去る4月9日(金)〜11日(日)、静岡県伊豆市で「平成22年度男子U19日本代表チーム選手選考会(第4回アジア男子ジュニア選手権大会兼第9回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選選考会)」が実施された。
この選考会は、来る12月12日(日)〜16日(木)、インド・ムンバイで開催が予定されている「第4回アジア男子ジュニア選手権大会」(兼第9回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選)の代表選手を選考するもので、選考会には全国各地から48名の選手が参加。厳しい選考に臨んだ。
選考会は、初日がベースランニングの測定・50m走の測定、基本的な守備力・打撃力に関する選考が行われ、夜は宿舎で個人面談。翌2日目・3日目は実戦形式での選考が行われ、23名の代表候補選手が選出された。(男子U19日本代表候補選手名簿はこちら)
今回の選手選考について、(財)日本ソフトボール協会・三宅豊選手強化本部長は、「世界選手権『本番』が2012年の開催であり、本大会まで間があることから、年齢制限のある大会だけに、本大会まで出場資格のある選手を選考対象とするのか、世界選手権の予選を兼ねるとはいえ、あくまでこのアジア選手権に絞った選考とするのかは、選手強化本部でも議論の分かれるところであった。オリンピック競技から除外され、JOC(日本オリンピック委員会)等からの補助金が減額され、以前のような強化体制が組めないことを考えれば、長期的な視野を持ち、貴重な強化資金・機会をより効率的・効果的に活用し、強化を進めていくことも考えなくてはならないし、その一方でこういった年齢制限のある大会では、限られた年代にしか世界選手権、アジア選手権に出場する機会がないことを考えれば、より多くの選手に広く国際経験を積ませ、『日本代表』として国際大会を戦うような機会を与えることで、選手をはじめ指導者の方々のモチベーションをより高めていきたいという考えもあり、今回は後者を選択した。今後はそのあたりも十分に議論し、よりよい強化策を打ち出していけるようにしたいと思う」と語った。また、「当初予定されていた大会日程(9月開催の予定)が変更になり、12月の開催となったことで、ここで最終エントリーの17名を決めてしまうのではなく、10月14日(木)〜17日(日)、岐阜県下呂市で行う第1次国内強化合宿で現在の23名から17名に絞り、大会に臨みたいと考えている。このカテゴリー、この世代の選手は、ちょっとしたキッカケで見違えるように成長する選手がおり、その意味でもインターハイ・インカレを経験し、ひと夏越えると、大きく成長する選手、あるいは新たな環境になじめなかった選手など、出てくる可能性がある。それらを踏まえ、10月の強化合宿で最終的な判断を下すことになる」と、今後の強化スケジュール・選手選考に対する考え方等が示された。
日本は過去このカテゴリー(U19)の大会では、1981年に開催された第1回大会(世界ユース選手権/カナダ・エドモントン、現在の世界ジュニア選手権/U19世界選手権)で優勝を飾っているが、それ以来、「世界一」の座からは遠ざかっている。1985年の第2回大会(アメリカ・ファーゴ)では4位、1989年の第3回大会(カナダ・プリンスエドワード島)、1993年の第4回大会(ニュージーランド・オークランド)では3位、1997年の第5回大会(カナダ・セントジョンズ)こそ予選リーグ敗退を喫しているが、2001年の第6回大会(オーストラリア・ブラックタウン)、2005年の第7回大会(カナダ・プリンスエドワード島)ではファイナル進出。「王者」オーストラリアに肉薄しながら、惜しくも敗れ、準優勝に終わっている。
前回大会(2008年/カナダ・ホワイトホース)では、ホスト国・カナダと歴史に残る激闘を展開し、惜しくも3位。3大会連続のファイナル進出は逃したが、関係者の間では、その大会に参加したすべてのチームの中で、一番多くの拍手と称賛の声が贈られた「Good Team!」であったと今も語り草になっている。
本年12月12日(日)〜16日(木)、インド・ムンバイで開催が予定されている「第4回アジア男子ジュニア選手権大会」(兼第9回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選)は、過去1997年に第1回大会、2002年に第2回大会がインド、マレーシアで開催され、日本が不参加であったこともあり、フィリピンが連覇。2005年にシンガポールで開催された第3回大会には、その年のインターハイを制した新島学園高(群馬)が日本代表として参加。優勝を飾っている。
今大会は、4回目の開催にして初めて「世界選手権のアジア地区予選」を兼ねて開催される。すべてのカテゴリーの世界選手権は、16カ国の参加によって「世界一」の座が争われ、ホスト国1、アフリカ地区2、アジア地区3、ヨーロッパ地区3、北・中・南アメリカ地区5、オセアニア地区2の出場枠が各地区に割り当てられている。アジア地区の場合、3位までに入れば世界選手権への出場権を手にすることができるわけである。
他のカテゴリーを見ると、女子日本代表は2001年、2004年、2007年のアジア地区予選をすべて全勝の1位で通過。男子日本代表も2003年、2006年のアジア地区予選をすべて全勝の1位で通過。昨年、マレーシア・クアラルンプールで開催された女子ジュニア(U19)のアジア地区予選でも女子U19日本代表が圧倒的な強さで他を寄せつけず、1位で2011年南アフリカで開催が予定されている第9回世界女子ジュニア選手権の出場権を獲得している。
また、近年は2001年の女子を除いて、すべてアジア選手権が世界選手権の予選を兼ねる形を取っており、日本はすべてのカテゴリーで「アジアNo.1」の座に君臨していることになる。
この歴史を見る限り、男子U19(男子ジュニア)のカテゴリーでも、アジアを勝ち抜くことは「当然」で、むしろその経験をいかに本大会へ生かしていくかがカギになりそうだ。また、ただ勝つだけではなく、アジアの国々にソフトボールをより普及されるために、ソフトボール競技が持つ魅力、楽しさ、面白さを伝えていくことも重要な「使命」となるだろう。
それぞれの国家・民族が持つ異なる文化・風習・生活習慣・言語の違いを、「ソフトボール」という競技を通じて乗り越え、互いに交流を深め、新たな「仲間づくり」ができたなら……。そこから「ソフトボールの新しい時代」がはじまるかもしれない。 |