2013.11.25
 

 

 この事業は、日本スポーツ振興センター(スポーツ振興くじ「toto」)の助成を受けて実施しています。

<平成25年度 助成事業 実績報告>
くじ助成金 参加料(参加選手負担金) 自己財源(日本協会)
5,442,000円  1,200,000円   1,878,694円  
※上記、くじ助成金の使途内容(項目)は、旅費交通費(宿泊費含)、雑役務費(食事代、
振込手数料含)、スポーツ用具費(使用球代)、会場借料、諸謝金として支出しています。

平成25年度(2013)
全国女子ジュニア育成中央研修会(NTS)を開催!
優秀選手17名を選出!!




恒例の「NTS全国女子ジュニア育成中央研修会」が開催された




研修会初日、体力測定の指導を行う船渡和男講師(日本体育大大学院教授)




今回の日本体育大学の協力を得て、体力測定を実施




参加選手たちは様々な測定に全力でチャレンジ!




JISS・石井美子管理栄養士が直々に食事の摂り方を指導




研修会2日目は、守備・打撃の基本技術を入念に研修




山田恵里(左)、西山麗(右)、金メダリストとふれあう時間も設けられた



 

研修会3日目・4日目は、実戦形式での研修が行われた


 

NTS史上最高速(過去最高)の球速を記録する選手も出現!!!





ソフトボール 2013 全国女子ジュニア育成中央研修会

 去る11月14日(木)〜17日(日)の4日間、静岡県伊豆市において、平成25年度全国女子ジュニア育成中央研修会が開催された。

 この研修会は、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が策定した「JOCゴールドプラン(国際競技力向上戦略)に基づく施策「一貫指導システム(競技者育成プログラム)」の一つとして実施されているもので、今回で10回目の開催となる。
 また、「優秀選手の発掘・育成」をさらに具体的なものとし、発展させていきたいという公益財団法人日本ソフトボール協会の意向のもと、この研修会で発掘された優秀選手17名による選抜チームを編成。今回も台湾遠征を行うことが決定しており、来年1月19日(日)〜24日(金)の6日間、台湾・南投において開催される招待試合へ出場。台湾・中国の中学生チームとの対戦を通じて、ジュニア世代の強化を図ることになった。
 研修会当日は、全国9ブロック(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州)からそれぞれ選抜された選手が集合。全国9ブロックから各6名ずつ選抜された54名に、公益財団法人日本ソフトボール協会選手強化本部推薦の6名を加えた計60名の選手が参加し、4日間にわたる研修がスタートした。

 初日は、早速、大石益代、熄シ久美子、中澤依未、藤間有加トレーナーによるウォーミングアップが行われ、NTS代表委員・NTS委員・日本中体連スタッフの指導のもと、まず選手全員の体力測定を実施。
 体力測定では、今回も船渡和男講師(日本体育大学大学院教授)が中心となり、高橋流星講師(日本体育大学助教)を含めた日本体育大学のトレーニング科学系研究生が測定をサポートした。測定項目は、身体組成、柔軟性、筋力・体脂肪測定などのメディカル・フィットネスチェックに加え、遠投、30mダッシュ、メディシンボール投げ、反復横とび、立ち幅とびなどのフィールドテストも実施。昨年同様、選手全員の体力測定を、科学的な部分からすべて数値・データ化し、それぞれの選手がソフトボール選手に必要な運動能力をどの程度有しているかということが一目で分かるよう、測定項目ごとに個々の結果がグラフで示された一覧表を配布し、各選手・スタッフにフィードバックする方式がとられた。
 また、この研修会も10回目を迎え、過去のデータの蓄積もあることから、過去の優秀選手との比較や日本代表選手との比較なども試みられ、まず自らの「現状」を知り、自分の弱いところはどこか、強化すべきポイントはどこか、といった目標の設定を容易にし、今後の強化に役立つよう工夫が凝らされていた。

