2015.7.1
 

 


第14回世界男子ソフトボール選手権大会(カナダ・サスカツーン)

日本、ドミニカに1−4で敗戦。予選リーグ2勝3敗に……



前日のベネズエラ戦に敗れ、2勝2敗となった日本
ここから先は「勝つ」ことでしか道は拓かれない!



予選リーグ第5戦の相手はドミニカ



日本の先発投手は照井賢吾
好調・ドミニカの「強力打線」に果敢に立ち向かったが……


初回、二死から3番打者に先制のソロホームランを浴びる


日本は2回表、4番・中村健二が
「意地」の一発を放ち、同点に追いつく!


しかし、4回裏にドミニカの強力打線が本領発揮
一挙3点を奪われ、勝ち越しを許してしまった


日本、ドミニカに1−4で敗れ、2勝3敗
残り2試合、絶対に勝たなければならない!


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 第14回世界男子選手権大会(※大会スケジュールはこちら※大会オフィシャルサイトはこちら)第5日。前日ベネズエラに0−3の完封負けを喫し、予選リーグ2勝2敗となった日本は、この日第5戦に臨み、ドミニカと対戦した。

 ドミニカは、ここまでデンマークに8−1(5回コールド勝ち)、アメリカに4−6、メキシコに4−3、オーストラリアに5−3と3勝1敗。前日対戦したベネズエラと同じ中南米勢として快進撃を続けており、今大会の「ダークホース」的存在。特に、「優勝候補の大本命」に挙げられているオーストラリア戦では、オーストラリアが「二枚看板」のアダム・フォーカード、アンドリュー・カークパトリックではなく、3番手の投手を先発に起用したとはいえ、3回表に一挙5点を奪うなど打線が爆発。中南米勢特有の「強力打線」を擁するチームで勢いに乗っている手強い相手である。

 ベネズエラ戦に敗れ、2勝2敗と厳しい状況に立たされた日本としては、予選リーグ突破に向け、この試合は絶対に落とすことができない。何よりも「勝利」「結果」が求められる「負けられない」一戦に臨んだ。

・大会第5日/6月30日(火)
《予選リーグ第5戦》
  1 2 3 4 5 6 7
日  本 0 1 0 0 0 0 0 1
ドミニカ 1 0 0 3 0 0 x 4
バッテリー:●照井賢吾(4回)、森勇紀(2回) − 片岡大洋
長打:〔本塁打〕中村健二〔三塁打〕米良孝太〔二塁打〕浦本大嗣

 「負けられない」一戦だからこそ、先取点を奪いたい日本は初回、1番・糸瀬勇助がサードゴロ、2番・澤田優生がレフトフライに打ち取られ、簡単にツーアウト。3番・米良孝太も三振に倒れ、相手にプレッシャーをかけることができず、三者凡退に終わった。

 日本の先発投手は、照井賢吾。2009年の第12回大会(同じくカナダ・サスカツーンで開催)から3大会連続世界選手権出場となる「歴戦の強者」「チーム唯一のサウスポー」が、この「負けられない」一戦でどのようなピッチングを見せるか、注目が集まった。その照井賢吾は立ち上がり、先頭打者をセカンドゴロ、2番打者をピッチャーゴロに打ち取り、テンポ良くツーアウト。「上々の滑り出し」と思われた。しかし、ここで気持ちが一瞬緩んだか、続く3番打者にセンターへ完璧な当たりのソロホームランを叩き込まれ、1点を先制されてしまう。

 リードを許した日本は2回表、この回先頭の4番・中村健二がインコースのベルト線に入ってきた球を鋭く振り抜き、ライトへ鮮やかなソロホームラン。自身と同じく3大会連続世界選手権出場の「盟友」であり、「戦友」でもある照井賢吾を救う一発をライトスタンドへ叩き込み、すぐに同点に追いついた。

 ともに「日本代表」の一員として「世界の舞台」で戦い続けてきた「投手陣のリーダー」中村健二の一打に救われた照井賢吾は、その裏ドミニカの攻撃をショートゴロ、三振、ショートゴロに打ち取り、三者凡退。3回裏も一死からレフト前に1本ヒットを許したものの、出塁した一塁走者の盗塁を片岡大洋が矢のような送球で阻止。この後、2番打者を「気持ちの入った速球」で三振に斬って取り、無失点に抑え、試合は1−1の同点のまま中盤へと入った。

 4回表、日本は一死から7番・浦本大嗣がセンターオーバーのツーベースを放ち、チャンスメイク。しかし、続く8番・片岡大洋、代打・松田光が連続三振に倒れ、なかなか次の1点を奪うことができない。

