2012.7.1
 

 

 

第9回アジア男子選手権大会、
第13回世界男子選手権大会に向け、
新生・男子日本代表17名が決定!

平成24年度 男子日本選考会を実施
「新生・男子日本代表」17名が決定!

選考会には、日本リーグ、実業団、
クラブ、大学から計77名が参加した

今回、男子日本代表の指揮を執る西村信紀ヘッドコーチ
「世界の舞台」での経験を活かした手腕が期待される

選考会は初日からいきなり実戦形式
選手たちの「真っ向勝負」が繰り広げられた

2日目、最終日も実戦形式での選考を実施
一投、一打、選手たちの懸命なアピールが続いた

前回の世界選手権、昨年のワールドカップ
を経験したメンバーが、今回もチームを引っ張る!

「今回落選しても、また必ずチャンスは来る!」
西村信紀ヘッドコーチは、
今後も選手たちの継続したチャレンジを望む

アジアを制し、再び世界の舞台へ!
「選ばれし17名」の今後の戦いに期待したい!!




 去る6月15日(金)〜17日(日)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に、平成24年度男子日本代表選考会が実施され、来る10月24日(水)〜28日(日)、岡山県新見市において開催される「第9回アジア男子選手権大会」、来年3月1日(金)〜10日(日)、ニュージーランド・ノースショアにおいて開催される「第13回世界男子選手権大会」に向けた男子日本代表17名が決定した。

 今回実施された選考会は、世界選手権のアジア地区予選を兼ね、今年10月に開催が予定されているアジア選手権、そして来年3月の世界選手権に出場する男子日本代表選手の選考を目的としたもので、選考会当日は、日本リーグ、実業団、クラブ、大学から計77名の選手が参加。(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会男子強化委員の面々が選考委員を務め(※今回の選考会は、開催時期が(公財)日本ソフトボール協会の役員改選直後となったため、この時点ではまだ新たな男子強化委員が決定しておらず、前任の男子強化委員が選考委員を務めた)、連日厳しい選考が行われた。

 選考会冒頭では、まず(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・丹下淑裕男子強化委員長が、「今回の選手選考については、この選考会での評価はもちろんのこと、これまでの国際大会での実績を含め、実業団、クラブ、インカレ、総合選手権等、全日本大会での実績を加味し、厳正な選考を行う」と、選手選考基準を説明。続いて、今回男子日本代表の指揮を執る西村信紀ヘッドコーチが挨拶に立ち、「まず、今回の選考会にこれだけの人数が集まってくれたことを非常に嬉しく思う。はじめに言っておきたいが、男子のソフトボールはとにかく世界選手権でメダルを取るような結果、また競技レベルを維持していかないと、なかなか世間から評価してもらえない。日本代表の世界選手権での最高位は、2000年に開催された第10回大会での準優勝。しかし、その後は“世界の厚い壁”に阻まれ、世界選手権では2大会続けて5位と、残念ながら低迷していると言わざるをえない状況にある。今回、新たな日本代表を編成するにあたっては、私自身、これまで日本代表としてプレーし、世界の舞台への道筋を作ってきた人間の一人として、もう一度日本代表を“世界のトップレベル”に押し上げ、世界選手権でメダルを取れるチームを作っていきたいと思っている。新たな男子日本代表の歴史を切り開いていくために、ぜひ皆さんの力をかしてほしい!」と、自身の思いを含め、今後の強化方針を語った。

 選考会では、77名の参加選手を4つのグループに振り分け、初日からいきなり実戦形式での選考がスタート。振り分けられた4つのグループがそれぞれ対戦する紅白戦形式での選考が行われ、紅白戦では、投手は限られたイニングの中で、打者は限られた打席の中で、いかに結果を残すことができるかという、非常に重要でシンプルな部分が選考のポイントとされ、選手の実戦的な能力を見極める選考が行われた。

 選考会2日目は、初日と同じ形で紅白戦形式の選考を実施。この日は、実戦形式の選考に加え、投手の球速、捕手のスローイング(盗塁を想定した上での二塁への送球の正確性、速さ)、野手のベースランニング(一塁への駆け抜けと二塁から本塁までのタイム測定)測定、また、参加選手全員の個人面談も実施され、各選考委員がそれぞれの選手に対し、これまでの全日本大会や国際大会での実績について、また、今回自らがアピールしたい打撃・守備はどのようなプレーかを質問。過去に日本代表の経験のある選手には、これまで日本代表として国際大会を戦ってきた中で、何を考え、何を感じてきたか。またその経験を踏まえ、今後どのような日本代表選手をめざしていきたいかという選手のメンタルな部分にまで踏み込んだ内容の面談が行われた。

