2015.8.17
 

 

●女子U19日本代表レポート
第11回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会(アメリカ・オクラホマシティ)


日本、ライバル・アメリカにまたしても完敗……
大会連覇ならず、準優勝に終わる




セミファイナルで大敗し、敗者復活戦へと回った日本
ファイナル進出をかけて、まずプエルトリコと対戦



アメリカにリベンジを果たすまで、負けられない!
日本は序盤から得点を重ね、プエルトリコに快勝



日本、ファイナルへ進出!
「リベンジ」を誓い、いざ、アメリカとの再戦へ


「最大にして最強のライバル」アメリカと再び激突!
しかし、3回表に痛恨のスリーランを浴び、3点を先制されてしまう


エース・福井遥香も最後まで力投を続けたが……


セミファイナル同様、アメリカの「猛攻」を受けて8失点
日本、大会連覇ならず……


準優勝に終わった日本
アメリカに二度「完敗」を喫したことが何より悔しい


ホームで優勝し、王座奪還を果たしたアメリカ
今回は「闘志剥き出し」「死に物狂い」で日本を叩きにきた
世界の頂点を狙うなら、このアメリカを倒さなければならない!


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 第11回世界女子ジュニア選手権大会(※大会スケジュールはこちら ※大会オフィシャルサイトはこちら)最終日。前日、決勝トーナメント・セミファイナルでアメリカと対戦し、2−14と屈辱的なスコアで5回コールド負けを喫した日本は、敗者復活戦へと回り、この日まずブロンズメダルゲーム(3位決定戦)でプエルトリコと対戦。一足先にファイナルで待ち受けるアメリカへの「挑戦権」をかけ、「負ければその時点で終わり」となる「最後の決戦」に臨んだ。

・大会第7日(最終日)/8月15日(土)
《決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)》
  1 2 3 4 5 6 7
プエルトリコ 0 0 0 0 0 0 1 1
日  本 1 2 0 1 1 0 x 5
(日)○福井遥香(7回)−坂本結愛
〔三塁打〕石川恭子〔二塁打〕飯田瑞稀

 日本の先発投手は、エース・福井遥香。有住隆ヘッドコーチは、前日のセミファイナルでこの「エース」を敢えて温存。ファイナルに「イチかバチかぶつける」戦術を選択したが、この日は「負ければその時点で終わり」となる最後の戦いだけあって、「連投も仕方がない。福井でいけるところまでいく!」と満を持して先発起用し、勝負に出た。

 その福井遥香は立ち上がり、一死から2番打者にツーベースヒットを浴び、いきなり得点圏に走者を背負ったものの、続く3番打者をライトフライに打ち取り、ツーアウト。さらにパスボールの間に三塁進塁を許したが、ここで4番打者の思い切って引っ張った三塁線への強烈な当たりを、サード・石川恭子が素早く反応し、見事にキャッチ。バックも好守で福井遥香を助け、初回のピンチを脱した。

 先制点がほしい日本はその裏、1番・石川恭子がサードにうまく叩きつけるヒットで出塁し、2番・屋禰未奈のピッチャーゴロの間に二進。3番・那須千春はファーストファウルフライに倒れ、二死となったが、続く4番・坂本結愛がレフト前に力で運ぶタイムリー。二塁走者・石川恭子が俊足を飛ばして本塁へと還り、1点を先制した。

 初回の「先制攻撃」に成功した日本は、2回裏にも6番・櫻岡春香のショートへの内野安打を足場に二死三塁のチャンスを作り、9番・飯田瑞稀、1番・石川恭子の連続タイムリーで貴重な2点を追加。この追加点で試合の主導権を握ると、4回裏には再び1番・石川恭子のタイムリーで4点目。5回裏にも一死二・三塁から6番・櫻岡春香のショートゴロの間にダメ押しの5点目を奪うなど、日本本来の「しぶとく食らいつくバッティング」で小刻みに加点。着々とリードを広げた。

