2016.9.20
 

 

第68回全日本総合女子ソフトボール選手権大会

ビックカメラ高崎 BEE QUEEN(群馬)
「初」の栄冠に輝く!




第68回全日本総合女子選手権大会が大分県別府市で開催された


日本体育大(東京)が唯一、大学勢でベスト8進出!



台風16号に振り回されながらも何とか試合を行った



雨に濡れたボールをドライヤーで懸命に乾かすシーンも見られた



豊田自動織機 シャイニングベガは熏竝′獅フ先頭打者本塁打等でHonda Revertaを撃破!「連覇」へ「王手」をかけた



ビックカメラ高崎 BEE QUEENは森さやかの二塁打2本・4打点を挙げる活躍で「宿敵」トヨタ自動車 レッドテリアーズを退け、決勝へ



決勝は1点を争う好ゲームとなり、ビックカメラ高崎 BEE QUEENが「連覇」を狙う豊田自動織機 シャイニングベガを破り、優勝を飾った



「ビックカメラ」として「初」の優勝を飾り、喜びもひとしお!



第68回全日本総合女子選手権大会 決勝ダイジェスト

 去る9月17日(土)〜20日(火)、大分県別府市・別府市営市民球場を主会場に、「第68回全日本総合女子選手権大会」が開催され、台風16号の影響で悪天候に振り回されながらも、予備日(20日/火)まで一日順延し、何とか無事全日程を終了することができた。

 大会には、前年度優勝の豊田自動織機 シャイニングベガ(愛知)を筆頭に、準優勝のデンソー ブライトペガサス(愛知)、リーグ推薦10チーム(日本女子リーグ1部所属の12チーム。今年度の場合は、豊田自動織機 シャイニングベガとデンソー ブライトペガサスが前年度優勝・準優勝チームとして推薦出場しているため、それを除く10チームが推薦出場)、全国各地区予選を勝ち上がった19チームに開催地(地元)枠で推薦出場の1チームを加えた計32チームが「日本一」の座をかけ、熱戦を繰り広げた。

 大会初日(9月17日/土)は、1回戦16試合が行われ、今夏のインカレを制し、「大学日本一」に輝いた園田学園女子大(兵庫)が「1部リーグ」で「推薦出場」のNECプラットフォームズ Red Falcons(静岡)を1−0で破る「大金星」を挙げた。
 また、地元・大分県から3チームが出場したが、日本文理大が多聞クラブ(高知)を5−0で破った他は、サニースカイ、佐伯中央病院SCの2チームは、地元の熱い声援を背に「1部リーグ」チームに果敢に挑んだが、力の差はいかんともしがたく、いずれも大敗。初戦で姿を消す結果となった。

 大会2日目(9月18日/日)、ここから大会は台風16号に振り回されることになり、この日は2回戦・準々決勝の12試合が行われる予定であったが、第1試合に予定されていた4試合しか消化することができず、悪天候のため、この日の残り8試合を翌日(9月19日/月・祝)に順延。準決勝・決勝は予備日(9月20日/火)に行うことになった。

 大会3日目(9月19日/月・祝)、この日も朝から雨に見舞われたが、主管協会である大分県ソフトボール協会、別府市ソフトボール協会の懸命のグラウンド整備で、C・D球場(別府市営野口原軟式野球場西・東)は9時30分から、A(別府市営市民球場)・B(ばっぷ市営実相寺球場)は10時から試合開始にこぎつけ、台風の影響で次第に激しさを増す雨の中、予定された各会場2試合・計8試合、中断を挟みながらも行うことができた。

