2013.12.8
 

 






第5回アジア男子ジュニア選手権大会がタイ・チャイヤプームで開催された



試合会場は陸上競技場のトラックに囲まれたサッカー場。
試合開始時間は早朝8時。日本では考えられない環境で試合を行った



そんな環境でも圧倒的な強さを見せた男子U19日本代表



投手陣は予選リーグ・決勝トーナメント計9試合でわずか1失点



男子U19日本代表は大会を通じ、アジア各国と友好を深めた



男子U19日本代表は予選リーグ7戦全勝の1位通過。
全試合コールド勝ちで早々と世界選手権出場権を獲得



予選リーグ・決勝トーナメント無敗のまま「完全優勝」を飾った
男子U19日本代表。次なる「目標」は……「世界一」だ!!

  前回大会、あと一歩のところで届かなかった「世界一」
今度こそ「世界の頂点」へ……「挑戦」は続いていく!

第5回アジア男子ジュニア選手権大会
(兼第10回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選)

男子U19日本代表、圧倒的な強さで完全優勝!

 去る12月2日(月)〜6日(金)、タイ・チャイヤプームで開催されていた「第5回アジア男子ジュニア選手権大会」(兼第10回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選)に出場していた男子U19日本代表(代表選手名簿はこちら)が、予選リーグ・決勝トーナメントの9試合、全試合コールド勝ちの圧倒的な強さで無敗のまま、「頂点」を極め、完全優勝(大会結果はこちら)。来年7月11日(金)〜20日(日)、カナダ・ホワイトホースで開催が予定されている「第10回世界男子ジュニア選手権大会」の出場権を獲得し、前回、あとわずかのところで逃した「世界一」の座を手にすべく、「確かな一歩」を踏み出した。

 男子U19日本代表は、11月26日(火)〜29日(金)の4日間、静岡県伊豆市・天城ドームで「第1次国内強化合宿」を行い、大会へ向けた「最終調整」を行うと、羽田空港へと向かい、29日の深夜、日付が変わる頃、大会開催地となるタイ・チャイヤプームへ飛び立った。

 大会には、日本をはじめ、香港、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、シンガポール、タイの8チームが参加。予選リーグは、参加全チームによるシングルラウンドロビン(1回戦総当たり)方式のリーグ戦で行われ、上位4チームがソフトボール独特のページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)で行われる決勝トーナメントに進出。上位3チームに与えられる世界選手権出場権と「アジアNo.1」の座をかけ、激突した。

 大会初日(12月2日/月)、男子U19日本代表は、まず予選リーグ第1戦でインドネシアと対戦。金城春紀(読谷高)の3打席連続ホームランを含む7本塁打と打線が爆発! 初回に17点を奪う猛攻を見せたのを皮切りに26得点を挙げ、26−1の3回コールドで初戦に大勝すると、ダブルヘッダーとなった予選リーグ第2戦は、インドと対戦。先発・平湯剛憲(大村工業高)、吉田尚央(佐世保西高)の投手リレーでインド打線を4安打に抑え込み、完封。打線も初回から尾本心平(環太平洋大)の三塁打などで大量6点を奪うと、3回裏に3点を追加。4回裏にコールド勝ちに必要な10点目を挙げ、4回コールド勝ち。初日、連勝で順調な滑り出しを見せた。

 大会2日目(12月3日/火)、予選リーグ第3戦は、パキスタンと対戦。この試合も初回から打線が爆発。田口英雄(埼玉栄高)の満塁ホームランで4点を先制すると、その後も攻撃の手を緩めず、2回表に4点、3回表に1点、4回表に4点と着々と追加点を挙げ、男子では極めて稀な「スリングショット」のパキスタン投手を打ち込み、計13点を奪う猛攻を見せた。
 守っては、今大会初先発の岩松右近(鹿屋農業高)がパキスタン打線をわずか1安打に抑え、9三振を奪う力投。13−0の4回コールド勝ちで無傷の3連勝を飾った。
 この日もダブルヘッダーとなった男子U19日本代表は、予選リーグ第4戦でマレーシアと対戦。今大会初めて初回を無得点で終わったが、2回表に相手のミスとパスボールで1点を先制すると、3回表には尾赴M成(大村工業高)のレフト前へのタイムリーなどで5点を加え、4回表に1点、5回表にも2点を追加し、9点のリードを奪った。
 このリードを先発・櫻田侑也(大村工業高)、吉田尚央(佐世保西高)の投手リレーで守り切り、3安打完封。9−0の5回コールド勝ちで4勝目を挙げた。

