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投打がガッチリ噛み合い、首位を走るトヨタ
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13勝7敗のデンソー。最終節にすべてをかける
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ルネサスは「世界一の投手」上野が120km/hを
超える「自己最速」をマークしながら痛い敗戦
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織機は「ライバル」ルネサスを破り、首位をキープ
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Hondaは伊予銀行との直接対決を制し、
大きな3勝目。有利な立場で最終節へ……
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佐川はポーターを1番に起用する「サプライズ
オーダー」が功を奏し、ソフトウェアに快勝!
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レオパレスはソフトウェアとの直接対決に勝利
していれば4位の座が確定していたのだが……
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ソフトウェアは「チームリーダー」山田の一打
でレオパレスに勝利! 最終節へ望みをつないだ
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いよいよクライマックス! 死力を尽くした戦いが
最終節で展開される。勝ち残るのはどのチームか
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豊田自動織機、トヨタ自動車が首位を並走!
ルネサステクノロジ高崎事業所、一歩後退
第42回日本女子ソフトボール1部リーグ第9節が、10月17日(土)・18日(日)の両日、福岡県福岡市、山口県下関市、岐阜県岐阜市の3会場で開催された。
前節まで、15勝3敗でルネサステクノロジ高崎事業所、豊田自動織機、トヨタ自動車の3チームが首位に並んでいたが、今節でそのルネサステクノロジ高崎事業所と豊田自動織機の「直接対決」が組まれるなど、首位争いはもちろん決勝トーナメント進出をかけた上位チーム同士の「潰し合い」がはじまり、2部リーグ降格を巡る「生き残り」をかけた熾烈な争いもいよいよクライマックス。全チーム「ラストスパート」をかけてきた。
福岡県福岡市・桧原運動公園野球場で開催された福岡大会には、同率首位に並ぶトヨタ自動車、決勝トーナメント進出のかかる「4番目のイス」をめざし熾烈な順位争いを続けるデンソーが登場。
大会初日、いきなりそのトヨタ自動車とデンソーが激突。トヨタ自動車がデンソーの先発・マーガン・ギブソンの立ち上がりを攻め、初回、伊藤幸子のスリーラン、西山千鶴のソロホームランで4点を先取。強烈な先制パンチを食らわせ、2回裏、3回裏にも1点ずつを加え、守っては、モニカ・アボット、露久保望美の投手リレーでデンソー打線に得点を許さず、6−0の完勝。翌18日(日)の戸田中央総合病院戦でも、初回に伊藤幸子のタイムリー、坂元令奈のツーランで3点を先制。続く2回表にも前薗理絵のタイムリーと敵失などで3点を加え、4回表にはキャプテン・藤野遥香の犠牲フライで1点を追加。5回表には鈴木美加が特大のツーラン。6回表にも渥美万奈のタイムリーで2点を加え、大量11点を奪い、11−1で大勝。今節連勝で通算成績を17勝3敗まで伸ばし、首位の座を堅持。試合内容的にも、外国人投手の登板制限(女子1部リーグの場合には、外国人投手は98イニングまでしか登板できない)が気になるモニカ・アボットを打線が早めに援護し、露久保望美につなぎ、その継投策がしっかりと機能するという理想的な試合展開。投打がガッチリ噛み合い、悲願の「リーグ制覇」へ向け、視界良好といったところか。
一方、何とか決勝トーナメント進出の権利が与えられる「4位」に滑り込みたいデンソーは、トヨタ自動車には敗れたものの、太陽誘電戦は初回に2点を失う苦しい試合展開ながら、太陽誘電の好投手・坂井寛子を攻略。7−2の逆転勝ちを収め、通算成績を13勝7敗とし、辛うじて最終節に望みをつないだ。
山口県下関市・下関球場で開催された山口大会には、首位に並ぶルネサステクノロジ高崎事業所、豊田自動織機の両チームが登場。ルネサステクノロジ高崎事業所は初戦の伊予銀行戦は、エース・上野由岐子を温存。4回まで無得点と嫌な流れになりかけたが、先発・山下絢の力投と三科真澄のホームランなどで7−1の大差で勝利を収め、この日、同じようにHondaに12−0と大勝した豊田自動織機との「直接対決」に臨んだ。
