2013.9.10
 

 



9月8日のオリンピック実施競技不採用の決定を受け、
全日本野球協会、日本ソフトボール協会が合同記者会見を行った




オリンピック実施競技不採用の決定を受けて……
野球・ソフトボールの動向が注目される




「メジャーリーグの完全協力を得ることができなかった……」
と思いを語る、全日本野球協会・鈴木義信副会長




「大変残念でならない…… ソフトボールの世界的な普及を!」
と悔しさをにじませ、語った日本ソフトボール協会・尾武ウ則副会長




WBSC(世界野球ソフトボール連盟)は今後も存続
今回の「不採用」という結果を受け、今後どのような復帰活動に乗り出すのか!?




いつの日か必ず、野球・ソフトボールが
「オリンピック」の舞台に復帰できることを願って……!


2020年夏季オリンピック実施競技不採用の決定を受け、全日本野球協会、日本ソフトボール協会が合同記者会見を実施

 

 「野球・ソフトボール」の2020年夏季オリンピック実施競技不採用の決定を受け、去る9月9日(月)、東京都千代田区丸の内・ジャパンベースボールセンター会議室において、一般財団法人全日本野球協会、公益財団法人日本ソフトボール協会合同の記者会見が行われた。

 会見には、一般財団法人全日本野球協会より鈴木義信副会長、内藤雅之専務理事。公益財団法人日本ソフトボール協会より尾武ウ則副会長、笹田嘉雄専務理事が出席。9月8日(日)の深夜に決定された、野球・ソフトボールの2020年夏季オリンピック実施競技不採用の結果を受けて、野球、ソフトボール、それぞれの立場から“思い”が語られた。

 今回の2020年夏季オリンピック実施競技不採用について、全日本野球協会・鈴木義信副会長は、「まずは、今回のオリンピック実施競技不採用の決定を受け、大変残念に思っている。我々の願いは届かなかったが、実施競技として採用されたレスリングには素直におめでとうと言いたい。今回は2020年夏季オリンピックでの実施競技復帰をめざし、男子の野球・女子のソフトボールを1競技として世界にアピールしてきた。野球側からソフトボール側に組織の一本化を投げかけておきながら、このような結果に終わってしまい、ソフトボールの関係者の皆さまに対して本当に申し訳なく思っている」とコメント。不採用となった要因については、「野球側が、MLB(メジャーリーグベースボール)から完全協力を得られなかったということが最大の要因であったと考えている。MLB側は、現在選手のドーピング問題もあり、今回の協力に踏み切れなかったのではないか」との見解が示された。また、今後の野球・ソフトボールのオリンピック競技復帰活動にもふれ、「今後もWBSC(世界野球ソフトボール連盟)を存続させ、オリンピック競技復帰に向けて邁進していきたいと考えている。国際野球連盟(IBAF)、MLB(メジャーリーグベースボール)に対しても、より一層はたらきかけていきたい」と思いを述べた。

 日本ソフトボール協会・尾武ウ則副会長は、オリンピック競技への復帰が叶わなかった事実に対して、「大変残念でならない。我々は、今回野球側と協力し、男子の野球・女子のソフトボールを1競技として、2020年東京でのオリンピック競技復帰をめざしてきた。それが叶わなかったという現実が何よりも残念である」とコメント。今後のオリンピック競技復帰活動については、「今回の不採用を受けて、我々は今後、どのような部分に取り組み、アピールしていかなければならないのか、もう一度しっかりと考えなければならない。野球側とこれまでの復帰活動を総括し、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)と連携を取りながら、今後の復帰活動を進めていきたい」と、展望を口にした。

 記者会見の後半は、野球側、ソフトボール側両者へ、訪れた記者からさまざまな質問が投げかけられ、野球側には、「今後、MLB(メジャーリーグベースボール)によりはたらきかけると言うが、具体的に、どのようなはたらきかけを行うのか?」ソフトボール側には、「オリンピック競技復帰を果たすため、今後の課題は何か?」、「フェイスブック、ツイッターなどソーシャルメディアを利用した復帰キャンペーンへの手ごたえは、実際どの程度あったのか?」など、これまでの、またこれからのオリンピック競技復帰活動に対して、より具体的な回答が求められた。

 全日本野球協会・鈴木義信副会長は、これらの質問を受け、「MLB(メジャーリーグベースボール)の協力を得るのは決して簡単なことではない。これは我々日本だけが動いてもダメ。日本を含め、野球の盛んな国々が互いに手を取り合い、“大きな力”を生むことでMLB(メジャーリーグベースボール)を動かしていかなければならない」と回答。日本ソフトボール協会・尾武ウ則副会長は、「ソフトボールの今後の課題は、世界への普及。IOC委員の多いヨーロッパを中心に、世界的な普及を図っていかなければならない。日本を含め、アメリカ、カナダ、オーストラリアといった国々はソフトボールが非常に盛んだが、世界的に見ればまだまだ普及していないということが現実にある。世界選手権のようなトップレベルの大会を、ヨーロッパ、アフリカ、南米など、さまざまな国々で開催していく必要がある。また、我々日本を含め、ソフトボールの盛んな国々が積極的に指導者を派遣し、世界の国々の技術向上を図っていくことも重要である」と、述べた。

 また、フェイスブック、ツイッターなどソーシャルメディアを利用した復帰キャンペーンについて、全日本野球協会・鈴木義信副会長、日本ソフトボール協会・笹田嘉雄専務理事は、「今年4月のWBSC(世界野球ソフトボール連盟)設立に際し、復帰キャンペーンと題してこの活動を推し進めてきたが、やはり活動期間そのものが短く、投票の直前になってしまったということは、大いに反省すべき部分であろう。今回のキャンペーンを通じて、世界の国々へ、本当に野球・ソフトボールを周知徹底させることができたのかどうか、しっかりと総括し、今後の復帰活動に臨みたい」と語った。

 男子の野球、女子のソフトボールを1競技として、2020年夏季オリンピック実施競技入りをめざした野球・ソフトボール。今回、悔しくもその願いは叶わなかった。今後、オリンピック競技復帰を現実のものとするためには、互いにまだ乗り越えなければならない壁があるのは事実である。今回「不採用」となったこの結果を、野球・ソフトボールがそれぞれの立場でどのように受け止め、総括するのか。今後のオリンピック競技復帰活動を含め、その動向に注目したい。