大学女子日本代表
第8回ワールドゲームズ2009直前レポート

大学女子日本代表キャプテン・
小柳 薫選手インタビュー

 開催を真近に控えた第8回ワールドゲームズ2009(7月17日(金)〜20日(月)/台湾・高雄)に向けて、現在強化を進めている大学女子日本代表。
 今回、チームのキャプテンを務めるのは、今年度女子日本代表強化指定選手にも選ばれ、今、大学のカテゴリーをはじめとする選手たちの中でも“リーダー的役割”を担っている小柳薫選手(おやなぎ・かおる/東京女子体育大)だ。
 小柳選手が「日本代表」として、初めて国際大会に出場したのは大学1年のとき。2006年7月に開催された2006カナダカップ(カナダ・サレー)に、女子B日本代表として出場し、その直後に台湾・台南で開催された第2回世界女子大学選手権には、大学女子日本代表として出場。この第2回世界女子大学選手権では、当時まだ大学1年生ながらチームの「主砲」として活躍。予選リーグ・決勝トーナメントの計7試合を通じて、打率4割7分6厘・本塁打1・打点11の成績を残し、打点王を獲得。チームの銅メダル獲得に大きく貢献した。
 その後、2007カナダカップ(カナダ・サレー)に再び女子B日本代表として出場。8月の第24回ユニバーシアード競技大会(タイ・バンコク)では銅メダルを獲得するなど、近年では大学世代の「顔」として、国内・海外において幅広い活躍を見せている。
 昨年8月に開催された北京オリンピックでの金メダル獲得を一つの区切りとし、新たに編成された女子日本代表は、平均年齢23歳と若いチームに生まれ変わり、小柳選手もその一員に名を連ね、再び世界一の座をめざしてスタートを切った。
 今後の日本代表の中心メンバーとして、“世界”へ大きく羽ばたくために……。また、これまでの大学のカテゴリーの中で経験し、感じたことなど、直前に迫った第8回ワールドゲームズ2009への意気込みも含めて、小柳選手に話を聞いた。


Q1 いよいよ、第8回ワールドゲームズ2009の開催が迫ってきました。まずは、今大会に向けての“意気込み”をお聞かせ下さい。

 昨年開催された、北京オリンピックでの女子日本代表の“金メダル獲得”は、私自身の中でも本当に大きな出来事でした。その勢いに乗ってというか、「次は私たちの番だ!」という気持ちで、チーム一丸となって、優勝を狙いたいと思います。

Q2 小柳選手は今回、大学女子日本代表チームのキャプテンとして大会に臨まれるわけですが、小柳キャプテンから見て今回のチームはどのようなチームだと感じていますか。また、どのようなチームにしていきたいとお考えでしょうか。

 今回のチームは、大学女子日本代表チームということもあり、選手は全国各地いろいろな大学から集まってきています。選手一人ひとりが個性的で、それぞれに特徴のある選手が揃っていますね。やはり、厳しい選考会を経てみんな選ばれたわけですから、一人ひとりのキャラクターも強いですし、それぞれの選手がうまく一つにまとまれば、きっと面白いチームになるんじゃないかと思います。
 そういった意味でも、今回私はチームの「キャプテン」として、選手一人ひとりが持つ個性を大切にし、みんながそれぞれの持ち味を思い切って出せるように、できる限りチームメイトとコミュニケーションを図っていきたいと思っています。
 また、これまで私が日本代表として国際大会を戦ってきた経験を生かして、チームとしてもやり残したことがないように、戦う前の“準備”をしっかりして、大会に臨みたいと思っています。

Q3 小柳選手は、2006年に女子B日本代表として出場したカナダカップで、初めて国際大会を経験し、その後、第2回世界女子大学選手権、2007年の第24回ユニバーシアードと2年連続で国際大会に出場されたわけですが、日本代表として「世界」と戦い、どのようなことを感じ、経験しましたか。

 やはり、技術面ではパワーやスピードの違いなど様々なことを感じました。海外では、守っていても打球の速さが全然違いますし、投手も打たせて取るというピッチングスタイルではなく、“力”で勝負してきます。日本のようなコントロールと緩球での勝負ではなく、「スピード」と「変化」という感じですね。初めて経験した時は戸惑いましたし、対応が難しかったのですが、対戦を重ねていくにつれて徐々に対応できるようになってきました。そういった意味では、やはり何回か経験を重ね、大会前からしっかりと準備をしておけば勝負できると今では思っています。

Q4 小柳選手がこれまで国際大会を経験してきた中で、世界のソフトボールと日本のソフトボールの「違い」はありましたか。

 まずは、国際大会の大会運営、試合スケジュールなどが日本とは大きく異なります。国際大会では、基本的に予選リーグと決勝トーナメントがあり、試合数も多いですし、ダブルヘッダーも多くこなさなければなりません。またその日の最終試合などになった場合は、ナイトゲームを戦わなければいけないですし、試合時間が長くなると日付が変わってしまうこともあるんです。しかも、次の日の試合が第1試合で朝の9時開始だったりとか……。大会期間も長いですし、スケジュール的にはハードだと思います。
 プレーの面でいえば、先ほどもお話しましたが、投手の球威、変化球のキレ、打者のパワー、打球の速さなどが海外では全然違います。やはり、大会運営面、ハードな試合スケジュール、日本とのプレースタイルの違いに関しては、戦う前に知っておく必要があると思います。何回か経験して臨むのと、初めて経験するのでは全く違いますし、しっかりと前もって準備しておけば対応できると思っています。

