2012.7.21

 

 

──G
第13回世界女子ソフトボール選手権大会 第8日

日本、中国を破り、「宿敵」アメリカと対戦へ!

決勝トーナメントに入り、スタンドは満員!

大会初日、応援に駆けつけた石橋副会長ご夫妻(写真中・右)
ISF・ポーター会長に「Back Softball」を
願って作成したグッズを手渡し、その実現を懇願・要請した

この試合も「エース」上野由岐子が完璧なピッチングを
披露。中国打線を完全に抑え込み、チームの勝利に貢献

中国、「謎」の投手交代。この交代に日本は救われた

日本は5回裏、この回先頭の6番・古田真輝が
右中間突破の二塁打を放ち、チャンスメイク

予選リーグ第4戦の台湾戦以来、久々のスタメン復帰を
果たした大久保美紗がヒットエンドランを決め、先制!

5回裏、9番・大久保美紗がヒットエンドランを決め、
代走・関友希央がホームイン。待望の先取点を挙げた

中国戦に勝利を収め、「宿敵」アメリカとの対戦へ!
「打倒・アメリカ」を果たし、「優勝」へ突き進め!!



 大会8日目(7月20日/金 ※日本時間・7月21日/土)、この日からいよいよ決勝トーナメントに入り、「最後の決戦」が行われることになる。

 第1試合では、予選リーグセクションA3位のオランダと予選リーグセクションB4位の台湾が対戦。オランダが4−3で競り勝ち、まず台湾がトーナメントから姿を消した。

 第2試合では、予選リーグセクションB3位のオーストラリアと予選リーグセクションA4位のプエルトリコが対戦。オーストラリアが12−0の4回コールド勝ちを収め、「サバイバルゲーム」を生き残った。

 第3試合では、予選リーグセクションA1位のアメリカと予選リーグセクションB2位のカナダが対戦。地元の熱い声援を受けるカナダが、2点を先制されながら、一度は同点に追いつき、満員の観客を沸かせたが、惜しくも2−4で敗れ、敗者復活戦に回ることになった。

 日本は第4試合に登場。予選リーグセクションB1位の日本は、予選リーグセクションA2位の中国と対戦した。
 日本は、予選リーグセクションB1位が確定した時点で、大会初日オーストラリア戦に応援に駆けつけてくれた日ソ協・石橋千和副会長ご夫妻の「陣中見舞」で「ステーキパーティー」で総決起集会を実施。「最後の決戦」へ向け、チームの団結と絆を確かめ合い、42年ぶりの世界選手権優勝、世界選手権7連覇中のアメリカを倒しての「王座奪還」への誓いを新たにし、決勝トーナメントへ臨んだ。

大会第8日
決勝トーナメント1位・2位戦/中国戦

  1 2 3 4 5 6 7
中国(予選A2位) 0 0 0 0 0 0 0 0
日本(予選B1位) 0 0 0 0 1 0 1
○上野(7回)−峰
〔二塁打〕古田

 日本の先発は、もちろん「エース」上野由岐子。その立ち上がり、2三振を奪い、三者凡退に抑える「絶好調」の滑り出しを見せた。

 中国の先発は、日本女子リーグ1部・戸田中央総合病院で活躍中の左腕・李L。日本は初回、2番・西山麗の絶妙なセーフティーバントと4番・山田恵里の四球で二死一・二塁と先制のチャンスをつかんだが、5番・坂元令奈が空振り三振に倒れ、先手を取ることができなかった。

 中国は2回表、4番打者がフルカウントからハーフスイング。バットが回ったようにも見えたが、審判の判定は「ボール」。スイングもしていないとの判定で、ノーアウトのランナーを出した。次打者のセカンドゴロの間に進塁し、得点圏に走者を進めたが、後続が三振、ショートゴロに打ち取られ、こちらもチャンスを生かすことができなかった。

 その後は日本・上野由岐子、中国・李Lの投げ合いとなり、息詰まる投手戦を展開。4回まで上野由岐子が被安打1・奪三振6の力投を見せれば、李Lも被安打1・奪三振4と互角の投球内容で一歩も譲らず、このまま投手戦が続くかと思われた。

 中国は5回表、先頭打者が内野安打で出塁したものの、次打者の送りバントがファーストへの小フライとなり、飛び出した一塁走者が戻れず、ダブルプレー。またしてもチャンスを潰し、0行進が続く。

