2012.8.28
 

 

●男子U19日本代表レポート

狙うは「世界の頂点」
第9回世界男子ジュニア選手権大会に向け、
第1次国内強化合宿を実施!

男子U19日本代表が第1次国内強化合宿を実施

大会に向け、唯一の強化事業となった今回の合宿
やるからには「世界一を取りにいく!」と、
冒頭では山口義男ヘッドコーチが熱い決意表明を行った

全日本総合選手権「連覇」を達成した
地元・平林金属の胸を借り、テストマッチを実施!

序盤は善戦する場面も見られたが……
終盤は日本トップレベルの「実力」を見せつけられた

テストマッチを総括し、
西村信紀男子強化委員長が修正点を素早く指摘
「自分の殻を破り、いかに考え、工夫できるか」
世界と戦う術が選手たちに伝えられた

「世界」と戦うため、さらに上のレベルを!
選手たちは自らと向き合い、ただひたむきに、ボールを追う!!

合宿最終日のミーティングでは、
高橋流星コーチが選手たちへ
「U19日本代表」としての心得を説いた

狙うは「世界の頂点」
戦え、男子U19日本代表!

「世界」に挑む
男子U19日本代表に、ともに声援を送ろう



 去る9月27日(木)〜30日(日)の4日間、岡山県岡山市において男子U19日本代表が第1次国内強化合宿を実施。来る11月1日(木)〜10日(土)、アルゼンチン・パラナで開催が予定されている「第9回世界男子ジュニア選手権大会」に向け、連日強化に励んだ。

 今回実施された第1次国内強化合宿では、去る8月14日(火)〜16日(木)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に実施された「平成24年度男子U19日本代表選考会」を経て、選び抜かれた代表17名を召集。地元・岡山県ソフトボール協会、平林金属、IPU・環太平洋大学の全面的なバックアップにより、4日間(4日目は台風接近による悪天候のためミーティングのみ)にわたり、実戦主体の本格的な強化に取り組んだ。

 合宿初日、現地・岡山県岡山市に入った男子U19日本代表は、早速練習会場となるIPU・環太平洋大学(男子ソフトボール部専用グラウンド)へと移動。この日は、スタッフ、選手ともに選考会後、初めての顔合わせとなったこともあり、冒頭では山口義男ヘッドコーチが今回のチームの目標、方針を確認。「合宿をはじめる前に、もう一度全員で今回のチームの目標を確認し、一丸となろう。男子U19日本代表として日の丸を胸に戦うからには、もちろん“世界一”を取りにいく。それぞれが日本代表であるプライドを持ち、悔いの残らぬよう、精一杯戦ってもらいたい」と、チームの意思統一が図られると、「まず、私自身がこれまでソフトボール人生を歩んできた中で、経験し、思い抱いてきたことをみんなに伝えておきたい。それは、“実績”が人を作るということ。自分自身が目標に向かって努力し、そこで結果を出し、実績を残せば、おのずと周りから注目される存在となる。周りから注目される存在となれば、当然のことだが、自分の発言、行動により責任を持たなければならない。強い責任感が生まれれば、自分に厳しくなれる。また、やるべきことをやり、もっと上をめざせる人間になれる。今回、U19日本代表としてここに集まった君たちには、今後の自分自身のため、日本のソフトボール界のために、ぜひこの世界ジュニア選手権で結果を残してもらいたい。そして将来、もっともっと実績を重ね、日本のソフトボール界を担う大きな存在になっていってもらいたいと思っている。この経験は、必ずや自分の人生において大きな財産となるだろう。目標は高く、その道は険しいかもしれない。しかし、だからこそやりがいもある。日本代表の誇りを胸に、チーム一丸、全員で“世界一”をつかみにいこう!」と、選手たちへ熱い思いを語った。

 この後、山口義男ヘッドコーチから今回のチームスタッフが紹介され、高橋流星コーチ、松繁冬樹コーチ兼総務、齋藤学トレーナーが、それぞれの自己紹介も含め、大会に向けた意気込みを語ると、いよいよ強化合宿がスタート。初日は、2日目から行われる実戦に備え、シートノック、バッティングマシンを使ったフリーバッティング、実戦を想定したシートバッティングを行い、選手間のコミュ二ケーションを深めながら、入念に汗を流した。

