2017.2.12
 

 

TAB CHALLENGE CUP
INTERNATIONAL MEN’S SOFTBALL DAY-5

男子TOP日本代表
決勝進出ならず……
第3位に終わる




大会最終日、予選リーグ2位の男子TOP日本代表は
予選リーグ3位のアルゼンチンと「決勝進出」をかけて対戦



アルゼンチン打線の効果的な「一発攻勢」の前に6失点。
打線もわずか1安打に抑えられ、10三振では打つ手なし…



チームを率いたコーチングスタッフ。たくさんの収穫を持ち帰った
(左から田岡トレーナー、浜口コーチ、岡本ヘッドコーチ、
吉村コーチ、ドニー・ヘイルサポートスタッフ)



戦い終えた選手たちを労う言葉をかける三宅豊チームリーダー。
「男子ソフトボールの活性化」へ向け、国内外で力を尽くしている



現地・ニュージーランドでは、連日のように大きく報道され、
テレビ等でも「男子ソフトボール」が取り上げられていた

 ニュージーランド・オークランドで開催されている「TAB CHALLENGE CUP INTERNATIONAL MEN’S SOFTBALL」(大会公式サイトはこちら)は大会最終日を迎えた。
 男子TOP日本代表は、予選リーグ7勝3敗の2位で最終順位決定戦に駒を進め、9勝1敗で予選リーグ1位のニュージーランドが待ち受ける「決勝」進出をかけ、同じく7勝3敗で3位のアルゼンチンと対戦した。

・大会最終日(2月12日/日)
《最終順位決定戦/3位決定戦》
  1 2 3 4 5 6 7
アルゼンチン(予選リーグ3位) 0 0 2 1 3 0 0 6
男子TOP日本代表(予選リーグ2位) 0 0 0 0 0 0 0 0
バッテリー:●照井賢吾(3回)、小山玲央(1回)、客野卓也(2回)、山脇佑也(1回)−片岡大洋

 予選リーグ2位の男子TOP日本代表は、決勝で待ち受ける予選リーグ1位のニュージーランドへの「挑戦権」をかけ、予選リーグ3位のアルゼンチンと対戦した。

 男子TOP日本代表の先発は照井賢吾。過去3回の世界選手権出場経験を持つベテラン左腕に大事な一戦の先発が託された。
 その照井賢吾は、初回、2回表とアルゼンチン打線を無得点に抑えていたが、迎えた3回表、二死走者なしから四球で走者を出してしまい、6番・Juan MALARCZUKにツーランホームランを浴び、2点を失ってしまった。
 男子TOP日本代表は、早めの継投策で4回表から「期待のホープ」小山玲央に投手交代。しかし、先頭打者を四球で歩かせ、次打者にも安打を許し、一・三塁のピンチを招き、守備の乱れから1点を失い、3点差にリードを広げられてしまった。
 後がない男子TOP日本代表は、こうなると「総力戦」。今大会、貴重な働きを見せてきた客野卓也を5回表から投入。しかし、ここでも簡単に二死を取った後、死球、安打で一・二塁とされ、次打者を三振に仕留め、ピンチを脱したかに見えたが、この投球を捕球できず(記録はワイルドピッチ)、振り逃げで満塁。ここで4番・Bruno MOTRONIに満塁の走者を一掃するタイムリーツーベースを浴び、決定的な3点を失い、勝負は決した。

 一方、男子TOP日本代表はアルゼンチン・Roman GODOYの前に打線が沈黙。初回に今大会大活躍の「切り込み隊長」森田裕介がいきなり安打を放ったが、結局、安打はその1本だけ。2回裏の無死一塁はダブルプレーでチャンスを潰し、6回裏、二死走者なしから連続四死球で、この試合初めて得点圏に走者を進めたが、ここでも「あと一本」が出ず、無得点。最終回も懸命の反撃を試みたものの、三者三振でゲームセット。1安打・11三振では打つ手がなかった。

 4日間で実に11試合を戦い抜いた男子TOP日本代表。3位に終わったとはいえ、世界トップレベルのチームと、これだけ集中的に「実戦」を戦うことができたことは、今後に向け、大きな経験となり、選手・チームにとって貴重な「財産」となったことだろう。
 チームの「投打の大黒柱」となるべき松田光、日本人初の130km/hを叩き出した岡阜囀lら経験豊富な「主力選手」をあえて「温存」し、それに追いつき追い越せと、若手や代表初選出の選手たちに重点的にチャンスを与え、「世界の強豪」の力と技をその目で確かめ、肌で感じながら、この「超ハードスケジュール」を戦い抜いた経験は、必ずや「次」につながるはずである。そして、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)「世界ランキング1位」のニュージーランドを撃破する「歴史的勝利」を挙げる等、大きく、確実な手応えを感じてくれたのではないだろうか。
 また、今大会を戦うことで、「世界の強豪」を相手に勝つための「ヒント」が得られ、日本国内との戦い方の違い、通用する技術・戦術の違いを身を持って感じるとともに、国際大会での個々の選手の適性、適応力・対応力等、しっかりと見極める「絶好の機会」となったことは間違いない。今年7月の「第15回世界男子選手権大会」(カナダ・ホワイトホースで開催/大会期日:7月7日〜16日)へ向けた強化、準備という面でも大きな成果と収穫を得たといえるだろう。

 ただ……世界選手権の「本番」は甘くはない。この顔ぶれに「ディフェンディングチャンピオン」のカナダ、このところ常に上位に食い込んでくるベネズエラ、過去に優勝経験を持つアメリカ等も加わってくる。

