2016.10.6
 

 

第71回国民体育大会(2016希望郷いわて国体)

男女4種別で熱戦を展開!
岡山が男女総合、京都が女子総合優勝




岩手県花巻市・金ケ崎町において、第71回国民体育大会
(2016希望郷いわて国体)ソフトボール競技が開催された



「広げよう感動。伝えよう感謝。」をスローガンに「オール岩手」で盛り上げられた今大会。大勢の観客の声援が選手を後押しした



成年男子準優勝、少年女子第3位の岡山が男女総合優勝
(大会会長トロフィーを授与される岡山県協会・東山直己理事長)



地元・岩手は少年女子が唯一ベスト4へ進出!



成年男子は栃木が9年ぶり2度目の頂点へ



成年女子は愛知が8年ぶり5度目の栄冠



少年男子はU19日本代表の一員として「世界一」を経験した
エース・長井風雅を大黒柱に、広島が初優勝!



少年女子は「春夏連覇」を成し遂げた千葉経済大附属高を
主体とした千葉が貫録を見せつけ、「三冠」達成!



大会初日には、宇津木妙子氏による「ソフトボール教室」
も実施。地元の小・中学生、また指導者の方々とともに
汗を流し、恒例となった「熱血指導」が行われた



第71回国民体育大会
2016希望郷いわて国体
ソフトボール競技
4種別ダイジェスト

 第71回国民体育大会(2016希望郷いわて国体)ソフトボール競技が、去る10月2日(日)〜4日(火)の3日間にわたり、岩手県花巻市(成年男子・成年女子・少年女子)・金ケ崎町(少年男子)を会場に開催された。

 岩手県における国民体育大会の開催は、昭和45年以来46年ぶり。本大会と冬季大会の全競技を同一県で開催するいわゆる「完全国体」としては、全国でも21年ぶりの開催となり、「東日本大震災復興の架け橋」を冠称に、そして「広げよう感動。伝えよう感謝。」をスローガンに、まさに運営者・関係者一丸「オール岩手」で大会が盛り上げられた。

 大会期間中は2日目に小雨が混じる等、天候がやや心配されたが、その不安を吹き飛ばすかのように熱戦を展開。結果は成年男子で準優勝、少年女子で第3位の成績を収めた岡山が天皇杯得点となる男女総合優勝。皇后杯得点となる女子総合優勝には、成年女子で準優勝、少年女子で第5位の成績を収めた京都が輝いた。

 また、地元・岩手は少年女子がベスト4へ進出する活躍ぶり。初日の1回戦では兵庫に3−0の完封勝利。2日目の準々決勝でも神奈川に6−2で快勝し、最終日(準決勝・決勝)に駒を進め、準決勝は、今年「春夏連覇」を成し遂げ、この国体で「三冠」の偉業達成を狙う千葉経済大附属高を主体とする千葉に1−7で敗れたものの、会場を大いに沸かせる戦いを見せた。その他の種別の岩手に目を向けると、成年女子が1回戦で宮城に2−1と競り勝ち、準々決勝へ進出。準々決勝・福井戦でも最後まで目が離せない「好ゲーム」を繰り広げたが、あと一歩及ばず、3−4の惜敗でベスト4進出ならず。一方、男子は成年男子が1回戦で栃木に1−3、少年男子が同じく1回戦で神奈川に1−4と敗れ、残念ながら上位進出を果たすことができなかった。

