第42回 日本女子ソフトボール1部リーグ第9節     

(2009.10.19) 


投打がガッチリ噛み合い、首位を走るトヨタ

13勝7敗のデンソー。最終節にすべてをかける

ルネサスは「世界一の投手」上野が120km/hを
超える「自己最速」をマークしながら痛い敗戦

織機は「ライバル」ルネサスを破り、首位をキープ

Hondaは伊予銀行との直接対決を制し、
大きな3勝目。有利な立場で最終節へ……

佐川はポーターを1番に起用する「サプライズ
オーダー」が功を奏し、ソフトウェアに快勝!

レオパレスはソフトウェアとの直接対決に勝利
していれば4位の座が確定していたのだが……

ソフトウェアは「チームリーダー」山田の一打
でレオパレスに勝利! 最終節へ望みをつないだ

いよいよクライマックス! 死力を尽くした戦いが
最終節で展開される。勝ち残るのはどのチームか

豊田自動織機、トヨタ自動車が首位を並走!
ルネサステクノロジ高崎事業所、一歩後退

 第42回日本女子ソフトボール1部リーグ第9節が、10月17日(土)・18日(日)の両日、福岡県福岡市、山口県下関市、岐阜県岐阜市の3会場で開催された。
 前節まで、15勝3敗でルネサステクノロジ高崎事業所、豊田自動織機、トヨタ自動車の3チームが首位に並んでいたが、今節でそのルネサステクノロジ高崎事業所と豊田自動織機の「直接対決」が組まれるなど、首位争いはもちろん決勝トーナメント進出をかけた上位チーム同士の「潰し合い」がはじまり、2部リーグ降格を巡る「生き残り」をかけた熾烈な争いもいよいよクライマックス。全チーム「ラストスパート」をかけてきた。

 福岡県福岡市・桧原運動公園野球場で開催された福岡大会には、同率首位に並ぶトヨタ自動車、決勝トーナメント進出のかかる「4番目のイス」をめざし熾烈な順位争いを続けるデンソーが登場。
 大会初日、いきなりそのトヨタ自動車とデンソーが激突。トヨタ自動車がデンソーの先発・マーガン・ギブソンの立ち上がりを攻め、初回、伊藤幸子のスリーラン、西山千鶴のソロホームランで4点を先取。強烈な先制パンチを食らわせ、2回裏、3回裏にも1点ずつを加え、守っては、モニカ・アボット、露久保望美の投手リレーでデンソー打線に得点を許さず、6−0の完勝。翌18日(日)の戸田中央総合病院戦でも、初回に伊藤幸子のタイムリー、坂元令奈のツーランで3点を先制。続く2回表にも前薗理絵のタイムリーと敵失などで3点を加え、4回表にはキャプテン・藤野遥香の犠牲フライで1点を追加。5回表には鈴木美加が特大のツーラン。6回表にも渥美万奈のタイムリーで2点を加え、大量11点を奪い、11−1で大勝。今節連勝で通算成績を17勝3敗まで伸ばし、首位の座を堅持。試合内容的にも、外国人投手の登板制限(女子1部リーグの場合には、外国人投手は98イニングまでしか登板できない)が気になるモニカ・アボットを打線が早めに援護し、露久保望美につなぎ、その継投策がしっかりと機能するという理想的な試合展開。投打がガッチリ噛み合い、悲願の「リーグ制覇」へ向け、視界良好といったところか。
 一方、何とか決勝トーナメント進出の権利が与えられる「4位」に滑り込みたいデンソーは、トヨタ自動車には敗れたものの、太陽誘電戦は初回に2点を失う苦しい試合展開ながら、太陽誘電の好投手・坂井寛子を攻略。7−2の逆転勝ちを収め、通算成績を13勝7敗とし、辛うじて最終節に望みをつないだ。