 大会が進むにつれ、推薦出場の「1部リーグ」のチームが、その「強さ」を見せつける中、園田学園女子大、地元・日本文理大も2回戦で姿を消したが、「大学ソフトボール界の名門」日本体育大(東京)が唯一、ベスト8進出。1回戦で同じ「大学生」のIPU・環太平洋大(岡山)を7−0で下し、2回戦では、今シーズン「2部リーグ」ホープセクション1位の大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)を6−3で撃破。初回、鮮やかな先制攻撃で大量5点を奪い、大垣ミナモソフトボールクラブの「意地」の反撃をかわし、「1部リーグ」以外のチームで唯一ベスト8進出を果たした。
 準々決勝でも、前年度優勝の豊田自動織機 シャイニングベガと互角の試合を展開。むしろ「押し気味」に試合を進めていたが、5回裏、「台風16号」接近の影響で次第に激しさを増す雨の中、ここまで力投を続けてきた日本体育大の「エース」岡村奈々が制球を乱し、4連続四死球で押し出し。これで緊張の糸が切れてしまったか、ケイラニ・リケッツに走者一掃のタイムリーツーベースを浴び、勝負あった。0−4で敗れはしたが、今大会を大いに盛り上げてくれた。

 この日、ベスト4に駒を進めたのは、その日本体育大との一戦に勝利した「前年度優勝」の豊田自動織機 シャイニングベガ。
 2回戦の園田学園女子大戦、準々決勝の伊予銀行 ヴェールズ戦といずれも先手を奪われながら、「逆転」で勝利を収めたHonda Reverta(栃木)。
 危なげのない試合運びで勝ち上がり、2年ぶりの「王座奪還」を狙うトヨタ自動車 レッドテリアーズ(愛知)。
 「ビックカメラ」として「初」となる優勝をめざすビックカメラ高崎 BEE QUEEN。以上の4チームが、最終日の準決勝に勝ち進んだ。

 大会最終日(9月20日/火)、前夜、九州に上陸し、猛威を振るった台風16号の影響で、準決勝は12時試合開始となった。
 準決勝、豊田自動織機 シャイニングベガとHonda Revertaとの一戦は、先攻の豊田自動織機 シャイニングベガが初回、1番・熏竝′獅ェHonda Reverta・先発のモーガン・メローの投じた、試合開始直後の2球目をとらえ、ライトスタンドへ運ぶ先頭打者本塁打。強烈な「先制パンチ」を浴びせると、3回表には、二死一・二塁からダブルスチールで揺さぶりをかけ、二・三塁とした後、5番・中森菜摘が一・二塁間を破るタイムリー。二塁走者を迎え入れ、貴重な追加点となる2点目。
 このリードを、「投打の大黒柱」ケイラニ・リケッツが被安打2・奪三振6の力投で守り切り、Honda Reverta打線に最後まで得点を許さず、2−0の完封勝ち。「連覇」へ「王手」をかけた。

 もう一方のゾーンでは、ビックカメラ高崎 BEE QUEENとトヨタ自動車 レッドテリアーズが対戦。先攻のビックカメラ高崎 BEE QUEENがトヨタ自動車 レッドテリアーズの「絶対的エース」モニカ・アボットの立ち上がりを攻め、先頭打者・メーガン・ウィギンズの三遊間を破るヒット、犠打で一死二塁と得点圏に走者を進めると、二死後、連続四死球で満塁と攻め立てたが、6番・我妻悠香が三振に倒れ、無得点。
 トヨタ自動車 レッドテリアーズもその裏、「帰ってきたエース」上野由岐子を攻め、1番・ナターシャ・ワトリーが一・二塁間を破るヒットで出塁。犠打で二塁へ進んだ後、3番・長楓]未が三遊間を破り、一・三塁。すかさず盗塁を決め、一死二・三塁と絶好の先制機を作ったが、4番・坂元令奈がファーストフライ、5番・渥美万奈が見逃し三振に倒れ、こちらも無得点に終わった。
 試合が動いたのは3回表、ビックカメラ高崎 BEE QUEENは一死から連続四球で一・二塁とし、4番・森さやかが左中間を破る走者一掃のタイムリーツーベース。まず2点を先制すると、5番・糟谷舞乃の死球で一・二塁とし、二死後、7番・柳井春菜が詰まりながらもレフト前に落とし、二塁走者が生還。「難攻不落」のモニカ・アボットから3点を先制し、続く4回表には、途中出場の9番・植木千晴が左中間へソロホームラン。一死後、2番・市口侑果の一・二塁間を抜く安打、敵失で一・三塁とし、4番・森さやかが再び左中間を破るタイムリーツーベース。この回3点を加え、トヨタ自動車 レッドテリアーズの「絶対的エース」モニカ・アボットをKOした。
 トヨタ自動車 レッドテリアーズが1点を返して迎えた5回表には、代わった山根佐由里から1番・メーガン・ウィギンズがライトスタンドへスリーランホームラン。9−1と大きくリードを広げた。
 ビックカメラ高崎 BEE QUEENは、「エース」上野由岐子がその裏、1番・ナターシャ・ワトリーにソロホームランを浴びたものの、落ち着いて後続を断ち、「宿敵」トヨタ自動車 レッドテリアーズに9−2の5回コールド勝ち。昨年の日本リーグ「優勝」に続く、「ビックカメラ」として2つの目のタイトル奪取へ向け、決勝進出を決めた。