 岩手県花巻市/石鳥谷ふれあい運動公園において開催された成年男子は、日本男子東日本リーグに所属するホンダエンジニアリングの単独チームである栃木が9年ぶり2度目の優勝。
 1回戦の地元・岩手戦に3−1で勝利を収めると、準々決勝では京都に苦しめられながらも「日本リーグチーム」の「意地」を見せ、3−2と接戦に勝利。準決勝・愛媛との対戦も3回終了時点で1−1と序盤は互角の攻防を繰り広げながら、迎えた4回表、7番・大類恭平の三遊間を破るタイムリーで勝ち越しに成功。続く5回表には3番・床井優介がセンターへリードを広げるスリーランホームランを叩き込む等、最終的に6−3で勝利を飾り、決勝へと駒を進めた。決勝では、今年、全日本クラブ選手権・全日本総合選手権の「二冠」に輝き、日本男子西日本リーグでも単独首位を快走する平林金属のメンバーを主体とした岡山と激突。岡山・松田光、栃木・浅野公太の両先発投手が立ち上がりから一歩も譲らぬ投げ合いを展開し、試合は4回まで0−0。息詰まる投手戦となったが、迎えた5回表に栃木が5番・佐藤輝の左中間へのソロホームランでついに1点を先制。なおもこの後、6番・大石司のレフト線へのツーベース等で一死三塁のチャンスが続き、8番・加藤一秀がセンター前にはじき返すタイムリー。貴重な追加点を挙げた。守っては、この2点のリードを先発・浅野公太が最後まで守り抜き、完封勝利。2−0で岡山を破り、9年ぶりの頂点へと登り詰めた。

 同じく岩手県花巻市/石鳥谷ふれあい運動公園において開催された成年女子は、日本女子1部リーグに所属するトヨタ自動車 レッドテリアーズ・デンソー ブライトペガサス・豊田自動織機 シャイニングベガの混成チームである愛知が8年ぶり5度目の栄冠。
 2日目・準々決勝から登場した愛知は、初戦で国体「3連覇」をめざす神奈川(同じく日本女子1部リーグに所属する日立 サンディーバの単独チーム)と対戦。4回終了時点で0−3とリードを許す苦しい展開を強いられたが、5回裏に一挙4点を奪って逆転に成功する等「しぶとさ」を見せ、ここから「取られたら取り返す!」激しい打撃戦を展開。結果、延長8回タイブレーカーにもつれ込んだ死闘に7−6でサヨナラ勝ちを収めると、最終日の準決勝・福井戦でも打線が奮起。2回裏に6番・鈴木鮎美の先制ソロホームラン、2番・熏竝′獅フ2点タイムリーで一挙3点を挙げ、試合の主導権を握り、その後も7番・山崎早紀の2本のタイムリー等で着々と加点。危なげのない試合運びで6−1と圧勝し、決勝進出を決めた。決勝では、同じく日本女子1部リーグに所属するSGホールディングス ギャラクシースターズの単独チームである京都と対戦し、初回、一死一・三塁から4番・坂元令奈のスクイズでいきなり1点を先制。先手を奪った愛知は続く2回表にも9番・塚本智名のタイムリーツーベース、6回表にも8番・川畑瞳のソロホームラン、7回表にも7番・山崎早紀のタイムリーで1点ずつを追加。投げては、先発・栗田美穂が6安打を浴び、毎回のように走者を背負いながらも決定打を許さない「粘りのピッチング」で京都打線を完封。8年ぶりの優勝を勝ち獲った。

 岩手県金ケ崎町/森山総合公園野球場・金ケ崎中学校ソフトボール場において開催された少年男子は、広島が初優勝。
 今夏(7月)、アメリカ・ミッドランドで開催された「第11回世界男子ジュニア選手権大会」で35年ぶり2度目の優勝を飾り、見事「世界一」に輝いた男子U19日本代表の一員であるエース・長井風雅を大黒柱に、1回戦の鹿児島戦では2−0、準々決勝の福島戦では1−0、準決勝の長崎戦でも1−0と3試合連続の完封勝ちで決勝に進出。特に準決勝・長崎戦では、同じく男子U19日本代表のメンバーであり、世界ジュニア選手権では「日本のエース」として活躍。ファイナル・ニュージーランド戦で完投勝利を飾り、優勝投手となった「ライバル」小山玲央と「世界レベル」の投げ合いを繰り広げ、初回、打撃では主軸の3番を打つ長井風雅がいきなり右中間へ特大の先制ソロホームラン。チームのエースがピッチングだけではなく、自らのバットで貴重な1点(決勝点)を叩き出し、昨年に続き決勝へと駒を進めた。決勝では、準決勝で今年のインターハイチャンピオン・飛龍高の単独チームである静岡に延長8回タイブレーカーの末、5−4のサヨナラ勝ちを収めた大阪と対戦。初回、1番・藤原綜俊の鮮やかな先頭打者ホームランで早々と先手を取ると、続く2回表にも9番・武慶輔、1番・藤原綜俊の連続タイムリーで2点を追加。これで試合の主導権を握った広島は、終盤5回表にも4番・宮本海斗のタイムリーで2点を追加。7回表にも1番・藤原綜俊がこの試合2本目のソロホームランを再び左中間へ放り込み、完全に勝負あり。守っては、先発し、力投を続けるエース・長井風雅から6回途中、もう一人の「期待の右腕」宮本海斗へ継投。7回裏ツーアウトを取り、優勝まであとアウト一つとなったところで長井風雅が再出場し、最後を締めくくり、6−0の完勝。「全試合完封勝ち」という抜群の安定感を見せつけ、念願の初優勝に輝いた。

