2012.9.26
 

 

第64回全日本総合女子選手権大会

ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)、「宿敵」トヨタ自動車(愛知)を破り、2年連続15度目の優勝!

第64回全日本総合女子選手権大会が来年に開催を
控えた東京国体の「リハーサル」を兼ね、開催された

全国から精鋭32チームが集結! 「日本一」めざし激突!!

大学チームで唯一ベスト8進出を果たした山梨学院大

動画配信プロジェクトがUstreamを通じてライブ配信を
実施! A球場の準決勝・決勝の「生中継」が実現した

準決勝進出を果たしたHonda

豊田自動織機も健闘したが……。準決勝で力尽きる

圧倒的な強さで決勝進出を決めたトヨタ自動車

息詰まる投手戦を制し、ルネサス
エレクトロニクス高崎が「頂点」へ!

ルネサスエレクトロニクス高崎が2年連続15度目の優勝!




 9月21日(金)〜24日(月)の4日間(当初予定では9月21日(金)〜23日(日)の3日間の開催予定であったが、23日(日)が雨天のため、予備日/24日(月)に順延)、来年に国体開催を控えた東京都福生市・あきる野市・三鷹市・瑞穂町を会場に、第64回全日本総合女子選手権大会(第68回国民体育大会ソフトボール競技リハーサル大会)が開催された。

 大会には、推薦出場の日本女子リーグ1部12チーム、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた20チームを加えた総勢32チームにより、「日本一」の座をかけ、熱戦が展開された。

 大会初日(21日/金)は、推薦出場の日本女子リーグ1部12チームに、全国各都道府県予選・各ブロック予選を勝ち抜いた日本女子リーグ2部7チーム、大学10チーム、クラブチーム3チームが挑む図式となったが、山梨学院大(山梨)が日立マクセル(京都)を7−3で破り、「大金星」を挙げた以外は順当な結果となり、日本女子リーグ1部11チームが2回戦に駒を進め、大学勢では初戦が「大学勢同士」の対戦となった日本体育大(東京)、淑徳大(埼玉)が勝ち残り、クラブチームは全日本クラブ選手権を制した大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)をはじめ、IECブルドックス(熊本)、Shine’s(福島)の3チームがいずれも大差の敗戦。1回戦でShine’s(福島)を破った甲賀健康医療専門学校(滋賀)、インカレ準優勝で地元・期待の東京女子体育大(東京)を破ったYKK(富山)の日本女子リーグ2部の2チームを含めた16チームが翌日の2回戦に駒を進めた。

 大会2日目(22日/土)、A球場(福生市・福生市営野球場)では、昨年の覇者・ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)が、日本リーグでは連敗を喫した戸田中央総合病院(埼玉)を相手に、エース・上野由岐子が「意地」の力投。完全試合を達成する、まさに「完璧」なピッチングで「リベンジ」を果たし、3−0と快勝。同じ群馬県高崎市に本拠地を置く太陽誘電(群馬)との準々決勝も6−0の完封勝ち。危なげのない試合運びで準決勝進出を決めた。

 B球場(あきる野市・あきる野市民球場)では、日本女子リーグ1部で首位を快走し、「王座奪還」を狙うトヨタ自動車が、ここでも他を寄せつけず、快進撃。初戦の伊予銀行(愛媛)戦に思わぬ苦戦を強いられ、4−2で競り勝ったことで目が覚めたか、佐川急便(京都)を11−0、シオノギ製薬(兵庫)を10−0と2試合連続のコールド勝ち。圧倒的な強さで準決勝に駒を進めた。

 C球場(三鷹市・三鷹市大沢総合グラウンド)では、日立ソフトウェア(神奈川)がデンソー(愛知)に4−3で競り勝ち、2試合連続の完封勝ちで勝ち上がってきた豊田自動織機(愛知)と準々決勝で対戦。試合は、日本リーグでも上位を争うチーム同士の対戦にふさわしく1点を争う好ゲームとなり、日立ソフトウェア(神奈川)が前半、林佑季の本塁打などで2点をリードしたが、終盤、豊田自動織機(愛知)が反撃。6回裏、ここまで好投していた先発・佐藤佑樹をとらえ、中森菜摘、メーガン・ウィリスのタイムリーで同点に追いつくと、7回裏、一死から熏竝′獅ェあわやサヨナラホームランかというフェンス直撃の二塁打を放ち、二死後、中森菜摘がセンター前にはじき返し、センター・山田恵里の「強肩」をかいくぐり、二塁走者・熏竝′獅フ見事なスライディングでサヨナラ。「難敵」を撃破し、ベスト4進出を決めた。

