2013.3.4
 

 

 
日本、予選リーグ第4戦の対戦相手はコロンビア
日本・先発の嶋田は逆転ツーランを浴びたものの、
3回を投げ、2安打・6奪三振の力投で試合を作った

国際大会で無類の強さを発揮する中村。
緩急自在の投球で試合の流れを変えた

5回表、一死二塁から同点タイムリーを放った横山

5回表、勝ち越しの二塁打を放った松田。
二塁塁上でガッツポーズ! 喜びが爆発!!

6回表、2点タイムリーを放った西森。
日本らしい「技あり」の一打を見せた

最後は「エース」高橋が締め、日本、2勝目!

今日の勝利を明日につなげて……「歴史」を作れ!

第13回世界男子選手権大会
第4日

日本、コロンビアに大勝!
2勝目を挙げる!!




第13回世界男子選手権大会 第4日 コロンビア戦

 

 3月4日(月)、ニュージーランド・オークランドで開催されている「第13回世界男子選手権大会」(大会公式ホームページはこちら)は4日目を迎えた。

 予選リーグ第2戦のアルゼンチン戦、第3戦のニュージーランド戦に連敗を喫した日本は、この日、コロンビアと対戦。
 コロンビアは大会2日目のニュージーランド戦は0−4で敗れているが、初戦のフィリピン戦に4−2、昨日のオランダ戦に6−1と快勝しており、ここまで2勝1敗。日本が決勝トーナメントに残るためには、「絶対に負けられない」相手である。

大会第4日/3月4日(月)
予選リーグ第4戦
  1 2 3 4 5 6 7
日   本 1 0 0 0 3 4 1 9
コロンビア 2 0 0 0 0 0 0 2
バッテリー:嶋田智希(3回)・○中村健二(3回)・高橋速水(1回)−片岡大洋
長打:〔二塁打〕横山拓、松田光、川田直諒

 先攻の日本は初回、この試合、トップバッターに起用された川田直諒がいきなりピッチャー強襲安打で出塁。2番に入った嶋田智希が手堅く送ると、これを処理したキャッチャーが二塁へ悪送球。無死一・二塁とし、さらにワイルドピッチで二・三塁とチャンスを広げ、絶好の先制機を得た。
 しかし、3番・松田光の強烈なサードゴロが好捕され、三塁走者・川田直諒ともつれるようにタッチ。そのまま素早く一塁へ送球すると、一塁もアウトになり、ダブルプレーを完成させた。
 無死二・三塁が一瞬にして二死二塁となり、またしても嫌な雰囲気になりかけたが、4番・松岡真央がレフト前に運び、二塁走者が一気にホームイン。「頼れるキャプテン」の一打で「嫌な雰囲気」を吹き飛ばしたかに見えた。

 しかし、その裏、日本・先発の嶋田智希が、先頭打者にいきなり死球を与え、送りバントで一死二塁。3番打者に初球を狙われ、逆転のツーランを浴び、わずか7球で試合をひっくり返されてしまった。

 これで意気消沈したわけでもないだろうが、2回表、3回表と淡白な攻撃で三者凡退を繰り返すと、この「沈滞ムード」を打破すべく、3回裏、西村信紀ヘッドコーチがついに動いた。
 ショートに西森雄を入れ、ショートの松岡真央をファーストに、ファーストの佐伯忠昭をサードに回し、4回裏には、国際大会に滅法強い「投手陣のリーダー」中村健二を投入。もう後がないこの試合で「勝負」に出た。

 これで試合の流れが変わったか、5回表、7番・小野洋平がセンター前ヒットを放ち、反撃の口火を切ると、西村信紀ヘッドコーチは代走に木谷謙吾を送り、8番・西森雄が追い込まれながらも、しぶとく「進塁打」で走者を得点圏に進め、9番・横山拓が右中間へ同点のタイムリーツーベースを放ち、試合を振り出しに戻した。二死後、2番・中村健二が死球で一・二塁。ここで「今、日本ソフトボール界で最も勢いのある男」3番・松田光がレフトオーバーのツーベースを放ち、2点を勝ち越し。スタジアムを支配していた重苦しい雰囲気を切り裂く一打を放ち、ついに試合をひっくり返した。

 これで勢いづいた日本は6回表、5番・佐伯忠昭の三振振り逃げからチャンスをつかみ、6番・谷口淳の安打と犠打で一死二・三塁とすると、8番・西森雄が「持ち味」を十二分に生かした「技あり」の一打で2点を追加。さらに1番・川田直諒のタイムリーツーベース、ワイルドピッチなどで2点を加え、この回大量4点を挙げた。