 成年男子・成年女子と同じく岩手県花巻市/石鳥谷ふれあい運動公園において開催された少年女子は、千葉が3年ぶり6度目の優勝。
 2日目・準々決勝から登場した千葉は、春の全国高校選抜、夏のインターハイを制し、「春夏連覇」を達成した千葉経済大附属高のメンバーを主体に「貫録の戦い」を見せ、初戦となった準々決勝・京都戦にまず3−0の完封勝利。準決勝でもベスト4進出を果たし、意気上がる地元・岩手をまったく寄せ付けず、初回から4番・辻楓、6番・小野寺誌織のタイムリー等計13安打を浴びせる猛攻で7−1と圧勝。順当に決勝へと勝ち進んだ。決勝では、神村学園高等部の単独チームであり、1回戦(福島に2−0)、準々決勝(香川に5−0)、準決勝(岡山に3−0)といずれも完封勝利を収め、ここまで無失点を続ける鹿児島と対戦。初回に1番・甲野紋加の先頭打者ホームランで1点を先制した直後、「サウスポーのエース」伊藤貴世美が2点を失い、試合をひっくり返されたが、ここから王者の底力を発揮! 3回表に「怒涛の5連打」で一挙3点を奪い、逆転に成功すると、4回裏、1点差に詰め寄られはしたものの、終盤相手守備の乱れと得意の集中打でリードを広げ、終わってみれば7−3の得点差で快勝。圧倒的ともいえる強さで3年ぶりの王座に返り咲き、全国高校選抜、インターハイに続く「三冠」の偉業を成し遂げた。

 また、今回の国体でも、初日の試合終了後に花巻市/石鳥谷ふれあい運動公園で、宇津木妙子氏(公益財団法人日本ソフトボール協会副会長・国際委員長/シドニーオリンピック、アテネオリンピック女子日本代表ヘッドコーチ)を講師に、伊藤幸子氏(北京オリンピック金メダリスト)、松本直美氏(アトランタオリンピック女子日本代表、シドニーオリンピック銀メダリスト)がアシスタントとなり、地元の小・中学生を対象に「ソフトボール教室」を実施。

 「ソフトボール教室」では、宇津木妙子氏が女子日本代表ヘッドコーチ時代と変わらぬ率先垂範、陣頭指揮に立つ「熱血指導」でウォーミングアップから直々に指導。子どもたちと一緒になってグラウンドを駆け回った。技術指導では、宇津木妙子氏がキャッチボールの指導から、基本中の基本を伝授し、打撃・守備については伊藤幸子氏、松本直美氏が中心となって技術指導。最後は宇津木妙子氏の「代名詞」でもある「速射砲ノック」の洗礼を受け、子どもたちだけではなく、その場に居合わせた指導者たちにも容赦のないノックの雨が浴びせられ、汗と泥にまみれながら無心でボールを追いかける姿に、子どもたちが歓声を上げる一幕もあった。

 男女4種別が3日間にわたり熱戦を繰り広げ、今回は岡山の男女総合優勝、京都の女子総合優勝という結果で幕を閉じた第71回国民体育大会(ソフトボール競技)。開催地の行政や関係者の苦労はもちろんのこと、大会を「盛り上げ」、「成功させる」ために、この国体の開催にあたっては、長年たくさんの人々が思いを込め、力を注ぎ、準備を進めている。来年は愛媛(2017愛顔つなぐえひめ国体)へと「国体」の舞台が移される。そこでまた、新たな歴史の一頁が刻まれ、人々の記憶に残る大会となることを願いたい。