 研修はグラウンド上だけにとどまらず、夕食時には、JISS(国立スポーツ科学センター)の石井美子管理栄養士の指導のもと、この研修会での食事のメニューがすべて張り出され、まずどのような食材が出されているか、今、摂るべき食事の内容はどうあるべきか、アドバイスを受けながら、ビュッフェ形式の食事を摂った。その後、石井美子管理栄養士による講義が行われ、ジュニア世代における食事の重要性、アスリートとして必要な栄養の知識、食事を摂るタイミング、トレーニング期と試合直前に摂るべき食事の違いなどが指導された。ここでも「自らの状態を正しく把握し、自らが強くなるために、何を食べるべきかを考え、工夫することが大切」と、自らの身体の状態や特徴を知り、何を食べ、何を飲み、どのように食事をコントロールしていけばいいか、基本的な考え方やアスリートとして知っておくべき知識が具体的に示され、学ぶ時間をもった。

 研修会2日目には、バットスイングの計測と並行して、実際にボール・バットを使っての実技研修を行った。
 この日は、まず守備の基本からスタート。まずキャッチボールの基本からはじまり、その後はポジション別の研修。投手の研修では、現在、男子日本代表の監督を務め、現役時代には「日本代表のエース」として世界選手権準優勝、第3位など、男子日本代表の「黄金時代」を築いた西村信紀氏(公益財団法人日本ソフトボール協会選手強化本部会男子強化委員長・技術副委員長)が直接指導。その他にも現役時代、日本代表として国際舞台で活躍、あるいは日本のトップレベルでプレーした選手経験を持ち、現在は指導者として各カテゴリーで輝かしい実績を築き続けている錚々たる面々が講師を務め、各ポジションを指導。将来を見据え、今ここで「基礎・基本」を徹底し、習得しておく必要性を説き、また基礎・基本の正しい習得とその反復があってこそ、そこに将来必要となる技術の応用が蓄積されていくこと、世界に通用する技術の習得が可能となることが強調され、指導されていた。
 各ポジション別の研修が一段落したところで、北京オリンピックの金メダリストであり、昨年の世界女子選手権大会では42年ぶりとなる「世界一」の座の奪還に大きく貢献し、今もなお「現役日本代表」として活躍中の西山麗内野手、山田恵里外野手(ともに日本女子リーグ1部・日立所属)が華麗なフィールディングを披露。研修生とともにノックを受け、「お手本」を示す場面も見られた。
 研修生は、「憧れ」の選手たちと一緒にボールを追い、プレーする機会を得て、「夢」のような時間を過ごし、ノックの後は、研修生からの一問一答に、軽妙なしゃべりで応え、笑いをとると同時に、ジュニア世代に必要なソフトボールへの心構えや取り組みの姿勢について、オリンピックや世界選手権での貴重な体験を交えながら、楽しく、わかりやすく、伝えていた。

 午後は、守備の基本技術の「総まとめ」としてシートノックを行い、その後はバッティングの基本技術の指導。ティーバッティングを中心に、構え、ボールの見方、バットスイングの基本などを改めて確認。ここでも守備の技術同様、何より大切なのは「基礎・基本」であり、ここで「土台」をしっかりと作っておかないことには、その上に「応用」を積み上げていくことはできないと、「基礎・基本」の重要性が説かれた。
 ここでも、西山麗選手、山田恵里選手が「お手本」を示し、基本的なバットスイングはどのような軌道を描くのか、ボールをとらえるために、どのようにバットを出していけばよいかなどが、実際に身体を動かしながら、丁寧に説明された。
 また、送りバントの「コツ」といった実戦に役立つ技術のポイントも伝授され、2日目の実技研修を終了した。

