2014.11.5
 

 

女子U19日本代表
選考会を実施!



「平成26・27年度 女子U19日本代表チーム選手選考会」が実施された


初日、2日目の午前中は、各種測定と
基本技術を確認する選考内容となった



選手の一挙手一投足に選考委員の「熱い視線」が注がれた

  2日目途中から「実戦形式」での選考が行われた



実際の試合を想定し、刻々と変わる状況の中で、的確な状況
判断を下し、それに即応した技術の「使い分け」が求められた



選手たちは、自ら考え、自らの判断で、自らのプレーを選択し、
それぞれの状況下で「最適解」を導き出すべく全力を尽くした



「日本代表」の座をめざし、選手全員が最後まで全力プレー!

 
 



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 去る11月1日(土)〜3日(月/祝)の3日間、静岡県伊豆市/天城ドーム・野球場を会場に、「平成26・27年度 女子U19日本代表チーム選手選考会」(2014年第5回アジア女子ジュニア選手権大会/2015年第11回世界女子ジュニア選手権大会選手選考会)が実施された。

 選考会には、所属都道府県支部協会の推薦を得た「全国の精鋭」67名が参加。「世界の舞台」へ羽ばたくことを夢見る「若き戦士たち」が一堂に会し、厳しい選考に臨んだ。

 選考会冒頭、公益財団法人日本ソフトボール協会理事であり、同協会選手強化本部会副本部長を務める矢端信介氏が挨拶に立ち「ここに集う皆さんは、都道府県支部協会の推薦を経て、この選考会に参加しており、『都道府県代表』であるという自覚をもって、この選考会に臨んでほしい。また、この選考会は、『日本代表』を選ぶための選考会であり、技術はもちろんのこと、その言動や行動といった『品格』も問われることになる。従って、宿舎等での態度も十分に意識して取り組んでほしい」と、この選考会の趣旨を改めて確認し、さらには『日本代表』としての自覚と高い意識を求めた。その上で、「2020年東京オリンピックでソフトボールが『必ず実施される』という前提に立ち、そのための『五ヶ年計画』を強化本部としてはスタートさせようとしているところである。皆さんの年代(U19)は、その『ターゲットエイジ』としてその強化の中心に位置づけられており、今、まさにそのスタートライン立っているという自覚と誇りをもってこの選考会に臨んでほしい」と、強化の構想、その中でのこの選考会の位置づけを説明し、参加者を激励した。

 この後、選考会は本格的な選考プログラムに入り、まず走力・遠投力等の測定を実施。各自でウォーミングアップを済ませた後、「盗塁」を想定した塁間のタイム測定。また、二塁からワンヒットで本塁へ還ることを想定した二塁から本塁までのタイム測定も行われ、個々の基本的な走力、ベースランニングのスピードがチェックされた。
 遠投力の測定では、選手個々の肩の強さ、スローイングの基本的な能力がチェックされ、技術的な選考の前段階として、フィジカル、身体能力の測定が行われた。

 測定終了後、ポジションごとの選考に入り、ピッチャーは最初にシートノックを受け、その守備力がチェックされ、実際に投球を行いながら球速測定とそれぞれが有する球種の確認が行われた。
 球速の測定では、ジュニア(19歳以下)とはいえ、世界選手権の決勝トーナメントに残ってくるような強豪国のエース格のピッチャーは、MAX110km/hに迫るようなピッチャーが多く、それを一つの基準として、「世界の舞台」で戦うだけの基本的な資質を有しているか、あるいは潜在能力を秘めているかに選考委員の厳しい目が注がれた。
 また、変化球については、自らがその有する球種を申告。それに基づいてその変化球を投げ込み、一球一球、変化の度合い、キレなどがチェックされ、パワー溢れる外国人選手を相手にしたとき有効な球種となり得るか否かが選考の対象となった。
 特に外国人選手は、リーチが長く、国際大会におけるストライクゾーンがアウトコースに広めな傾向にあることも視野に入れながら、国内における大会の実績や投球パターンだけでなく、そういった国際大会の傾向や対戦する選手の特徴を勘案し、「世界の舞台」で通用するピッチャーは誰なのか、国際大会で活躍が期待できるピッチングスタイルかどうか、また、自らの有する球種を自在にコントロールし、効果的に使うことができるかなどが「選考基準」として設定され、選考委員の「熱い視線」が注がれた。