 中国はその裏、ほぼ完璧なピッチングを見せていた李Lを引っ込めるという不可解な投手交代。日本はその代わり端を攻め、この回先頭の6番・古田真輝が右中間を深々と破る二塁打。7番・岩渕有美の送りバントを処理した一塁手が、間に合わない三塁へ送球(記録は犠打野選)。一・三塁とチャンスが広がり、ここで宇津木麗華ヘッドコーチが動く。まず三塁走者・古田真輝に代え、代走に俊足の関友希央を送り、一死後、予選リーグ台湾戦で足首を捻挫し、その後3試合を欠場し、この試合からスタメン復帰を果たした大久保美紗のところでヒットエンドランを敢行。大久保美紗らしい「渋い」当たりで三塁走者を迎え入れ、日本が待望の先取点を挙げた。

 日本は6回裏にも、3番・峰幸代、4番・山田恵里、5番・坂元令奈の3連打で一死満塁の追加点のチャンスを作ったが、6番・古田真輝がファーストライナー、7番・岩渕有美がレフトフライに倒れ、追加点を奪えず、1点リードのまま、最終回を迎えた。

 ただ、この日の上野由岐子には、1点のリードでも十分過ぎた。中国打線に的を絞らせず、危なげのないピッチングで最少得点差を守り切り、明日、「宿敵」アメリカとゴールドメダルゲーム(ファイナル)進出をかけ、対戦することが決定した。

 試合後、宇津木麗華ヘッドコーチは、選手全員を集め、かなり長い時間をかけ、ミーティングを行っていた。
 世界選手権直前のカナダカップ(カナディアンオープン)では、「エース」上野由岐子を温存したまま、「宿敵」アメリカを破り、優勝。かなりの「自信」を持って今大会に臨んだはずだった。「上野頼み」のチームから脱却し、42年ぶりの「王座奪還」を果たすべく、今大会に乗り込んできたはずが、特に、前半戦の山場、オーストラリア戦、カナダ戦に快勝したあたりから、雲行きが怪しくなり、台湾戦、イタリア戦では2試合連続の延長タイブレーカーでの接戦を演じるなど、どうも歯車が狂ったまま、修正できずに決勝トーナメントに突入してしまった感がある。

 もちろん、「世界の強豪」が相手の大会、そうそう簡単に勝たせてくれるわけもないが、日本のチーム力、相手チームとの力の差を考えれば、もっと他を圧倒するような勝ち方で勝ち進んでもおかしくはないのだが……。

 今のところ、「エース」上野由岐子の「存在感」はやはり大きく、また、宇津木麗華ヘッドコーチ独特の勝負勘で勝ちを「拾っている」感は否めないが、それだけに、明日からの「宿敵」アメリカとの対戦で、このチームの「真価」が問われることになる。
 このアメリカとの対戦を想定し、すべての準備を整えてきたのである。ここでその「練習の成果」を出し切れないようでは、「王座奪還」など叶えられるわけなどない。
 優勝するためには、よほどのことがない限りは、明日、明後日とどのような形であれ、2回戦うことになるはずである。できることなら、2回ともアメリカを完膚なきまでに叩きのめし、優勝を勝ち獲ってもらいたいものである。

 北京オリンピックでこそ、アメリカに勝って、金メダルを手にしてはいるが、世界選手権では、1986年からアメリカが「一人勝ち」を続けているのである。3大会連続で準優勝に甘んじた悔しさ、屈辱。今までの借りをまとめて返す舞台としようではないか。
 「打倒・アメリカ」積年の恨みを晴らすのは、今しかないのである。

 役者は揃い、舞台は整った。アメリカに「負ける」ということの悔しさを、今度こそ教えてやろうではないか。それができるのは、日本しかいないのだから……。



第13回世界女子選手権大会 第8日

決勝トーナメント1位・2位戦 中国戦スターティングラインアップ
打順 守備 選手名 所属
1 9 河野 美里 太陽誘電
2 6 西山  麗 日立ソフトウェア
3 2 峰  幸代 ルネサスエレクトロニクス高崎
4 8 山田 恵里 日立ソフトウェア
5 5 坂元 令奈 トヨタ自動車
6 DP 古田 真輝 豊田自動織機
7 7 岩渕 有美 ルネサスエレクトロニクス高崎
8 4 鈴木 美加 トヨタ自動車
9 3 大久保美紗 ルネサスエレクトロニクス高崎
FP 上野由岐子 ルネサスエレクトロニクス高崎

※選手交代
イニング  
5回裏 代走 古田OUT→関友希央(ルネサスエレクトロニクス高崎)IN
6回裏 代走 峰OUT→相馬満利(日本体育大)IN
7回表 再出場 相馬OUT→峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)IN