 山口県下関市・下関球場で開催された山口大会には、首位に並ぶルネサステクノロジ高崎事業所、豊田自動織機の両チームが登場。ルネサステクノロジ高崎事業所は初戦の伊予銀行戦は、エース・上野由岐子を温存。4回まで無得点と嫌な流れになりかけたが、先発・山下絢の力投と三科真澄のホームランなどで7−1の大差で勝利を収め、この日、同じようにHondaに12−0と大勝した豊田自動織機との「直接対決」に臨んだ。
 この「大一番」には、満を持してエース・上野由岐子が先発。下関球場のスピードガンでは120km/hを超える驚異的な快速球を連発。MAX121km/hという自己最速を記録するなど、「世界一の投手」の実力をいかんなく発揮。豊田自動織機・ケイティ・バークハートも一歩も譲らぬ力投を見せ、試合は息詰まる投手戦となった。豊田自動織機は4回裏、狩野亜由美がツーベース。北京オリンピックではともに金メダルを勝ち取った「チームメート」のバットが「世界一の投手」に一太刀を浴びせると、手堅く犠打で送り、一死三塁。キャプテン・小森由香のセカンドゴロが一塁に送球される間に、三塁走者・狩野亜由美が俊足を飛ばしてホームイン。きわどい判定ではあったが、間一髪本塁を陥れ、待望の先取点。このリードをケイティ・バークハートが最後まで守り切り、1−0の完封勝ち。首位を争う「当面のライバル」を叩き、首位の座を守った。敗れたルネサステクノロジ高崎事業所は、首位を争うトヨタ自動車に直接対決で連敗しており、豊田自動織機とは1勝1敗で得失点差で上回っているとはいえ、決勝トーナメントを有利に戦える2位以上(1位・2位のチームには一度敗れても敗者復活戦のチャンスがある)の座を自力でつかむことはできなくなってしまった。
 また、「2部リーグ降格」を巡る争いは、Hondaが伊予銀行に4−0で快勝。通算成績を3勝17敗とし、2勝18敗の伊予銀行を一歩リード。伊予銀行との「直接対決」も1勝1敗とし、得失点差でも上回り、2部リーグ「自動降格」となる最下位を脱し、俄然有利な立場となった。まだ2試合残っており、「自動降格」を免れても2部リーグ2位・靜甲との「入替戦」が待っているという厳しい状況には変わりがないが……。こちらの「サバイバルレース」からも目が離せない。

 岐阜県岐阜市・長良川球場で開催された岐阜大会には、「決勝トーナメント4番目のイス」を争うレオパレス21、日立ソフトウェアが登場。大会初日、レオパレス21はシオノギ製薬と対戦。田中梢子の満塁ホームランなどで8−0と圧勝したが、日立ソフトウェアは佐川急便の「主砲」ステーシー・ポーターを1番に起用するという「サプライズオーダー」にしてやられ、2回表、1−1の同点からそのステーシー・ポーターに勝ち越しのスリーランを浴び、林佑季の2本のホームランなどで4−4の同点に追いついた7回表にも、ステーシー・ポーターのスリーベースと梅村麻弥のスクイズで勝ち越し点を奪われ、4−5の敗戦。痛い星を落とした。
 しかし、翌日のレオパレス21との「直接対決」では、「日本代表」でもキャプテンを務め、この日立ソフトウェアでもキャプテンとしてチームを引っ張る「チームリーダー」山田恵里のタイムリースリーベースで2点のリードを奪い、エース・藤原麻起子がレオパレス21の反撃を、ナタリー・ティッカムのソロホームランによる1点のみに抑え、2−1の辛勝。通算成績を13勝7敗とし、決勝トーナメント進出へ一縷の望みをつないだ。
 敗れたレオパレス21は14勝6敗。この日立ソフトウェアとの直接対決に勝利すれば、決勝トーナメント進出が最終節を待たずに決まっていたのだが(日立ソフトウェアはレオパレス21に敗れていれば、その時点で決勝トーナメント進出の可能性が消えていた。12勝8敗では最終節で連勝しても15勝5敗のレオパレス21には届かない。また、最終節でレオパレス21が連敗、デンソーが連勝して15勝7敗の同率に並んでも、直接対決の勝敗は1勝1敗ながら、その対戦での得失点差で上回っているため、リーグ規定で順位は上となる)、これで決勝トーナメント「4番目のイス」を争う「最終決戦」も最終節にもつれ込むことになった。

 4月に開幕した日本女子ソフトボール1部リーグも残り2試合。最終節を残すのみとなった。17勝3敗で首位に並ぶ豊田自動織機、トヨタ自動車。16勝4敗のルネサステクノロジ高崎事業所の3チームは、決勝トーナメント進出は今節初日の時点で決まったが、決勝トーナメントを有利に戦える2位以上の座を確保すべく、「ラストスパート」をかけてくるだろう。
 14勝6敗のレオパレス21、13勝7敗の日立ソフトウェア、デンソーの決勝トーナメント「4番目のイス」を巡る争いも最後まで熾烈を極めることは間違いない。
 一方、「2部リーグ降格」を巡る「サバイバルレース」も、違った意味で熱く、しびれる戦いとなる。Honda、伊予銀行の動向にも注目が集まる。あるいは、思いもよらぬチームが首位争いや降格争いをかきまわすのか……残り2試合ですべてが決まる。


■第9節終了時、全チーム成績

1位 豊田自動織機 17勝3敗
トヨタ自動車 17勝3敗
3位 ルネサステクノロジ高崎事業所 16勝4敗
4位 レオパレス21 14勝6敗
5位 日立ソフトウェア 13勝7敗
デンソー 13勝7敗
7位 太陽誘電 7勝13敗
佐川急便 7勝13敗
9位 戸田中央総合病院 6勝14敗
10位 シオノギ製薬 5勝15敗
11位 Honda 3勝17敗
12位 伊予銀行 2勝18敗