ自動車が独走するのか、それともそれを止めるチームが現れるのかに注目が集まる。また、決勝トーナメント進出を巡る争いもさらに激化の一途を辿りそうだ。前半戦、調子の波に乗れなかったチームも、後半戦再開までの間にチームを立て直してくることだろう。
後半戦のスタートとなる第6節は、9月1日(土)・2日(日)の両日、岩手県一関市・千葉県千葉市・愛知県豊橋市の3会場で開催される。
| 第45回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第5節終了時点 全チーム成績 |
| 順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
| 1位 |
トヨタ自動車 |
11 |
0 |
| 2位 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
9 |
2 |
| 〃 |
デンソー |
9 |
2 |
| 4位 |
豊田自動織機 |
6 |
5 |
| 〃 |
日立ソフトウェア |
6 |
5 |
| 〃 |
太陽誘電 |
6 |
5 |
| 7位 |
佐川急便 |
5 |
6 |
| 8位 |
Honda |
4 |
7 |
| 〃 |
戸田中央総合病院 |
4 |
7 |
| 10位 |
日立マクセル |
3 |
8 |
| 11位 |
大鵬薬品 |
2 |
9 |
| 12位 |
シオノギ製薬 |
1 |
10 |
※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。 |