 夜間の部では、大石益代講師(公益財団法人日本ソフトボール協会トレーナー部長)による「ウォーミングアップ・クーリングダウンの重要性」の講義で、トップアスリートをめさずためのコンディショニング、トレーニングの基礎知識を学習。「世界」のトップレベルをめざしていくには、技術を磨くだけでは通用せず、その技術習得を可能とするための強靭な身体を作る必要があり、そのためには、前日の栄養の摂り方、この日のコンディショニング・トレーニングが重要な「カギ」となること、いかに目標とする大会に合わせて自らのコンディションを整えていくか、あるいは、自らの身体の状態を正しく知ることにより、どこをどう鍛えていけばいいか、そのために必要な栄養は何か、トレーニング方法は何かなど、すべてが結びついているものであり、それらを独立して行うのではなく、効率的に統合し、総合的に強化していかなければならないことが強調された。
 日々のウォーミングアップ・クーリングダウンは、その「基本」となるもので、練習開始時のウォーミングアップでは、その日の自分の状態を正しく把握し、練習を行える状態にあるか否かを含め、異常はないかなどを確認し、ケガや故障につながることがないよう注意することはもちろん、その日の練習効果を最大限に上げ、その習得を効率的にするために、心身の状態を整えておくことが重要であると説かれ、練習終了時でのクーリングダウンにおいても、疲労を極力蓄積させることなく、翌日にそれを持ち越してしまうことがないよう、しっかりとケアしていく自己管理・セルフコントロールするによって、良い循環を作り出していくことが大切であると、ウォーミングアップ・クーリングダウンの重要性が改めて講義された。

 3日目・4日目は、いよいよ実戦形式での研修。60名の選手を4つのチーム(A・B・C・D)に振り分け、「実戦」での研修に入った。
 投手では、NTS過去最高となる103km/hを記録する投手が出現。また、その他にもコンスタントに100km/hを快速球を投げ込む投手が複数名おり、一方、野手でも、その快速球をモノともせず、フルスイングで立ち向かい、しっかりとアジャストするセンス溢れる選手が多く、その実戦形式での「対決」を見守る講師陣の中からも、「今回はかつてないレベルの高さ」「とても中学生とは思えない」「将来が楽しみ」といった声が数多く聞こえてきていた。
 今回で節目の10回目の開催となった全国女子ジュニア育成中央研修会。NTS代表委員・NTS委員・日本中体連スタッフの共通理解のもと、第1回の開催から継続して「一貫指導システム」の構築に取り組み、多くの人々の力によって、年々その内容を充実させてきた。また、技術指導の面でも、今回のように、西山麗選手、山田恵里選手といったオリンピックメダリスト、現役日本代表選手を講師に招きながら、選手たちに「夢」や「憧れ」を持たせ、さらに高いモチベーションを引き出す取り組みも続けられている。
 その上で、この研修会のもう一つのテーマでもある「優秀選手の発掘・育成」についても、今回も優秀選手17名による台湾遠征が実現。未来の日本ソフトボール界を担う選手たちの国際舞台へ羽ばたく「ファーストステップアップ」となり、国際経験を積む貴重な機会となっている。
 ジュニア世代の選手たちに「夢」と「希望」を与え続けるために……。今後も、この全国女子ジュニア育成中央研修会が、日本ソフトボールの輝かしい未来へとつながる魅力ある事業として発展し、継続されることを期待したい。



平成25年度 NTS優秀選手
台湾遠征選手団名簿

スタッフ
人数 役職 氏名 所属
1 団長 出西 弘道 公益財団法人日本ソフトボール協会理事
2 ヘッドコーチ 奥村  誠 石川県立津幡高
3 コーチ 吉田  央 鳥取県北栄町立北条中
4 トレーナー 熄シ久美子 豊田自動織機
5 総務 藤井まり子 公益財団法人日本ソフトボール協会


代表選手団名簿
人数 ポジション 氏名 支部 所属
1 投手 勝股 美咲 岐阜 瑞浪市立稲津中
2 小嶋 雛乃 埼玉 深谷市立川本中
3 辰巳 舞衣 大阪 東大阪市立盾津中
4 中山日菜子 栃木 高根沢町立北高根沢中
5 八木 里菜 愛知 安城市立安城北中・トリプルA
6 捕手 國井  瞳 栃木 那須町立黒田原中
7 佐竹 紫乃 京都 京都市立樫原中
8 山内 早織 広島 広島市立翠町中
9 内野手 亀田 栞里 三重 度会町立度会中
10 須藤 志歩 青森 弘前市立第二中
11 中溝 優生 佐賀 佐賀市立東与賀中
12 藤本  麗 広島 広島市立翠町中
13 宮本 実侑 北海道 八雲町立野田生中
14 山根 葉奈 京都 京都市立樫原中
15 外野手 西川 沙希 長崎 佐世保市立日野中
16 松本 怜奈 福岡 北九州市立八児中
17 三原 千空 京都 宇治市立西宇治中