2015.7.2
 

 


第14回世界男子ソフトボール選手権大会(カナダ・サスカツーン)

日本、メキシコに5回コールド勝ち!予選リーグ突破へ踏み止まる



ここまで2勝3敗と追い詰められた日本
残り2試合に「勝つ」しかない!



予選リーグ第6戦の相手はメキシコ



日本の先発投手は松田光
2回表に先制点をもらい、リズムに乗るかと思われたが……


その裏、メキシコに3点を奪われ、逆転を許してしまう


絶体絶命のピンチ……。しかし、4回表
1番・米良孝太の起死回生のスリーランで逆転に成功!


その後、日本打線が爆発し、リードを7点差に
2番手・高橋速水も1点を失いはしたが、力投を見せた


明日はいよいよ予選リーグ最終日
最終戦もチーム一丸となり、勝つしかない!

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 第14回世界男子選手権大会(※大会スケジュールはこちら※大会オフィシャルサイトはこちら)第6日。前日ドミニカに1−4で敗れ、予選リーグ突破に向けて2勝3敗と厳しい状況へ追い込まれた日本は、この日第6戦に臨み、メキシコと対戦した。

 メキシコは、ここまで日本と同じく2勝3敗。大会5日目終了時点で、予選リーグ・POOLBの決勝トーナメント進出争いは、オーストラリア、ドミニカ、ベネズエラの3チームが4勝1敗で並び、これにアメリカが3勝2敗、日本とメキシコが2勝3敗で続く状況。前日のドミニカ戦に敗れたことで、この日負けると決勝トーナメント進出の可能性が限りなく低くなり、残り2試合を絶対に勝たなければならない「崖っぷち」へと追い込まれた日本は、「4位滑り込み」をかけて、まず同率のメキシコを直接対決で叩き、上位4チームを巡る争いから脱落させる必要がある。ここから先は、まさに「生き残り」をかけた「サバイバル」。日本にとって勝負の一戦がはじまった。

・大会第6日/7月1日(水)
《予選リーグ第6戦》
  1 2 3 4 5
日  本 0 1 0 6 4 11
メキシコ 0 3 0 1 0 4
※大会規程により5回得点差コールド
バッテリー:松田光(1回2/3)、○高橋速水(3回1/3) − 平本拓朗、片岡大洋
長打:〔本塁打〕米良孝太、筒井拓友〔三塁打〕浦本大嗣

 先攻の日本は初回、1番・米良孝太が四球で出塁。すかさず盗塁を成功させると、2番・澤田優生のファーストゴロの間に三塁へ進塁し、先制のチャンスを作った。しかし、続く3番・松岡真央が放った強烈なライナーは惜しくもショートの正面を突き、ツーアウト。4番・中村健二もファーストゴロに打ち取られ、「先制攻撃」に失敗。「チャンスは作るもののタイムリーが出ない」今大会の日本の「悪い流れ」を払拭できないまま、この回無得点に終わり、嫌な雰囲気が漂った。

 日本の先発投手は松田光。今大会では、投打に爆発する「松田光らしさ」が影をひそめ、ここまで苦しんでいるが、岡阜囀l、高橋速水とともに西村信紀ヘッドコーチが「今後の男子ソフトボール界を引っ張っていく存在」として期待を寄せる右腕が、この重要な一戦の先発に起用された。その松田光は立ち上がり、先頭打者をいきなり四球で歩かせ、送りバントで得点圏に走者を進められたものの、ここから落ち着いて3番打者を三振、4番打者をセンターフライに打ち取り、まずは初回を無失点に抑えた。

 日本は2回表、この回先頭の5番・浦本大嗣が死球で出塁。続く6番・松田光のショートへの内野安打、7番・平本拓朗の送りバント、8番・川田直諒の四球で一死満塁と攻め立てると、二死後、1番・米良孝太がしっかりとボールを見極め、スリーボール・ワンストライクからの5球目が死球となり、押し出し。この回労せずして1点を先制。しかし、ここでも二死満塁と続くチャンスに「あと一本」が出ない。そして、それが次なる展開の「伏線」となっていってしまう。