 夕食後のミーティングでは、山口義男ヘッドコーチが西森圭祐(国士舘大学)を今回のチームのキャプテンに指名。その後、翌日の平林金属との実戦に向けて戦術の確認が行われ、守備では、バッテリーの配球、組み立て、内・外野のポジショニング、連携に、一つひとつしっかりと意図を持たせること。攻撃では、ただむやみに全員が振り回すのではなく、試合の状況や投手の特徴、野手の陣形を見極めながら、セーフティーバント、プッシュバント、スラップ、スチールを絡め、相手を崩していくことが指示された。また、高橋流星コーチからも、翌日の実戦に臨むにあたり、チームとしてこの合宿でやらなければならないことが確認され、「チームとして戦うためには、ベンチワークも含めて、まずはチームが一つにならなければならない。攻撃、守備、いかなる状況でも全員が同じ方向に“思い”を向けることが大切。技術面のレベルアップを図ることはもちろん重要だが、まずは一人ひとりが1球1球に集中し、しっかりと気持ちを入れてプレーしてほしい。例えて言うなら、守備では、大串、絶対抑えてくれ!攻撃では、西森、絶対打ってくれ!試合では、自然とそんな声が飛び交うチームの雰囲気を作りたい。相手は、全日本総合選手権で連覇を達成した日本トップレベルのチーム。失敗を恐れず、こちらから積極的に仕掛け、挑もう!」と、チームの士気が高められた。

 合宿2日目、3日目は、地元・平林金属、IPU・環太平洋大学(平林金属所属の選手が加わった合同チーム)と計5試合のテストマッチを実施。2日目は平林金属と2試合を行い、1勝1敗と善戦する場面も見られたが、3日目は、「本気モード」となった平林金属に投打に圧倒され、連敗。最終戦となったIPU・環太平洋大学(平林金属所属の選手が加わった合同チーム)とのテストマッチでも、平林金属戦で完敗したショックを隠せず、投打に精彩を欠き、完封負け。今回の強化合宿で実施された計5試合のテストマッチでは、内容的にまだまだ「世界のトップレベル」で戦える手応えをつかんだとは言い難く、1勝4敗という結果に終わった。

 試合後のミーティングでは、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・西村信紀男子強化委員長(男子日本代表ヘッドコーチ)が試合を総括し、すかさず修正点を指摘。「今回の実戦で、特に気になった点を挙げるとすれば打撃面。各打者が狙い球を絞れておらず、甘い球、とらえなければならない球であっても仕留めれていない。また、アウトコースのストライクゾーンが広い国際大会を想定し、各打者のアウトコースへの対応も注目して見ていたが、ほとんどの打者がしっかり踏み込めておらず、腰が逃げた状態でボールを追いかけ、振らされてしまっている。アウトコースに限らず、世界トップレベルの投手との対戦になれば、そうそう甘い球などこない。であれば、どうするのか。例えば、対戦する投手によって、オープンに構えたり、クロスに構えたり、打席での立ち方、構えを工夫することも必要だろう。また、アウトコースを狙うふりをしてインコースに投げさせたり、インコースを狙うふりをしてアウトコースに投げさせたり、相手バッテリーと駆け引きしながら、自分の狙う球種、コースを誘っていくことも必要だろう。オーソドックスに打席に立ち、ただ来た球を振りにいって打てるほど“世界のトップレベル”は甘くないことを心得ておいてほしい。本番では、一人ひとりが打席に入る前から、いかに準備し、高い集中力を保った状態で打ちに入れるか。初球からでも狙い球がくれば積極的に打って出て、できるだけ追い込まれる前に仕留める。追い込まれた後のアウトコースの球に対しては、思い切って踏み込み、ボール2つ分外でもカットしにいくぐらい大胆なバッティングをしてほしい」と、「世界の舞台」で戦い続けてきた西村信紀男子強化委員長ならではの視点で、国際大会を戦う術が選手たちにレクチャーされた。

 山口義男ヘッドコーチからも、「チームを作っていく段階では、当然のことだが成功もあれば失敗もある。大切なのは、その“壁”にぶちあたった時に一人ひとりがどう乗り越えるか。今回の実戦を通して、全員にもう一度、自分にできたこと、できなかったことは何か、チームとしてできたこと、できなかったことは何かを考えてもらいたい。相手は、全日本総合選手権で連覇を達成し、日本代表選手も擁する平林金属。確かに技術的な課題もたくさん出た。しかし、今回の実戦を通して、最も残念だったのは、それぞれが相手をこわがってしまっていたということ。相手が実力的に上であったのは事実かもしれない。しかし、負けて当然と思って試合に臨んでいたのでは、何も得られない。相手に向かっていく気迫、勝利への執念、もっと日本代表としての“熱いハート”を持って勝負に挑もう。初めにも言ったが、日本代表として戦い、かけがえのない経験を積めるこの大会で、“後悔”だけは絶対にしてほしくない。日の丸を胸に日本を代表して戦うことの重み、自分たちに託されたたくさんの人たちの思いをもう一度深く考え、ソフトボールに向き合おう」と、2日間の実戦を通しての総括、また今後に向け、改善すべき点が述べられ、今回の強化合宿でのテストマッチを終えた。