 選考会最終日は、初日、2日目の実戦での評価を踏まえ、ケースバッティング、紅白戦を行い、全選手を最終チェック。ケースバッティングでは、選考委員が走者の状況を設定し、無死走者一塁から送りバント、進塁打を選択させ、与えられた1打席の中で結果を残すことができるか。紅白戦では、投手は限られたイニングの中で、打者は限られた打席の中で、結果を残すことができるかという部分が再確認された。選手たちは最後のアピールの場となったこの日の実戦でも、一投・一打に持てる力を懸命にアピール。熾烈なサバイバルを繰り広げ、選考会の全日程を終えた。

 今回、再び世界と戦うべく、実施された男子日本代表選考会だが、やはり、これまで世界のトップレベルで戦ってきた西村信紀ヘッドコーチならではの、プレーを評価する「目」が印象的であった。実戦形式での選考では、「すべての選手にいえることだが、現時点では、世界のトップレベルとの戦いを考えると、まだまだ物足りなさを感じる」と、あえて参加選手を厳しく評価。技術的な面でも、「投手でいえば、全体的に勝負を急ぎすぎる傾向にあり、ツーナッシング、ワンボール・ツーストライクというカウント有利な状況にありながら、長打、一発を食らってしまう場面が多すぎる。打者との駆け引きの中で、もっと配球、組み立てを工夫し、ピッチングに幅をもたせていかなければならない。規格外のパワー、技術を持つ海外の打者と対戦する際は、相手に気持ち良くバットを振られたらその時点で負け。打者のタイミングを外したり、ストライクゾーンからボールゾーンへ変化させる球種を有効に使っていく必要があるだろう。打者でいえば、少ないチャンスでいかに投手の失投を逃さず、仕留めることができるか。130kmを越えてくる世界の一線級の投手との対戦になれば、そう甘い球などこない。ワンチャンスを確実にモノにする勝負強さを身につけてほしい」と、厳しい指摘が繰り返された。

 また、選考を終え、西村信紀ヘッドコーチは、「3日間の選考会を通して、プレーした選手たちにとっては、いろんな長所も出たし、短所も出たと思う。私としても、チームの指揮を執るヘッドコーチとして、世界と戦うためにどのようなチームを編成すればベストなのか、頭の中でいろんな構想を膨らませながら、選考に臨んだ。正直なところ、たった3日間で結果を出すのは難しい。今回の選手選考では、日頃トップレベルで揉まれ、他の選手に比べて、技術的にも体力的にも一歩リードしている日本リーグの選手を中心にメンバー構成を考えた。その日本リーグの選手に、プラスアルファな存在として、他の実業団、クラブ、大学の選手がいかにアピールしてくるか。特に、日頃のデータ、情報の少ない選手については、この選考会の場で猛アピールし、よっぽどミラクルな結果を残さない限りは、日本リーグの選手を上回ることはできないと考えてほしい」と胸の内を語ると、「今回選ばれた選手については、今後“日の丸”を胸に、堂々と胸を張り、世界選手権でのメダル獲得に向かって頑張ってもらいたい。また、今回選ばれなかった選手も、決してあきらめることなく、ぜひ継続したチャレンジを続けてほしいと思っている。ISFの方針により、世界選手権の開催が2年に1度となったこともあり、今後はこれまでより短いスパンで代表選考が行われることになるだろう。ここで結果が出なくても、必ず次のチャンスがあることを忘れないでほしい。今回落選した選手の中には、紙一重の差で選に漏れた者、新たな可能性を見出した者、いろんな選手がいる。私としては今回の選考会を何よりも良い経験にしてもらいたいと思っているし、ここで経験し、学んだことを、ぜひ地元、自チームに持ち帰り、己を磨いていくことはもちろん、若い選手や子どもたちの指導にも活かしながら、もっともっとソフトボールの輪を広げていってもらいたいと思っている」と、今後の日本代表の継続した強化を願い、今回の選考会に参加したすべての選手に対する期待も述べた。

 今回の選考会により、新たに選び抜かれた男子日本代表17名は、昨年開催された第2回ISF男子ワールドカップに出場した日本代表メンバー10名に、前回の世界選手権を経験したメンバー2名、日本代表初選出のメンバー5名が加わり、世代的にもベテランと若手をバランス良く融合させたチーム編成となった。

