2016.11.10
 

 

日韓ジュニアスポーツ交流事業
(受入)を実施!




日韓ジュニアスポーツ交流事業(受入)が実施され、
韓国女子U19代表チームが来日した



千葉県千葉市を会場に「親善交流試合」6試合を実施!



試合だけでなく、「合同練習」を実施し、互いのレベルアップに努めた



千葉県ソフトボール協会・樋口正博技術委員長が
ピッチングの指導を行い、懸命に取り組む姿が…



9月に韓国を訪問した「春・夏全国制覇」の千葉経済大附属高との 「再戦」も実現。再会を喜び、4試合の「親善交流試合」を行った



グラウンド外でも両国選手は積極的に交流!
言葉の違いも、国境も、関係なし!!



韓国チームは渋谷・原宿界隈を散策。日本文化に触れる機会も…



日韓両国が「真のライバル」となり、アジアのソフトボールを盛り上げよう!



2016 日韓ジュニアスポーツ交流事業(受入)

  去る11月2日(水)〜7日(月)、「日韓ジュニアスポーツ交流事業」の受入事業が千葉県千葉市で実施された。

 この「日韓ジュニアスポーツ交流事業」は2001年にスタート、アジア近隣諸国とのスポーツ交流を促進し、両国の友好親善と競技力向上を目的に「相互派遣方式」で実施されており、今年で16回目の開催となる。

 今回は、今年3月の全国高校女子選抜大会で優勝を飾り、今夏のインターハイも制した千葉経済大学附属高(千葉)を「日本代表チーム」として韓国に派遣。9月7日(水)〜12日(月)、韓国・鎮川を訪問したことを受け、11月2日(水)、今度は韓国女子U19代表チームが来日。千葉経済大学附属高(千葉)の所在地でもある千葉県千葉市を会場に、受入事業が行われた。

 翌3日(木)から「親善交流試合」を実施。千葉県総合スポーツセンターソフトボール場を会場に、初日は午前中は城西国際大、午後は清和大と対戦した。
 初戦の城西国際大戦は、1点を争う好ゲームを展開。3−4で惜しくも敗れたが、「大学生」を相手に互角の試合を演じた。
 しかし、午後の清和大戦は0−13と大敗。翌日からは、9月に「日本代表」として韓国を訪れ、対戦した千葉経済大附属高との「再戦」が実現したが、さすがに「春・夏全国制覇」の強豪相手では分が悪かったか、1−11、1−3、1−7、0−8と4連敗。結局、6試合行った親善交流試合では、1勝も挙げることができなかった。

 それでも、試合終了後には「合同練習」を行い、互いの練習方法等について熱心に意見交換。また、初日は千葉県ソフトボール協会・樋口正博技術委員長によるピッチング指導が行われ、対戦相手であった清和大との「合同守備練習」で両チーム一緒になって汗を流した。
 翌日からは「春・夏制覇」の千葉経済大附属高の名将・佐藤洋介監督による「熱血指導」と、「全国制覇」を成し遂げた千葉経済大附属高の選手たちと交流しながらトップレベルのソフトボールを肌で感じ、互いの技術向上・レベルアップにつなげようとする姿が印象的であった。

 また、日韓両国の「親善交流」はグラウンド上だけに留まらず、歓迎夕食会では、日韓両国の選手がテーブルをともにし、言葉は十分に通じなくても、身振り手振り、ゼスチュアを交えて積極的にコミュ二ケーションを図る光景も見られた。

 3日(木)〜5日(土)の3日間で計6試合の親善交流試合を行った韓国女子U19代表チームは、6日(日)に東京・渋谷、原宿界隈を観光。ここでは「大学女子ソフトボール界の名門にして強豪」日本体育大女子ソフトボール部の選手たちが「ガイド」役を務め、韓国選手団の要望に応え、あちこちを散策。ここでも同年代の選手たちとあって、いとも簡単に「国境」など飛び越え、ともに語り合い、笑い合う姿が見られた。
 翌7日(月)には、羽田空港から韓国選手団が帰国。6日間にわたる受入事業を無事終了した。

 今回も日韓両国の真剣かつ熱心にソフトボールに取り組む姿勢には変わりはなく、国境など感じさせない若い世代の交流は頼もしくさえあった。
 ただ……その一方で、これだけの労力と時間を費やし、数日間の親善交流試合・合同練習で目に見えて成長し、変わっていく韓国選手の姿が見られる一方で、来年になると団長も監督もコーチングスタッフも様変わりしてしまい、またイチからやり直し……。数日間で驚くほどの成長を見せていながら、それが必ずしも蓄積されていかないという「ジレンマ」がある。

 今回、この交流事業の「団長」を務め、今回の受入事業の「主管協会」である千葉県ソフトボール協会の理事長であり、公益財団法人日本ソフトボール協会・井之上哲夫理事が理事会で報告した通り、「国際交流・国際貢献ということにおいては十分に成果が出ており、その趣旨・目的は理解できるが、『アジアのソフトボールの普及・強化の一環として』となると、果たしてこの事業の内容で良いのかどうか、一考の余地があり、検討する必要があるのではないか」と、国際交流・国際貢献における一定の成果を評価しながらも、アジアにおけるソフトボールのさらなる普及、レベルアップを図るためには、もう一度その実施内容を吟味し、せっかくのこの交流事業を「より実りあるもの」とできるよう、両国の協議・検討を促す声があるのも事実である。

 もちろん、この事業の大きな趣旨・目的は、言葉、民族、文化、生活習慣等の違う者同士が、「ソフトボール」という競技を通じて心を通わせることにあり、その中で互いを「仲間」として認め合い、「高い目標」に向かって切磋琢磨していくことにある。その意味では、たとえ言葉や文化、生活習慣が違っても、「ソフトボール」という競技を一つのツールとして、どんどん積極的コミュニケーションを図り、仲良くなっていく選手たちの姿には、素直に両国の「明るい未来」を感じることができた。「国際交流」「国際親善」という面では、この事業が大きな役割を果たしていることは紛れもない事実であり、若い選手たちが早い段階で国際経験を積むという意味でも一定の成果は挙がっているといえるだろう。

 しかし……「本気」で、いつの日か「日本と韓国がオリンピックの舞台で世界の頂点を争う」ことを考えるのであれば、まだまだ乗り越えていかなければならないハードルが数多くあることもまた「事実」である。この交流事業がスタートし、15年以上の時を経ても日韓両国の「競技力」の差に大きな変化は見られず、国際大会における成績等にも大きな隔たりがある。この状況を「変えたい」と望むのであれば、確かに従前の事業内容の繰り返しでは「変化」は期待できそうにない。

 もちろん、「相手」のあることでもあり、日本だけで「変えていく」ことは難しいが……。他の競技においては「日韓」両国が「ライバル関係」を築き、そこで競い合い、高め合うことによって、互いの競技力の向上やレベルアップにつながり、「日本にだけは負けたくない」「韓国にだけは負けられない」といったライバル意識が「大きなエネルギー」を生み出している実例は多い。
 そのライバル意識が、時には「負の感情」につながることもあるが、それだけ意識し、負けられないと思える「ライバル」がいるからこそ、互いを高めることができるのも事実である。
 日韓両国が、ソフトボールにおいても真に「アジアにおけるライバル」となったとき、また「新たな時代」を迎えることになる。そのためにも……この交流事業を「そのための一歩」とできるよう、真剣に考え、取り組む必要があるのではないだろうか。