 ミーティング後は、実戦で浮きぼりとなった課題に早速取り組もうと、引き続きIPU・環太平洋大学の練習グラウンドを借りて、特打ち、特守を敢行。バッティングでは、海外の投手が投じる球速120km/h台の切れ味鋭いライズ、ドロップを想定し、バッティングマシンを利用した打ち込みを行い、守備では、シートノック、実戦を想定したノックで、一つの捕球、一つの送球、内・外野の連携、状況判断にこだわり、納得のいくまで守備練習が繰り返された。

 合宿最終日となった4日目は、台風接近による悪天候のため、グラウンドでの練習は行わず、ミーティングのみを実施。ミーティングでは、高橋流星コーチより『国際大会での戦い方』、『U19日本代表としての心得』をテーマに、自身の国際大会での経験(高橋流星コーチは2001年にオーストラリア・ブラックタウンで開催された第6回世界男子ジュニア選手権大会に出場。チームの主力として活躍し、銀メダルを獲得した)、世界で勝つために、何を心がけ、どのようなことに取り組まなければならないのか。U19日本代表として、日の丸を胸に戦うことの意義、重みが選手たちに伝えられ、「私自身も、2001年に開催された第6回世界ジュニア選手権に選手として出場したが、大会ではファイナルでオーストラリアに敗れ、非常に悔しい思いをした。今回は代表チームのコーチとして大会に臨むわけだが、みんなにはぜひ、自分たちがつかめなかった“世界一”を勝ち取ってもらいたいと思っている。山口ヘッドコーチからも話があったが、ここにいる選手たちはジュニア世代の日本を代表する選手たち。この大会で勝つことはもちろん大切だが、この大会がゴールではないことも決して忘れないでほしい。U19日本代表に選ばれた以上、君たちには、今後の男子ソフトボール界を担い、引っ張っていく義務がある。10年先、20年先を見据え、長期的なスパンで常に物事を考えてほしいし、できれば生涯をかけてソフトボールに携わる人間であってもらいたい」と、まず選手に対して、自らの思い、考えが語られると、「国際大会で勝つためには、まず日本国内での戦いとは違うこと、相手は世界であることをまずしっかりと認識しておく必要がある。投手に関していえば、海外の投手は日本の投手の投球フォームと異なり、腕の振り上げや振り下ろしのタイミングが違う。また、120km/hをゆうに超えてくる球速、球威はもちろんのことだが、ライズ、ドロップも変化が大きく、これまで自分たちが養ってきた感覚、イメージをくつがえしていかなければならない。打者でいえば、日本の打者と比べてテイクバックが小さく、スイングスピードが速い。野手は、打球の速さ、質が日本とはまったく違うことを頭に入れ、常に身体を張って止める気持ちで準備してほしい」と、自身が実際に海外で撮影してきた投手の映像、打者の映像を流しながら、国際大会を戦うための対策が述べられた。

 男子U19日本代表は、今後10月27日(土)に、「決戦の地」アルゼンチン・パラナへと出発。11月1日(木)には、第9回世界男子ジュニア選手権大会の開幕を迎え、いよいよ『世界一』への挑戦をスタートさせる。“無限の可能性”を秘めた若き男子U19日本代表が、世界の舞台でどのような戦いを繰り広げてくれるのか。選ばれし17名の戦士たちに、ともに声援を送ろう!!



■平成24年度 男子U19日本代表チーム選手名簿
(第9回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会出場選手名簿)


選手 (ポジション別、50音順)

No. 守備 氏名 支部 所属
1 投手 大串 泰生 長崎 大村工業高校
2 岡普@建斗 高知 明徳義塾高校
3 奥永 拳也 広島 御調高校
4 河野 拓郎 東京 日本体育大学
5 金城 太樹 沖縄 嘉手納高校
6 中坂 誠 東京 日本体育大学
7 捕手 岩原 史典 岡山 環太平洋大学
8 下井倉 優斗 富山 YKK
9 山内 直人 東京 日本体育大学
10 内野手 植田 晋伍 岡山 環太平洋大学
11 燒 晃平 東京 日本体育大学
12 朝長 聖斗 長崎 Neo長崎
13 藤原 雄歩 岐阜 中京学院大学
14 溝口 聖 東京 早稲田大学
15 外野手 清水 洸佑 愛知 デンソー
16 西森 圭祐 東京 国士舘大学
17 湯浅 拓人 東京 日本体育大学