 決勝は、ビックカメラ高崎 BEE QUEEN・上野由岐子、豊田自動織機 シャイニングベガ・ケイラニ・リケッツ、両エースが息詰まる投手戦を展開。ビックカメラ高崎 BEE QUEEN・上野由岐子が1安打ピッチングで快調に飛ばせば、豊田自動織機 シャイニングベガ・ケイラニ・リケッツも毎回のように得点圏に走者を背負いながらも要所を締め、両チームとも得点できないまま、試合は最終回を迎えた。
 ビックカメラ高崎 BEE QUEENは7回表、この回先頭の7番・柳井春菜が絶妙なセーフティーバントを決め、出塁。8番・内藤実穂の送りバントを処理したファースト・佐藤光紗が思い切り良く二塁へ送球したが、これが悪送球となり、無死一・二塁。9番・植木千晴のピッチャーゴロをケイラニ・リケッツが処理を焦ってはじいたが、ショート・熏竝′獅ェうまくカバーして一塁へ送球し、打者走者を刺し、一死二・三塁。1番・メーガン・ウィギンズは故意四球で歩かされ、満塁としたが、2番・市口侑果は空振り三振。この三振となる投球のとき、三塁走者が飛び出してしまい、捕手からの送球で三塁タッチアウト。一瞬にしてダブルプレーとなり、チャンスを潰してしまった。
 その裏、豊田自動織機 シャイニングベガは3番・洲鎌夏子がライト前ヒットで出塁。すっかり「日本代表」に定着した「成長株」のヒットで「サヨナラ」の走者を出すと、二死後、6番・ケイラニ・リケッツの当たりはレフト線へ落ちる安打となり、一塁走者・洲鎌夏子が一気に三塁へ。「一打サヨナラ」のチャンスをつかんだものの、7番・佐藤光紗の「初球攻撃」はセンターフライに終わり、無得点。試合は両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
 8回表、ビックカメラ高崎 BEE QUEENはタイブレーカーの走者を犠打で三塁へ進め、死球、盗塁で二・三塁とした後、5番・糟谷舞乃のバットは快音を残したが、ファースト・佐藤光紗が素晴らしい反応でこれを好捕。二死となり、6番・我妻悠香は故意四球で歩かされ、満塁。7番・柳井春菜はセカンドゴロに倒れ、「万事休す……」と思われたが、セカンド・中森菜摘の一塁への送球が逸れ、三塁走者が生還。待望の先取点がビックカメラ高崎 BEE QUEENにもたらされた。
 豊田自動織機 シャイニングベガはその裏、タイブレーカーの走者を犠打で確実に三塁へ進め、同点のチャンスを作ると、ここで丹下淑裕監督が動き、代打を起用。「百戦錬磨」のベテラン・西山麗を代打に起用し、「勝負」をかけた。2球目、ヒットエンドランを敢行し、西山麗はピッチャー前に転がしたが、ピッチャー・上野由岐子がこの打球を処理し、本塁へ鮮やかなグラブトス。見事な反応と正確無比なグラブトスで三塁走者は間一髪、本塁タッチアウト。この「上野由岐子以外にはできない」プレー、ピッチングと並んで「世界一」と評される華麗なフィールディングでピンチを切り抜け、最後の打者もサードライナーに打ち取り、ゲームセット! 「ビックカメラ」として2つ目のタイトルを手にした。