第44回 日本女子ソフトボール2部リーグ第1節

(2011.4.26) 

 

アドバンスセクション
1部復帰へ向け、好スタートを切った伊予銀行

アドバンスセクション
監督不在の状況で3連勝を飾った日本精工

アドバンスセクション
1部昇格をかけ、熱戦を展開!

アドバンスセクション
新加入のパシフィックオーシャン。
強豪相手に健闘したが3連敗

ホープセクション
開幕3連勝で単独首位に立った東芝北九州

ホープセクション
「優勝候補大本命」戸田中央総合病院は
今節最終戦で「予想外」の敗戦。2勝1敗

ホープセクション
「浦野イズム」浸透で上位進出なるか!?
今節2勝1敗のNECアクセステクニカ

ホープセクション
今節1勝2敗のドリーム☆ワールド。
2節以降の巻き返しに期待したい

ホープセクション
1部昇格をめざし、熱い戦いが続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



アドバンスセクション
伊予銀行、ぺヤング、日本精工が開幕3連勝!
ホープセクション
東芝北九州が単独首位!

 第44回日本女子ソフトボール2部リーグ第1節が、4月22日(金)〜25日(月)の4日間(大会2日目が雨のため、中止・順延。25日(月)の予備日を使って全日程を終了)、愛知県名古屋市・稲永公園野球場を会場に、アドバンスセクション・ホープセクションの全チームが集結し、開催された。
 当初、第1節はアドバンスセクションが茨城県古河市、ホープセクションが愛知県名古屋市で開催される予定であったが、3月11日(金)に東日本を襲った大震災の影響で、被災地である茨城県古河市での開催を断念。(財)日本ソフトボール協会は、3月28日(月)のリーグ委員会で愛知県名古屋市でのアドバンス・ホープ両セクション同時開催を正式に決定。また、東日本大震災で被災した宮城県東松島市に本拠地を置くTOETECKがリーグでの活動休止を余儀なくされ、休部。ホープセクションはTOETECKを除く、全8チームでの2回戦総当たりのリーグ戦に変更された。
 一方、アドバンスセクションもカネボウ化粧品小田原が震災の影響で第1節不参加。予定された4試合が「不戦敗」(記録上は棄権扱いとし、7−0の敗戦)となり、実質8チームでこの第1節を戦うことになった。
 結果は、アドバンスセクションは、1シーズンでの「1部復帰」をめざす伊予銀行、昨年リーグに「旋風」を巻き起こし、順位決定プレイオフまで駒を進めたペヤング、福島泰史監督が病気療養のため、緊急入院。指揮官を欠きながら、チーム一丸の戦いを見せた日本精工の3チームが開幕3連勝。いずれもカネボウ化粧品小田原戦の「不戦勝」をうまく生かし、「開幕ダッシュ」に成功。好調な滑り出しを見せた。
 ホープセクションは、東芝北九州が無傷の3連勝で単独トップ。中国代表の「左のエース」李Lが加わり、「優勝候補の大本命」と前評判の高かった戸田中央総合病院は、NECアクセステクニカ戦を落とし、早くも1敗。予想外の敗戦で2勝1敗となり、東海理化、NECアクセステクニカと並び、2位グループにつけ、追いかける展開となった。


アドバンスセクション




 1シーズンでの「1部復帰」をめざす伊予銀行は、今シーズンからリーグに新加盟したパシフィックオーシャンと今節初戦で対戦。2回表に2点を失うなど、試合のリズムをつかめず、リーグ初参戦の「ニューフェイス」に押されっぱなしの展開。5回裏にようやく4−3と逆転し、最後は10−3と大差で勝利を収めたものの、先行きが不安となる試合展開であった。2日目が雨天順延となり、3日目はカネボウ化粧品小田原が今節不参加のため、不戦勝。2勝目を挙げると、今節最終戦となった大和電機工業戦では、2回表に3点を先制すると、3投手をつなぐ継投策で大和電機工業の反撃を2点に抑え、最終回にダメ押しの1点を挙げ、4−2と快勝。3勝目を挙げ、今節を締めくくった。

 昨シーズン、あと一歩のところで逃した「1部昇格」に燃えるぺヤングは、今節初戦で島根三洋電機と対戦。中盤までリードを許す、苦しい展開となったが、4回裏に5安打を集中し、大量6点を挙げ、逆転。激しい点の取り合いを制し、8−5で勝利し、まず1勝を挙げた。今節2戦目は、雨天順延もあり、カネボウ化粧品小田原に不戦勝。最終戦の「ニューフェイス」パシフィックオーシャンとの対戦では、初回に2点を先制されながら、同点に追いつき、最後は延長8回、タイブレーカーにもつれ込む熱戦を制し、3−2で競り勝ち、3勝目。開幕3連勝を飾った。

 日本精工は、福島泰史監督が病気療養のため、入院。リーグ開幕に間に合わず、遠藤麻美キャプテンが「監督代行」を務める緊急事態となったが、このピンチにチームが結束。初戦がカネボウ化粧品小田原との対戦で、「不戦勝」となる幸運もあり、続くパシフィックオーシャン戦も、初回に先手を取られながら、すぐに追いつき、5回表に勝1点を勝ち越されても、その裏、4安打を集中して3点を挙げ、5−3の逆転勝利。最終戦の大和電機工業戦も先制されながら、ルーキー・加藤美穂の本塁打などで6−1の逆転勝利。大事な開幕戦に新人の曽根原一葉を「開幕投手」に抜擢するなど、遠藤麻美監督代行の大胆な選手起用とチーム一丸となった粘り強い戦いで、開幕ダッシュに成功。病床の福島泰史監督に「開幕3連勝」という「特効薬」をプレゼントした。