 今大会を制し、「世界ランキング1位」のニュージーランドも「王座奪還」に燃えており、男子TOP日本代表がこのチームを破ったことは高く評価されてしかるべきだが、決勝で男子TOP日本代表が手も足も出なかったアルゼンチンをコールド勝ちで一蹴した「実力」を見ると、世界選手権「本番」でもまた勝つことができるかといえば、それには疑問符をつけざるをえないだろう。

 男子TOP日本代表を破ったアルゼンチンは、2012年、2014年にジュニア(U19/19歳以下)のカテゴリーで「世界一」となり、「連覇」を成し遂げた世代が着実に力をつけ、完全に「世界の強豪」の仲間入りを果たしたといっても過言ではないだろう。特に、初戦こそ攻略したものの、予選リーグ2巡目の対戦、最終順位決定戦では完全に抑え込まれた(2試合で4安打・得点1・21三振)Roman GODOYの存在は、今後、男子TOP日本代表にとって「脅威」であり、「天敵」ともなりかねない。また、決勝ではニュージーランドに大敗したものの、予選リーグでは「あと一歩」のところまで追い詰める接戦も演じている。

 そして、この大会では4位に終わったオーストラリアも今大会には参加していないMAX135km/hを誇る「世界最速」アダム・フォーカードや「世界最高の左腕」アンドリュー・カークパトリックが加われば、まったく「別のチーム」となり、「優勝候補」の一角に挙げられるチームへと変貌するだろう。

 そう……確かに「世界」は甘くない。それでも、今大会での戦いは、「次」への期待を感じさせ、世界選手権「本番」が楽しみになる、そんな戦いであったことは間違いない。この経験を生かし、世界選手権「本番」で「世界を驚かせるチーム」となってくれることを期待している。頑張れ! 男子TOP日本代表!!

予選リーグ戦績表
日本 ニュージー
ランド
オースト
ラリア
アルゼン
チン
チェコ サモア




男子TOP
日本代表
●5-10
○2-1
●0-1
○7-3
○6-4
●1-2
○3-2
○5-0
○7-0
○18-0
54 23 7 3 2
ニュージーランド ○10-5
●1-2
○8-1
○5-4
○10-1
○8-6
○7-0
○8-1
○11-1
○10-3
78 24 9 1 1
オーストラリア ○1-0
●3-7
●1-8
●4-5
●2-9
●3-6
○10-4
●7-11
○12-3
○4-2
47 55 4 6 4
アルゼンチン ●4-6
○2-1
●1-10
●6-8
○9-2
○6-3
○4-0
○8-6
○6-0
○7-0
53 36 7 3 3
チェコ ●2-3
●0-5
●0-7
●1-8
●4-10
○11-7
●0-4
●6-8
●5-6
○4-2
33 60 2 8 5
サモア ●0-7
●0-18
●1-11
●3-10
●3-12
●2-4
●0-6
●0-7
○6-5
●2-4
17 84 1 9 6
※2位・3位は大会規程による(勝利/ポイント5、タイブレーカーによる敗戦/ポイント2、2点差以下の敗戦/ポイント1)
男子TOP日本代表、アルゼンチンはポイント37で並び、直接対決での勝敗でも並ぶため、直接対決における失点差で順位を決定(男子TOP日本代表6、アルゼンチン7)

最終順位決定戦組み合わせ・結果




平成28年度男子日本代表チーム第1次海外強化合宿 参加選手団名簿
選手(ポジション別五十音順)
No. 守備 氏名 支部 所属
1 投手 岡普@建斗 大阪府 大阪桃次郎
2 客野 卓也 愛媛県 愛媛ウエスト
3 小山 玲央 長崎県 長崎県立佐世保西高校
4 高橋 速水 高知 高知パシフィックウェーブ
5 照井 賢吾 群馬県 高崎市役所
6 松田  光 岡山県 平林金属
7 森  勇紀 長崎県 Neo長崎
8 山脇 佑也 愛知県 デンソー
9 捕手 大石  司 栃木県 ホンダエンジニアリング
10 片岡 大洋 高知 高知パシフィックウェーブ
11 平本 拓朗 岡山県 平林金属
12 内野手 糸瀬 勇助 栃木県 ホンダエンジニアリング
13 井上 知厚 岡山県 IPU環太平洋大学
14 浦本 大嗣 栃木県 ホンダエンジニアリング
15 古敷谷 亮 高知 高知パシフィックウェーブ
16 小見山敦吏 岡山県 平林金属
17 澤田 優生 大阪府 大阪桃次郎
18 米良 孝太 宮崎県 旭化成
19 外野手 川田 直諒 宮崎県 旭化成
20 黒岩 誠亥 愛知県 トヨタ自動車
21 床井 優介 栃木県 ホンダエンジニアリング
22 西山 幸助 岡山県 平林金属
23 森田 裕介 愛知県 豊田自動織機

第1次海外強化合宿コーチングスタッフ
No. 役職 氏名 支部 所属
1 チームリーダー 三宅  豊 (公財)日本ソフトボール協会
2 ヘッドコーチ 岡本 友章 高知 高知パシフィックウェーブ
3 アシスタントコーチ 浜口 辰也 栃木県 ホンダエンジニアリング
4 アシスタントコーチ 吉村  啓 岡山県 平林金属
5 トレーナー 田岡 幸一 Body Laboratory