 守っては、先発・福井遥香が「強打」のプエルトリコ打線に5安打を許しながらも、持ち味の「制球力」で終始粘り強いピッチングを展開。7回表に2本のヒットと死球などで一死満塁と攻め立てられ、2番打者のセンターへの犠牲フライの間に1点を返されはしたが、その直後、飛び出した二塁走者を中継プレーでタッチアウトに仕留め、スリーアウトとなり、試合終了。前日のカナダ戦に8−0と圧勝したことで、「3位以上」「メダル獲得」を決め、勢いづいていた「ダークホース」プエルトリコにしっかりと5−1で勝利を収め、ファイナル進出。待ち受けるアメリカへの「挑戦権」を手にし、「連覇」をかけて再戦することとなった。

《決勝トーナメント・ファイナル(決勝)》
  1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 0 0 3 0 2 1 2 8
日  本 0 0 0 0 0 0 1 1
(日)●福井遥香(7回)−坂本結愛、古平綾香
〔二塁打〕有吉茜

 この試合に勝ったほうが「優勝」「世界一」となるファイナル。日本はプエルトリコ戦で7イニングを完投したエース・福井遥香を連投させ、先発に起用。セミファイナルで屈辱的大敗を喫した「最大にして最強のライバル」アメリカに「真っ向勝負」を挑んだ。

 先発・福井遥香は初回、アメリカ打線をショートゴロ、センターフライ、ショートゴロと三者凡退に打ち取る上々の滑り出し。2回表も二死二・三塁のピンチを背負いながら、「最後の力を振り絞るピッチング」で得点を許さず、このまま「投手戦に入るか……」と思われた。

 しかし、迎えた3回表、アメリカはこの回先頭の9番・ジャスミン・ジャクソンがバントヒットで出塁し、1番・エミリー・グリッグスの送りバントで二塁へ進むと、2番・ニコル・デウィットは四球で歩き、一死一・三塁。ここで3番・ジェナ・リレイがセンターへ鮮やかなスリーランホームランを放ち、この回一挙3点を先制。「大きな先取点」がアメリカにもたらされた。

 この3点で試合の主導権を握ったアメリカは、5回表にも4番・シドニー・ロメロの右中間へのタイムリーツーベース、6番・アリッサ・パロミーノのレフトオーバーのタイムリースリーベースで2点を追加。6回表には一死二・三塁から2番・ニコル・デウィットのセンターへの犠牲フライで1点。7回表にも4番・シドニー・ロメロ、6番・アリッサ・パロミーノにそれぞれ完璧な当たりのソロホームランが飛び出すなど、ダメ押しとなる2点を加え、再び日本を圧倒。アメリカに勝つための「切り札」であったエース・福井遥香を、まさに「完璧」に打ち砕き、この試合も計8点を叩き出す「猛攻」を見せた。

 一方、序盤を何とか辛抱強く守り抜き、数少ないチャンスを「泥臭い攻め」でモノにしたかった日本は、初回、2回表と無失点で切り抜けた先発・福井遥香が3回表に一発を浴び、痛恨の3失点。結局、絶対に与えてはいけなかった「先制点」を序盤に許してしまったことが、アメリカ打線に火をつける要因となってしまい、またしても完敗。「闘志剥き出し」「死に物狂い」で王座奪還を狙ってきたアメリカに、1−8と再び「実力の差」を見せつけられる結果となり、「連覇」達成ならず。残念ながら今回は準優勝で大会を終えることになった。

 悔しいが、今大会の「完敗」に表われたように、日本とアメリカには「大きなレベルの違い」があった。まず投手陣を比べてみても、今回アメリカのエースであったケリー・バンヒルの球速はMAX117km/h。90km/h後半のボールを投げ込むのが精一杯だった日本の投手とは、およそ「30km/hのスピード差」があることになる。また、スピードだけではなく、変化球にも切れがあり、打者の手元でボールが鋭く動く。たとえピンチを背負っても、「ここぞ!」という局面で「空振り、三振」を奪える決め球(ウイニングショット)を持ち合わせているということが、何といっても「大きな強み」だろう。日本もエース・福井遥香を中心に、アメリカ戦を除くとわずかに1失点。大会前から投手陣に不安があったことを考えると、この成績はある程度評価に値するものなのかもしれない。しかし、今回のアメリカ打線相手に「全く通用しなかった」という事実は、重く受け止める必要がある。「上野由岐子に続く逸材」「世界で勝てる投手」の発掘・育成に今後より一層力を注いでいかなければ、やはり世界の頂点に立つことは難しいといわざるを得ない。

