2015.10.22
 

 

第61回全日本総合男子ソフトボール選手権大会

高崎市役所(群馬)、7年ぶり2度目の栄冠に輝く!




高崎市役所(群馬)が日本リーグ勢をなぎ倒し、
7年ぶり2度目の総合選手権制覇!



大会には「日本の頂点」をめざし、総勢32チームが出場



【準決勝】岐阜エコデンSC vs 高崎市役所
エース・照井賢吾が「冷静」かつ「クレバー」なピッチングで完封!
高崎市役所が1−0で投手戦をモノにし、7年ぶりの決勝へ



岐阜エコデンSC・嶋田智希も被安打2と好投したが……



【準決勝】旭化成 vs 平林金属
互いの「意地」と「プライド」がぶつかり合う、まさに大熱戦
旭化成が延長9回タイブレーカーに及ぶ死闘を制す!



3年ぶり3度目の優勝を狙った平林金属
土壇場の7回裏に追いついたが、最後は力尽きた



【決勝】高崎市役所 vs 旭化成
高崎市役所が初回に先制攻撃!
3回表終了時点で5点をリードし、流れをつかむ



旭化成も徐々に追い上げ、2点差まで迫ったが……



高崎市役所が6−4で逃げ切り、再び頂点に立つ!



現役日本代表、元日本代表がコンスタントに活躍
改めて「選手層の厚さ」を見せつけ、栄冠を勝ち取った



第61回全日本総合男子選手権大会/鹿児島県南九州市

 第61回全日本総合男子ソフトボール選手権大会が、9月26日(土)〜28日(月)の3日間にわたり、鹿児島県南九州市/知覧平和公園多目的球場 他において開催された。

 大会には、前回優勝のNeo長崎(長崎)、準優勝のトヨタ自動車(愛知)をはじめ、 昨年の日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントに進出した7チーム(※昨年準優勝のトヨタ自動車を除いた7チーム(デンソー(愛知)、ホンダエンジニアリング(栃木)、豊田自動織機(愛知)、大阪桃次郎(大阪)、平林金属(岡山)、旭化成(宮崎)、愛媛ウエスト(愛媛))が推薦出場。その他、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた22チーム、開催地枠として地元1チームを加えた総勢32チームが出場。文字通り「日本の頂点」をめざして熱戦を繰り広げた。

 大会初日/9月26日(土)は、1回戦16試合が行われ、北信越ブロック代表の金沢教員ソフトボールクラブ(石川)が、リーグ推薦として出場したデンソーを4−2で破る大金星。今夏、カナダ・サスカツーンにおいて開催された第14回世界選手権に「日本代表」として出場し、弱冠二十歳ながら「エース格の働き」を見せたデンソー・岡阜囀lを相手に、3回表、3番・吉田憲、4番・守護聖豪の長短打で1点を先制。4回裏にツーランホームランを浴びて一度試合をひっくり返されたものの、5回表には再び4番・守護聖豪のタイムリーなどで2点を奪い、逆転に成功。7回表にも相手守備の乱れに乗じ、大きな4点目を挙げ、勝利を飾る「番狂わせ」を起こした。その他、1回戦では未来都HC(大阪)がジェイテクト(徳島)に7−0(5回コールド)、高崎市役所(群馬)が豊田自動織機に8−2、日新製鋼(広島)が愛媛ウエストに5−1で勝利を収めるなど、日本リーグ勢を見事に撃破。また、環太平洋大学(岡山)も京都クラブ(京都)との手に汗握る接戦に7−6で競り勝ち、社会人チームを破る果敢な戦いぶりを見せた。

 大会2日目/9月27日(日)は、2回戦・準々決勝の12試合が行われ、2回戦では、前日の1回戦でデンソーを破る大金星を挙げた金沢教員ソフトボールクラブがその「勢い」を持続させ、大阪グローバル(大阪)を3−1で撃破。同じく1回戦で京都クラブとの接戦を制した環太平洋大学は旭化成に挑戦したが、惜しくも2−3で敗れ、準々決勝へ駒を進めることはできなかった。準々決勝では、Neo長崎、岐阜エコデンSC(岐阜)、大阪桃次郎、平林金属、旭化成、トヨタ自動車といった日本リーグ勢が顔を揃える中、高崎市役所が昨年の覇者・Neo長崎を5−2で破り、準決勝へ進出。今回、デンソー、大阪グローバルといった日本リーグ勢を続けて打ち破り、「注目」を集めた金沢教員ソフトボールクラブは、ここまでの「激戦」で力を使い果たしてしまったか、平林金属に1−8と無念の5回コールド負け。「快進撃」はここで止まり、ベスト8で今大会を終えることとなった。準決勝には、この高崎市役所、平林金属を含め、大阪桃次郎に6−5で打ち勝った岐阜エコデンSC、昨年準優勝のトヨタ自動車に1−0の完封勝利を収めた旭化成の4チームが進出。最終日、「頂点」をめざして激突した。

 大会最終日/9月28日(月)は、準決勝・決勝が行われ、準決勝・岐阜エコデンSC対高崎市役所戦は、高崎市役所が2回裏、4番・青山紀彦の左中間を破るツーベースでチャンスを作ると、続く5番・小田澤直紀がセンターへキッチリと犠牲フライを打ち上げ、1点を先制。この1点のリードをエース・照井賢吾が、持ち味の「制球力」を生かした「丁寧なピッチング」で守り抜き、完封勝利。横山拓、嶋田智希、鈴木周平、枦山竜児ら「元日本代表」を揃える岐阜エコデンSCの強力打線を散発4安打に抑え、得点圏に走者を背負った場面でも、「冷静」かつ「クレバー」な投球術で最後まで決定打を許すことなく、チームを7年ぶりの決勝へ導いた。