 D球場(瑞穂町・シクラメンスポーツ公園)では、大学勢で唯一、山梨学院大(山梨)が2回戦を突破。YKK(富山)に1点を先制されたものの、森田紀代美、寺門千奈美の本塁打などで逆転し、先発・酒井彩好が粘り強く丁寧なピッチングでYKK打線に追加点を許さず、3−1で勝利を収め、ベスト8進出。
 続くHonda(栃木)との一戦も、初回にキャプテン・轟優花の三塁打を口火に先取点を挙げ、ベスト4進出への期待が大きく膨らんだが、その裏、すぐに同点に追いつかれ、「勢い」を止められると、5回裏二死走者なしから、島崎望に決勝のソロホームランを浴び、終戦。Hondaが2−1で勝利を収め、今年もベスト4はすべて日本女子リーグ1部のチームが独占する結果となった。

 翌23日(日)が雨のため、予備日(24日/月)に準決勝・決勝が順延され、公益財団法人日本ソフトボール協会・動画配信プロジェクト(同協会・竹島正隆理事を委員長とする)がA球場で行われた準決勝・決勝をインターネット、Ustreamを通じたライブ配信(生中継)を行った。
 このライブ配信に際しては、大会主管協会である東京都協会・福生市協会、開催地の福生市の行政、日本体育大男子・女子ソフトボール部が全面的にバックアップ。強力な支援体制・協力体制の下で実現にこぎつけた。

 A球場、準決勝・ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)対豊田自動織機(愛知)の一戦は、先攻のルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)が初回に先制。橋本留美の二塁打、大久保美紗の四球で一死一・二塁とし、峰幸代のショート後方へフラフラッと上がった打球をショート・熏竝′獅ェ好捕したものの、打球を追っていたレフトと交錯。体勢が崩れたのを見逃さず、二塁走者・一塁走者がタッチアップから二・三塁へ進塁。この好判断が生き、続く岩渕有美のショート内野安打で三塁走者が生還。ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)が1点を先制した。
 一方、豊田自動織機(愛知)は2回裏、古田真輝が7月の世界選手権では、ともに「日本代表」として戦い、「世界一」を勝ち獲った「剛腕」上野由岐子をとらえ、中越ソロホームラン。「一振り」で試合を振り出しに戻し、その後は上野由岐子、ダニエル・ローリー両投手が一歩も譲らぬ力投。1−1の同点のまま、試合は延長タイブレーカーに突入した。
 ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)は8回表、市口侑果の送りバントが一塁前の小フライとなり、ファースト・古田真輝がダイビングキャッチ。飛び出した二塁走者を刺そうと、二塁ベースカバーに入ったセンター・狩野亜由美に素早く送球。しかし、この送球がやや低く逸れ、二塁へ戻る走者と交錯。無人のセンターにボールが転々とする間に、二塁走者・小松美樹がホームイン。貴重な1点を勝ち越した。
 その裏、「世界を制した鉄腕」上野由岐子が送りバントすら許さず、送りバント失敗のファーストフライ、連続三振で豊田自動織機(愛知)の最後の攻撃を三者凡退に斬って取り、決勝進出。「連覇」へ王手をかけた。

 B球場のトヨタ自動車(愛知)対Honda(栃木)の一戦は、モニカ・アボット、モーガン・メローの「外国人投手対決」となり、緊迫の投手戦を展開。モニカ・アボットがHonda打線を6回まで4安打・11三振に抑える力投を見せれば、モーガン・メローも4回表の二死一・二塁、5回表の一死満塁のピンチを凌ぎ、6回まで無失点で乗り切り、試合は両チーム無得点のまま、最終回を迎えた。
 トヨタ自動車(愛知)は7回表、一死からナターシャ・ワトリーが死球で出塁。二死後、敵失で一・二塁とし、藤野遥香が決勝のタイムリー。その裏、モニカ・アボットが、二死から死球を与えたものの、アウトはすべて三振で切って取る力強いピッチングで守り切り、決勝進出を決めた。

 このところ、日本リーグ、全国大会の「決勝」といえば、お馴染みとなったトヨタ自動車(愛知)とルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)の顔合わせとなった決勝は、予想通り、モニカ・アボット、上野由岐子が息詰まる投手戦を展開。トヨタ自動車(愛知)は7回まで、わずか1安打、11三振。ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)は3安打、13三振と両投手が「世界最高レベル」の投げ合いを展開。0−0のまま、延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
 トヨタ自動車(愛知)は8回表、タイブレーカーの走者を藤野遥香が確実に送り、一死三塁としたものの、長楓]未が三振、小野真希がセカンドゴロに打ち取られ、無得点。
 その裏、ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)は、代打・宇野有加里が送りバントを失敗し、ファウルでワンストライクとなった後、2球目がワイルドピッチとなり、無死三塁。3球目にスクイズを敢行したが、ファウルとなり、ワンボール・ツーストライクとなった4球目、執念のスリーバントスクイズ。打者の足に当たり、フェアグランドに転がったようにも見えたが、そのままプレーが続行され、三塁走者が生還。あっけない幕切れで息詰まる投手戦にピリオドが打たれた。

 最後のスクイズがフェアかファウルかを巡って、トヨタ自動車(愛知)・福田五志監督が激しく抗議する場面も見られたが、結局、判定通り1−0でルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)のサヨナラ勝ち。2年連続15度目の優勝で大会は幕を閉じた。