2016.9.20
 

 

第62回全日本総合男子ソフトボール選手権大会

平林金属(岡山)、4年ぶり3度目の頂点へ!




第62回全日本総合男子選手権大会が開催され、
平林金属(岡山)が4年ぶりに王座を奪還!



大会には、全国の厳しい予選を勝ち抜いた総勢32チームが出場
文字通り「日本の頂点」をめざして、激戦を繰り広げた



【準決勝】 高崎市役所(群馬) vs 平林金属(岡山)
平林金属・松田光が、6回裏に勝ち越しのソロホームランを放つ!



高崎市役所も「国内bPサウスポー」エース・照井賢吾を軸に
懸命の戦いを見せたが、準決勝で力尽き、連覇ならず……



【準決勝】 ダイワアクト(佐賀) vs ホンダエンジニアリング(栃木)
序盤からダイワアクトが先制攻撃! 10安打を浴びせる猛攻で快勝



「難敵」アンドリュー・カークパトリックの攻略に挑んだホンダエンジニアリング
しかし……ダイワアクト打線に大量7点を奪われ、完敗を喫した



【決勝】 ダイワアクト(佐賀) vs 平林金属(岡山)
平林金属の「投打の柱」松田光が、この決勝でも試合を決める逆転ツーラン!



平林金属、ダイワアクトに2−1で逆転勝利を収め、頂点へ!!



松田光だけではなく、チーム一丸となり、つかんだ「真の日本一」
このまま平林金属の「黄金時代」に突入するのか!? 今後も注目が集まる



第62回全日本総合男子選手権大会 決勝ダイジェスト

 第62回全日本総合男子ソフトボール選手権大会が、去る9月17日(土)〜19日(月・祝)の3日間にわたり、愛媛県八幡浜市・大洲市/王子の森スタジアム・八幡浜市民スポーツパーク 他において開催された。

 大会には前回優勝の高崎市役所(群馬)、準優勝の旭化成(宮崎)をはじめ、昨年の日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントに出場した7チーム(※昨年準優勝の旭化成を除いた7チーム(ホンダエンジニアリング(栃木)、デンソー(愛知)、岐阜エコデンSC(岐阜)、トヨタ自動車(愛知)、平林金属(岡山)、ダイワアクト(佐賀)、愛媛ウエスト(愛媛))が推薦出場。その他、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた22チーム、開催地枠として地元1チームを加えた総勢32チームが出場。文字通り「日本の頂点」をめざして熱戦を繰り広げた。

 大会初日/9月17日(土)は1回戦16試合が行われ、中国ブロック代表の環太平洋大学(岡山)が、リーグ推薦のトヨタ自動車を3−2で破る大金星。先月、鹿児島県南九州市で開催された第51回全日本大学選手権(インカレ)で6年ぶり2度目の優勝を飾った「大学チャンピオン」が、見事「日本リーグ勢を撃破!」する番狂わせを起こした。また、1回戦ではこの環太平洋大学と同じ「大学チーム」が大健闘。関東ブロック代表の城西大学(埼玉)は九州ブロック代表の株式会社ミゾタ(佐賀)に8−0の5回コールド勝ち。東海ブロック代表の中京大学(愛知)は、リーグ推薦の平林金属を相手に手に汗握る大熱戦を繰り広げ、最終的には1−1の同点で迎えた7回裏、平林金属・谷口淳に代打サヨナラソロホームランを浴びて惜しくも大金星とはいかなかったものの、「堂々たる戦いぶり」で会場を大いに沸かせた。

 大会2日目/9月18日(日)は2回戦・準々決勝の12試合が行われ、前日の1回戦でトヨタ自動車を撃破した環太平洋大学が、同じく「日本リーグ勢」であり、東海ブロック代表の豊田自動織機(愛知)にチャレンジ。2日続けての番狂わせを狙ったが、ここはさすがに豊田自動織機がリーグチームの「意地」を見せ、3本のホームランを浴びせる等「長打攻勢」で6−0と快勝。同じく「大学チーム」の城西大学も2回戦突破をめざし、懸命に戦ったが、前年の王者・高崎市役所の壁は厚く、0−7の5回コールド負け。上位進出を果たすことはできなかった。前回のチャンピオン・高崎市役所、また、「日本リーグ勢」がその実力を発揮していく中で、2回戦では中国ブロック代表のウエダバッファロー(広島)がリーグ推薦の岐阜エコデンSCを6−2で破る金星を挙げたが、準々決勝では平林金属(ウエダバッファローに5−1)、ダイワアクト(デンソーに3−2)、ホンダエンジニアリング(豊田自動織機に5−3)ら「優勝候補」と目されるお馴染みの顔ぶれが順当に勝利。連覇を狙う王者・高崎市役所も地元開催での初優勝に意気込む愛媛ウエストを「貫録の戦い」で4−1と退け、ベスト4に駒を進めた。

