2015.8.15
 

 

●女子U19日本代表レポート
第11回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会(アメリカ・オクラホマシティ)


日本、アメリカの猛攻の前になす術なし……
屈辱の5回コールド負けを喫し、敗者復活戦へと回る




決勝トーナメント・セミファイナルへと進出した日本



いよいよ「最大にして最強のライバル」アメリカと激突!



日本の先発は中村美樹。しかし、「完全アウェー」の洗礼か……
立ち上がりにいきなりイリーガルピッチを取られ、リズムを崩す


これが、まさにアメリカ得意の「先制攻撃」!
アッという間に3点を先取され、劣勢に立たされてしまった


日本も懸命に反撃を試みたが……
MAX117km/hの先発・ケリー・バンヒルが立ちはだかる


アメリカの猛攻の前になす術がない日本
5回表には、特大の満塁ホームランを浴びるなど一挙7失点


日本、アメリカに2−14の5回コールド負け
だが、戦いはまだ終わっていない。決して最後まで諦めるな!


Broadcast live streaming video on Ustream

 第11回世界女子ジュニア選手権大会(※大会スケジュールはこちら ※大会オフィシャルサイトはこちら)第6日。前日、決勝トーナメント初戦(POOLA1位対POOLB2位)でメキシコに6−0と快勝し、セミファイナル進出を果たした日本は、この日、いよいよ「最大にして最強のライバル」アメリカと激突した。

・大会第6日/8月14日(金)
《決勝トーナメント・セミファイナル》
  1 2 3 4 5
アメリカ 3 2 0 2 7 14
日  本 0 0 1 0 1 2
※大会規程により5回得点差コールド
(日)●中村美樹(1回1/3)、原奈々(1回2/3)、廣瀬夏季(1回)、山田蓮(1回)−坂本結愛
〔本塁打〕屋禰未奈

 日本の先発投手は、今回福井遥香とともに「二枚看板」として期待される中村美樹。この先のファイナルでの戦いを見据え、有住隆ヘッドコーチは敢えて「エース」福井遥香を温存。その他の投手をフル回転させ、アメリカ打線に挑む戦術に出た。

 その先発・中村美樹は立ち上がり、1番・エミリー・グリッグスに対して臆することなく「強気」に投げ込んだが、これが「完全アウェー」の洗礼か、いきなりイリーガルピッチを取られてリズムを崩された後、ピッチャー前にスラップでうまく叩きつけられ、無死一塁。2番・ニコル・デウィットはセンターフライに打ち取ったものの、続く3番・ジェナ・リレイの打席でも不用意なイリーガルピッチをとられ、一塁走者が二進。結局、この後四球で歩かせてしまい、一死一・二塁とされると、二死後、今度は5番・マルディン・ニコルスの痛烈な打球がショート・那須千春を襲い、これを那須千春が何とか身体を張って止め、二塁へ送球したが間に合わず、満塁。ここで、6番・アリッサ・パロミーノに鮮やかにライト前に運ばれ、二者が還り、早々と先制点を奪われてしまう。この劣勢な展開に、ここまで「圧勝」しかしてこなかった日本が「動揺」しないわけもなく、なお一・三塁と続いたピンチで、ショートゴロをさばき、二塁フォースアウトを狙おうとした那須千春の送球が乱れ、エラーとなる間に三塁走者が還って痛恨の3失点目。アメリカ得意の「先制攻撃」を、「受け」に回ってしまった日本はまったく防げず、いきなり試合の主導権を握られてしまった。

 初回に3点を先制された日本は、2回表にも一死から連打を浴びて一・二塁のピンチを背負うと、ここで中村美樹を諦め、2番手・原奈々へと継投。その原奈々も代わって早々に3番・ジェナ・リレイを四球で歩かせてしまい、満塁。続く4番・シドニー・ロメロに鋭くライト前にはじき返され、アッという間に2失点。勢いに乗ったアメリカ打線がまさに日本に対して「襲い掛かる」形となり、序盤で5点のリードを奪われた。

 反撃に出たい日本は3回裏、アメリカの先発・ケリー・バンヒルを攻め、8番・本間睦、9番・竹中真海の連打、四球などで一死満塁のチャンスを作り、ワイルドピッチの間に1点。MAX117km/hの速球(この日のMAXは115km/h)を武器とするアメリカの「エース」に何とか食らいつくが、後続を断たれ、この回1点止まり。