コーチングスタッフ
No. 役職 氏名 支部 所属
1 団長 尾崎 正則 北海道 (公財)日本ソフトボール協会
2 ヘッドコーチ 山口 義男 長崎 大村工業高
3 コーチ 高橋 流星 東京 日本体育大学
4 コーチ兼総務 松繁 冬樹 高知 高知農業高校
5 トレーナー 齋藤  学   Athlete Care Room
さいとう治療院
6 広報 竹崎  治 東京 日本体育社
7 帯同審判 益田  恭 大阪 (公財)日本ソフトボール協会


■ISF第9回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(アルゼンチン・パラナ)
試合スケジュール


セクションA/オーストラリア、デンマーク、インド 、ニュージーランド、シンガポール、アメリカ 、ベネズエラ
セクションB/アルゼンチン、英領バージン諸島、カナダ、チェコ、クロアチア、日本、メキシコ

※当初15カ国だったが、ボツワナが出場辞退、14カ国での対戦(国名はABC順)

日付 試合番号 試合開始 フィールド チーム vs チーム
11月1日(木)   9:00   代表者会議
  19:00 T 開会式
1 20:30 T チェコ vs アルゼンチン
11月2日(金) 2 10:30 T ニュージーランド vs デンマーク
3 13:00 T インド vs オーストラリア
4 14:30 U シンガポール vs ベネズエラ
5 15:30 T 日本 vs クロアチア
6 17:00 U アメリカ vs デンマーク
7 18:00 T メキシコ vs 英領バージン諸島
8 20:30 T アルゼンチン vs カナダ
11月3日(土) 9 10:30 T アメリカ vs シンガポール
10 13:00 T 英領バージン諸島 vs クロアチア
11 14:30 U デンマーク vs ベネズエラ
12 15:30 T カナダ vs チェコ
13 17:00 U ニュージーランド vs インド
14 18:00 T オーストラリア vs シンガポール
15 20:30 T メキシコ vs 日本
11月4日(日) 16 10:30 T 日本 vs カナダ
17 13:00 T オーストラリア vs デンマーク
18 14:30 U チェコ vs 英領バージン諸島
19 15:30 T ベネズエラ vs ニュージーランド
20 17:00 U クロアチア vs カナダ
21 18:00 T インド vs アメリカ
22 20:30 T アルゼンチン vs 日本
11月5日(月) 23 10:30 T ベネズエラ vs インド
24 13:00 T 英領バージン諸島 vs 日本
25 14:30 U アルゼンチン vs クロアチア
26 15:30 T シンガポール vs デンマーク
27 17:00 U メキシコ vs チェコ
28 18:00 T アメリカ vs ベネズエラ
29 20:30 T ニュージーランド vs オーストラリア
11月6日(火) 30 10:30 T クロアチア vs メキシコ
31 13:00 T ニュージーランド vs アメリカ
32 14:30 U カナダ vs 英領バージン諸島
33 15:30 T チェコ vs 日本
34 17:00 U インド vs シンガポール
35 18:00 T オーストラリア vs ベネズエラ
36 20:30 T メキシコ vs アルゼンチン
11月7日(水) 37 13:00 T カナダ vs メキシコ
38 14:30 U デンマーク vs インド
39 15:30 T クロアチア vs チェコ
40 17:00 U シンガポール vs ニュージーランド
41 18:00 T オーストラリア vs アメリカ
42 20:30 T アルゼンチン vs 英領バージン諸島
各セクション上位4チームがプレイオフ進出
ダブルページシステム プレイオフ
11月8日(木) P1 12:30 T セクションA 3位 vs セクションB 4位
P2 15:00 T セクションB 3位 vs セクションA 4位
P3 18:00 T セクションA 1位 vs セクションB 2位
P4 20:30 T セクションA 2位 vs セクションB 1位
11月9日(金) P5 12:30 T P1 勝者 vs P3 敗者
P6 15:00 T P2 勝者 vs P4 敗者
P7 18:00 T P3 勝者 vs P4 勝者
P8 20:30 T P5 勝者 vs P6 勝者
11月10日(土) P9 14:00 T P8 勝者 vs P7 敗者
P10 17:00 T P9 勝者 vs P7 勝者

※表記スケジュールは全て現地時間。 日本時間との時差:11時間(上記時間に11時間を足す)

Field T:Nafaldo Cargnel Stadium ナファルド カルグネル スタジアム
Field U:El Plumazo エル・プルマゾ