 大会最終日/9月19日(月・祝)は、準決勝・決勝が行われ、準決勝・高崎市役所対平林金属戦は、後攻の平林金属が初回、一死三塁から3番・松田光のファーストゴロの間に早々と1点を先制。しかし、迎えた4回表、1点を追う高崎市役所も反撃に転じ、二死走者なしから5番・照井賢吾のセンターへのソロホームランで同点。試合はこのまま両チームが「がっぷり四つ」に組む展開で、「延長タイブレーカーもあるか!?」と思われた。高崎市役所・照井賢吾、平林金属・松田光「両エース」の息詰まる投げ合いが続いていくかに見えた矢先の終盤6回裏、平林金属は一死から3番・松田光がワンストライク後の2球目を鋭く振り抜き、センターへ弾丸ライナーで突き刺すソロホームラン。「投打の柱」「チームの顔」の目の覚めるような一撃で勝ち越しの1点を奪うと、さらに2本のヒットと四球で満塁と攻め立て、この絶好の追加点のチャンスに「代打」で起用された尾赴M成が、松田光と同じくワンストライク後の2球目を完璧にとらえ、再びセンターへ舞い上がる超特大の満塁アーチ。「国内bPサウスポー」照井賢吾も思わず苦笑い、脱帽の「一発攻勢」で一挙5点を挙げ、試合を決定づけた。守っては、先発し、自ら勝ち越しのソロホームランを放ったエース・松田光、2番手・横畠充がこのリードを守り抜き、6−2で勝利。平林金属が王者・高崎市役所の連覇を阻み、決勝進出を決めた。

 もう一方の準決勝・ホンダエンジニアリング対ダイワアクト戦は、7年ぶり2度目の総合選手権制覇をめざすダイワアクトが序盤から先制攻撃。初回、ホンダエンジニアリングの先発・浅野公太の立ち上がりを攻め、一死一・三塁から「チームの生え抜き」で「キャプテン」を務める4番・白水啓太が三塁線を破るタイムリーを放ち、1点を先制。3回裏にもこの回先頭の3番・アンドリュー・カークパトリックが初球を左中間へ運び、リードを広げるソロホームラン。完全に試合の主導権を握ると、続く4回裏には7番・ニコラス・ノートンのソロホームランで3点目を追加。1点を返された後の終盤6回裏にも1番・古川恵士、2番・吉田和史の連続タイムリーで一挙4点を挙げる等、着々と加点。終わってみれば10安打を浴びせる「打線の活躍」で圧勝し、優勝に王手をかけた。

 決勝では、現在、日本リーグ(日本男子西日本リーグ)でも優勝争いを演じるダイワアクトと平林金属が激突。オーストラリア代表で、「世界一の左腕」とも称されるダイワアクト・アンドリュー・カークパトリック。また、日本代表で、現在「日本男子ソフトボール界を牽引する男」と評される平林金属・松田光の「両絶対的エース」が満を持して先発登板し、試合がはじまった。序盤はその「両絶対的エース」が連投の疲れを感じさせず、一歩も譲らぬ投げ合いを繰り広げ、3回まで0−0。迎えた4回表、ダイワアクトは2番・吉田和史、3番・アンドリュー・カークパトリックの連打、さらに内野ゴロ、5番・乘本真視の死球等で二死満塁のチャンスを作ると、7番・ニコラス・ノートンがインコースを敢えてベースいっぱいにかぶさり、結果、押し出しの死球。息詰まる緊迫の展開の中で労せずして1点を先制した。だが、平林金属も当然このまま黙ってはいない。直後の4回裏、この回先頭の2番・祝弘樹がワンボール・ワンストライクの後、4球ファウルで粘って気迫のレフト前ヒット。持ち前の「ガッツ」「勝利への執念」を前面に押し出し、出塁を果たすと、ここで3番・松田光がフルカウント後の6球目を迷わず振り抜き、センターへ「起死回生」の逆転ツーランホームラン。自ら与えた死球によって奪われたリードを帳消しにする「意地の一発」を豪快に叩き込み、見事試合をひっくり返した。投げては、その松田光が5回以降ダイワアクト打線を1安打に抑え込み、被安打4・奪三振9の投球内容で完投勝利。「エースの投打にわたる活躍」で平林金属がダイワアクトに2−1の逆転勝ちを収め、4年ぶり3度目の頂点に登り詰めた。

 平林金属は全日本クラブ選手権での優勝に続き、これで国内タイトル「二冠」を達成。今後も国体、日本リーグとまだ主要大会を残しており、引き続きその戦いぶりが注目される。今大会は初戦となった中京大学戦のサヨナラ勝ちに象徴されるように、苦しい戦いを勝ち上がっての王座奪還。「全日本総合選手権に出場してくるチームは、どこも素晴らしいチーム。楽に勝てる試合など一つもない」と話した吉村啓監督の言葉がその厳しい状況を物語っていたが、最終的には試合を重ねるにつれてチーム状態も上向き、しっかりと頂点へ駆け上がってみせた。ここ最近の平林金属は、特に「ここぞ!」という場面でグッとチームが一つにまとまり、「爆発的な力」を発揮する強さがある。今年の公式戦の黒星はまだ日本リーグ(日本男子西日本リーグ)で喫した2敗のみであり、その「負けない」姿が、今や「常勝」平林金属といわれる何よりの「証」であるといえるだろう。

 そして、今回もやはり……「日本男子ソフトボール界を牽引する男」松田光が要所で輝きを放った。準決勝・高崎市役所戦での勝ち越しのソロホームランも見事であったが、決勝・ダイワアクト戦で「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックから放った値千金の逆転ツーランホームランは「圧巻」の一言。まさに「狙い澄まして打った一発」であり、会場に訪れたすべての人々に強烈なインパクトを与えるものだった。この松田光の活躍には、きっとまた多くの選手たちが「刺激」を受けたはず。今後、日本の男子ソフトボールのレベルをさらに押し上げていくためにも、良き「起爆剤」となってくれることを期待したいものである。

 次回、第63回大会で「Stop the 平林金属」を果たすのはどのチームか。すべてのチーム・選手が真に高いレベルで競い合い、互いに切磋琢磨しながら、また「男子ソフトボール・国内最高峰の戦い」を我々に見せつけてもらいたい。