大会第7日、この日からいよいよ「最後の決戦」となる決勝トーナメントがスタート。決勝トーナメントには、予選リーグ両セクション(セクションA・セクションB)の上位4チームがそれぞれ進出。ソフトボール特有のダブルページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)で「世界一の座」が争われることになる。
日本は、予選リーグ(セクションB)をホスト国・アルゼンチンに続く2位(5勝1敗)で通過。一昨日の予選リーグ最終戦(チェコ戦)を終え、試合のなかった昨日は、午前中に2時間程度の軽めの調整を行い、来たる決戦に備えた。
また、昨日は予選リーグから連日応援に駆け付けて下さっている、パラナ近くの都市・サンタフェの日本人会の方々が、「決勝トーナメントを戦う日本チームのために!」と、夕食会を開催。選手たちにとって“最高のエネルギー”となる日本食が振る舞われるとともに、選手と日本人会の方々の和やかで温かい交流が図られ、心休まるひとときを過ごした。
日本の決勝トーナメント初戦の相手は、今大会5連覇の偉業達成に挑む王者・オーストラリア。オーストラリアは、現在この世界男子ジュニア選手権での4連覇のみならず、2009年にカナダ・サスカツーンで開催された第12回世界男子選手権でも、ソフトボール王国・ニュージーランドの大会4連覇を阻止し、見事優勝。ニュージーランドとの決勝トーナメント・ファイナルで、10三振を奪い、ノーヒット・ノーランを達成するという「離れ業」をやってのけたエース・アダム・フォーカードは、2005年にカナダ・プリンスエドワード島で開催された第7回世界男子ジュニア選手権の優勝投手。現在、日本男子西日本リーグ・ダイワアクトで活躍するアンドリュー・カークパトリックも、2001年にオーストラリア・ブラックタウンで開催された第6回世界男子ジュニア選手権の優勝投手であり、近年、ジュニア世代からの継続的な強化が実を結び、名実ともに「世界の頂点」に君臨しているディフェンディングチャンピオンである。
オーストラリアは、今大会も予選リーグから前評判通りの実力を発揮。予選リーグセクションAを6戦全勝で駆け上がり、順当にここまで駒を進めてきた。
11月8日(木)/決勝トーナメント
(セクションA1位 vs セクションB2位戦) |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
オーストラリア |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
3 |
日 本 |
0 |
1 |
5 |
0 |
1 |
0 |
x |
7 |
(日本)○岡崎建斗(7回)−山内直人
(日本):《三》西森圭祐、湯浅拓人 |
日本の先発投手は岡崎建斗。予選リーグ第4戦(カナダ戦)で、延長8回タイブレーカーにもつれ込む死闘を一人で投げ抜き、カナダ打線から「20三振」を奪う等“圧巻のピッチング”を見せた右腕に、この大事な一戦が託された。
その岡崎建斗は初回、オーストラリア打線をテンポ良くサードゴロ、三振に仕留め、順調にツーアウト。このまま三者凡退に打ち取るかと思われた。しかし、ここから3番打者にレフト線を破られ、二死二塁とされると、ワイルドピッチで三塁に進まれ、4番打者には、厳しくコースを突きながら、四球。二死一・三塁のピンチを招くと、続く5番打者の強烈なピッチャー返しが岡崎建斗のグラブをはじき、後方へ。こぼれた打球を自らが素早く処理し、一塁へ送球しても間に合うと思われたが、猛然と本塁へ向かう三塁走者の姿が目に入ったか、本塁への送球を選択。しかし、崩れた体勢からの無理な送球が本塁への悪送球となり、オーストラリアに痛い先制点を奪われた。
反撃に出たい日本は2回裏、この回先頭の6番・山内直人がサード強襲ヒットで出塁。7番・湯浅拓人がセーフティーバント気味に送り、一死二塁のチャンスを作ると、ここで8番・岡崎建斗が、先程の「お返し」とばかりに、センター前へタイムリー。「日本投手陣を牽引する男」の気合いの一打で試合を振り出しに戻した。日本は続く3回裏にも、この回先頭の2番・藤原雄歩がキッチリと四球を選び、出塁。一死後、4番・大串泰生のセンター前ヒットで一・三塁のチャンスを作ると、続く5番・清水洸佑の打席でスクイズを敢行。清水洸佑が、高めに浮き上がってくるライズに対して、しっかりとバットを立て、転がし、勝ち越しに成功すると、さらに6番・山内直人が四球で満塁。代打・奥永拳也は三振に倒れ、二死となったが、ここで再び8番・岡崎建斗が、二遊間を鋭く破るタイムリー。この打球を処理した相手中堅手からの本塁への送球が逸れ、転々とする間に満塁の走者すべてが還り、オーストラリアを引き離す大きな3点を追加した。勢いに乗る日本は、続く9番・西森圭祐も、甘く入った球を逃さず、レフトオーバーのタイムリースリーベース。1点を追加し、「難攻不落の王者」オーストラリアを黙らせる見事な集中攻撃で、この回一挙5点を挙げ、試合の主導権を握った。
守っては、6回裏に自らこの試合5打点目となるタイムリーを放ち、7点目を叩き出した「投打のヒーロー」岡崎建斗が、5回表、6回表とオーストラリア打線に1点ずつを返され、最後までプレッシャーをかけられはしたが、前回登板したカナダ戦に続き、この試合でも「魂の込もったピッチング」を展開。今大会、世界の強打者を牛耳っている得意の“ライズボール”で最後まで押しまくり、強打のオーストラリア打線から10三振を奪い、完投勝利を収めた。
日本は、この勝利でセミファイナルへの進出(銅メダル以上)が決定。明日(現地時間/11月9日(金))は、ファイナル(ゴールドメダルゲーム)進出をかけ、この日アメリカを8−5で破ったホスト国・アルゼンチンと再戦することになった。アルゼンチンは、日本にとって予選リーグ第3戦で敗れた「難敵」。午後6時からのナイトゲームとなる明日は、超満員の観客でまたスタジアムが埋め尽くされることになるだろう。世界一の座をめざす日本にとって、決して避けては通れない関門。その「戦いの刻」が、再び迫っている。
決勝トーナメント1位・2位戦
オーストラリア戦 スターティングラインアップ |
打順 |
守備位置 |
選手名 |
所属 |
UN |
1 |
2B |
溝口 聖 |
早稲田大 |
14 |
2 |
SS |
藤原雄歩 |
中京学院大 |
21 |
3 |
1B |
朝長聖斗 |
Neo長崎 |
20 |
4 |
DP |
大串泰生 |
大村工業高 |
13 |
5 |
SF |
清水洸佑 |
デンソー |
22 |
6 |
C |
山内直人 |
日本体育大 |
7 |
7 |
RF |
湯浅拓人 |
日本体育大 |
1 |
8 |
P |
岡崎建斗 |
明徳義塾高 |
17 |
9 |
LF |
西森圭祐 |
国士舘大 |
23 |
FP |
3B |
高野晃平 |
日本体育大 |
8 |
※選手交代 |
イニング |
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2回裏 |
代走 |
岡崎OUT→植田晋伍(環太平洋大)IN 3回表、岡崎が再び投手の守備へ |
3回裏 |
代打 |
湯浅OUT→奥永拳也(御調高)IN 4回表、湯浅が再びレフトの守備へ |
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