 日本は7回表にも、4番・松岡真央の四球、代打・伊藤公彦の内野安打などで追加点のチャンスをつかみ、7番・木谷謙吾のライトフライの間にそれぞれ進塁し、一死二・三塁とすると、8番・西森雄がまたしても「技あり」のプッシュバントを決め、ダメ押しの1点を追加。大きくリードを奪った。

 守っては、先発・嶋田智希が初回にツーランを浴びたものの、3イニングを2安打・6三振に抑え、2番手・中村健二は3イニングを1安打・5三振の力投で試合の流れを日本へと呼び込み、最後は高橋速水が1安打は許したが、アウトは全部三振で斬って取るという派手なエンディングを演じ、連敗を脱した。

 ただ、この日も序盤は前日までの嫌な流れを引きずっていた。初回、無死二・三塁としながら、併殺。「キャプテン」松岡真央のタイムリーで先制したとはいえ、一気に大量点を奪い、楽な試合展開に持っていきたいところだった。

 また、せっかく1点のリードをもらいながら、その裏、先発・嶋田智希がいきなり先頭打者に死球を与え、3番打者には初球を狙われ、逆転ツーランを浴びた。この試合の「重さ」を考えれば、あまりにも「軽率」なピッチングと言わざるを得ないし、これが強豪国相手であれば、取り返しのつかない「失投」になっていたかもしれない。

 この「窮地」を救ったのは、いずれも前回大会を経験したメンバーだった。まさかのダブルプレーで意気消沈しかけたチームを自らのバットで鼓舞し、先制点をもたらした「キャプテン」松岡真央。コロンビアのフルスイングを嘲笑うかのような「緩急自在」のピッチングで試合の「流れ」を変えた中村健二。重苦しい雰囲気の中、同点タイムリーを放った横山拓。「技あり」の一打で貴重な追加点をもたらした西森雄。ピッチャーでありながら、沈滞するチームの雰囲気を変えようと、自ら三塁コーチャーを買って出た「ムードメーカー」の照井賢吾。いずれも数々の「修羅場」をくぐり抜け、「日本代表」として戦い続けてきた「歴戦の勇士」たちであった。
 そして、それを引き出した西村信紀ヘッドコーチの「決断」。思い切った采配と選手起用も見逃せない。あのまま手をこまねいていたら、ズルズルと「負けパターン」にはまり、そのまま「終戦」を迎えていたかもしれない。

 「日本代表」の伝統と歴史を「歴戦の勇者」たちが伝えてくれている。今度は、若い選手たちがそれに応えなくてはならない。「新たな歴史」を作り、またそれを次なる世代へと継承していくために……。

 今日の一勝で、予選リーグ突破は見えてきた。だが……「日本代表」がめざすべき場所は、そこではない。「日本代表」が本来在るべき場所に還るために……まだまだ戦い続けなくてはならない。
 敗者には歴史は作れない。勝者にのみ、歴史の扉は開かれる。そう……苦しい状況にあるからこそ、勝ち続けるしかないのだ。勝ち続け、自らの力で、進むべき道を切り拓くしかない。残された道は「勝つ」ことだけだ。



第13回世界男子選手権大会 第4日 予選リーグ第3戦

コロンビア戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 RF 川田直諒 旭化成 7
2 嶋田智希 岐阜エコデンSC 20
3 DP 松田 光 平林金属 19
4 SS 松岡真央 旭化成 8
5 1B 佐伯忠昭 ダイワアクト 12
6 2B 谷口 淳 平林金属 18
7 LF 小野洋平 高知パシフィックウェーブ 24
8 3B 米良孝太 旭化成 5
9 CF 横山 拓 岐阜エコデンSC 1
FP 片岡大洋 高知パシフィックウェーブ 2

※選手交代
3回裏 守備交代 米良OUT→西森雄(トヨタ自動車)IN ※ショートの守備に入る
守備位置変更 ショートの松岡がファーストへ回り、ファーストの佐伯がサードの守備に回る
4回裏 投手交代 嶋田OUT→中村健二(大阪桃次郎)IN
5回表 代  走 小野OUT→木谷謙吾(平林金属)IN
5回裏 守備位置変更 代走・木谷がそのままライトの守備に入り、ライト・川田がレフトの守備に回る
7回表 代  打 谷口OUT→伊藤公彦(豊田自動織機)IN 
7回裏 投手交代 中村OUT→高橋速水(高知パシフィックウェーブ)IN 
再出場 伊藤OUT→谷口淳(平林金属)IN ※セカンドの守備に入る