 4回表、アメリカはこの回から登板した日本の3番手・廣瀬夏季を攻め、4番・シドニー・ロメロのセンターへ運ぶ2点タイムリーで再び追加点。5回表にも日本の4番手・山田蓮を容赦なく攻め立て、先頭の7番・ジェナビー・パースから怒涛の4連打で3点。さらにこの後、先制のタイムリーを放った6番・アリッサ・パロミーノにライトへ特大の「満塁アーチ」が飛び出し、この回一挙7点を追加。

 アメリカの「猛攻」の前になす術なく大量リードを奪われた日本は、その裏、2番・屋禰未奈がアメリカの2番手・ゾエ・コンリーからセンターへソロホームランを放ち、2点目を返したものの、この展開では焼石に水。前回、日本に「世界一」の座を奪われ、今大会まさに「闘志剥き出し」「死に物狂い」で王座奪還を狙うアメリカと、その「本気モード」のアメリカに対して「受け」に回ってしまった日本との差は、あまりにも大きく、最終スコアは屈辱の2−14。日本は5回コールド負けを喫し、明日、敗者復活をかけてブロンズメダルゲーム(3位決定戦)へと臨むことになった。

 「最大にして最強のライバル」アメリカは、我々の予想以上に強かった。悔しさは募るばかりだが、これが「現実」である。ここまで圧倒的な強さで全勝、無失点と「快調」な戦いぶりを続けてきた日本であったが、これで気づかされたように、それはあくまでも今までの「相手が弱すぎた」ということにすぎない。この試合の敗因は、やはり積極果敢に攻めてくるアメリカに対して、日本が「受け」てしまったことに尽きる。アメリカの特徴といえば、何といってもあの「先制攻撃」。それをまず、日本としては絶対に防がなければならなかった。初回に早々と3点を失ってしまった場面で、実質「勝負あり」だったといわざるを得ない。

 日本は明日、敗者復活戦へと回り、アメリカが待ち受けるファイナル進出をかけてプエルトリコと対戦する。プエルトリコは、この日、日本戦の前に行われたカナダとの対戦に8−0で圧勝するなど好調を維持。「3位以上」「メダル獲得」を確定させ、今ノリに乗っている「手強い相手」だ。日本がアメリカに「リベンジ」を果たすためには、まずこのプエルトリコを破らなければならない。

 日本が今やるべきこととは何か。それは、何より「本来の姿」を取り戻すことである。その中でも、まずは日本伝統の「鉄壁の守備」を蘇らせること。そして、先発投手が絶対に相手に先取点を与えず、最後まで粘り強く投げ抜くことが必要になってくる。特に攻撃力を売りにするチームと対戦する場合は、ロースコアの試合展開に持ち込み、相手打線に「動揺」や「焦り」を生じさせなければならない。攻撃面では、日本の持ち味でもある「機動力を活かした攻め」を徹底し、いかに泥臭く1点ずつ積み重ねることができるかがカギになるだろう。たとえ格好悪くたってかまわない。相手がどこであろうと、こちらから常に積極的に仕掛け、地道に、辛抱強く、攻守にわたって「日本のスタイル」を貫くしか道はないのだ。このまま終わってしまうことなど、当然できるわけがない。

決して最後まで諦めてはいけない!
今こそ、女子U19日本代表の「真価」が問われるときである




決勝トーナメント・セミファイナル
アメリカ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 3B 石川恭子 園田学園女子大学 9
2 2B 屋禰未奈 園田学園女子大学 2
3 SS 那須千春 日立 6
4 C 坂本結愛 戸田中央総合病院 25
5 RF 櫻岡春香 東京女子体育大学 1
6 DP 石野江里佳 ビックカメラ高崎 11
7 CF 飯田瑞稀 日本体育大学 14
8 1B 本間睦 日本体育大学 3
9 LF 竹中真海 日本体育大学 8
FP P 中村美樹 戸田中央総合病院 13

※選手交代
2回表 投手交代 中村OUT→原奈々(園田学園女子大学)IN  
4回表 原OUT→廣瀬夏季(とわの森三愛高校)IN
4回裏 代打 飯田OUT→中西舞衣(高松南高校)IN  
5回表 再出場 中西OUT→飯田瑞稀(日本体育大学)IN
センターの守備で再出場 
投手交代 廣瀬OUT→山田蓮(日本体育大学)IN 
 

決勝トーナメント組み合わせ・結果