 今シーズンからリーグ新加入となったパシフィックオーシャンは、「日本リーグの洗礼」を受け、残念ながら勝ち星なしの3連敗。ただ、伊予銀行、ペヤング、日本精工と「1部昇格」を狙い、上位争いを展開するチーム相手に互角の試合を展開。今節3試合すべて先制点を挙げるなど、3連敗が3連勝に変わっていてもまったくおかしくないほどの戦いぶりを見せた。今後は「台風の目」となる可能性もある。
 島根三洋電機は、初日のダブルヘッダーで連敗。ペヤング、甲賀健康医療専門学校に連敗したが、いずれもリードを奪う展開であっただけに、この連敗が惜しまれる。今節残り2試合に連勝し、2勝2敗としたが、4連勝で首位に立っていてもおかしくない試合内容であった。
 甲賀健康医療専門学校は2勝1敗。島根三洋電機戦では最終回に同点に追いつかれ、タイブレーカーでは一挙5点を失いながら、その裏、6点を奪っての奇跡的な逆転勝利。その溌剌とした試合ぶりが印象に残った。


ホープセクション





 ホープセクションは、昨シーズンまで1部で、中国代表の「左のエース」李Lを加えた戸田中央総合病院が、「優勝候補の大本命」と見られていたが、初戦の湘南ベルマーレ厚木戦を8−0、第2戦の東海理化戦を8−1と予想通り、圧勝。その強さを見せつけていたが、今節最終戦のNECアクセステクニカ戦では、その頼みの李Lが4回までに6失点の大乱調。NECアクセステクニカ打線の効果的な長打攻勢の前に沈み、後半必死の反撃も届かず、5−8の敗戦。2勝1敗で今節を終えた。

 単独首位に立ったのは東芝北九州。初戦のドリーム☆ワールド戦では、最終回まで3−4と1点をリードされながら、土壇場の7回裏、二死一・三塁の反撃機をつかむと、今シーズン豊田自動織機から移籍してきたばかりの5番・矢野みなみが起死回生の逆転サヨナラスリーラン。2007年の世界ジュニア選手権で準優勝、U19日本代表に名を連ねた「大器」が新天地でその才能を開花させ、チームの危機を救う価値ある一発を放った。これで勢いづいた東芝北九州は、続くYKK戦でも初回に3点を失いながら、14安打10得点と打線が爆発。10−4の逆転勝ちを収めると、最終戦の日本ウェルネススポーツ専門学校戦でも好調な打線の勢いは止まらず、16−1と大勝。無傷の3連勝で単独首位に立った。

 これを2勝1敗の東海理化、NECアクセステクニカと、予想外の1敗を喫した戸田中央総合病院と並んで追いかける展開となった。この中では、NECアクセステクニカが昨シーズンとは「ひと味違う」試合ぶりを見せている。今節初戦のYKK戦に危なげのない試合運びで5−2と快勝すると、昨シーズン順位決定プレイオフに駒を進めたドリーム☆ワールドを相手に、一歩も引かない互角の試合を展開。延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦は、二度にわたって勝ち越しながら逆転負け。最後はサヨナラホームランに沈む、壮烈な試合の末、敗れはしたが、翌日の「優勝候補」戸田中央総合病院戦でも、何かやってくれそうな「予感」があったことは確かだ。2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピックで女子日本代表のコーチを務め、銅メダル、金メダル獲得に貢献した浦野光史監督のもと、「浦野イズム」が浸透しはじめたNECアクセステクニカ。ホープセクションの今後の行方のカギを握るチームとなりそうな気配だ。

 昨シーズン、順位決定プレイオフ進出を果たしたドリーム☆ワールドは、小野奈津子(日立マクセルへ移籍)、伊藤綾香(デンソーへ移籍)ら主力選手が揃って1部リーグのチームへ移籍。戦力的には厳しい状況で今シーズンを迎えたが、東芝北九州戦では、最後の最後までリードを奪い、NECアクセステクニカ戦でも延長タイブレーカーで二度も勝ち越されながら、それを跳ね返す粘りを見せた。今節1勝2敗とはいえ、十分巻き返せるだけの力は持っている。

 第2節は、5月20日(金)〜22日(日)の3日間、アドバンスセクションが滋賀県甲賀市で、ホープセクションが神奈川県厚木市で開催される。

■第44回日本女子ソフトボール2部リーグ 第1節終了時点 全チーム勝敗・順位

アドバンスセクション
  伊予銀行 3勝0敗
  ぺヤング 3勝0敗
  日本精工 3勝0敗
  甲賀健康医療専門学校 2勝1敗
  島根三洋電機 2勝2敗
  平林金属 1勝2敗
  大和電機工業 1勝3敗
  パシフィックオーシャン 0勝3敗
  カネボウ化粧品小田原 0勝4敗

ホープセクション
1位 東芝北九州 3勝0敗
2位 戸田中央総合病院 2勝1敗
 〃 東海理化 2勝1敗
 〃 NECアクセステクニカ 2勝1敗
5位 ドリーム☆ワールド 1勝2敗
湘南ベルマーレ厚木 1勝2敗
YKK 1勝2敗
8位 日本ウェルネススポーツ専門学校 0勝3敗