Q5 日本では女子のソフトボールをはじめ、現在でも企業スポーツが存在するため、早くから全国レベルで活躍した選手は、その多くが高校から企業、実業団チームへと進む傾向がありますが、大学に進学し、これまでプレーを続けてきた小柳選手にとって、大学だからこそ経験できたこと、感じたことなどはありましたでしょうか。

 トップレベルのソフトボール選手をめざすとなったとき、これは一つの進路としてどちらが正しいとはいえないと思うのですが、私の場合は、早い段階から大学に進学すると決めていました。教員免許を取得し、将来はソフトボールの指導者になりたいと考えていたからでもあるのですが、いきなりトップレベルの日本リーグをめざすのは自分の中で不安があったからです。実際、高校時代に全国レベルで活躍していても、すぐに日本リーグで通用するとは限りません。企業チームに所属することは環境もガラリと変わりますし、もちろん技術面でも常に高いレベルが要求されます。
 そういった意味でも、まずは大学に進んで徐々に段階を踏んでいきたいと考えました。大学でもこれまで、大会や練習試合を通して日本リーグのチームと対戦する機会はたくさんありましたし、大学だからこそできることもたくさんあると思ったのです。大学ではいろいろな人と出会い、専門的な授業からさまざま知識を得ることができました。ソフトボール選手としてだけではなく、一人の人間としても大きく成長できたと思います。

Q6 小柳選手の思う「日本代表」とはどのようなものでしょうか。また、どうあってほしとお考えですか。

 今の私を成長させ、支えてくれる“原動力”だと思います。私の中では、やはり大学女子日本代表での経験(2006年世界女子大学選手権銅メダル、2007ユニバーシアード銅メダル)が、とても大きかったと思います。もちろん、女子B日本代表としてカナダカップに2度出場できたことも、本当に貴重な経験となりました。大学女子日本代表では、当時大学1年生ながら打線の中軸に抜擢していただいた久保田豊司先生、舟山健一先生、女子B日本代表へのキッカケを作っていただいた吉野みね子先生には本当に感謝しています。あの「世界」と戦った経験が自分をすごく成長させてくれたと思いますし、あの経験がなければ今の自分はないかもしれません。まさに自分自身が成長できた大切な場所だと感じています。
 今後に関しては、今年私自身も女子日本代表強化指定選手に選ばれたわけですが、日本代表としての「自覚」と「責任」をしっかりと持っていきたいと思います。日本代表となった以上、多くの人から見られる立場になりますし、日本代表と呼ばれるにふさわしい人間にならなければなりません。たくさんの人から目標とされる日本代表チームにならなければいけないのではないでしょうか。

Q7 最後に、同世代のソフトボール選手、これから大学に進むソフトボール選手に向けて、小柳選手からメッセージをお願いします。

 私自身、高校から大学に進学し、これまでソフトボールを続けてきて本当に良かったと思っています。大学だからこそ学び、経験できたことは数え切れないほどありました。いろいろな知識を身につけることもできましたし、ソフトボール選手に必要な知識も大学の授業を通して、より専門的に学ぶことができました。これは、やはり自分の中での大きな財産になっていると思います。
 また、これは私の考えなのですが、ソフトボールだけにかかわらず、何事もそれぞれ今置かれている環境の中で、いかに自分の中で高い目標を掲げ、具体的に努力していけるかということを、常に考えるようにしています。ソフトボールをしているときもいつも思っているのですが、何をするにしても、日頃の努力を疎かにしていれば、大事なときに結果を出すことはできないですし、絶対に「何でもっとやっておかなかったんだろう」という悔いが残ると思うのです。
 私は、生きていく上で“後悔”だけは絶対にしたくありません。自分自身がやってきたことに自信を持つためには、最終的には自分自身が何をしてきたかということが大切だと思います。これからも、いろんなことに悔いを残さないために、何事にも日々全力で取り組んでいきたいと思います。

────今回はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

開催の迫った第8回ワールドゲームズ2009に向けて
大学女子日本代表・小柳薫キャプテンに
大会への「思い」を聞いた

国際経験も豊富で、大学世代では
抜群の実績を持つ小柳選手

今回、大学女子日本代表のキャプテンとして
チームを引っ張る(画像左)

2006年に開催された第2回世界女子大学選手権では
大学1年生ながらチームの「主砲」として活躍!
大会の“打点王”に輝いた

打撃では、持ち前のパワーに
バットコントロールのうまさ
勝負強さを併せ持つ
2007に開催された第24回ユニバーシアードでは
銅メダル獲得に貢献

自らの成長につながった「世界」との戦い……
歓喜、涙、様々な経験を重ね、再び戦いの舞台へ!

現在、女子日本代表強化指定選手でもある小柳選手
今後の日本代表としての活躍も期待される

「後悔だけはしたくない」
勝利のために、やるべきことは全てやる