平成23年度 女子U19日本代表選手選考会を実施!
 第9回世界女子ジュニア選手権大会 代表17名が決定!

 (2011.7.12)






 去る7月1日(金)〜3日(日)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に、「平成23年度 女子U19日本代表チーム選手選考会」が実施された。
 この選考会は、今年12月6日(火)〜17日(土)、南アフリカ・ケープタウンで開催される「第9回世界女子ジュニア選手権大会」(U19世界女子選手権大会)に派遣する女子U19日本代表選手を選考するもので、全国各都道府県支部協会から推薦された91名が参加。3日間の厳しい選考を経て、代表選手17名が決定した。代表選手名簿はこちら

 選考会初日、まずは選手たち全員の「走力」がチェックされ、塁間(一塁から二塁/スライディングはしない)のタイム計測、二塁から本塁までのタイム計測を実施。その後、基本的な肩の強さ、スローイングの能力を測定するために「遠投力測定」を行い、個々の基本的な能力・資質がチェックされた。

 その後、投手、捕手、野手に分かれての選考となり、投手は各選手が有する球種・変化球を自己申告の上、スピードガンで投球を計測。また、その球種ごとの切れや変化をチェックすると同時に、いかに自在にコントロールできるかも選考基準となった。
 捕手は、その投球を確実に捕球できるかというキャッチングの基本的な技術がチェックされ、二塁、三塁への盗塁の際のスローイングのタイム計測も行われた。
 野手は、「第一希望」のポジションでのシートノックが行われ、基本的な捕球・送球の技術、打球への反応、守備範囲の広さなどがチェックされた。
 最後に、ロングティーを行い、各選手の基本的なスイング、ボールのとらえ方、打球の速さ、飛距離などから、各選手が有するバッティングの基本技術・基礎能力がチェックされた。

 選考会2日目は、午前中、守備面の選考からはじまり、第2希望のポジションでのノックを含め、個々の守備力が改めてチェックされた。今回の選考対象となる世界選手権では、大会の最終エントリー、ベンチ入りの人数が「17名」であり、この限られた人数で12日間も続く大会を戦い抜かなければならない。そうなると、複数のポジションをこなせるユーティリティープレーヤーの存在は貴重であり、「このポジションしかできない」という選手よりは、「内外野こなせる」「他のポジションも守れる」という選手の方が、チームにとって有益であり、いざというときの備えにもある。もちろん、抜群の力量を持った選手が揃っていれば、そんな心配はないかもしれないが、いずれにしろ、国内では経験することのない長丁場の大会を戦い抜き、「世界の強豪」を相手に「優勝」を勝ち取ろうというのであれば、万全の上にも万全を期す必要がある。個々の能力把握と同時に、突発的なアクシデントの際の適応力、ユーティリティー性があるかどうかも選考の対象とされた。

 その後、ピッチングマシンを利用してフリーバッティング。ここでも各選手の基本的なスイング、ボールのとらえ方、打球の速さ、飛距離などから、各選手が有するバッティングの基本技術・基礎能力が改めてチェックされた。
 所属チームによっては、ほとんどマシンを使ってのバッティング練習を行ったことがない選手もおり、戸惑う選手の姿も見られたが、逆に言えば、世界選手権本番では、ほとんどが初対戦の投手との対戦ばかり。そんな中で、すぐに対応・適応していかなければならないことを考えれば、初体験のマシンバッティングでも、どのように対応し、アジャストしていくかに、その選手が有するセンス・能力の一端が現れる。そういった状況を想定した選考内容でもあった。

 午後からは、91名の選手を4つのチームに分け、試合形式での選考に入った。また、試合への出場順・登板順などはすべてくじ引きで決定するなど、すべての選手に公平・平等に選考の機会が与えられるよう、細やかな配慮もなされていた。
 実戦形式の選考では、実際の試合の中で、自らが試合展開、イニング、アウトカウント、走者の有無、得点差など、その状況を的確に判断し、それに即したプレーを選択し、適した技術を使い分けることができるか否かが選考基準とされ、一つひとつのプレーが厳しくチェックされた。

 選考最終日も完全な「実戦形式」の中で、選手個々の技術・能力を総合的に判断。3日間の選考会を締めくくり、17名の代表選手が決定した。

 コーチングスタッフは、2009年の「第4回アジア女子ジュニア選手権大会(兼第9回世界女子ジュニア選手権大会アジア地区予選)」を圧倒的な強さで勝ち抜き、2大会連続3度目の優勝と世界選手権出場権を獲得した際のスタッフが今大会も継続して指揮を執る。
 ヘッドコーチは、インターハイ、高校選抜、国体などで数々のタイトルを獲得してきた名将・渡辺和久氏((財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・女子ジュニア強化委員/木更津総合高)。その「右腕」となるのは有住隆氏(上山明新館高)。2009年の第1回ユースワールドカップで「世界一」を勝ち取った女子U16日本代表チームのコーチであり、自らの現役時代には世界男子選手権大会準優勝をはじめ、男子日本代表の「黄金時代」を築いた輝かしい実績を持つ同氏が、今大会のコーチとして渡辺和久ヘッドコーチをサポートする。マネージャーには小室留美枝氏(藤村女子高)、女子日本代表をはじめ数々のカテゴリーでトレーナーを務めてきた大石益代氏((財)日本ソフトボール協会)も加わり、前回大会でアメリカに奪われた「世界一」の座を再び奪い返すために、万全の体制で大会へ臨む。