 2回表に先制点をもらったことで、松田光のピッチングも楽になり、次第に調子を上げていくかと思われたが、逆にこの1点を守りに入ってしまったか、その裏、この回先頭の5番打者にセンターオーバーのツーベースを浴び、ピンチを招くと、続く6番打者にも「力」で右中間に運ばれ、二塁走者が還り、アッという間に同点。さらにこの後、三遊間を抜けるヒット、四球などで一死満塁のピンチが続き、キャッチャー・平本拓朗のパスボールで2点目を許し、メキシコが逆転。これでリズムを完全に崩し、1番打者にもショート強襲のタイムリーを打たれ、この回3失点。逆に2点差にリードを広げられてしまう。

 まさに「絶体絶命」の状況に追い込まれた日本は、3回表にも、途中出場の6番・筒井拓友の二塁打等で二死二・三塁の「一打同点」のチャンスを作りながら、7番・片岡大洋が三振に倒れ、無得点。今大会悩まされている「タイムリー欠乏症」の症状は悪化の一途を辿り、どうしても得点を挙げることができない。「このまま、日本の『世界への挑戦』は終わってしまうのか……」そんな重苦しい雰囲気が漂いはじめる中、日本に「救世主」が現れた。
 4回表、この回先頭の8番・川田直諒が三遊間を破るヒットで出塁。すかさず足で揺さぶり、盗塁を成功させ、さらに相手捕手の二塁への送球が逸れる間に三塁を陥れると、続く9番・西山幸助のセーフティーバントがフィルダースチョイスとなり、一・三塁。ここで1番・米良孝太がインコースのベルト線に入ってきた球を思い切り良く振り抜き、レフトポールを巻く「起死回生」のスリーランホームラン。逆転を信じる日本の思いを乗せた一打は大きなアーチを描き、スタンドへと吸い込まれ、逆転。前回大会、初の世界選手権で思うようなプレーができず、悩み、苦しみ抜いた男が、再び辿り着いた「世界の舞台」で、日本の窮地を救う一発を放ち、一気に試合をひっくり返した。
 この「値千金」の一発で息を吹き返した日本打線は、この後も3番・松岡真央のセンター前ヒット、四球、ワイルドピッチなどで一死二・三塁のチャンスを作り、5番・浦本大嗣のセンター前タイムリー、6番・筒井拓友のレフトスタンドへ叩き込むツーランホームランなど「集中打」を浴びせ、3点を追加。この回一挙6点を挙げ、4点のリードを奪った。

 日本はその裏、2回途中から2番手として登板した高橋速水が1点を返されたものの、5回表に押し出しの四球、5番・浦本大嗣のライト線を抜く走者一掃のタイムリースリーベースでダメ押しの4点を追加。リードを5回コールド勝ちに必要な7点差に広げると、その裏、気合いを入れ直した高橋速水がメキシコ打線を三者凡退に打ち取り、終わってみれば11−4の5回コールド勝ちで圧勝。予選リーグの通算成績を3勝3敗の五分に戻し、決勝トーナメント進出へ「絶対に落とすことができない」重要な一戦をモノにした。

 明日はいよいよ予選リーグ最終日、日本は第7戦でオランダと対戦する。まずはこの日の一戦にしっかりと勝利できたことが何より大きいが、決勝トーナメント進出に向け、「勝つ」ことが絶対条件とされている日本としては、明日のオランダ戦に勝利し、決勝トーナメント進出を確定させるまで、まだまだ気を抜くことはできない。決勝トーナメントに進みさえすれば、予選リーグ3位であろうが4位であろうが、あとは一発勝負。勝負の世界は実際に戦ってみないと何が起こるか分からない。信じようではないか……日本の力を。我々はただ世界と戦うためではなく、「世界を驚かす」ために、このカナダへとやって来たのだから!



予選リーグ第6戦
メキシコ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 3B 米良孝太 旭化成 5
2 2B 澤田優生 大阪桃次郎 12
3 SS 松岡真央 旭化成 10
4 DP 中村健二 大阪桃次郎 17
5 1B 浦本大嗣 ホンダエンジニアリング 9
6 松田光 平林金属 20
7 平本拓朗 平林金属 26
8 LF 川田直諒 旭化成 7
9 CF 西山幸助 平林金属 24
FP RF 木谷謙吾 平林金属 28

※選手交代
2回裏 FP交代 木谷OUT→高橋速水(高知パシフィックウェーブ)IN
高橋速水が投手の守備に入る
守備交代 松田OUT→筒井拓友(大阪桃次郎)IN
筒井拓友がライトの守備に入る
平本OUT→片岡大洋(高知パシフィックウェーブ)IN
5回表 代打 澤田OUT→糸瀬勇助(ホンダエンジニアリング)IN