 大会3日目(12月4日/水)、予選リーグ第5戦は、ホスト国・タイと対戦。日本は初回、永山健仁(鹿屋農業高)の四球を足掛かりに、盛田英雄(熊本学園大)、岡阜囀l(デンソー)の連続タイムリー、金城春紀(読谷高)のセンターオーバーのツーランで4点を先制。試合の主導権を握ると、2回表にも2点を加え、3回表には田口英雄(埼玉栄高)のツーランで2点を追加。4回表には5本の長短打を集中し、大量7点を追加。この試合も一方的な試合展開となった。
 守っては、先発・平湯剛憲(大村工業高)が6奪三振・ノーヒット・無四球の完璧なピッチングでタイ打線を抑え込み、15−0の4回コールド勝ち。5勝目を挙げた。
 3日連続のダブルヘッダーとなる予選リーグ第6戦は、シンガポールと対戦。初回、梶原和樹(デンソー)が四球を選び、出塁すると、永山健仁(鹿屋農業高)がレフト線へツーベースを放ち、無死二・三塁とチャンスを広げ、盛田英雄(熊本学園大)がセンター前へタイムリー。この試合も先手を取ると、2回表には相手投手の制球難につけ込み、10四球で大量12点を追加。
 この試合では、「エース」岡阜囀l(デンソー)が開幕戦以来の先発。2イニングを投げ、打者6人から6奪三振。対戦打者全員を三振に斬って取ると、2番手・吉田尚央(佐世保西高)が1イニングをキッチリと抑え、15−0の3回コールド勝ち。無傷の6連勝を飾り、予選リーグ1位通過を決め、早々と世界選手権出場権を獲得した(決勝トーナメントがページシステムで行われる関係上、予選リーグ1位・2位のチームは3位以下になることはないため、今大会上位3チームに与えられる世界選手権出場権の獲得が確定)。

 大会4日目(12月5日/木)、予選リーグ最終戦は香港と対戦。すでに予選リーグ1位通過を決めている男子U19日本代表は、初回から圧倒的な攻撃力を見せ、山撫メiオール福岡)のタイムリースリーベースなどで大量9点を奪い、早々と試合を決めると、2回表に3点を加え、3回表には細川卓翁(千葉敬愛高)、盛田英雄(熊本学園大)のホームランなどで4点を追加。
 この試合の先発は吉田尚央(佐世保西高)。3イニングをパーフェクトピッチング。6三振を奪う好投で16−0の3回コールド勝ち。予選リーグ7戦全勝の1位で決勝トーナメントへ駒を進めた。
 ここから決勝トーナメントに入り、予選リーグ1位の男子U19日本代表は、予選リーグ5勝2敗で2位のシンガポールと対戦。この試合でも初回から打線が爆発し、金城春紀(読谷高)の今大会5本目となるホームランなどで大量14点を奪い、2回裏にも、永山健仁(鹿屋農業高)、尾赴M成(大村工業高)のタイムリーなどで3点を加え、17−0の3回コールド勝ち。一足先に決勝進出を決めた。

 大会最終日(12月6日/金)、決勝の相手はシンガポール。日本に敗れ、敗者復活戦に回り、3位・4位戦を勝ち上がってきたマレーシアに4−2で競り勝ち、決勝進出を決めたシンガポールとの「再戦」となった。
 男子U19日本代表は、「エース」岡阜囀l(デンソー)が先発。三者三振の「パーフェクト」な立ち上がりを見せ、チームに「勢い」を与えると、その裏、チームをまとめ、引っ張る「キャプテン」日野隼一(日本体育大)のタイムリーツーベースなどで初回に3点を先制。2回裏には、金城春紀(読谷高)のツーベースヒットでチャンスを作り、尾本心平(環太平洋大)のセーフティーバントで揺さぶりをかけると、これが相手守備の乱れを誘い、1点を追加。4回裏には、盛田英雄(熊本学園大)、永山健仁(鹿屋農業高)、梶原和樹(デンソー)の連打で3点を追加。7点差にリードを広げた。
 守っては、「エース」岡阜囀lが2安打されながらも9三振を奪う力投で完封。7−0の5回コールド勝ちで、予選リーグ7試合、決勝トーナメント2試合の9試合すべてコールド勝ち。全勝のまま、「アジアの王座」に登り詰め、圧倒的な強さで優勝を決めた。

 この「アジア男子ジュニア選手権大会」は1997年に第1回大会がインドで開催され、2002の第2回大会(マレーシアで開催)まで日本は不参加でフィリピンが連覇。2005年にマレーシア・クアラルンプールで開催された第3回大会に、その年の「インターハイチャンピオン」である新島学園高(群馬)が「日本代表」として出場し、初優勝。前回大会(2010年・第4回大会/インド・ムンバイで開催)、今大会と「世界選手権アジア地区予選」を兼ねて開催されており、日本がU19日本代表を編成し、大会へ参加するようになると、他を寄せつけない圧倒的な強さで「連覇」を達成している。

 残念ながら、今のところ「日本のライバル」となるようなチームは存在しないが、第1回大会が5チーム、第2回大会が4チーム、第3回大会が5チーム、第4回大会が4チームと、参加チームは軒並み5チーム以下であったが、今大会には8チームが参加。ここからさらにソフトボールのアジア地区でのレベルアップ、普及・振興につなげていくことができれば、大きな「意味」のある大会となることだろう。
 それだけに、この大会に参加する男子U19日本代表チーム、そして「日本」という国には、この大会でただ勝つだけではなく、「アジアのリーダー」となり、アジア全体へのソフトボールの普及、競技力向上のための役割を担う必要があり、この「ソフトボール」という競技の面白さ、楽しさ、魅力を伝えていく「伝道師」となる必要がある。
 また、ここから続く「世界の舞台」では、世界の男子ソフトボールをリードするニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、カナダ、アメリカらとともに、「これが男子のソフトボールだ!」というソフトボールという競技が持つ「真の魅力」と「競技の神髄」を世界中に発信するような試合を、プレーを、見せなければならない。その上で、「世界一」を勝ち獲ること。それが男子U19日本代表に課せられた「使命」なのである。
 そう考えれば、今大会での優勝は、まだまだそのための「第一歩」を踏み出したに過ぎない。「日本代表」としての真の戦いは、今はじまったばかりなのである。