 もう一方の準決勝・旭化成対平林金属戦は、両チームが一歩も譲らぬ「大熱戦」を展開。0−0で迎えた5回裏に平林金属が押し出しの死球で1点を先制すれば、7回表、旭化成が二死二塁から1番・米良孝太のレフトへのツーランホームランで逆転に成功。しかし、このまま「決着」はつかず、土壇場の7回裏、平林金属が7番・平本拓朗の「起死回生」のソロホームランで同点に追いつき、2−2のまま、試合は延長タイブレーカーにもつれ込むこととなった。延長タイブレーカーに入り、8回は互いに得点を挙げられず、迎えた9回表、旭化成はタイブレーカーの走者を内野ゴロで三進させると、二死後、8番・河合恵祐がサード強襲のタイムリーを放ち、再び1点を勝ち越し。この1点のリードを、その裏、先発・金丸昭太が最後の力を振り絞って守り抜き、3−2で勝利。「死闘」を制し、27年ぶりとなる決勝進出を決めた。

 決勝では、7年ぶり2度目の優勝をめざす高崎市役所と29年ぶり3度目の栄冠を狙う旭化成が激突。先攻の高崎市役所が初回、旭化成の先発・寺原瑞希の立ち上がりを攻め、一死三塁から3番・原田泰光の右中間を破るタイムリースリーベースで1点を先制すると、2回表にも二死一・三塁から1番・深谷祐太が豪快なスリーランホームランを叩き込み、3点を追加。「勢い」に乗った高崎市役所は、3回表にもこの回先頭の3番・原田泰光に鮮やかなソロホームランが飛び出し、1点を加えるなど、アッという間に5点をリード。その裏、「連投」となったエース・照井賢吾が、同じく「日本代表」として今夏の世界選手権を戦った2番・松岡真央にタイムリースリーベースを浴び、2点を返されたが、迎えた5回表には二死二塁から6番・滝本和正が「お返し」とばかりにタイムリーツーベースを打ち返し、大きな6点目を追加。照井賢吾は6回裏に死球と長短打で再び2点を失いはしたものの、7イニングをしっかりと投げ抜く「エースの役割」を果たし、完投勝利。高崎市役所が6−4で旭化成の追撃をかわし、7年ぶり2度目の栄冠を手にした。

 今大会、豊田自動織機、Neo長崎、岐阜エコデンSC、旭化成と、立て続けに日本リーグ勢を破り、頂点へと登り詰めた高崎市役所。選手の顔ぶれを見ると、「3大会連続世界選手権出場」の実績を持つエース・照井賢吾を柱に、「元日本代表」の原田泰光、小田澤正紀、「元U19日本代表」の小田澤直紀、青山紀彦、また、大学時代(日本体育大学出身)から「非凡な打撃の才能」を発揮していた深谷祐太ら「実力者」が脇を固め、改めて「選手層の厚さ」を印象づけた。そして、その中心選手たちが大会を通じてコンスタントに活躍。7年前に初優勝(2008年の第54回大会では、準決勝(平林金属)・決勝(ホンダエンジニアリング)と2試合続けて日本リーグ勢を撃破。「小田澤兄弟」がチームを引っ張り、特に決勝は、当時エースであった兄・小田澤直紀が投打に活躍。ホンダエンジニアリングの先発・浜口辰也から、自ら試合を決めるスリーランホームランを叩き込み、投げては完投。見事優勝投手に輝いている)を飾った頃と比べても、照井賢吾、深谷祐太らの加入で戦力は大きく上がり、チームの充実ぶりを感じさせる。全日本実業団選手権3連覇(2011年〜2013年)の実績をはじめ、このところ「国内指折りの強豪」とも呼ばれるようになり、今回の優勝については「実力通り」の結果であったといってもおかしくないだろう。

 今や「国内bPのサウスポー」と称されるエース・照井賢吾は、今大会でも4試合に完投し、持ち味の「制球力」と「投球術」をフルに使って相手打者を翻弄。「日本代表」として世界選手権を3度戦い抜いてきた「経験」はやはり大きく、そのピッチングからは「円熟味」が感じられるようになった。また、2009年の第12回世界選手権(カナダ・サスカツーン)に「日本代表」として出場し、打線の主軸を務めた原田泰光の「勝負強いバッティング」も健在。選手兼任監督という重責を背負いながら、自ら先頭に立ち、大舞台で「結果」を残し続けるその姿は、若い選手たちの良き「お手本」となっている。実質これからチームを担い、引っ張っていかなければならないのは、小田澤正紀、青山紀彦、松本健、大井宗、深谷祐太ら中堅・若手の選手たちだが、この両ベテランの「いぶし銀の活躍」は、今回の優勝の原動力でもあり、「さすが」の一言に尽きる。

 「日本の頂点」を争う全日本総合選手権で、見事2度目の栄冠を勝ち取った高崎市役所。「日本リーグ勢をなぎ倒し、真の日本一になる!」彼らの胸の内には、常にそんな「熱い思い」がある。実業団選手権を3連覇しようが、総合選手権を2度制覇しようが、そこにおごりや慢心は一切ない。

 「男子ソフトボール」はこのようなチームが存在し、凌ぎを削り合うからこそ、おもしろい。日本の男子ソフトボールのさらなるレベルアップをめざして……男たちの「挑戦」の日々は続く!