2016.12.4
 

 

GEM3(女子U19日本代表)
選手選考会を開催!




GEM3(女子U19日本代表)選考会が実施された



選考会には全国各都道府県協会の推薦を受けた72名が参加



ピッチャーはスピードガンによる球速測定、変化球のチェックが行われた



野手は希望するポジションでシートノックを受け、守備の基本技術を確認



ロングティーでバッティングの基本技術をチェック



選考会2日目・3日目は実戦形式での選考となった



選考会2日目には遠投、塁間走等の測定も行われた



めざすは「世界一」、アメリカの連覇を阻止しての「王座奪還」



GEM3(女子U19日本代表)選考会

 去る11月29日(火)〜12月1日(木)の3日間わたり、静岡県伊豆市・天城ドーム、天城ふるさと広場野球場、多目的グラウンドを会場に、「平成29年度 女子GEM3(U19)日本代表チーム選手選考会」(2017年第12回世界女子ジュニア選手権大会選手選考会)が開催された。

 選考会には、各都道府県支部協会の推薦を受けた72名が参加。来年夏に開催が予定されている「第12回世界女子ジュニア選手権大会」(平成29年7月22日〜30日/アメリカ・フロリダ州クリアウォーターで開催予定)の代表選手17名の座をめざし、厳しい選考に臨んだ。

 選考会に先立ち、公益財団法人日本ソフトボール協会選手強化本部会・齋藤春香女子強化委員長が挨拶に立ち、「この選考会は来年の夏、開催が予定されている『第12回世界女子ジュニア選手権大会』に出場するGEM3(U19日本代表)を選出する選考会となります。2020年東京オリンピックでの正式種目入りも決まり、2018年には千葉で世界選手権の開催も決まっています。過去の『日本代表』選手の多くが、このGEM3(U19日本代表)で国際舞台を経験し、後に世界選手権優勝やオリンピックでのメダル獲得を果たしています。皆さんもその『栄光の歴史』に名を刻み、『世界の舞台』に大きく羽ばたいていってほしいと期待しています」と参加選手たちを激励した。

 続いて、渡辺祐司GEMプロジェクトリーダーが、「皆さんは各都道府県協会の推薦を受け、『日本代表』をめざしてこの選考会に参加しています。今までもそれぞれのチームで『全国優勝』『日本一』をめざしてきたと思いますが、これからは『世界の舞台』に立つこと、いや『世界一』をめざしてもらうことになります。選考にあたる私たちGEM委員も『世界の舞台で戦えるかどうか』『世界に通用する人材であるかどうか』を見極めるべく、厳しく選考させていただきます」と、この選考会が「世界に通用するか否か」を基準に行われる選考会であり、「選手選考の要素は、その有する技術はもちろんのこと、『日本代表』の選手として、それにふさわしい責任ある行動が取れる選手であるかどうかも対象となります。その言動もしっかりとチェックさせてもらい、選考の要素とさせてもらいます」と、世界に通用する素材であり、その技術を有していることはもちろんのこと、「日本代表」の名にふさわしい立ち居振る舞いのできる選手でなければならないことが選考を前に強調された。

 この後、選手たちはウォーミングアップを入念に行い、キャッチボール、トスバッティングを行った後、各ポジションに分かれての選考に入った。
 ピッチャーは、スピードガンによる球速測定。選手個々が自身の有する球種を申告。一球一球、球速を測定するとともに、変化球の切れ、コントロール等がチェックされた。
 野手は、それぞれ希望する「第一希望」のポジションと「第二希望」のポジションでシートノック。基本的なグラブさばき、スローイングの正確さ、肩の強さ、打球への反応、守備範囲の広さ等、選手個々の有する守備の基本技術が確認された。
 最後に、ロングティーでスイングスピード、ミートの正確性、打球の飛距離等、バッティングの基本技術がチェックされ、それら攻守の基本技術がしっかりと見極められ、初日の選考を終了した。

 選考会2日目は、実戦形式での選考となり、参加者をA・B・C・Dの4チームに分け、試合形式での選考を実施。また、それと並行して測定も実施。2チームが試合形式で選考を行う間に、残り2チームが30m走、塁間走(一塁から二塁への盗塁を想定した測定と二塁打を打った場合を想定した本塁から二塁までの測定)、遠投を測定。選手個々の基本的な運動能力がチェックされた。
 その一方で、実戦形式の選考では、実際の試合の中で、打者をどう抑えていくか、あるいはそれをどう打ち返すのか、走者を置いた状況での状況判断や状況に応じた技術の使い分けができるか否かが見極められた。

