2012.11.6
 

 

男子U19日本代表レポート
第9回世界男子ジュニア選手権大会(アルゼンチン・パラナ)

日本、延長タイブレーカーの末
カナダとの「死闘」を制す!

日本は気合いを入れ直し、
この日も予選リーグの「山場」に臨む

予選リーグ第4戦の相手は、「宿敵」カナダ

先発投手を任された、岡崎建斗が躍動!
カナダ打線を力でねじ伏せ、三振の山を築く!!

意地とプライドをかけたぶつかり合い
試合は0−0のまま、延長タイブレーカーへ

8回表、溝口聖のタイムリーで日本が待望の1点を先制

日本、3−0でカナダを撃破!

いよいよ明日は予選リーグ最終戦
選手たちは力の限り、戦い続ける



 大会第5日、前日のアルゼンチン戦に敗れ、予選リーグ2勝1敗となった日本は、カナダと対戦。前回の第8回世界男子ジュニア選手権大会(カナダ・ホワイトホース)、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)でサヨナラ負けを喫した「宿敵」との対戦に臨んだ。

 前日、午後8時30分からのナイターゲームを戦い、宿舎に帰り着いたのは日付の変わる直前の深夜0時前。翌日の朝8時前に、再び試合に向け、出発するという海外で開催される国際大会ならではの「ハードスケジュール」の中、この日も予選リーグの山場を戦うことになった。

 試合前には、前日の試合(アルゼンチン戦)を総括し、山口義男ヘッドコーチから「昨日の試合については、やはり相手投手を打ち崩すことができなかったという点につきる。やはり、球速が110Km/h半ばから120km/hに迫り、しかも変化球が切れる中で、あれだけ巧みにチェンジアップを投げられてくると、さすがに“ただ打ちにいく”だけではつかまえられない。特に、初球、ファーストストライクに対しての、狙い球の絞り方、集中力。ここをもっと工夫し、高めていかなくてはならない。世界トップレベルの投手との対戦では、初球、またファーストストライクを、軽率に見逃したり、打ち損じてしまうと、ほぼその打席では打てる可能性がなくなってしまう。自分が打席に入り、狙う球はライズなのか、ドロップなのか、あるいはチェンジアップなのか。それぞれが「狙い球」をもっと明確に絞り、初球からどんどん積極的に勝負していこう。また、相手バッテリーとの駆け引きについても、できるだけ早い段階で配球の傾向をつかむ必要がある。例えば、初球にアウトコースのドロップで入ってきたら、次はどのコースへ何を投げてくるのか。チェンジアップはどんな状況、カウントで多いのか。それぞれがもっと一球一球考え、工夫し、打席に立とう」と、今後の戦いに向けた対策が語られ、チーム全員での意思統一が図られた。

11月5日(月)/予選リーグ第4戦

  1 2 3 4 5 6 7 8
日 本 0 0 0 0 0 0 0 3 3
カナダ 0 0 0 0 0 0 0 0 0
(日本)○岡崎建斗(8回)−山内直人
(日本):《三》朝長聖斗

 先攻の日本は初回、一死から2番・藤原雄歩がサード前への絶妙なセーフティーバントで出塁。すかさず盗塁を成功させ、3番・大串泰生も三遊間を鋭く破るヒットで続き、一死一・三塁の先制のチャンスを作ったが、4番・朝長聖斗、5番・山内直人が連続三振に倒れ、無得点。先制攻撃とはいかなかったものの、まずは「宿敵」カナダに、攻撃でプレッシャーをかけた。
 日本の先発投手は、岡崎建斗。アルゼンチン戦での敗戦のショックを振り払うための重要な一戦を任された「投手陣最速を誇る男」が、早速その起用に応え、いきなりの二者連続三振。3番打者には、詰まった当たりでセンター前に運ばれ、出塁を許したものの、続く4番打者の打席で仕掛けられた盗塁を、「女房役」山内直人が自慢の強肩で見事に刺し、スリーアウト。上々の立ち上がりを見せた。
 試合はこの後、両先発投手が息詰まる投手戦を展開。岡崎建斗が切れ味抜群のライズボールでグイグイ押せば、カナダの先発右腕も、独特のツーステップから投じられる威力抜群の速球で、日本打線を抑え込み、両チーム一歩も譲らぬまま、0−0で延長タイブレーカーへと突入した。
 迎えた8回表、日本はタイブレーカーの走者を二塁に置き、この回先頭の「切り込み隊長」溝口聖が一・二塁間を破るタイムリー。今大会日本打線の“攻撃の起点”として、数々のチャンス、また得点シーンを演出してきた“小さな巧打者”が、この重要な一戦でも輝きを放ち、喉から手が出るほど欲しかった先制点を日本にもたらした。勢いに乗る日本は、この後、2番・藤原雄歩もレフト前ヒットで出塁。俊足を飛ばし、再び二塁を陥れると、二死後、4番・朝長聖斗にレフトオーバーのタイムリースリーベースが飛び出し、大きな2点目を追加。さらに、5番・山内直人が四球で歩き、二死一・三塁のチャンスが続き、6番・岡崎建斗の打席で一塁走者・山内直人が盗塁。相手捕手の二塁への送球が悪送球となる間に、試合を決める3点目を挙げた。
 守っては、先発・岡崎建斗が8回を一人で投げ抜き、カナダ打線から圧巻の「20三振」を奪う奪三振ショーを披露。「投手陣最速を誇る男」の名にふさわしい豪快なピッチングで、8回裏のカナダ打線を三者三振に切って取り、試合を締めくくった。

 この日組まれていたもう1試合(予選リーグ第5戦・英領バージン諸島戦)は、対戦相手・英領バージン諸島の大会直前の出場キャンセルにより、日本の不戦勝(大会規定により、記録上7−0で日本の勝利)が決定。日本は明日(現地時間/11月6日(火))、午後3時30分より予選リーグ第6戦・チェコ戦に臨む。昨日のアルゼンチン戦に敗れたとはいえ、この「宿敵」カナダ戦に勝利できたことは日本にとって非常に大きい。この勝利を「世界一」への確かな自信、そして確信に変えて……!まずは明日、予選リーグ最終戦をしっかりと白星で飾りたい。


予選リーグ第4戦
カナダ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 2B 溝口 聖 早稲田大 14
2 SS 藤原雄歩 中京学院大 21
3 DP 大串泰生 大村工業高 13
4 1B 朝長聖斗 Neo長崎 20
5 山内直人 日本体育大 7
6 岡崎建斗 明徳義塾高 17
7 RF 湯浅拓人 日本体育大 1
8 CF 清水洸佑 デンソー 22
9 LF 西森圭祐 国士舘大 23
FP 3B 高野晃平 日本体育大 8

※選手交代
イニング  
7回表 代打 岡崎OUT→下井倉優斗(YKK)IN  7回裏、岡崎が投手で再出場