 チャンスを作りながらも「あと一本」が出ず、得点に結びつけることができない。今大会打線のつながりを欠き、タイムリーの出ない日本の「悪いパターン」が出はじめたその裏、ドミニカは一死から4番打者がファースト・浦本大嗣のミットをはじく強襲ヒットで出塁すると、二死後、6番打者も痛烈な打球で一・二塁間を破り、得点圏へ走者が進塁。ここで7番打者がインコースの球を思い切って引っ張り、バットの芯でとらえた打球はレフト前へ。打球の飛んだ位置がレフト正面であったため、シングルヒットで止められる……と思われたが、完璧に振り切られた強烈な当たりの球足が予想以上に速く、これをレフト・川田直諒がまさかの後逸。この間に一気に二者が還り、ドミニカが勝ち越し。さらに続く8番打者もセカンド・澤田優生のグラブをはじくタイムリーを放ち、この回3点目を追加。初回に1点を先制された後、立ち直ったかに見えた照井賢吾だったが、「強力打線」を売りとするドミニカの「集中打」を浴びる形となり、日本にとっては苦しい3点差へとリードを広げられてしまった。

 日本打線はこの試合ドミニカと同じ9安打を放ち、5回表には二死一・二塁、6回表にも一死満塁と再三得点のチャンスを作ったが、「ここぞ」という場面でのタイムリー欠乏症にまたしても悩まされ、結局、得点はホームランによる1点のみ。予選リーグ突破へ「負けられない」はずだった一戦を結果1−4で落とすことになり、ついに2勝3敗と黒星が一つ先行する非常に厳しい状況に追い込まれた。

 予選リーグ・POOLBは、大会第5日を終了し、オーストラリア、ドミニカ、ベネズエラの3チームが4勝1敗。これにアメリカが3勝2敗で続き、2勝3敗の日本はメキシコと並んで5位につける展開となった。予選リーグはいよいよ残り2試合。日本は明日、第6戦で同率に並ぶメキシコと対戦することになる。今後の展開を現実的に考えれば、日本は3勝2敗のアメリカ、同率(2勝3敗)のメキシコと予選リーグ通過ギリギリのラインとなる4位の座をめぐり、争わなければならない。大会前、メダル獲得のためには予選リーグを1位・2位で通過できるか否かがカギになると誰もが口にしていたが、今はそれどころか予選リーグを突破することすら危うい状況。今大会、日本の戦いは予想以上に厳しいものとなっている。いずれにしても「道を切り拓く」ためには、あと2つ「勝つ」しかない。

 幸いにも、4位を争うアメリカ、メキシコともに「優勝候補の大本命」オーストラリアとの対戦を残している。現時点ではアメリカが星一つリードしている状況にあるが、日本はアメリカとの直接対決に勝利しており、明日のメキシコ戦に勝ち、メキシコをまず脱落させ、最終戦のオランダ戦に勝利すれば、アメリカと同率に並ぶ可能性が高く、アメリカとの直接対決に勝利している日本の順位が上となり、4位に滑り込むことができるのである。もちろん、アメリカが残り2試合を連勝してしまえば、日本は追いつくことができない「他力本願」の状況には変わりはない。しかし、まだまだ可能性は残されており、まずは残り試合を連勝することが「絶対条件」。明日のメキシコ戦が非常に重要な一戦であることは間違いない。
 明日の対戦相手であるメキシコは勝敗の上では2勝3敗で日本と同率だが、アメリカに0−7の5回コールド負けを喫しており、日本に勝ったとしても4位になれる可能性はほとんどなく(アメリカと同率に並んだとしても「直接対決」で敗れており、順位は下となってしまう。また、メキシコが残り2試合を連勝、アメリカが連敗というケースしか、メキシコが4位となる可能性は残されていない。しかも最終戦にオーストラリア戦を残していることを考えると、現実的にはこの状況は考えにくい)、逆に日本がメキシコに敗れるようなことがあると、日本が4位となる可能性は限りなく低くなり、事実上の「終戦」となってしまう。  4位であろうと決勝トーナメントに進みさえすれば、「一発勝負」となり、何が起こるかわからない。当然のことながら、日本はその「何か」を起こす力を有しているチームであり、そのための「条件」を備えたチームである。そのためにも……まずはメキシコ戦に勝たなければならない!



予選リーグ第5戦
ドミニカ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 RF 糸瀬勇助 ホンダエンジニアリング 6
2 2B 澤田優生 大阪桃次郎 12
3 3B 米良孝太 旭化成 5
4 DP 中村健二 大阪桃次郎 17
5 LF 川田直諒 旭化成 7
6 SS 松岡真央 旭化成 10
7 1B 浦本大嗣 ホンダエンジニアリング 9
8 片岡大洋 高知パシフィックウェーブ 2
9 CF 西山幸助 平林金属 24
FP 照井賢吾 高崎市役所 25

※選手交代
4回表 代打 西山OUT→松田光(平林金属)IN
4回裏 再出場 松田OUT→西山幸助(平林金属)IN
センターの守備で再出場
5回裏 投手交代 照井OUT→森勇紀(Neo長崎)IN
守備交代 糸瀬OUT→筒井拓友(大阪桃次郎)IN