 選考会最終日も実戦形式での選考となり、選手たちは最後まで「全力プレー」でアピール。「世界の舞台」に立つべく、懸命のアピールを続け、3日間にわたる選考会の全日程を終了した。

 来夏、このGEM3(U19日本代表)を率いることになる木田京子ヘッドコーチは、「現時点ではまだ誰が投打の軸となってくれるのか未知数な状態。ただ、この世代の選手たちは何かのキッカケで大きく伸びる、大化けする可能性を秘めていると思いますし、それこそ大会期間中に信じられないような成長を見せる選手もいます。それだけに、選手の欠点や短所に目を向けるのではなく、選手の良いところ、長所を活かし、一人でも二人でも『覚醒』してくれるような選手が出てきてくれれば……と期待しています」と、未知数ながらも可能性を秘めた選手たちへの期待を語った。

 2013年の第10回世界女子ジュニア選手権大会でヘッドコーチを務め、「世界一」となった経験を持つ宗方貞徳GEM3リーダーは、「TOPチームでもそうですが、このカテゴリーでの最大のライバルはアメリカ。過去11回の大会で、第2回大会で中国が優勝したことを除けば、日本とアメリカが5回ずつ優勝を分け合っています。前回大会はアメリカに圧倒されてしまっていますし、私たちが出場した前々回の大会も、優勝したとはいえ、アメリカはファイナルまで無失点。日本とのファイナルとの5回表に4点を失い、結局それが決勝点となりましたが、失点はそのイニングのみ。アメリカは前回大会もそうでしたが、110km/h台の投手を3人も4人を揃えており、野手も足が速く、スピードのある選手を揃え、スラッパーでも、ただ転がして塁に出る、というだけでなく、そのまま長打にしてしまう、オーバーフェンスにしてしまうような選手がいました。守備面については、そんなに上手くはない……という印象がありましたが、思った以上に技術が高く、そのための練習方法や選手育成のメゾットがしっかりしているという印象を受けました。NCAA(全米大学体育協会)の試合をYouTube等で見る機会があったのですが、とにかくそれが面白い! 大会の盛り上がり、ソフトボールという競技の見せ方ということも含め、特に投手力強化をめざす上で、アメリカの選手育成の方法をもっともっと研究し、採り入れていく必要があると思います」と、世界の舞台で戦った経験を紐解きながら、今後の選手強化へ向けた「提言」も行った。

 その一方で、清水正GEMプロジェクトサブリーダーは、「先に行われたGEM1の選考会が、一定の基準を設けたことで非常にハイレベルの選考会となったのに比べ、今回の選考会には、一目見ただけで、明らかに『日本代表』の水準にはないと判断できる選手がいました。しかも、『公募』とはいえ、同じチームから4人も5人も参加しているケースもありました。このような選考会に参加し、より高いレベルに触れたい、刺激としたい、といった思いや、『可能性がある限りはチャレンジしたい』という選手個々の思いもわからないではないのですが……。常識的に考えて、一つのチームから大量に代表選手が選出されることは、日本リーグのトップチームであっても、ごくごく稀なケースであることを考えてほしいと思いますし、やはり、ここが『日本代表』を選考する場であることを忘れてほしくありません。また、各都道府県協会、あるいは、それぞれのチームが『他人事』ではなく、『自分の問題』として『日本代表』の強化を考えていかなければ、真の意味での『ALL JAPAN体制』での強化は実現しません。その意味でも、もう一度、選考会の意味、各都道府県協会の推薦で選手を参加させることの意味を問い直してもらいたいと思います」と、「日本代表」を選び出す選考会の「あるべき姿」について再考を促し、真の意味での「ALL JAPAN体制」での強化へ向けて、協力が要請された。

 選考結果は今月中旬に所属協会・チームに通知され、発表される予定であり、来年4月以降、3回の国内強化合宿を経て、7月22日〜30日、アメリカ・フロリダ州クリアウォーターで開催される「第12回世界女子ジュニア選手権大会」に出場。「世界一」の座を奪還すべく戦うことになる。