この「大一番」には、満を持してエース・上野由岐子が先発。下関球場のスピードガンでは120km/hを超える驚異的な快速球を連発。MAX121km/hという自己最速を記録するなど、「世界一の投手」の実力をいかんなく発揮。豊田自動織機・ケイティ・バークハートも一歩も譲らぬ力投を見せ、試合は息詰まる投手戦となった。豊田自動織機は4回裏、狩野亜由美がツーベース。北京オリンピックではともに金メダルを勝ち取った「チームメート」のバットが「世界一の投手」に一太刀を浴びせると、手堅く犠打で送り、一死三塁。キャプテン・小森由香のセカンドゴロが一塁に送球される間に、三塁走者・狩野亜由美が俊足を飛ばしてホームイン。きわどい判定ではあったが、間一髪本塁を陥れ、待望の先取点。このリードをケイティ・バークハートが最後まで守り切り、1−0の完封勝ち。首位を争う「当面のライバル」を叩き、首位の座を守った。敗れたルネサステクノロジ高崎事業所は、首位を争うトヨタ自動車に直接対決で連敗しており、豊田自動織機とは1勝1敗で得失点差で上回っているとはいえ、決勝トーナメントを有利に戦える2位以上(1位・2位のチームには一度敗れても敗者復活戦のチャンスがある)の座を自力でつかむことはできなくなってしまった。
また、「2部リーグ降格」を巡る争いは、Hondaが伊予銀行に4−0で快勝。通算成績を3勝17敗とし、2勝18敗の伊予銀行を一歩リード。伊予銀行との「直接対決」も1勝1敗とし、得失点差でも上回り、2部リーグ「自動降格」となる最下位を脱し、俄然有利な立場となった。まだ2試合残っており、「自動降格」を免れても2部リーグ2位・靜甲との「入替戦」が待っているという厳しい状況には変わりがないが……。こちらの「サバイバルレース」からも目が離せない。
岐阜県岐阜市・長良川球場で開催された岐阜大会には、「決勝トーナメント4番目のイス」を争うレオパレス21、日立ソフトウェアが登場。大会初日、レオパレス21はシオノギ製薬と対戦。田中梢子の満塁ホームランなどで8−0と圧勝したが、日立ソフトウェアは佐川急便の「主砲」ステーシー・ポーターを1番に起用するという「サプライズオーダー」にしてやられ、2回表、1−1の同点からそのステーシー・ポーターに勝ち越しのスリーランを浴び、林佑季の2本のホームランなどで4−4の同点に追いついた7回表にも、ステーシー・ポーターのスリーベースと梅村麻弥のスクイズで勝ち越し点を奪われ、4−5の敗戦。痛い星を落とした。
しかし、翌日のレオパレス21との「直接対決」では、「日本代表」でもキャプテンを務め、この日立ソフトウェアでもキャプテンとしてチームを引っ張る「チームリーダー」山田恵里のタイムリースリーベースで2点のリードを奪い、エース・藤原麻起子がレオパレス21の反撃を、ナタリー・ティッカムのソロホームランによる1点のみに抑え、2−1の辛勝。通算成績を13勝7敗とし、決勝トーナメント進出へ一縷の望みをつないだ。
敗れたレオパレス21は14勝6敗。この日立ソフトウェアとの直接対決に勝利すれば、決勝トーナメント進出が最終節を待たずに決まっていたのだが(日立ソフトウェアはレオパレス21に敗れていれば、その時点で決勝トーナメント進出の可能性が消えていた。12勝8敗では最終節で連勝しても15勝5敗のレオパレス21には届かない。また、最終節でレオパレス21が連敗、デンソーが連勝して15勝7敗の同率に並んでも、直接対決の勝敗は1勝1敗ながら、その対戦での得失点差で上回っているため、リーグ規定で順位は上となる)、これで決勝トーナメント「4番目のイス」を争う「最終決戦」も最終節にもつれ込むことになった。
4月に開幕した日本女子ソフトボール1部リーグも残り2試合。最終節を残すのみとなった。17勝3敗で首位に並ぶ豊田自動織機、トヨタ自動車。16勝4敗のルネサステクノロジ高崎事業所の3チームは、決勝トーナメント進出は今節初日の時点で決まったが、決勝トーナメントを有利に戦える2位以上の座を確保すべく、「ラストスパート」をかけてくるだろう。
14勝6敗のレオパレス21、13勝7敗の日立ソフトウェア、デンソーの決勝トーナメント「4番目のイス」を巡る争いも最後まで熾烈を極めることは間違いない。
一方、「2部リーグ降格」を巡る「サバイバルレース」も、違った意味で熱く、しびれる戦いとなる。Honda、伊予銀行の動向にも注目が集まる。あるいは、思いもよらぬチームが首位争いや降格争いをかきまわすのか……残り2試合ですべてが決まる。
■第9節終了時、全チーム成績
1位 |
豊田自動織機 |
17勝3敗 |
〃 |
トヨタ自動車 |
17勝3敗 |
3位 |
ルネサステクノロジ高崎事業所 |
16勝4敗 |
4位 |
レオパレス21 |
14勝6敗 |
5位 |
日立ソフトウェア |
13勝7敗 |
〃 |
デンソー |
13勝7敗 |
7位 |
太陽誘電 |
7勝13敗 |
〃 |
佐川急便 |
7勝13敗 |
9位 |
戸田中央総合病院 |
6勝14敗 |
10位 |
シオノギ製薬 |
5勝15敗 |
11位 |
Honda |
3勝17敗 |
12位 |
伊予銀行 |
2勝18敗 |
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