 投手では、前回の世界選手権で“貴重な左腕”として活躍し、昨年の全日本実業団男子選手権で優勝投手となった照井賢吾(高崎市役所)。男子東日本リーグで、ルーキーながら防御率トップ(0.60)を走る嶋田智希(岐阜エコデンSC)。得意の緩急を武器に、国際大会の舞台では「抜群の安定感」を誇り、昨年のワールドカップでは投手陣のリーダーであった中村健二(大阪桃次郎)。今回の選考会で、投手陣最速のMAX127kmを記録するなど、力で押す豪快なピッチングが持ち味の中島幸紀(大阪桃次郎)。男子西日本リーグで単独首位を走る平林金属の頼もしいエースで、度胸満点、気迫溢れるピッチングが持ち味の松田光(平林金属)。抜群の切れ味を持つライズ・ドロップを武器に、進化を続ける高橋速水(高知パシフィックウェーブ)の6名を選出。
 捕手では、昨年のワールドカップで日本代表の正捕手の座をつかんだ片岡大洋(高知パシフィックウェーブ)が選出された。
 内野手では、日本リーグ3連覇をめざすダイワアクトの若手のホープで、昨年の日本リーグ決勝トーナメント・ファイナルでは4打数3安打と活躍し、連覇に貢献。シーズンオフに「ソフトボール王国」ニュージーランドで武者修行をつんだ佐伯忠昭(ダイワアクト)を一塁手に抜擢。二塁手は、昨年、男子西日本リーグでベストナインを獲得。平林金属ではコーチ兼任としてチームを引っ張り、攻守にいぶし銀の活躍を見せる谷口淳。日本代表としての経験も豊富で、男子東日本リーグ単独首位を走るトヨタ自動車のキャプテン・西森雄(トヨタ自動車)の2名。三塁手は、安定した守備と、一発のある勝負強いバッティングが売りの米良孝太(旭化成)。遊撃手は、「日本現役最強打者」と評される松岡真央。今回の選考会で、持ち味の俊足を活かし、選考委員へ攻守にプレーの質の高さをアピールした伊藤公彦(豊田自動織機)の2名を選出。
 外野手では、勝負強いバッティングを武器に、この選考会で結果を残した木谷謙吾(平林金属)。持ち前の守備範囲の広さ、小技を絡めた巧みなバッティングは健在で、昨年のワールドカップでは外野の要としてリーダーシップを発揮した横山拓(岐阜エコデンSC)。前回の世界選手権を経験し、爆発力のある右の大砲として期待される小野洋平(高知パシフィックウェーブ)。昨年のワールドカップを経験し、一回り大きく成長。「国際大会向き」のダイナミックなバッティングと、攻守ともに積極的に攻めるプレースタイルが持ち味の川田直諒(旭化成)の4名が選出された。

 男子日本代表は、今後、10月24日(水)〜28日(日)の5日間、岡山県新見市で開催される「第9回アジア男子選手権大会」に出場。大会直前の10月20日(土)〜23日(火)には、現地で第1次国内強化合宿を実施する予定である。西村信紀ヘッドコーチ率いる「新生・男子日本代表」が、まずはこのアジア選手権でどのような戦いぶりを見せ、世界選手権への出場権を勝ち取るのか。アジアを制し、再び世界の舞台へ挑むために……。いよいよ、男子日本代表の“挑戦”がはじまる!

平成24年度 男子日本代表選考会・選考結果

〈投手〉
・照井 賢吾(高崎市役所)
・嶋田 智希(岐阜エコデンSC)
・中村 健二(大阪桃次郎)
・中島 幸紀(大阪桃次郎)
・松田  光(平林金属)
・高橋 速水(高知パシフィックウェーブ)

〈捕手〉
・片岡 大洋(高知パシフィックウェーブ)

〈内野手〉
・佐伯 忠昭(ダイワアクト)
・谷口  淳(平林金属)
・西森  雄(トヨタ自動車)
・米良 孝太(旭化成)
・松岡 真央(旭化成)
・伊藤 公彦(豊田自動織機)

〈外野手〉
・木谷 謙吾(平林金属)
・横山  拓(岐阜エコデンSC)
・小野 洋平(高知パシフィックウェーブ)
・川田 直諒(旭化成)