 打撃に関しても、「100km/h後半」「110km/h以上」のボールに対して、もっと「対応力」を身に付ける必要がある。日本の持ち味でもある「小技」や「機動力」を駆使して、相手を崩し、かき回す従来の攻撃スタイルが、海外のチームに対して非常に効果的であることは間違いないが、最終的にチャンスで「あと1本」が出なければ、得点に結びつかない。アメリカには今回のケリー・バンヒルに象徴されるように、「ジュニア」ですら「MAX117km/h」の速球を投げ込む投手が存在する。正直なところ、ここまでレベルの高い投手に連打や長打を浴びせるのは「至難の業」だが、逆にこのレベルの速球、切れ味鋭い変化球についていけなければ、「本気のアメリカ」と対等に戦うことなどできない。

 そして今回はもう一つ、アメリカの「気迫」「勝利への執念」といった部分もこれまで以上に「凄み」があった。最も印象的であったのは、やはり「先制攻撃」。試合開始直後から一気にたたみかける「集中力」で、どのチーム相手にも序盤で大量得点を奪い、早々と勝負を決めてしまうところは、まさに「圧巻」としかいいようがなかった。

 だが、日本はこのアメリカに勝たねばならない。勝たなければ当然「世界一」になることはできないのだから。今回二度にわたってアメリカに打ちのめされ、準優勝に終わった「悔しさ」を絶対に忘れないでほしい。そして「世界の頂点」に立つために、それぞれがさらなる進化・成長を遂げていかなければならないということも。

 「最大にして最強のライバル」アメリカに勝ってはじめて、日本は「世界一」と胸を張れる。この「完敗」から這い上がってやろうではないか。「リベンジ」を果たすときは、この先の世界選手権、もしくはオリンピックの舞台できっと訪れるはずである。



決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)
プエルトリコ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 3B 石川恭子 園田学園女子大学 9
2 2B 屋禰未奈 園田学園女子大学 2
3 SS 那須千春 日立 6
4 C 坂本結愛 戸田中央総合病院 25
5 DP 石野江里佳 ビックカメラ高崎 11
6 RF 櫻岡春香 東京女子体育大学 1
7 1B 本間睦 日本体育大学 3
8 LF 竹中真海 日本体育大学 8
9 CF 飯田瑞稀 日本体育大学 14
FP P 福井遥香 Honda 19

※選手交代
6回裏 代打 屋禰OUT→中西舞衣(高松南高校)IN  
7回表 再出場 中西OUT→屋禰未奈(園田学園女子大学)IN


決勝トーナメント・ファイナル(決勝)
アメリカ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 3B 石川恭子 園田学園女子大学 9
2 2B 屋禰未奈 園田学園女子大学 2
3 C 坂本結愛 戸田中央総合病院 25
4 DP 石野江里佳 ビックカメラ高崎 11
5 RF 櫻岡春香 東京女子体育大学 1
6 SS 那須千春 日立 6
7 LF 竹中真海 日本体育大学 8
8 1B 本間睦 日本体育大学 3
9 CF 飯田瑞稀 日本体育大学 14
FP P 福井遥香 Honda 19

※選手交代
3回表 守備交代 本間OUT→中西舞衣(高松南高校)IN  
5回裏 代打 竹中OUT→有吉茜(IPU・環太平洋大学)IN
※そのままレフトの守備に入る
6回裏 守備交代 坂本OUT→古平綾香(戸田中央総合病院)IN
 

決勝トーナメント組み合わせ・結果