 野手については、まずそれぞれが希望するポジションでシートノックを受け、打球に対する反応、守備範囲の広さ、肩の強さ、スローイングの正確性などがチェックされた。
 その上で、試合形式でのノックも行い、アウトカウント、走者の有無など、刻々と変わる状況の中で、的確な判断ができるか否か、状況に応じた技術の使い分けが行えているかどうかなどが選考の対象とされた。
 また、世界選手権をはじめとする国際大会では1週間〜10日間にわたる連戦を戦い続けることも念頭に置き、選手のスタミナやメンタルの強さ、突発的な状況下での対応も選考対象とされ、複数ポジションをこなすことができるユーティリティな能力を有しているかどうかも入念にチェックされた。
 キャッチャーについては、ピッチャーの球速測定、変化球のチェックの際に、その投球を受けることで、基本的なキャッチングの技術が見極められ、盗塁阻止を想定した本塁から二塁への送球、本塁から三塁への送球のタイム測定も行われ、初日の選考を終了した。

 選考会2日目、3日目は、A・B・C・Dの4チームに分かれ(3日目は選手の入れ替えを行い、E,F,G、Hの4チームを編成)、実戦形式での選考が行われた。各チームに担当の選考委員がつき、個々の選手が偏りなく試合に出ることができるよう配慮されたが、それ以外は、それぞれのチームに振り分けられた選手たちでキャプテンを選出、サインを決め、打席に立つ選手自身がサインを出し、それに基づいてプレーするという形で実戦形式(各イニング無死一塁の状況からスタートし、各打者のボールカウントはワンボール・ワンストライクから打撃を行う)の選考が進められた。
 この意図について、矢端信介選手強化副本部長は、「この年代の選手は、コミュニケーション能力が不足しているとよくいわれる。国際大会で、『世界』を相手に戦うには、自立した選手でなければ戦えないし、自分がどういう選手で、何をやりたいのかを自らの言葉でしっかりと相手に伝えられないようでは、良いプレーなどできるわけがない。また、チームのメンバーを見渡し、そのチームの中で自分を生かすにはどうしたら良いか、チームに貢献できる道は何なのかを考え、的確に見極められる選手でなければならないし、冷静に自らを客観視でき、その上で、チームのために何ができるかを自分自身で考えられるような選手でなければ『日本代表』のメンバーとなることなどできない」と、この選考の意図と狙いを語った。
 それに応えるように、選手たちも、「今、何をすべきか」「チームのために何ができるか」「チームの中で自らを生かすにはどうしたら良いか」を自ら考え、実行。女子U19日本代表「17名」の「狭き門」を突破しようと、最後まで全力プレーで懸命のアピール。選考委員たちを悩ませる結果となった。

 今回、女子U19日本代表を率いる有住隆ヘッドコーチ(上山明新館高/公益財団法人日本ソフトボール協会選手強化本部会女子強化委員)は、「3日間という短期間で67名もの参加者の中から17名の代表選手を選び出さなければならないというのは、非常に厳しく、つらく、苦しいです。『できることなら全員を選んであげたい』というような気持ちにもなりますが……」と、選考する側の難しさ、複雑な心境を吐露した上で、「それでも、限られた時間の中で、しっかりと一人ひとりを見させていただきましたし、その中でも、『日本代表』に選ばれるような選手は、しっかりと結果を出し、そのプレーの内容で、みんなを納得させるようなプレーを見せてくれるもの。その意味では、最後はやはり『選ばれるべくして選ばれた選手』が残ると思いますし、そんなチーム編成になるのだと思います」と、語った。

 今年6月、公益財団法人日本ソフトボール協会の組織が役員改選に伴い、改変され、強化委員に日本リーグのトップを争うチームの監督たちが任命されたこともあり、食事の時間や宿舎でのミーティング終了後にも、委員の中で選手強化の「あるべき姿」が、「日本代表」選手たちのほとんどが所属する「日本リーグ」の活性化・改革案とともに熱く語られる一幕も見られた。話題は、日本リーグチームによるジュニアチームの創設や企業によるNTS優秀選手の研修計画や連携・協力といったことにまで言及し、「激論」が深夜まで続くこともしばしば……。「ソフトボールをもっともっと盛り上げたい」「日本代表に強くあってほしい」という思いがあるからこそであり、この「現場の声」「熱い思い」が今後協会の組織運営にも反映され、「形」となっていくことを期待したい。

 選考会終了後、すぐに選手強化本部会による選考委員会を実施。「平成26・27年度 女子U19日本代表」(2014年第5回アジア女子ジュニア選手権大会代表選手、2015年第11回世界女子ジュニア選手権大会代表選手)17名を選定。11月23日に開催される「平成26年度第8回理事会」の承認を経て、正式に発表される予定である。

 2020年東京オリンピックでの野球・ソフトボールの競技復帰が実現すれば、今回、この選考会に集った選手たちも、当然その「主役」として脚光を浴びることになる。
 NTSをはじめ、この「U19」、そして久々に「復活」する「U23」のカテゴリーと、「日本代表」へと連なる「強化の道筋」がより強固なものとなり、実り大きなものとなるよう期待したい。

※選考会終了後、SCA(アジアソフトボール連盟)より、「第5回アジア女子ジュニア選手権大会」は主催者側の都合により、大会の開催を中止するとの連絡があった。