 チームを率いる渡辺和久ヘッドコーチは、「前回のアジア選手権のときもそうだったが、100名近い選考は正直大変で……(笑)。時間的な制約・会場等の都合も考慮して、実戦的な選考を主体にスケジュールを組み、とにかく人数が多くても、一人ひとりの選手をしっかりと見ることができるよう、4チームに分けて紅白戦を行い、実戦の中で参加選手全員をしっかりとチェックすることができたと思う。投手の登板順、打順などは公平を期すためにくじ引きで決定するなど、選考に偏りができないような工夫も行った」と選考の経緯を語り、選考基準については、「今回の選考会に参加した選手の中には、すでに日本代表に選出された経験を持つ選手もおり、日本リーグでレギュラーとして活躍している選手も多く、参加選手のレベルは非常に高いものがあった。また、多くの選手がU16ワールドカップ、日韓交流、アジア選手権等の国際大会・国際舞台を経験していることも心強い限りであった。日本は過去、このカテゴリーで4回の『世界一』を勝ち獲っているが、今回のメンバーもその『世界一』になったメンバーとまったく遜色のないメンバーだと思うし、もしかすると『史上最強』のメンバーとして後々語り継がれるような『伝説』の選手・チームとなる可能性すらある選手たちだと思う」と確かな手応えを語った。また、「参加選手のレベルが非常に高く、その意味では嬉しい悲鳴というか、多くの選手の中から17名に絞り込む作業は非常に苦しいものがあった。ただ、今回の選考から漏れた選手の中からも、将来の日本代表選手が生まれたり、日本の屋台骨を背負うような選手が出現する可能性は大いにある。今回の選考結果が決してすべてではない。今回の経験を糧に今後さらなる成長を遂げてくれることを私自身も期待している」と、選考する側の苦しさ・難しさ、その心情を吐露し、その上で今回参加してくれた全選手へ「エール」を贈った。

  女子U19日本代表は、1981年の第1回大会(カナダ・エドモントン)を皮切りに、1991年の第4回大会(オーストラリア・アデレード)、1999年の第6回大会(台湾・台北)、2003年の第7回大会(中国・南京)と過去4回の「世界一」を経験するなど、輝かしい実績を残し続けているカテゴリーである。前回大会(2007年・第8回大会/オランダ・エンスヘーデ)でも、史上初の3連覇こそ成らなかったが、準優勝という成績を残している。
 また、このカテゴリーで「世界一」を経験したメンバーが、女子日本代表の「主力選手」に成長し、チームの屋台骨を支える存在となり、北京オリンピックで金メダルを勝ち取る「原動力」となったことは記憶に新しい。
 今回の選考会でも、過去NTSに参加した選手をはじめ、U16ワールドカップ、日韓交流事業、アジア女子選手権大会(アジア地区予選)等に参加した選手らが、その経験を土台としてしっかりと成長を遂げ、還ってきてくれている。長年地道に積み重ねてきた強化事業が、「代表チームの強化」のへ確かな「道筋」を作り、それを支えているのである。
 その「成果」をしっかりとした「形」にし、実を結ばせるためにも、2大会ぶりの「世界一」の座を勝ち獲らなくてはならない。勝つことによって、新たな道が開かれ、それが積み重なって「伝統」となり、「次の世代」へと受け継がれていく。女子日本代表の「栄光の歴史」はこうして新たなページが書き加えられてきたのである。

新たな歴史の創造者たれ!
いざ! 「世界」の舞台へ……。「世界」が君を待っている。


■平成23年度 女子U19日本代表選手名簿
(第9回世界女子ジュニア選手権大会代表選手名簿)

【選手】
・投 手 岩田みゆき(甲賀健康医療専門学校)
  岡村 奈々(小倉商業高)
  北岡 志帆(豊田自動織機)
  中村 友佳(トヨタ自動車)
  平原かすみ(東京女子体育大)
・捕 手 粟倉 陽香(日立ソフトウェア)
  宇野有加里(ルネサスエレクトロニクス高崎)
・内野手 奥田茉優希(東海学園高)
  鈴木 鮎美(トヨタ自動車)
  高坂 香月(豊田自動織機)
  松木 瑛里(デンソー)
  山城 みな(太陽誘電)
  山根すずか(シオノギ製薬)
・外野手 市口 侑果(ルネサスエレクトロニクス高崎)
  小松 美樹(ルネサスエレクトロニクス高崎)
  斎藤 優華(とわの森三愛高)
  長崎 望未(トヨタ自動車)
以上17名(※ポジション別50音順)

【スタッフ】  
・ヘッドコーチ 渡辺 和久(木更津総合高)
・コーチ 有住  隆(上山明新館高)
・マネージャー 小室留美枝(藤村女子高)
・トレーナー 大石 益代((財)日本ソフトボール協会)
・総務 藤井まり子((財)日本ソフトボール協会)

 

女子U19日本代表選考会が実施された

全国各地から91名もの「精鋭」が選考会に参加

(財)日本ソフトボール協会選手強化本部会
女子強化委員の面々が選考委員を務めた

代表選手は17名。「狭き門」に全力でチャレンジ!

実戦主体の内容で選考が進められた

選手個々がその持ち味・個性を懸命にアピール!

試合で起こる突発的な状況にいかに対応するか、
実戦での状況判断、適応力・対応力が問われた

「世界一」の座を奪い返すために……。
「最強の布陣」を編成すべく、厳しい目が注がれた